灰色の冒険者

水室二人

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第2法 裏編

敵対するなら遠慮はしない

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 目覚めは普通だった。

 異世界に召喚と言う、自分的に心躍る出来事に遭遇したのに、心は複雑だった。

 さすがに、夜中に侵入者はいなかった。

 朝食が終わり、全員に生活のルールの説明があった。

 この世界の通過は、なぜか円だった。世界中の混乱を収めた過去の異世界人が日本人らしく、単位を日本の物に統一したらしい。

 一人頭一月20万円支給される。この国の一般家庭の必要額と同じらしい。もっとも、衣食住は国が補償してくれている。お金を使う必要は基本的に無い。

 国に、有益な情報や道具を提供すればそれに準じて報酬が出る。もっとも、私は知識チートは無いので、この辺での報酬は望めない。

 支給されたお金で、準備を整え、果て無き迷宮と言うところを魔物を倒せば報酬がもらえるらしい。

 最終的に、報酬で貴金属などを購入すれば、元の世界に持っていけるとの事。

 異世界人の館には、道具屋があり、そこで色々と準備が出来る。

「回復ポーション1つ500円か・・・」

 高価とかは不明だが、色々とゲームのような道具が揃っている。

「小父様は、一人ですか?」

「ん?」

 私のことを呼んでいると思うのだが、なぜ小父様だろう?

「えーと、勇気ちゃんだっけ?」

「そうですよ、小父様」

「何で、小父様?」

「私、大人の友達はネットの中だけで、リアルの知り合いはいなかったの」

「それで?」

「せっかくだから、小父様と呼びたい」

「なんで?」

「駄目?」

「・・・まぁ、いいか」

「うん」

 嬉しそうに笑っているので、呼び方はそれでいいとしよう。

「小父様は、迷宮に行かないの?」

「私は、まだ様子見かな?スキルとか、戦闘向きではないからね」

「どんなスキルなの?」

「内緒だ」

 未確認なことが多いし、周りにはメイドさんたちがいる、この人たちは敵だろう。うかつなことは言えない。

「私は、ばっちり戦闘向けだから、迷宮に行くよ」

「大丈夫なのか?」

「こっちの国の、騎士団の人が一緒に行ってくれるの」

 保護者がいるのなら、取り合えず心配ないのかもしれない。

「気をつけろよ」

「うん」




 道具やで、色々と購入して部屋に戻る。

 使ったのは1万円分。研究室に戻り、解析機で解析してデータにする。

 複製機で複製を試したが、魔力の消費が激しい。ちなみに、お金は複製しない。足がつく可能性が高いので、使用しないことにした。

 演算機を起動して、考える。

 先程、勇気が迷宮に行くことを、誰も疑問に感じていなかった。小学生の女の子が、魔物と戦う。普通に考えれば危険だ。しかし、それを疑問に思えなかった。それは私も含まれる。

 保護者がいても、大丈夫なはずが無い。無双できるほどのチートな能力があるかもしれないが、普通は抵抗を感じるはずだった。

 解析機で読み込んだ自分のデータを確認する。昨日は無かった、恐怖抵抗と、常識破壊と言う状態異常が増えている。

 この国の連中は、最初から迷宮に私達を送り込ましたいのだろう。

 毒針は、異世界人全てに埋め込まれていると思っていいだろう。なんとなく、自分には無頓着だけど、勇気までそういう目にあっていると思うと、怒りが込みあがってくる。

 こちらと友好的な雰囲気を演出して、その裏でだましている。敵対するというのなら、遠慮する必要は無い。

 こちらも、徹底的に騙して、裏切ろう。

 極めれば、この研究室はかなりのチートな力を持っている。

 まず、自分の魔力不足。先程買い込んだポーションを複製してみると、10本で魔力が尽きてしまう。

 魔力を増やす方法を考える必要があったのだが、思わぬことで解決した。

 演算機で、スマホからバッテリーの情報だけを取り出す。

 バッテリーは、電気を溜める機能がある。正直、詳しい原理はわからない。そんな私でも、演算機を使えばバッテリーの性質を変えることが出来た。

 溜めるのは電力ではなく魔力。電池と言う言葉で正確には意味が変わるが、魔力電池と名づけた。

 溜め込む要領も、ある程度こちらで変更できる。1cm四方の魔力電池で、私の10人分の魔力を溜める事ができた。

 さらに、ラジオライトと言う災害時に使える便利グッズが手元にあった。ソーラー充電や、手回し発電機能のある優れものだ。これも演算機で性質尾変化させる。これも正確な意味合いは違うけど、魔力発電機と呼べる代物が出来た。

 さすがに、研究室内ではソーラー充電による魔力補充は出来なかった。

 部屋の外に出て、入り口を確認すると、侵入者の形跡あり。魔力ソーラーは、普通に設置すると危険だけど、確認にためにあえて部屋の中に設置する。

 太陽光で発電するわけでなく、空気中の魔力を効率よく集める仕組みになっている。この部屋においておけば、1日で魔力電池100個分の魔力が集まる計算だ。

 研究室の機能が向上すれば、もっと効率よく集めることが出来るだろう。

 私の場合、魔力があれば色々なものが作れる。生き残るために何が出来るのか、もっと知る必要がある。

 大魔王が今攻めてきたら、私は死ぬだろう。明日来たら、死ぬかもしれない。1月後にきたら、せめて相打ちに出来るように、無理でも考えていけないなと、強く思うのだった。



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 小説家になろうでも投稿中。
 なろうのほうが進んでいるので、こちらも順次投稿予定です。
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