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第四章 高校生活

高校1年へ編入

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4章 学校へ行こう。 4_01

 ■ 高校1年へ編入
───────────────────────────────
 俺の編入する事になった高校は私立北翁大学付属高等学校だ。
 
 男子の場合、学費は国の負担で掛からない高校によっては交通費や学食の費用すら負担しなくていい場合も少なくない、中には学習費名目の小遣いさえ出る高校まで出る始末だ。
 
 元々は男子の進学先は国が割り当てていたが、学校側から生徒数や成績による不満が出てきて国は対応出来なくなってしまったのでなし崩し的に自由に好きな高校へ通うことが出来るようになった経緯がある。そこで始まったのが男子の誘致合戦だ、色々と特典をつけたりして誘致合戦は加熱していった。
 中途の引き抜きもあったりしてトラブルになったりしたので国が乗り出して規則ができ中途の引き抜きは禁止になった経緯がある。
 
 俺が行く市立北翁大学高付属高等学校は最寄り駅より電車で3つ目の駅から徒歩7分といったところにある、生徒数700数十名が通っている。
 
 
 ▼ 北翁大学付属高等学校 職員室
───────────────────────────────
 「中田先生、いよいよ明日ですね。」
 「あっ、白川主任、えぇ、そうですねぇ、どんな生徒かちょっと緊張します。優しい子だといいのですが...」
 明日は男子転校生の転入予定になっている、男子生徒は気難しくて協調性のない子がほとんどなので担任になる中田日奈は緊張と不安、そして少しの期待をしていた。
 
 「あはっ、中田先生、それは無理無理、男子ですよ。そんな子って滅多にいません、元々男子が少ないのに、まあ、大人しい子なら御の字ってところでしょうけど、今回は無理でしょうね。」
 
 「えっ、そうなんですか?」
 えっ、なに、何よ、その根拠は...主任はなにか知ってるのかしら?、東御君みたいな王様気質かしら...
 
 「教頭から追加情報聞いてないの?」
 「いえ、聞いてないです。」
 
 「あら、教頭も忘れてるのかしら?、明日なのに詳細がわからないなんて、困ったわね。
 学年主任の白川千秋が話そうかどうか迷っていた頃、ちょうど教頭から呼び出しがかかった。」
 
 「1年学年主任の白川先生、1年A組担任の中田先生、教頭先生がお呼びですよ。」
 養護教諭の星里先生が呼びに来た。
 
 ▼ 教頭室
 「明日、本校に男子生徒が来るのは聞き及んでると思う、詳細はその資料を見てくれると分かると思うけど、そこに載ってない事もあるの。
 この夏休み期間中に国に多大なる貢献をしたとして公爵に叙爵されていますので彼は一生徒でありながら高位貴族家の当主って事になります。本校としては大変名誉なことですが、彼の扱いに置いては十分な配慮が必要なことを理解してくださいね。」
 
 「教頭先生、彼の性格面についてはなにか分かりますか?」
 「性格に関するデータはありません、ただ、これまでの経験で言えばかなり大変かと思いますよ。
 男子生徒の殆どは甘やかされて育ってます、それでも大人の女性は軽蔑する傾向が有るのはご存知の通りですが、彼の場合は大人の陰謀によって3ヶ月間、事故にあって死にかけるまで過酷な鉱山で過ごしていました。それを考えると軽蔑だけでなく恨みを持っている可能性も十二分に考えられますので中田先生は学年主任の白川先生の元、協力して対応して下さい。
 必要であれば養護教諭の星里先生の協力を仰ぐように。
 とにかく、3人で一致協力して対応にして頂きます。」
 
 「そ、そうなんですか...
 このランクA3Ωって、前に政府発表のあったランクの事でしょうか?」
 「はい、そうです、それだけ貴重な人材を本校で預かることが出来るというのは大変名誉なことですからくれぐれも粗相に無いように御願いしますよ。」
 
 (担任の中田日奈は大変なことになったと思った。)
 これはそれなりというか、かなり覚悟して掛からないといけないわね、下手すると首どころか矯正施設送りになる可能性だったある。はぁ~...
 
 (日奈は思わずため息が漏れた。)
 
 (学年主任の白川は思った。)
 た、大変なことになったわ...平民の教師が貴族の当主、それも公爵様ですって...どう指導しろって言うのよ、日奈がドジったら私まで巻き添えを食らってしまうのよねぇ...ウッ、胃が痛い。。はぁ、入院しようかしら...あぁ、逃げたと思われて評価は最悪になって、来年は主任を降ろされて一緒、うだつが上がらなくなるわ...うまく行けばメリットも有りかぁなぁ...
 
 (養護教諭の梨花は思った。)
 イケメンだといいなぁ。。普通は写真付きなんだけど、彼の場合は写真が資料に載ってなかった、まあ、拡散防止は分かるんですけどねぇ、性格のいい子なら良いけど、イケズな子だったら嫌だわぁ、イケメンなら保健室の常連になってもらって個人的に保険の指導をしたりして。。なんちゃって、空想癖も大概にしておかないと火傷するわね。
 担任や学年主任と違い基本、養護教諭には自分が何かしない限り責任は発生しないのでお気楽モードの梨花だった。
 
 
 ▼ 登校
───────────────────────────────
 「いってきまーす。!!」
 「言ってらっしゃい、気をつけてね」
 
 いよいよ、初登校となった、心配性の母さんにハンカチだの何だのの忘れものチェックを受けて家を出る。クラスの男子は少数だから友達は見つけにくい気もするが、逆に称するだからまとまるのかな?、とりあえず考えても無駄だから当たって見るしか無いと思い直して駅へと向かう。
 
 ちなみに自分のマンションからだと歩いての通学範囲内なんだけど、まだ、本格的には引っ越していない。だいたい週の半分ぐらいは実家で残りはマンションで過ごしている。
 
 
 駅につきホームに立つとちょっとばかり人の多さに驚いた。考えてみればこの時間帯に電車に乗ったことは無かった。
 仕方なくホームに立つと周りの女性たちのささやき声が嫌でも聞こえてくる、当初は気になったが最近では随分慣れて来たのかあまり気にならなくなって来た。
 
 「ねぇ、ほら、あそこ!、凄いイケメンがいるわよ」
 「ねぇ、あのイケメンうちの高校じゃないの?、何年かしら?」、「ネームのラインがブルーだから一年よ。」
 
 女性の声を背に受けながら電車に乗り込むが始発ではないので当然、座る事は叶わず立つことになる、降りやすいようにとドアの外に立つていた。
 
 「イタッ!!」
 頭に軽い衝撃を受けた、痛いってほどではなかったんだけど思わず声が出てしまった。
 なんだろうと振り返ると弓道の弓が倒れてきたのだろう、多分同じ学校の生徒と思われる、女子高生が弓を握っていた。
 
 「すいません!!」
 少女は顔を真赤にしてこちらへ頭を下げようとするが前にも人がいるため頷く程度のお辞儀しか出来ていない、無論気にしてはいないが、向こうはかなり気にしている様子だった。
 
 (あぁ~どうしよう、よりによって同じ学校の男子にぶつけるなんて通報なんてされないよね、通報されたら青切符だよねぇ。。)
 
 ※青切符:軽度男性犯罪通告書、1年間に3枚もしくは過去5年間で5枚もらうともれなく矯正施設へ2週間~1ヶ月のご招待となる。
 
 「あぁ、気にしないでいいよ、ねぇ、弓道部?、同じ学校だよね」
 「はい、弓道部1年の仲村香織です。本当にさっきはごめんなさい。」
 そう言ってきた彼女は、身長は低め、胸は普通?、大きい?、可愛い系のリスっぽい少女だった、
 
 (わぁ、イケメンに話しかけられちゃった、1年にこんなイケメンいたんだぁこれくらいかっこよかったらうわさになっても良いのに聞いたこと無いなぁ何組なんだろう。でも、男子でこんなに気さくな人もい るのねぇ、あぁ、ドキッとして鼻血が出そうだわ。)
 
 「俺も1年だよ、新宮和人しんぐうなぎと、クラブは検討中ってとこかな?」
 俺は帰宅部ってところかなぁ、普通にクラブ入って青春って訳にはいかないしねぇ、やらなきゃ成らない事も色々あるし。
 
 「よかったら今度、弓道部に見学に来ませんか?」
 「うん、時間があったら見に来てみるよ。」
 
 話をしていたら学校の最寄駅に着いたので学校へ向かって歩いていると段々と同じ学校の生徒がふえてきた...当たり前なんだけどね...
 
 「新宮くんは何クラスですか?」
 「あぁっ、新宮は言い難いだろ、和人でいいよ。それにクラスは何だろうねぇ、今日が初めてだからわからないなぁ。」
 
 「なんだぁ、転校生なんだぁ...この時期に珍しいね」
 この時期っていうか、男子の転校生が珍しいよ、男子は転校や移動が規制があったりして大変だと言うし...うちのクラス男子は定員割れしてるからうちのクラスに来るかも知れないなぁ...
 
 「そうなのか?、まあ、そんな訳で俺は職員室行かなきゃいけないから此処でね。」
 「うん、じゃ、一緒に来てくれてありがとう。」
 そう言い残すと彼女は自分のクラスへと走っていった。
 
 香織が席に着くと周りの女子がやってきた。
 「ねぇ、一緒に登校して来たイケメンは知り合いなの?、初めて見ると思うけど転校生?...。」
 皆が一斉に聞いてくる。
 登校途中に聞いて来なかったのは遠慮したというより男子に対して不必要な接触はしては行けないという決まりは当然、高校生であっても適用されるからで別に遠慮していた訳ではないのだ。
 
 「彼は新宮和人君、1年の転校生よ。クラスは決まってないけど、うちに男子の欠員が有るから内に来る可能性は高いと思う。」
 
 「ねぇ、香織の知り合いなの?」
 「うん、知り合いと言えば知り合いだけど正確に言えば今朝知り合ったばかり..てへっ♪」
 周りは呆れた様子で香織を見ていたが同時に羨ましくて嫉妬の炎をメラメラと燃やしていた。
 
 「ねぇ、どうやって知り合ったのよ、接触は禁止でしょう。」
 「うん、電車の中で弓をぶつけた...謝ったら許してくれてまあ、同じ学校ということもあって、ほら、話しながら学校まで来たって感じかな...」
 
 「このやろう、一人だけ良い思いしやがって。。あぁ~っ、ムカつくぅ~、神よ、この罪深き娘に天罰をあたえたまえ~」
 かなの周りに集まった中のひとりの女子高生が手を合わせて祈祷するように手を振りながら天罰を乞う祈りを捧げているが、無論、本気ではない。
 本気ではないのだが一部には本気で睨んでいる生徒もいたりするのは仕方ないことなのだ。
 
 「何、人聞きの悪い事いってんのよもう~」
 乱れた髪を手ぐしで直しながら何故かちょっとは嬉しい香織だ。
 彼は今頃、職員室かなぁ...あぁ~早く会いたいなぁ~
 
 「ねぇ、ねぇ、彼いくらかな?、結構イケメンだったから高そうよね。」
 無論、お願いセックスのことだ、コネもなく抽選でも当たらず直接交渉して依頼する場合、お礼が必要となるのは常識になっていた。この場合、一般男性で300万、20代前半となると500万と相場はあがっていった。無論10代はもっと高い傾向にあった。
 
 香織の周りに集まった一人の女子高生の言葉に他の一人の女子が応えていた。
 「高いと思うよ~東御が500って言うんだから倍はしてもおかしくはないでしょう。そもそも、それでも受けないかも知れないし。」
 
 「でも、彼も元々は貴族の家系って話じゃない、それを思えば世間的には安いと思うわよ。確かうちのクラスでも3人はやったって話よね、まあ、うちにはそんなお金は無いから関係はないんだけど...」
 
 「うん、うん、納得だね、秋津河さんなんかはどうなの?、お金はあるでしょう。でも、東御にはまだなのよね。」
 「えぇ、いってませんわ、母には随分進められましたけど、まあ、今も突かれてますけど、私はやはり最低ラインは超えて欲しいですわ。それでも卒業までに見つからなければお世話になるとおもいますけど、転校生の方は私は拝見しておりませんのでなんとも申し上げにくいのですが、まあ、対応可能な方であればお願いする可能性はありますね、うちの場合幸いなことに金銭的な問題はありませので。。」
 
 皆がイケメンって言うのなら、少なくても東御よりはマシみたいよねぇ、まあ、結婚する訳じゃないし一度きりのワクチンみたいなものだからそんなに気にしてはいないのだけど、性格の腐ってるやつはやっぱ駄目よ。そういう点では同じ男だし期待は出来ないかな...
 
 ▼ 職員室
───────────────────────────────
 「コンコン、失礼します。」
 「何かしら...」
 「今日からこちらに転向してくる事になりました新宮和人です、よろしくお願いします。」
 
 職員室に入って見ると幾つかのグループで集まって会議?の途中なのか話し合ってる最中でどうしたものかと思っていると一人暇そうにお茶を飲んでいる先生らしき人が声を掛けて来たので軽く自己紹介なんかをしてみた。
 
 「あら、あら、こちらこそよろしくお願いね。えっとぉ、今、学年ミーティングがあってるのすぐ終わると思うからそこの椅子に掛けて待っててもらえるかしら...」
 「はい、失礼します。」
 
 暫くすると20代ぐらい、セミロング、上はブラウスに舌は濃紺のスカートの女性がやってきた。
 
 「先生、この子、転校生らしいです。」
 「えっとぉ、貴方は新宮和人様?」
 
 「はい、そうえすが、流石に生徒に様は不味いでしょう、普通に御願いします。」
 「そ、そうですね、では新宮君で良いですね、私は担任の中田日奈です。
 よろしくね。」
 
 「はい、呼び方は特に構いませんが、言いにくいでしょうから下の名前でもなんでもOKですよ、敬称はいりませんし...」
 
 いくらなんでも生徒に様付けは無いだろうって思いながらも、教師の顔を見るとカナリ緊張しているようで公爵って事は伝わっているみたいだし、まあ先生としては新人ってところかなぁ...
 
 「ホームルームが始まりますのでそろそろ行きましょうか?」
 「はい」
 さて、2度めの高校生活か、もう忘れてる気もするけど見ればなんとかなるだろう。
 
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