灰色の冒険者

水室二人

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第7章 迷宮探査 

変形ロボを考える

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果て無き迷宮への調査を開始しました。

 色々と準備をして、それが完了したので、地下に向かいます。

 同行者は、大石君となっています。

 毒針を取るために、お腹を貫いて大怪我をさせましたが、現在は治療が終わり。メトロ・ギアのメンバーとなっています。

 迷宮探査をしていたので、連れて行くことにしました。彼の持つ能力が役に立つと思ったのも、理由の一つです。

「それでは、行きますよ」

 正規の入り口ではなく、強引にあけた穴から、迷宮へと向かいます。迷宮の入り口は、監視が多いので、こういう手段をとりました。果て無き迷宮は、この世界に必要不可欠な存在となっています。

 レベルの低い人間の、安全な訓練場としての一面。

 色々な資源を算出する場所としての価値。

 高レベルの人間が、危険を背中合わせに、富を得られる場所として、必要とされています。

 低レベルの人の死亡率は低く、逆に、高レベルの人間の死亡率は高い場所です。

 今回、ギルドの高レベルの人材が、下層地帯で行方不明になり、その重要性から捜索隊をギルドが編成したという事になっています。

 賢者の国が秘匿していた異世界人の情報を、公開しないことを条件に、ギルドは偽の私を貸し出すことを達成しました。

 破損していた虐殺者は、ギルドの工房で修理され、簡易版の情報を賢者の国に提供するという見返りも用意してあります。

 一方で、破損していた虐殺者は、改良され、名前もジェノとなり、私が乗り込んでいます。

 魔力電池の改良により、色々と機能が向上しました。

 鋼鉄を身に纏う、戦闘強化装甲。

 黒色の機体は、特殊な魔法陣を刻む事により、隠密製が向上しています。

 装甲の強度も上昇しています。パワーアシストも強化され、軟弱な私でも、拳で鉄の扉を打ち砕くことが出来ます。

 バックバックの武装も強化され、機関銃とロケット砲に加えて、レールガンを装備しています。

 一番能変更は、飛行魔法の開発に成功したので、少しだけ浮かんで移動することが出来るようになりました。

 ホバー移動の様に見えますが、飛行しているのです。

 一気に加速して、質量で押しつぶすという戦法も可能です。

「俺がついていく必要ありますか?」

 青色のパトカー、試作品B-S3に載っている大石君が嘆いています。

「それだけの戦力があれば、もっと楽ができたのに・・・」

「これも、最近完成したものですよ。それよりも、そちらの乗り心地はどうですか?」

「どうもこうも、普通の車みたいとしかいえないです」

「免許は、持っていましたか?」

「現実世界で、先日取った所です。可愛い彼女とドライブするのが、目的でしたけど・・・」

「私が、助手席ではご不満でしょうか?」

 大石君の隣には、アニマルロイドが1人座っていました。

「君に対しては、不満はないです。不安はありますが・・・」

 街娘風アニマルロイドの試作品です。彼女の固体名は”ずざ”と命名してあります。

「不安ですか?ずざの、何が不安なのでしょうか?」

 うるうると、瞳に涙をためながら、大石君に迫ります。

「だ、大丈夫です。何も不安はないから、落ち着いてください」

「そうですか?」

 そういわれて、彼女は開きかけていた各所のハッチを閉じます。彼女の別名はみさいらー。これでもかという量の小型ミサイルを搭載した破壊兵器でもあります。

 この子の存在は、趣味で必要と思ったので作ってしまいました。

「最初は、聖王国付近の地下です。気を引き締めますよ」

「了解」




 迷宮の中は、意外と広く車が一台走っても余裕があります。所々、魔物が徘徊していますが、見つけ次第レミントンで打ち抜いています。

「ここからは、車ですと不利ですね」

 通路が入り組んでいて、走るのは不可能ではありませんが、面倒です。

「テストしますから、二人は一度降りてください」

 現状、車を変形させると、操縦席の問題で人が乗ったままと言うのが再現できていません。

「大石君は、仮面を付けてくださいね」

 迷宮の中には、色々な勢力がいるので、死んだ事になっている人がいるのはまずいです。

「これですか?」

 彼がつけた仮面は、プロレスラーがつけているようなマスクで、全体が猫になっています。にゃいがーマスクと言う案もありましたが、名称は猫仮面です。彼が着ている戦闘強化服は、猫柄で、三毛猫仕様です。男の猫耳に価値はないと言われそうですが、狼男ならず猫男として活躍して欲しいので、こうなっています。

「変形は、上手くできるようですね」

 青いパトカーは、変形して人型のロボットになっています。

「それでは、お願いします」

「はい」

 操縦席が確保できなかったので、人型の時は、ずざが中に入って操作します。小型の、アニマルロイドだから出来ることです。

「これ、変形する必要ありますか?」

 私の隣を、歩く事になった大石君がぼやきます。

「変形するメカは、浪漫だと思いませんか?」

「凄いと思いますが、実用的ではないですよね?」

「人型になることで、複雑な作業が出来ますよ?」

「それなら、変形させないで、最初からロボットにすればいいじゃないですか?」

「それを言ったら、お終いですよ。それは、理解したうえでの浪漫です。せっかく、異世界で面白い事ができる機会を得たのです。私は、自分の欲望を抑えられなかったのです」

「それが、これですか・・・」

「試作品ですが。B-S3が完成た暁には、巨大なロボが産まれます」

「変形だけでなく、合体も再現するつもりですか?」

「そこまで、解るのですか?」

「俺も、それなりのオタクでしたからね。合体するロボットは結構好きですよ。色々と、考えると怖いですけど?」

「怖い?」

「だって、あれらを再現すると、一番の疑問だったパイロットの場所が問題になりますよね?」

「場所ですか?」

「俺の立ち居知的に、3号機とか、4号もしくは5号機のパイロットになりそうじゃないですか。合体した時、足の部分のパイロットなんて、見ている分には凄いけど、実際やりたくないですよ」

「っち」

 もし、あれを作ったら、彼にはそのポジションをお願いしようと思ってたので、残念です。

「っちって、何ですか?作るつもりだったのですか?」

「そのつもりでしたよ」

「酷いですよ、作るなら、せめてパイロットが中心部に集合するタイプにしてください。転送魔法があるなら、作るの可能ですよね?」

「いつの間にか、中心に集まるのもありますね。あのシリーズは、玩具ベースですと色々と無理がありましてね」

「中が空洞なのは、異性人の科学で再現できたのでは?」

 プラモデルを動かすには、中身が必要です。動力や、駆動に関した色々な問題は、機神のフレームを解析することで、解決した問題です。

「合体メカの場合、デザインが問題なのですよ。せっかく合体されても、工程の複雑さと、デザインの問題をクリアしないと、作る意味がありません」

 実際、元気が爆発するアニメのロボ。3つが一つになるのは問題ありません。追加でキャノンがつくまでは、良しとします。

 最終的に、巨大ロボ3つが合体となると、複雑で、完成後のプロポーションが色々と残念でした。

 ひとつ前の作品も、神になるとデザイン的に残念な感じが凄かったです。

 その反面、勇者のシリーズは、玩具のできはよかったですね。もったいないのは王ですね。

 追加武装はあっても、パワーアップによる2号機的なものが無く、話は盛り上がったのですがメカ的には残念でした。

「ロボット生命体ですと、CGが主流になって、好きになれないのですよ」

「だから、メトロ・ギアですか?」

「ご存知でしたか」

「最初、目を疑いました。リバティーもですが、貴方に助けてもらったのは、幸運でした」

 メトロ・ギアの原型は、ロボット生命体にありますからね。よく知っていました。

「金属を溶かして、魔法で形を変形できるような技術は無いのですか?」

「無い事は無いですが、装甲を維持となると、まだ技術不足です。色々と時間が足りていません」

「時間さえあれば、すごいものを作りそうですね」

「この世界が、壊れていなければ、思う存分色々と趣味のものを作っていたでしょうね」

「少し怖いですが、そんな日が来るといいですね」

「後で、褒美があると思えば、頑張れるものだよ」

「褒美ですか・・・」

「何か、欲しい?」

「元々、助けてもらった身です。それを望むなんて出来ません」

「遠慮しなくていいですよ。何か、希望があれば言ってください。この探索で、恐らく敵のことがわかりそうです。その為には、君の力が必要です」

 物の記憶を読み取る力。

 恐らく、今回の作品の勝利の鍵は、これでしょう。






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年末年始は、不規則な更新になります。


 
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