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第一章 転移

奴隷を買おう2

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【奴隷を買おう2】

.リビング

 「彼女は別室にいたので知らないと思う。名前はレイカだ、うちの商会の次席をやってもらうことになった。皆、宜しく頼む」
 えっ、本人が驚いている

 取り敢えず、無視して俺はエリシアとロウスタンを連れって俺の部屋へ行く

 別室に連れてこられて二人は何事だろうと顔を見合わせている

 「まず、ロウスタン、取り敢えずはこの屋敷の執事をして貰いたい。受けてくれるか?」
 ロウスタンはもう、心は決まっていたのだろう、即決だった。

 「この老いぼれで良ければお仕えいたしましょう。」
 「うむ、頼んだぞ!」

 「エリシア、お前は俺の嫁候補だ、即決はしなくて良い、考えて置いてくれ。答えが出るまではこの屋敷で好きにしていると良い。」

 エリシアは困った顔をしている、奴隷を買ってきて何故って感じだ。
(この男、何のつもりだろう、体目当てか?、でも、平民にはない気配を感じるのは何故?うーん、分かんないわ)

 「何故、奴隷の私を嫁にしようと思うのですか?」
 「一目見て雰囲気、仕草が気に入ったからだ。だから無理矢理嫁にはしない、お前の意思に任せる。嫌なら断ってくれてもよい。」

 「もし、俺を知って嫌だと言う答えが出たら言ってくれ、すぐにでも奴隷から解放しよう。」
 (何言ってんのこの男、私が嫌だと言えば解放するですって?、信じられる?)

 「今、私が嫌だと言ったら解放してくれるの?」
 「あぁ、俺を知らない今、すぐ答えるって事は、きっと直感なんだろう、直感で嫌だと思うならそれはきっと正しい。」

 「それで嫌なら、今すぐでも解放しよう。ただ、奴隷商に解放の手続きは明日にしてくれ、さすがに今日は疲れた。」
 (何、本気なの?本気で金貨10枚を捨てるつもり?、この男、バカなの大物かしら?、多分、この判断は私の人生を大きく変える気がするわ。)

 「わかったわ、暫くあなたを見て決めるわ。」

 「助かったよ。さすがに昨日の今日では奴隷商に行くには悲しすぎるからな。」

 「さて、お前が暫く見て決めると言うから話すが、もう一つ理由がある。と言っても2次的な物で主な理由は先に話した通りだ。」

 「俺は近々、チベスタンと揉める事になるだろう、その時、王族と現派閥よりの貴族は全て潰すつもりだ。」

「お前が望むならチベスタンと言う国を残しても良い、どうする?、エリシア・パトリック・チベスタン第一王女様」
 (なぜ、ばれてるの?、奴隷商だって知らないはず、それに平民がチベスタンと揉めるですって?、何考えてるのよ、そもそも国と個人が揉めてどうにかなると思ってる訳?、この男何者なの?)

 「そうそう、ロウスタン、お前がチベスタン家の執事だった事も知ってるぞ!、だから値段を聞く前に即決したんだ。」

 「ばれてましたか?、ご主人様もお人が悪いですな、さしづめ鑑定の高いスキルをお持ちですかな?」

 「ご主人様、少し伺ってもよろしいですかな?」
 「あぁ、構わないよ。」

 「どうしてチベスタンと近々揉めるのですかな?」
 「ロウスタンはローラルドがヒッタービルドに侵略目的で進攻したのは知ってるか?」

 「はい、奴隷商の主人の話し相手をしておりましたから、第2王子の謀反とか?ローラルド軍は降伏したのを除いて全滅させられたとか言う話でしたな。」

 「一昨日の事をそこまで知ってるとは、まだ、一部の人間しか知らないだろうに。.奴隷商も唯もんじゃ無いなぁ」

 「そこはご主人様も同じでは・・・」

 「ま、信じるも信じないも自由だが、ローラルド軍を殲滅したのは俺だ、ついでにチベスタンに捕らわれていたヒッタービルドの第一王子をレスカと二人で正面突破で取り返してきて来たからな。」

 「それではチベスタンの面子は潰れますな。」
 (大国の軍隊ならまだしも、たった2人に奪われたとなると、国の面子掛けても必ず探し出すだろう、一国を敵に回すなどとは一体どういう御仁なのか、纏ってる気からしてただ者では内のは十二分にわかるが)

 「そう言う事、今は犯人が俺だとは気づいてないが、そう遠くない将来ばれるだろう」

 「お話を伺ってると、わざとばれるのを承知でやったようにも聞こえますな」
 (あえてチベスタンに喧嘩をうり勝てる確信があると見える、ローラルドとヒッタービルドの後押しもあるのかも知れないな。)

 「その辺は内緒だ。」

 「ま、二人で話もあるだろう。適当に切り上げてリビングへ来てくれ。」

 リビングに戻ってるマリーとマルシアに仕事の内容を告げる。

 「マリー、マルシア、お前達はこの屋敷のメイドとして働いて貰ういいか?」

 「はい、かしこまりました。」
. ネイロンの思惑

 「ネイロン、おまえはメイドは出来るか?」
 「・・・・はい・・・」
 いかにもやりたく無さそうな顔をしながらうける。奴隷で有る限り拒否は出来ない

 「ネイロン、ちょっとこっちに来い」

 「俺はネイロンの思惑を聞いた。」
 「さて、お前の願いとはなんだ」
 「復讐です。」
 「相手は誰でどんな状況でどうされた。」

 「ローランド帝国の第2王女ケルアとその部下の騎士です。彼奴らは遊び半分で俺ら家族を襲い親や兄上、殺した。

 「俺たちはチベスタンに住んでいる部族で狩りの為にローラントの国境近くで野営してたんです。始め兵士もやる気はなかったみたいですが、ケルア王女の命令で一人が命令違反で反逆罪に問われて処刑されると一斉に襲いかかってきて皆殺されました。」

 「お前、一国の王女に復讐なんて出来ると思うか?」
 「無理でしょうね、でも一矢報いる事が出来なくてもそのチャンスだけでも頂ければ十分です。それが私の目的です。」

 「まてよ、それじゃ目的を果たした後はお前は死ぬだろう、俺の方はどうなる?」
 「そうですね、では、チャンスを頂けるなら俺の体で前払いは如何でしょうか?俺は処女ですが、お望みならどんな事でも受け入れましょう。」

 「なら、契約成立だ。」
 「チャンスを頂けるので?」

 「あぁ、やろう、但し王女のみだ。」
 「構いません、兵士は命令でしたしどの兵士か探すのも難しいですし。」

 「いや、そうじゃないんだ、兵士はもう、死んでいるし、王女も死んだ事になっている」
 「一体どういう事なんだ?」

 「王女は第一王子のサロスを連れてチベスタンへ行く途中にお前らを襲ったんだ。その後、軍を率いてヒッタービルドへ進攻した。」
 「進攻は失敗して第2王子はとらえられてヒッタービルドで処刑待ちの状態だ。王女は死んだとされている」

 「じゃ、俺は復讐は出来ないのか?」
 (俺は奴隷にされてまで何の為に生きてきたのか?、もう、生きる目的も失った今、どうやったらいい?いっそこのまま死ぬか?)

 「慌てるなよ、だれも死んだとは言ってないだろう。死んだ事になってると、つまり殺しても問題はないって事だ。」

 「さぁ、行くぞ!」
 俺は帰らずの森の隠れ家へと転移した。

 「こ、此処はどこだ。俺はどうしたんだ。」
 「転移したんだよ。」
 「へぇっ、そんな事が出来るのかよ?」

 「今体験しただろ、ほら、こっちだ行くぞ」
 牢のある地下3階まで下りていく、サロスは不安げに周りをきょろきょろとしながら付いてくる」

 「ほら、目的だ。」

 「そこには、全裸で縛られている第2王女ケルアの姿があった。」

 「これは。。。第2王女、なんでこんな所に」
 「さっき進攻の話をしただろう、尋問の必要があったから連れてきたんだ、お前にやるよ。」

 「ご主人様、王女、えらくボロボロなんですが・・・」

 「あぁ、色々と聞きたかったんでな。。肛門と女の部分はもう、使い物にならないぞ!」
 「お前は女だから関係ないか。。。」

 「ま、俺としてはまだ、殺すつもりはなかったんだけどな、お前が殺したいのなら良いぞ」
 「ま、まだ、拷問するつもりだったんですか?」

 「あぁ、まだ、目、耳、鼻、口も綺麗に残ってるじゃないか、尋問は終わってるが、お仕置きはこれからだったんだ。」
 「ここには鏡がないから、まずは眼球を取り出して自分の体を見せてやろうと思ってたんだがな・・・」
 「なぁに、俺は回復魔法が使えるからな、そう簡単には死なせやしない。だからって直してはやらないけど。.あくまでも死なない程度に止血したりするだけでね。」
 
 「ネイロン、やるなら早くやれよ、さっさとやって帰ろうぜ」

 「俺、もう良いです。こんなになってるのに手を出したくないです。」
 (どんなに憎んだらこんな事が出来るんだろう、きっとご主人様も大事な人を殺されたんだろうか?)
 「ご主人様、ご主人様も誰かを殺されたのですか?」
 「いや、どうしてだ・・・」
 「ここまで酷い拷問をされているところを見ると余程、大切な方を殺されたのかと・・」
 
 「俺の身内は誰も殺されていないぞ、殺されていればこんな生やさしい事はしない・・・此奴はチョット反抗的だったので躾の一環だ。..」

 「それよりネイロン遠慮しなくても良いぞ、敵なんだろう」
 「いや、俺が手を出すと、なんか、俺が拷問した気になって目覚めが悪そうです。」

 「ネイロンは優しなぁ」
 俺は声を掛けるとネイロンを抱きしめた。

 「・・・ご主人様・・・」
 「何だ?」
 「あのう、俺を買って貰ったときのことなんですが、一生付いて行きますので、”どんなにいたぶられてもって”って部分は忘れて貰えませんか?」

 「あぁ、わかったよ。そもそもお前をいたぶるつもりはないぞ!」
 「あ、有り難う御座います。」

 「さぁ、帰ろう」

 「・・・・・はい・・・」
 (ご、ご主人様を裏切る事だけは絶対しないと心に決めたネイロンだった。.)

 「自宅の俺の部屋へと転移した。」

 「どうしたリビングに行くぞ」
 「俺を抱かないんですか?」

 「そう、慌てる事もないだろ、お前が落ち着いてそれでもと思ったら犯してやるよ。さ、行くぞ」
 「はい、お手柔らかにお願いします。」
 サロスは嬉しそうに返事をした。心のつかえが下りたのかも知れない。

 「サロスは当面、俺の冒険者のパーティに入れ」
 「わかりました。狩りは得意です。」
 
 「エリシアとロウスタンもリビングに戻ってきていた。」
 「サリーナ、エリシアを連れて服や日常生活用品をそろえてやってくれ」
 「彼女も王女だ、お前ならわかるだろうから宜しく頼む」

 「レスカ、お前は他の女性メンバーを連れて同じように必要な物を買って遣ってくれ」

 「夕方までには帰って来いよ」
 みな、連れだって出て行った。



 「ロウスタン、メイドの報酬って幾ら位なんだ?」

 「そうですね、通常は衣食込みで銀貨3枚ぐらいでしょうか?、官吏が6枚ぐらい、一般男性が5枚、売り子だと2、3枚ぐらいですから、メイドは結構、高給取りとも言えますね。
 但しこれは一般の場合で、奴隷の場合は最低賃金すら守られていないのが一般的ですね。」

 「そうかぁ、奴隷はやっぱり冷遇されてるなぁ」

 「ロウスタン、お前は一人で買い物ぐらい出来るよな。」
 「はい、何を買って参りましょうか?」
 「服など、お前が必要とする物を適当に見作れって買ってきてくれ」

 そう言って、金貨2枚をロウスタンに渡した。

 「金貨って、いくら何でも多すぎです。」
 「この屋敷はまだ、引っ越しもろくに済んでいないが、今後恐らくいろんな人が来る事になる。

 この屋敷の執事として恥ずかしくない格好をして欲しい。
 執事としての中身は十分だろうからそれでもいいのかも知れないが人は服でも判断するからな。
 なんて、俺が言わなくてもわかってるだろうから、そう言う事だ。」

 「わかりました。」

 「あっ、これを渡しておく、時間がわかる魔道具と思って貰って良い」
そう言って、デジタルの腕時計を渡した。
 この世界には時計はない、アナログよりデジタルの方がわかりやすいだろう。

 「便利な物があるんですね。大事にします。」


.『閑話 マリー&ネルシア』

 ネルシア、余所そうな所で良かったよね、何か待遇も良さそうよ
 うん、まさかマリーちゃんと一緒に買われるなんて思っても見なかったからそれだけでも嬉しいなぁ。

 服も色々と買って貰ったし、下着も今まで穿いた事が無いような高級品だし。

 ネルシアそれって旦那様の夜のお勤めの時に必要なんじゃない。
 うん、そうかもね、夜のお勤めって嫌がると酷い事されるから素直に受け入れなさいって言われたよ。
 うん、言われた。どうせされるなら優しくして貰って喜んで貰った方が特だしね。

 ねぇ、ネルシア、夜のお勤めって暫くすると自分からして欲しくなるって知ってた?
 えぇーーーっ、マリーちゃんそれホントなの?
 そういうふうに聞いたよ。

 ご飯、いっぱい食べれると良いね
 私は料理作るのは得意だから頑張んなきゃ。
 マリーは料理が得意って言ってたよね、私はお掃除なんかを頑張らなきゃ


.『閑話 ネイロン』

 ご主人様はどんな方なんだろう。ただ者では内よね。一国の王女を監禁してるってそれだけで十分危ない気がする。
 おかげで半分諦めかけていた敵も簡単に討てたし。でも、もう、あの時点で相当酷い拷問されてたみたいだったわよね、ご主人様に逆らったりしたらきっとあんなふうに拷問されるんだわ。

 夢だった冒険者になれるのは嬉しなあー、メイドなんてやらされたらへこみそうだもん。
 とにかくご主人様に気に入られなきゃ。でも、夜伽ってどうやるんだろう。誰も教えてくれなかったから分かんないけどどうにかなるよね。


.『閑話 レイカ』

 いやーまさか日本人に買われるとは思わなかったなぁ、せいぜい、ダッチワイフにされて死んだらポイって思ってただけに思わぬ展開だったわ。

 手足が治った時は信じられなかったけど、一体何者なんだろう。

 前世の記憶を生かして楽しめそうだし、きっとご飯も満足に食べられそう、使い捨てのダッチワイフって思ってた私が商会の次席、展開が大きすぎてまだ、信じられないわよ、明日、目が覚めたら戻ってるんじゃ無いかと思うと怖いわ。

 尊敬と感謝からかも知れないけど思わず抱いて欲しいって思ったわ、拒否られたけど、ま、10歳の体では欲情しないのはむしろ正常なのよね。でも、10歳の体でしたいと思って濡れるとはさすがに思わなかったわ。

 頭の中は大人のせいからかな?でも処女は絶対、あの人に貰って貰おう。


.『閑話 エリシア&ロウスタン』

 ロウスタン、あの男が言ってる事は本当かしら?
 エリシア様、私にはあの男が嘘を言ってるようには思えませんな。

 じゃ、明日にでも解放してと言えば解放してくれるのかしら?

 恐らく解放してくれるでしょう。でもそれはお薦めではありません。

 どうして。

 今、エリシア様はご主人様の奴隷です。奴隷は主人の所有物です。解放されて自由になったとわかったらチベスタンのあの国王が黙っているはずもありませんし、今のエリシア様をチベスタンを敵に回して庇護下に置いてくれるのは今のご主人様以外にはいないと思います。

 えらくあの男を買ってるのね。

 唯の感です、唯、私の感ではあの男はかなりのやり手でしょう、ローランド軍6000を一人で旬滅したほどですから?

 どういう事なの?

 ローランドの第2王子が謀反を起こしてヒッタービルドへ進攻したんです、それをご主人様が降伏した3000名以外は魔法で旬滅したと奴隷商(?_?)の主人から聞き及んでいます。

 私にもあの男が唯ならぬ気配を持っているのはわかるわ、それも闇ではない光ね。
 あくまでも噂の域を出ませんが神の使徒という話も出てるそうです。

 あの男は我が国を乗っ取る為に私を買ったのでしょうか?

 それは無いでしょう。エリシア様を買いに来た時点で既に駒は進んでいましたから。ただ、あの国を潰すつもりだったのは間違いないですね。そこにエリシア様を見付けて気に入ったからチベスタンとして残しても良いと考えてるだけでしょう。

 あの男は何故、チベスタンを潰そうと考えたのかしら?

 さぁ、真相はわかりかねますが、”うさ耳”は正義だと言っておりましたな。

 はぁ、そんな理由?

 獣人と言うだけで奴隷落ちするのは許せないと言うのは嘘では無いと思います。

 私はあの男と結婚した方がいいのかしら?

 それはエリシア様次第かと。。ただ結婚すれば国の再興も可能かと思いますが、国の為だけに結婚を考えられるのであれば私は反対です。エリシア様のお心に従って決められるのが一番かと思います。
 今は国のしがらみも無く自由に生きるという選択肢もありますからな。

 ただ、何にせよ、現時点での解放はおやめ下さい。
 私が言いたいのはそれだけです。
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