私の愛した召喚獣

Azanasi

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第三章 領地改革

【腐敗した代官1】

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【腐敗した代官1】

「私は国王陛下よりこの領を封土されたアメリア・フォン・ロッシーニ・アルデンヌ子爵です、領主の権限により本日をもってあなたたち全てに暇を出します。」
 
 「えーーーっ、どうしよう・・・」
 集められた使用人達は一斉に騒ぎ出す。
 各自、今後の身の振り方などについて話し出す物、ショックで座り込む者、平然としている者それぞれ三者三様だ。
 
 「・・・静粛に・・・静かにしなさい!」
 アメリアが声を荒げると皆は大人しくなった。
 
 「今話した通り、一旦は全員解雇しますが、再雇用を望む者は申し出て下さい。優先的に継続して再雇用します。」
 大多数の者が安堵した表情を浮かべていた・・・
 殆どの者が領内の出身で首になれば家で農業を手伝うしかなくなるそうなると現金収入が減ることになり今までの生活が維持出来成るため、死活問題となる者が多いのだ。
 
 「では、1時間後にここで希望を聞きますので執事のロズウェルの指示に従って一人づつ入ってきて下さい。」
 「では、解散!!」
 アメリアは手をパンパンと叩いて皆を解散させるのだった。
 
 「俺は牢の方へ行ってくるよ。」
 そうアメリアに告げると、アメリアは『騎士団の方はあなたに任せるわ!』そう言ってきた。
 「あぁ、取り敢えず騎士団の内情を見てからだな・・・」
 
 「お願いね!」
 
 牢は騎士団の宿舎の地下にある、宿舎内には行って直ぐに地下へと繋がるドアが有りそこには2名の衛兵がいた。
 「ルーカスだ、盗賊の尋問に来た。」
 
 「ご苦労様です、どうぞ!!」
 そう言うと、騎士は敬礼してドアを開けてくれた。
 
 地下へとつづく階段をおりて行くと牢が幾つか並んでいた。ひとつの広さは左側は8畳ほどで右側の牢は一人用なのか?1畳のスペースと2畳の大きさの牢が並んでいて、その中に今回の盗賊は閉じ込められていた。
 
 「身元は分かったのか?」
 その場に居た騎士に聞く中堅騎士のガルダ、と入隊2年目のバットン、残りの一人は領内の農家の出身者だった。
 通常、牢の地下には監視はいない、外に立ち番がいるだけだ・・・今回は内部で殺されたりしないように言いつけておいたため牢の前にも3人の騎士がいた。
 最悪、全員ぐるならどうしようも無くなっていたのだが、流石に全員ぐるでは無いだろうと思っていた。
 
 ガルダとバットンの牢の中間に立つ
 「お前ら素直に話す気はあるか?、話せば情状酌量の余地はあるぞ!」
 「・・・・・」
 「・・・は、話します。知ってることは全部話すので、助けてくれとは言いません、せめて楽に殺して下さい。」
 口を開いたのはバットンだった。
 俺は騎士にバットンを端にある尋問室へ連れて行くように行った。
 
 □■□ 尋問室 □■□
 
 「さて、知ってることは全て話して貰おうか?」
 「・・・結婚したばかりで妻がいるんです、妻は見逃して貰えませんか?」
 
 「良いだろう、本当に知ってることを話せば妻子には手を出さないと男爵の名にかけて誓おう」
 「えっ、同じ騎士ではなく男爵様だったのですか・・・ど、どうして・・・」
 
 アメリアに付いてきた従者が騎士ではなく男爵と聞いて驚いていた。
 (えっ、なんで下級とは言え、貴族の当主であるはずの男爵が従者なんかやってるんだろう。何かやばい気がする、全て話した方が良い・・そうすれば妻は助けて貰えるかも知れない・・・)
 そう考えたバットンはすでに腹をくくった、全て話そう。そう決めると殺されるというのに何だかすっきりとした顔になった。
 
 「実は3ヶ月ほど前、ガルダ先輩から誘われました。最初は断っていたのですが・・・」
 バットンの話した内容はこうだった。
 ガルダから誘われて断っていたが、その内、妻が買い物の途中で服を切られたりする事件が起きた。
 そんな矢先にガルダから「街には変な奴がいるからなぁ・・・次は犯されて殺されるかも」と言われた。早い話が自作自演の脅しである、誘った以上、断ることは絶対に許さないという考えだったのだろう。バットンは諦めて仲間になった。
 不思議なのは襲って荷物が何もなくても金貨1枚の報酬が貰えたと言うことは単なる金銭目的の物取りでは無いって事だ。
 その辺を突っ込んでもバットンは知らされていなかった。恐らく嘘は言ってないだろう。
 まあ、一般人は殺さなかったらしいが、護衛の者は切ったというのでいくら情状酌量があるとそれなりの罰は与えないと駄目だろう。
 「・・・・・」
 俺が考え事をしていると・・・
 「・・・あのう、死刑の前に妻に会わせて貰えませんか?、お願いします。」
 「わかった、それくらいは良いだろう・・・」
 
 バットンを牢に戻した。
 
 今度はガルダの前に立ち言った。
 「バットンは素直に吐いたぞ、お前も喋ったらどうだ?、黒幕はだれだ」
 「・・・・・」
 「ま、喋る訳もないか・・・でも、話して貰わないと俺も困るんだよなぁ~」
 「拷問かぁ・・・死なない程度に切り刻んでいくか?」
 バットンは『ピクッ』と一瞬だけ眉をひそめたが直ぐに平常に戻った。ま、想定内なんだけどね。これから先何処まで耐えるか楽しみだ・・・
 俺がそう思って顔を『にやり』とさせるとバットンは少し引いた顔をしていた。
 
 「しっかりと見張ってろよ、半時もしたら戻る」
 俺は牢を監視している騎士にそう伝えると牢を出て行った。
 
 俺は30分ほど経って戻ってきた。二人を連れて・・・
 その二人をガルダの前の牢に入れた。
 
 ガルダは目を見開いて驚いていた・・・
 「ナルシャ、サーヤ、どうしてお前達が・・・」
 ガルダは自分の妻と娘が自分の目の前の牢に入れられているのをかなりうろたえてた。..
 牢の柵を掴み壊そうと暴れるが、当然壊れるようには作られてはいない・・・
 
 「き、貴様ぁ~妻達に手を出してみろ、殺す、必ず殺してやる」
 ガルダは顔面を真っ赤にしてひくつかせながらつばを飛ばして威嚇している。
 (くそう、この鬼畜め、妻にちょっとでも触ってみろ必ず事してやる、絶対に許さない)
 
 「威勢だけは良いな、どうやって殺すんだ、魔法もつかえない、やってみろよ。」
 俺はそう言うとガルダの妻が入っている牢に入り、妻の上着を引き裂いた・・・
 
 「キャーーーーッ、」
 妻の高い叫び声が牢内に響き渡る。ガルダの妻は慌てて両手で胸を隠すが、俺は後から両手を掴み広げさせる。
 「うぐつ、うぇ。。。ん・・・」
 今度は側にいたガルダの娘が泣き出した。...
 
 「どうだ・・・あっ、見慣れてるからどうって事無いかな?、じゃ、お前の代わりに楽しませてもらおうかな?」
 「うぐっ、き、貴様、この鬼畜野郎、必ず殺してやる」
 ガルダはもう、怒りまくっている、俺は思った。此奴はそろそろ心が折れる。あと、一息だと。
 
 「おい、拷問ってお前をするとでも思ったか?。残念だったな。俺は男をいたぶる趣味はないんだよ。どうせいたぶるのなら女の方が良いからな・・・」
 
 「取り敢えず、やるのに腕は邪魔だ、うん、切り落とそう。」
 
 【それを見ていた監視の騎士は思った、この人だけには絶対に逆らうのだけは止めよう、そう心に深く刻み込んだ・・・】
 
 俺がガルダの妻の腕を切り落とそうと剣を振り上げた時だった。
 「や、止めてくれ・・・頼むお願いだ・・・妻に手を挙げないでくれ・・・」
 
 「えっ、もう、落ちちゃうの?、もっと頑張れよ、せめて娘に順番が回るまで頑張ってくれなきゃ連れてきた意味がないだろう。」
 
 「た、頼む、何でも喋る、いや、喋らせて下さい。」
 「ふぅ、残念だなぁ・・・まだ、何にもしてないのに、お前が喋るというのならここで騎士が見ている以上、俺何にも出来ないじゃ無いかぁ・・・」
 「はぁ、仕方ないか・・・」
 
 俺はガルダの牢を開け、尋問室へ行くように促すと、見ていた騎士が言った。
 「ルーカス様、ガルダに手枷と足枷を・・・」
 俺がガルダをそのまま出したので手枷と足枷をはめるように進言してきた、通常規則では一時的に牢から出す場合は手枷、足枷をはめて牢から出す規則になっていた。
 
 「構わんよ、抵抗するのも自由、逃げるのもかまわんさ・・・」
 俺がそう言うと騎士は意味を理解したらしい・・・
 
 騎士:やっぱりこの人は危ない人だ・・・
 
 尋問室でガルダは静かに語り出した。
 娘が馬車に轢かれて大怪我をした、教会での高度な回復魔法に寄る治療は高額な費用が掛かる、半ば諦めていたところ、代官代理のアドリアンが立て替えてくれて娘は無事に回復した。
 
 その見返りとして仲間を集めて盗賊を求められた、自分の他にデシレ、ダヴィド、ウジェーヌと街のごろつきや貧民街から適当に勧誘して襲ってました。3ヶ月ほど前にダヴィドが護衛に切られたので一番取り込みやすそうなバットンを引き込んだらしい。
 
 代官代理がどうして領内で盗賊をさせたのか、理由は本当に知らないらしいが、どうやら領内の評判を落としてから回復させることで代官代理から代官へ、息子を騎士から騎士団団長へと昇格させることが目的らしいと思っていたそうだが、まあ、多分それが正しいだろう。
 
 「約束だ、家族は帰してくれ・・・」
 「わかった、手は出さない。」
 
 俺はガルダを牢へ返すと、ガルダの妻子がいる牢へと戻り剣を抜いた。
 それを見ていたガルダは・・・
 「や、止めろ、約束したじゃないか・・止めてくれーっ」
 
 俺はガルダの叫ぶのも構わず剣を妻子に向けて振り下ろした。
 「うわーーーっ・・・・・?、あぁ・・あぁ・・あれ」
 ガルダの妻子は真っ二つになると土塊へと姿を変えた・・・
 それを見た。ガルダは腰が抜けたように柵をにぎったまま、その場に崩れ落ちた・・・
 
 そう、ガルダの妻や娘は本物ではなく俺の錬金術で作られたゴーレムだった、姿形は良く似せて作っていたのだがそれだけでは流石にばれるのでガルダ自身に認識を阻害する魔法を合わせて掛けていたので築かれずに済んでいた。
 
 「ル、ルーカス様・・・」
 見ていた騎士は思った。やっぱりルーカス様はいろんな意味で怖い人だ・・・この人だけには逆らわないようにしないと命が幾らあっても足りない、こんな従者を従わせている今度の領主様はどんな人なんだろう。
 
 俺は騎士団に代官代理の捕縛を命じた。
 
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