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第二章 始動
【領地へ行こう3】
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【領地へ行こう3】
日も傾いてきたが日没まではまだ時間が合ったが今日は早めの夕食にすることにした。
バーベキューセットを出して肉や野菜などをふんだんに焼き始めた。無論、焼きおにぎりも忘れない。
カセットコンロを取り出して水を張った鍋に肉や野菜とコンソメを放り込んで簡単なスープを作った。
俺たちが食べているのを涎を流しながらフィリッツ卿の騎士達が見ている。..流石にフィリッツ卿は平常心を見せているのは貴族のなせる技なのかも知れない。
アメリアが俺の方を見るので俺は黙って頷いた。
「フィリッツ卿、対した物は出してませんが、良かったらご一緒に食事しませんか?、騎士の方々も宜しかったらどうぞ!」
アメリアはフィリッツ卿と騎士達を夕食に誘った。
「オーーッ!、」、騎士達からは歓声が上がる。
「ゴホン、」
フィリッツ卿が咳払いをすると騎士達は一斉におとなしくなった。
「しかし、我我がよばれるとそなた達の分が無くなるのではないですか?」
フィリッツ卿は騎士達の旺盛な食欲を知っているからこそ、遠慮しようとしていた。
(ここでうちの騎士ががっついて、アメリア卿の食事を食べてしまうなどと愚行を犯しては貴族として対面が保てない、丁重にお断りしよう。)
「いえ、遠慮成されずにどうぞ!、食べて行かれて下さい。食材は大量にストックしておりますのでご心配はいりませんよ。」
「そ、それでは遠慮なく頂きます、オイ、お前達も一緒によばれろ・・・」
「はい・・・」
騎士達は返事すると同時に一斉にバーベキューの周りに集まってきた。..箸は使えないだろうとフォークと紙の取り皿を渡す・・・奈津がそれぞれにスープをよそって渡していた。
兵士達は飢えた狼のようにかぶり付いていた・・・
「いやー野営でこんな美味しい物が食べられるなんて・・・最高です。!!」
「いつもはもっとちゃんとした料理も作っているんですよ。今日は大勢なのでバーベキューにしましたけど・・・」
「いつもは干し肉とパンに水なんで・・・」
騎士はため息を付きながらもうらやましがっていた。
そんな時にフィリッツ子爵が声を上げた・・・
「こ、これは紙ではないのですか?」
「え、えぇ、紙ですが、きちんと加工してあるので漏れたりはしませんよ。使い終わったら燃やせば良いので洗う手間も省けますし、野営の時は紙を使う時が多いですね。」
「高価な紙をこんな使い方されるとは・・・」
(アメリア子爵は相当裕福なのか?、いや、それ以前に紙の皿など王家でも使っていまい、見るのは初めてでそれまで聞いたことすらない、ATVといい、時空神様との伝があるとは凄い物だ。一応、色々と調べてみなければなるまい)
フィリッツ卿は肉を食べながらそんなことを考えていた・・・
「時空神様と伝があるって事は凄い事ですな、王家にでも知られたら大変でしょう」
「あっ、いえ、いえ、王家にはもう既にご存じですよ。ATVの購入なども決まってますし、王家に縛り付けるというのは時空神様のご意志にも背くことになるのでその辺りはご了解頂いて下ります。」
「お~っ、そうでしたか、これだけの物が揃えられるとなると王家に知れない訳にも行かないじゃろう。それにしてもどうやって時空神様と伝が出来たのか聞いても宜しいかのうぉ?」
フィリッツ卿は無駄だとは思ったが取り敢えず聞くだけは聞いて見たいという衝動を抑えきれなくなった。
自分に時空神との伝が出来れば莫大な利益を生むだろう、いや利益だけで無く権力も得ることが出来よう、伯爵への叙爵も夢では無くなる。
こんな小娘に時空神との伝はもったいない、自分にこそふさわしいのではないかと思い始めていた・・・
「その辺は私に聞かれてもお答え出来かねます、なぜなら私は時空神様との伝《つて》は持っていませんから・・・伝を持っているのは従者のルーカス卿ですから」
フィリッツ卿は驚いた顔をしながらも
「ルーカス卿はアメリア卿の騎士なのですか?」
「うーん、彼は男爵の爵位を持っていますから騎士ではありません、男爵位を持ってはいますが私の従者として仕えています。」
「これはまた、聞いたことがありませんな。男爵として独立出来るはずの物を従者としての地位で甘んずるなどとは変わったお方なのかな?」
アメリアは何故か嬉しそうな顔をしながら答えた。
「えぇ。。とっても・・・」
「私が子爵へと成ったのも彼の功績です。私はただのアズガルド辺境伯の娘です。なんでしたらルーカスをよびましょうか?」
「は、はぁ~」
「ルーカス、ちょっと来て。..」
子爵はしまったと思った。この流れでルーカスと話すのはなぁ~そう思ったがもう、後の祭りである。
「はい、アメリア様なんですか?」
「こちらのフィリッツ卿がルーカスと話したいそうよ。」
「では、ルーカス殿、ごゆっくり・・」
そう言い残すとアメリアはその場を去って行った。
「さて、フィリッツ様、どういったことでしょうか?」
「いや、特に聞きたい訳ではないんだが、つまりだ、その、話の流れでな、ルーカス殿が時空神様と伝があるとの事でどうやったら伝が出来るのだろうと話しておったところだったのじゃよ。」
「あぁ~その件ですかぁ・・・」
ルーカスは気まずそうな顔をしているのを見てフィリッツ卿は思った。
これ駄目じゃん、ババ引いてしまった。
「まあ、何です、私としては話しても別にどうって事はないのですが、その件も含めて私の出生などの詳細は国家機密となっておりますので知りたいのでしたら陛下に直接お尋ね頂くしかないのですが・・・」
フィリッツ卿は不味いと思った。何とかして話を誤魔化さないと墓穴を掘りかねない。
「いや、そうまでして知りたい訳じゃないんじゃよ、話の流れでな・・・うん、その腕に嵌めてるのは時計ではござらぬか?」
フィリッツ卿は話を変えようと必死で探している時にルーカスの腕に嵌めている時計が目に入ったので取り敢えず聞いた。
「はい、そうです、腕に嵌める時計なので腕時計と言います。殆ど誤差はないですよ。」
「うーん、相当、するのじゃろうなぁ・・・・」
この世界では懐中時計が実用化されたばかりで1千万ルドを軽く超えるのが多く、事実上、上位貴族しか持ってる者は居なかった。そんな状況のため、フィリッツ卿は数億と踏んでいた。
「そうですねぇ、高いのはもう、上限がないぐらいの値段がしますね、まあ、高くても時計の精度はそう変わらないんですけどね。」
「この今はめてるのだと30万ルド位ですね。」
「えっ、えぇーーーっ、30万ルドですか?」
「はい!」
「本当にたったの30万ですか?」
「はい、そうです、まあ、高く買って下さる分には幾らでも構いませんが・・・」
「今度、近衛兵にも配備されるそうです。」
フィリッツ卿は億はすると思っていたため、腰が抜けんばかりに驚いた。それくらいであるなら買いたいと思い、恐る恐る聞いて見た。
「それ、売って貰うことは出来んかの?」
「えっとぉ、これと似た様のなら在庫がありますよ。」
「それでは是非・・・」
アイテムボックスからにたタイプの時計を取り出してフィリッツ卿に渡した。
「じゃ、30万ルドでいいのじゃな?」
「はい、結構ですよ。」
フィリッツ卿から時計の代金を受け取った。
「卿は移動中のため、あまり持ち合わせがないのでまだ買いたい時は何処に行ったらいいのかのう?」
「そうですね、近日中に王都に店を出しますのでそちらの方においで頂くと良いと思います。オープンの時はお知らせしますよ。」
「うむ、必ず連絡してくれることをたのんだぞ!」
「はい、必ずやお知らせします。」
翌朝、フィリッツ卿に別れを告げ、領地へと向かった。
出発して3時間ほど経った頃だった。前方に魔獣がいる反応があった。。。
「どうやら前方で人が襲われてるみたいだ・・・ちょっと急いでみよう。」
「あたし出る?」
奈津が自分が先に行こうかってサインを送ってきた。
確かに戦闘では今でも俺は奈津には全然及ばないが、今回は俺でもやれそうな気がした。
「いや、対したことはないだろう、俺で行けると思うよ。」
「うん、じゃ、お手並み拝見」
俺はATVのスロットルを開け加速した。
目的の場所には直ぐに着いた。
馬車の周りを数体のオークとゴブリンが取り囲んでる、3人の冒険者らしき者が賢明に戦っているがどうやら分が悪そうだ・・・この状況で苦戦しているって事はそう、高ランクの冒険者ではないようだ・・・
近づいた俺は取り敢えず聞いて見る
後で助けは無用だったといちゃもんを付けられても嫌だったからだ・・・
場合によっては獲物の横取りと取られかねない場合もあるため念を入れて確認してみた。
「た、頼む、助けてくれ・・・」
「分かった。」
「近くに寄ってきていたゴブリンから指弾で片付けていく・ホローポイントの弾頭をイメージしながらゴブリンに向けて指弾を放つとゴブリンの体にぽっかりと穴が開いた。
うーん、最初に比べると随分威力が上がってきた気がする。
オークの場合は頭を狙った。当たるとぱっと血の花が咲いたようにオークの頭部が散っていく。
□■□ ルーカスが魔獣と戦闘中のころ・・・□■□
後部では奈津と愛彩が俺の戦闘を見ていた・・・
「お姉ちゃん、久志じゃなかったルーカスは強いの?」
「うん、強いんじゃない?」
「何か、それって投げやりじゃない?」
「そうねぇ、ルーカスはどちらかというよ攻撃より防衛や警戒方面に特化してると思う、治療魔法や転移魔法なんかが使える代わりにまともに使える攻撃魔法は今使ってる指弾ぐらいかな?、剣はそれなりに強いよ・・」
ルーカスは前世の遺産を引き継いでいるため攻撃魔法も帝級魔法まで使える、但し行き成り引き継いだため力の加減が出来ないのだ・・・ファイヤーボールで山がひとつ消し飛ぶ・・・そんな訳でまともに使える攻撃魔法は指弾ぐらいしか使えなかった。
対人であれば指弾はかなり有効だが高位の魔獣に対しては威力不足はぬぐえなかったが、飛ばす魔力弾のをイメージする事で堅い外殻を持つ者には徹甲弾、対人であればフォローポイントなどを使い分けることによってかなり改善出来る様になった。
「ふーん、そうなんだぁ・・・」
「まあ、ある意味、最終兵器とも言えるわね。」
奈津と愛彩が話してる間に戦いは終了した。
「大丈夫でしたか?」
「助かりました、一時はもう駄目かと思いましたよ。私はサリガン商会のブルーノと申します。本当に有り難う御座いました。
」
襲われていたのは商人だった。
どうやら冒険者が負傷しているようなので治療にむかう。
負傷した冒険者を見るとゴブリンの剣で腹部を刺されたらしく内臓も損傷しているみたいだった。
見た感じでは十代半ばの少女だった・・・
しゃがみ込み冒険者に手をかざしてハイヒールを掛ける、患部の付近が光り始め、暫くして光が収まる頃にはどうやら治ったみたいだった。
一旦、意識を手放したが恐らく大丈夫だろう。
立ち上がるとそこには冒険者のリーダーらしき人物が立っていた。
10代半ばぐらいの少年だった。
「有り難う御座います、回復魔法の使い手だったんですね、仲間を助けて頂き有り難う御座いました。」
「私はアルデンヌ領、領都、カレントギルド所属のマーチンと言います、今は治療費の持ち合わせがないので一旦カレントに戻ってからで構いませんか?」
「俺はルーカスだ、カレントへ向かっている所だ、まあ、向こうであったら飯でもおごってくれたらそれでいい」
「そんなんで良ければ、幾らでもおごりますのでカレントに付いたら猫の額と言う宿屋に泊まってますので是非、来てみて下さい。料理はうまいです。」
「あぁ、寄らせてもらう」
(初心者って感じがしたが、護衛をしていると言うことは最低でもCランク以上のはずだが、それにしてはちょっと心許ないなぁ・・)
ルーカスは少し気分が良かった。
少年達の対応が礼儀正しかったし何やら好感が持てた。
面倒ごとに巻き込まれるのも嫌なので早々に立ち去ろうと思い、その場を立ち去ろうとしたその時
後から声がする。いや、ATVにまたがった今となっては今更だが・・・・
先程の商人が何か言いながら走ってくる。・・・
無視して走り去るか、対応するか・・・
諦めた・・・、ここで無視するのは悪手だ・・・
♪゜*☆*゜♪*☆*゜♪゜*☆*♪゜*☆*゜♪*☆*゜♪゜*☆*゜♪
2018/09/24:誤字、脱字、誤用の修正をしました。
♪゜*☆*゜♪*☆*゜♪゜*☆*♪゜*☆*゜♪*☆*゜♪゜*☆*゜♪
日も傾いてきたが日没まではまだ時間が合ったが今日は早めの夕食にすることにした。
バーベキューセットを出して肉や野菜などをふんだんに焼き始めた。無論、焼きおにぎりも忘れない。
カセットコンロを取り出して水を張った鍋に肉や野菜とコンソメを放り込んで簡単なスープを作った。
俺たちが食べているのを涎を流しながらフィリッツ卿の騎士達が見ている。..流石にフィリッツ卿は平常心を見せているのは貴族のなせる技なのかも知れない。
アメリアが俺の方を見るので俺は黙って頷いた。
「フィリッツ卿、対した物は出してませんが、良かったらご一緒に食事しませんか?、騎士の方々も宜しかったらどうぞ!」
アメリアはフィリッツ卿と騎士達を夕食に誘った。
「オーーッ!、」、騎士達からは歓声が上がる。
「ゴホン、」
フィリッツ卿が咳払いをすると騎士達は一斉におとなしくなった。
「しかし、我我がよばれるとそなた達の分が無くなるのではないですか?」
フィリッツ卿は騎士達の旺盛な食欲を知っているからこそ、遠慮しようとしていた。
(ここでうちの騎士ががっついて、アメリア卿の食事を食べてしまうなどと愚行を犯しては貴族として対面が保てない、丁重にお断りしよう。)
「いえ、遠慮成されずにどうぞ!、食べて行かれて下さい。食材は大量にストックしておりますのでご心配はいりませんよ。」
「そ、それでは遠慮なく頂きます、オイ、お前達も一緒によばれろ・・・」
「はい・・・」
騎士達は返事すると同時に一斉にバーベキューの周りに集まってきた。..箸は使えないだろうとフォークと紙の取り皿を渡す・・・奈津がそれぞれにスープをよそって渡していた。
兵士達は飢えた狼のようにかぶり付いていた・・・
「いやー野営でこんな美味しい物が食べられるなんて・・・最高です。!!」
「いつもはもっとちゃんとした料理も作っているんですよ。今日は大勢なのでバーベキューにしましたけど・・・」
「いつもは干し肉とパンに水なんで・・・」
騎士はため息を付きながらもうらやましがっていた。
そんな時にフィリッツ子爵が声を上げた・・・
「こ、これは紙ではないのですか?」
「え、えぇ、紙ですが、きちんと加工してあるので漏れたりはしませんよ。使い終わったら燃やせば良いので洗う手間も省けますし、野営の時は紙を使う時が多いですね。」
「高価な紙をこんな使い方されるとは・・・」
(アメリア子爵は相当裕福なのか?、いや、それ以前に紙の皿など王家でも使っていまい、見るのは初めてでそれまで聞いたことすらない、ATVといい、時空神様との伝があるとは凄い物だ。一応、色々と調べてみなければなるまい)
フィリッツ卿は肉を食べながらそんなことを考えていた・・・
「時空神様と伝があるって事は凄い事ですな、王家にでも知られたら大変でしょう」
「あっ、いえ、いえ、王家にはもう既にご存じですよ。ATVの購入なども決まってますし、王家に縛り付けるというのは時空神様のご意志にも背くことになるのでその辺りはご了解頂いて下ります。」
「お~っ、そうでしたか、これだけの物が揃えられるとなると王家に知れない訳にも行かないじゃろう。それにしてもどうやって時空神様と伝が出来たのか聞いても宜しいかのうぉ?」
フィリッツ卿は無駄だとは思ったが取り敢えず聞くだけは聞いて見たいという衝動を抑えきれなくなった。
自分に時空神との伝が出来れば莫大な利益を生むだろう、いや利益だけで無く権力も得ることが出来よう、伯爵への叙爵も夢では無くなる。
こんな小娘に時空神との伝はもったいない、自分にこそふさわしいのではないかと思い始めていた・・・
「その辺は私に聞かれてもお答え出来かねます、なぜなら私は時空神様との伝《つて》は持っていませんから・・・伝を持っているのは従者のルーカス卿ですから」
フィリッツ卿は驚いた顔をしながらも
「ルーカス卿はアメリア卿の騎士なのですか?」
「うーん、彼は男爵の爵位を持っていますから騎士ではありません、男爵位を持ってはいますが私の従者として仕えています。」
「これはまた、聞いたことがありませんな。男爵として独立出来るはずの物を従者としての地位で甘んずるなどとは変わったお方なのかな?」
アメリアは何故か嬉しそうな顔をしながら答えた。
「えぇ。。とっても・・・」
「私が子爵へと成ったのも彼の功績です。私はただのアズガルド辺境伯の娘です。なんでしたらルーカスをよびましょうか?」
「は、はぁ~」
「ルーカス、ちょっと来て。..」
子爵はしまったと思った。この流れでルーカスと話すのはなぁ~そう思ったがもう、後の祭りである。
「はい、アメリア様なんですか?」
「こちらのフィリッツ卿がルーカスと話したいそうよ。」
「では、ルーカス殿、ごゆっくり・・」
そう言い残すとアメリアはその場を去って行った。
「さて、フィリッツ様、どういったことでしょうか?」
「いや、特に聞きたい訳ではないんだが、つまりだ、その、話の流れでな、ルーカス殿が時空神様と伝があるとの事でどうやったら伝が出来るのだろうと話しておったところだったのじゃよ。」
「あぁ~その件ですかぁ・・・」
ルーカスは気まずそうな顔をしているのを見てフィリッツ卿は思った。
これ駄目じゃん、ババ引いてしまった。
「まあ、何です、私としては話しても別にどうって事はないのですが、その件も含めて私の出生などの詳細は国家機密となっておりますので知りたいのでしたら陛下に直接お尋ね頂くしかないのですが・・・」
フィリッツ卿は不味いと思った。何とかして話を誤魔化さないと墓穴を掘りかねない。
「いや、そうまでして知りたい訳じゃないんじゃよ、話の流れでな・・・うん、その腕に嵌めてるのは時計ではござらぬか?」
フィリッツ卿は話を変えようと必死で探している時にルーカスの腕に嵌めている時計が目に入ったので取り敢えず聞いた。
「はい、そうです、腕に嵌める時計なので腕時計と言います。殆ど誤差はないですよ。」
「うーん、相当、するのじゃろうなぁ・・・・」
この世界では懐中時計が実用化されたばかりで1千万ルドを軽く超えるのが多く、事実上、上位貴族しか持ってる者は居なかった。そんな状況のため、フィリッツ卿は数億と踏んでいた。
「そうですねぇ、高いのはもう、上限がないぐらいの値段がしますね、まあ、高くても時計の精度はそう変わらないんですけどね。」
「この今はめてるのだと30万ルド位ですね。」
「えっ、えぇーーーっ、30万ルドですか?」
「はい!」
「本当にたったの30万ですか?」
「はい、そうです、まあ、高く買って下さる分には幾らでも構いませんが・・・」
「今度、近衛兵にも配備されるそうです。」
フィリッツ卿は億はすると思っていたため、腰が抜けんばかりに驚いた。それくらいであるなら買いたいと思い、恐る恐る聞いて見た。
「それ、売って貰うことは出来んかの?」
「えっとぉ、これと似た様のなら在庫がありますよ。」
「それでは是非・・・」
アイテムボックスからにたタイプの時計を取り出してフィリッツ卿に渡した。
「じゃ、30万ルドでいいのじゃな?」
「はい、結構ですよ。」
フィリッツ卿から時計の代金を受け取った。
「卿は移動中のため、あまり持ち合わせがないのでまだ買いたい時は何処に行ったらいいのかのう?」
「そうですね、近日中に王都に店を出しますのでそちらの方においで頂くと良いと思います。オープンの時はお知らせしますよ。」
「うむ、必ず連絡してくれることをたのんだぞ!」
「はい、必ずやお知らせします。」
翌朝、フィリッツ卿に別れを告げ、領地へと向かった。
出発して3時間ほど経った頃だった。前方に魔獣がいる反応があった。。。
「どうやら前方で人が襲われてるみたいだ・・・ちょっと急いでみよう。」
「あたし出る?」
奈津が自分が先に行こうかってサインを送ってきた。
確かに戦闘では今でも俺は奈津には全然及ばないが、今回は俺でもやれそうな気がした。
「いや、対したことはないだろう、俺で行けると思うよ。」
「うん、じゃ、お手並み拝見」
俺はATVのスロットルを開け加速した。
目的の場所には直ぐに着いた。
馬車の周りを数体のオークとゴブリンが取り囲んでる、3人の冒険者らしき者が賢明に戦っているがどうやら分が悪そうだ・・・この状況で苦戦しているって事はそう、高ランクの冒険者ではないようだ・・・
近づいた俺は取り敢えず聞いて見る
後で助けは無用だったといちゃもんを付けられても嫌だったからだ・・・
場合によっては獲物の横取りと取られかねない場合もあるため念を入れて確認してみた。
「た、頼む、助けてくれ・・・」
「分かった。」
「近くに寄ってきていたゴブリンから指弾で片付けていく・ホローポイントの弾頭をイメージしながらゴブリンに向けて指弾を放つとゴブリンの体にぽっかりと穴が開いた。
うーん、最初に比べると随分威力が上がってきた気がする。
オークの場合は頭を狙った。当たるとぱっと血の花が咲いたようにオークの頭部が散っていく。
□■□ ルーカスが魔獣と戦闘中のころ・・・□■□
後部では奈津と愛彩が俺の戦闘を見ていた・・・
「お姉ちゃん、久志じゃなかったルーカスは強いの?」
「うん、強いんじゃない?」
「何か、それって投げやりじゃない?」
「そうねぇ、ルーカスはどちらかというよ攻撃より防衛や警戒方面に特化してると思う、治療魔法や転移魔法なんかが使える代わりにまともに使える攻撃魔法は今使ってる指弾ぐらいかな?、剣はそれなりに強いよ・・」
ルーカスは前世の遺産を引き継いでいるため攻撃魔法も帝級魔法まで使える、但し行き成り引き継いだため力の加減が出来ないのだ・・・ファイヤーボールで山がひとつ消し飛ぶ・・・そんな訳でまともに使える攻撃魔法は指弾ぐらいしか使えなかった。
対人であれば指弾はかなり有効だが高位の魔獣に対しては威力不足はぬぐえなかったが、飛ばす魔力弾のをイメージする事で堅い外殻を持つ者には徹甲弾、対人であればフォローポイントなどを使い分けることによってかなり改善出来る様になった。
「ふーん、そうなんだぁ・・・」
「まあ、ある意味、最終兵器とも言えるわね。」
奈津と愛彩が話してる間に戦いは終了した。
「大丈夫でしたか?」
「助かりました、一時はもう駄目かと思いましたよ。私はサリガン商会のブルーノと申します。本当に有り難う御座いました。
」
襲われていたのは商人だった。
どうやら冒険者が負傷しているようなので治療にむかう。
負傷した冒険者を見るとゴブリンの剣で腹部を刺されたらしく内臓も損傷しているみたいだった。
見た感じでは十代半ばの少女だった・・・
しゃがみ込み冒険者に手をかざしてハイヒールを掛ける、患部の付近が光り始め、暫くして光が収まる頃にはどうやら治ったみたいだった。
一旦、意識を手放したが恐らく大丈夫だろう。
立ち上がるとそこには冒険者のリーダーらしき人物が立っていた。
10代半ばぐらいの少年だった。
「有り難う御座います、回復魔法の使い手だったんですね、仲間を助けて頂き有り難う御座いました。」
「私はアルデンヌ領、領都、カレントギルド所属のマーチンと言います、今は治療費の持ち合わせがないので一旦カレントに戻ってからで構いませんか?」
「俺はルーカスだ、カレントへ向かっている所だ、まあ、向こうであったら飯でもおごってくれたらそれでいい」
「そんなんで良ければ、幾らでもおごりますのでカレントに付いたら猫の額と言う宿屋に泊まってますので是非、来てみて下さい。料理はうまいです。」
「あぁ、寄らせてもらう」
(初心者って感じがしたが、護衛をしていると言うことは最低でもCランク以上のはずだが、それにしてはちょっと心許ないなぁ・・)
ルーカスは少し気分が良かった。
少年達の対応が礼儀正しかったし何やら好感が持てた。
面倒ごとに巻き込まれるのも嫌なので早々に立ち去ろうと思い、その場を立ち去ろうとしたその時
後から声がする。いや、ATVにまたがった今となっては今更だが・・・・
先程の商人が何か言いながら走ってくる。・・・
無視して走り去るか、対応するか・・・
諦めた・・・、ここで無視するのは悪手だ・・・
♪゜*☆*゜♪*☆*゜♪゜*☆*♪゜*☆*゜♪*☆*゜♪゜*☆*゜♪
2018/09/24:誤字、脱字、誤用の修正をしました。
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目覚めると彼は真っ白な空間にいた。
動揺するクラスメイト達、状況を掴めない彼の前に現れたのは「神」を名乗る怪しげな存在。彼はいままさにこのクラス全員が異世界へと送り込まれていると告げる。
神は異世界で生き抜く力を身に付けるため、自分に合った能力を自らの手で選び取れと告げる。クラスメイトが興奮と恐怖の狭間で動き出す中、自分の能力欄に違和感を覚えた晴人は手が進むままに動かすと他の者にはない力が自分の能力獲得欄にある事に気がついた。
龍神、邪神、魔神、妖精神、鍛治神、盗神。
六つの神の称号を手に入れ有頂天になる晴人だったが、クラスメイト達が続々と異世界に向かう中ただ一人取り残される。
神と二人っきりでなんとも言えない感覚を味わっていると、突如として鳴り響いた警告音と共に異世界に転生するという不穏な言葉を耳にする。
気が付けばクラスメイト達が転移してくる10年前の世界に転生した彼は、名前をエルピスに変え異世界で生きていくことになる──これは、夢見る少年が家族と運命の為に戦う物語。
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