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第10章 新たなる拠点作り
第08話 回復薬の使い方
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誰も送還せず懇々と説得を続けた結果、理解してもらうのに一晩掛かってしまった。
どう言い聞かせても、「それでどうやって飼い慣らすのですか?」とか「殺さなくてもいいのですか?」とか「それではどうやって魂を奪えばいいのですか」などなど、恐ろしい質問のオンパレードだった。
そこで、逆にいくつかこちらから質問をし、妥協案を提案した。
人間の魂というのは、少しぐらいなら奪っても自然回復するそうだ。だが半分も奪ってしまうと衰弱するし、1/10にまで減ってしまうと、そのまま衰弱していって魂が消滅してしまうらしい。
そこで俺からの提案は、一人から1/100、つまり1%だけ奪えばいいというものだった。
一万人もいるのだから、1%奪っても百人分の魂が集まるのだ。しかも、奪われた側も健康には影響が無く、すぐに回復するのだから問題ないだろう。問題は少しずつなので多くの人から奪うという手間だけだ。
この提案に悪魔達は納得してくれた。多くの人間から集めるのは確かに手間が掛かるが、それは最初だけ。初めにマーカーを付けてやれば、あとはそれを目標にして遠距離からでも魂を奪えるのだとか。
マーカーについてだが、上位悪魔クラスだと術式を施した指輪やネックレスを装着させるのだそうだが、最上位悪魔の爵位持ちならば一度目と目を合わせるだけでいいのだそうだ。
目と目を合わせるといっても、見つめ合うだけではない。その時に魔眼を発動させるとマーカーを付ける事ができるそうだ。
全員と顔合わせをしなければならないと思ったが、初めは町を練り歩いて出会う分だけでもいいと言う。その時にマーカーを付けて、マーカーを付けられた者が次のマーカーを増やして行くから大した労力は必要としない便利な能力だと説明してくれた。
ゾンビ増殖法? ねずみ算? オートマルティプライ? なんだその便利な能力は! 反則だろ!
それでも地上界にいる間だけ使える能力のようだから、悪魔界に居れば奪われる事も無いらしいから安心した。
因みに中級悪魔は直接触れなければ魂を奪えなくて、下級悪魔だと相手を殺さなければ魂を奪えないそうだ。悪魔、怖すぎ。
う~ん、それぐらいならいい…かな? 操られたり殺されたりするわけじゃないし、体調が悪くなるわけでもないんだったら迷惑ってほどでも無いし、相手も気付かないんだったら許せる範囲かな。
それで悪魔達が大人しくしてくれるってんなら黙認してもいいか。悪魔達もずっと地上界にいるわけでもないしね。
折角の情報だから、目的地はその町に決定。
そのまま町に向かおうかとも思ったが、徹夜での俺の説得に三悪魔は大変お疲れの様子だ。その点俺は全く疲れてない。いつも通り衛星が何かしてくれてるのだろう。
ならば送還してやろうとしたら、鍛冶と錬金が得意のザガンが、折角作ったので是非使ってくださいと拠点を勧めてきた。
確かに休むのなら小屋でもいいが、ゆっくり休めるに越したことは無い。
その提案に乗り、拠点の洞窟に向かった。ここまでの移動と同様に抱えて飛んでもらったが、ここなら人目も無いので大丈夫だろう。
連れて行かれた洞窟は、外観として入り口が狭く、人一人分ぐらいの幅で、人口には見えないただの洞穴に見えた。
しかし、中に入って五メートルも進むと質素な扉があり、扉を開けるとそこは別世界だった。
まず大きなフロアがあり、床は肌触りのいい紅い絨毯が敷かれてして、天井には豪奢なシャンデリアが光っている。目の前には十人ほどのボーイが並んでお辞儀をしていた。
受付カウンターのようなものもあり、まるでゴージャスホテルそのものだった。
「では、お部屋にご案内致します」
ボーイの一人が出てきて案内役を務めた。
う~ん、何故ボーイがいるのか。それも十人も。ここで商売でもする気なのか? それなら入り口はもっと目立つように作らないと。
いやいや、商売なんてする気は無いから。それより、あのボーイ達って何者? というか誰? どこから連れて来たの?
俺の不審者を見るような疑惑の目など軽くスルーする胆力もあるボーイ。アシュタロト達が何も言わないから知り合いというか、こいつらの関係者だと思うけど、紹介ぐらいはしてほしいよな。もしかして、俺って扱いが軽くない? 見た目で判断されちゃった? 俺、こいつらの召喚主だから上司といってもいい人なんだよ?
でも、ボーイは俺の部下でもないからいいのかもな。
そんな事を考えてたら部屋に到着。案内されたのは地下三階の部屋だった。
これ作ったのザガンだよな? 往復にも時間が掛かってるから実質作業時間って一時間ぐらいじゃなかったの?
一時間でこれを作ったの? 優秀すぎるだろ!
一階はフロント受付と宴会場。二階は各部屋と大浴場。三階はワンフロアぶち抜きのスイートルーム。そして、そのスイートルームにいるんだけど、なんだろこいつ。ボーイだよ! 案内が終わってんのにドアのとこに立ったまま出て行かないんだ。何待ちだ?
「エイジ様、少しだけ足してあげてくださる?」
「ん?」
なにを?
「チップよ。そうね、さっきの案内を見る限り、MP5もあげれば十分ね。あまりいいサービスでもなかったもの」
チップ? MP5? そんなのどうやってあげるのさ。
「エイジ様は召喚主でもあるから、【悪魔召喚】の技で【譲渡】と【強奪】は使えるでしょ? 【譲渡】を使って分けてあげればいいから」
【譲渡】? 【強奪】? そんなもの……あるわ。頭に思い浮かんだよ。使えるみたいだ。
すぐに回復するからいいけど、あまりあげたくないな。MP回復薬じゃダメなのかな。さっきからの話でなんとなく魂を奪われてる気分になるから遠慮したいんだよな。
「MP回復薬じゃダメ?」
これなんだけど、とマイア特性のマンドラゴラとアルラウネ素材のMP回復薬を十本出した。
一度も使わず、ずっと収納の肥やしになってるものだから全部あげるよ、と言って手渡した。
「ポーションみたいだけど…こんなにちょっぴりなの? エイジ様って思ったよりケチなのね」
チップ代わりにはちょうどいいかもね、と小さな小瓶にご不満の様子のアシュタロトだ。
確かに瓶は小さいけど効果は高いんだよ? 使った事は無いけどMP1000を回復させるって説明は受けたからね。
10ミリグラム程度の容量のアンプルのような瓶だから小さいと思われてしまった。普通のポーション瓶の大きさなんて買った事も使ったことも無いから知らないんだよね。だから、これを小さいと言われても反論のしようがないんだ。けど、貰い物になんだから文句は言わないでほしいな。
十本のうち、一本をポイっとボーイに放り投げるアシュタロト。残ったMP回復薬の一本を上にかざしてジロジロと見定めている。
そのアシュタロトがジロリとボーイに目をやると、ビクッとなったボーイがコクコクと肯き即座に渡された回復薬をグイっと一気に飲み干した。
まぁ、少量だからね、そんなに意気込んで飲むほどの量は入ってないよ。
『ちょっと飲んでみな』って感じの視線を送られて毒見役をさせられたボーイだったが、目を瞑って飲み干した時の悲壮な表情とは違って、目を見開いて愕然としていた。
その視線は小さな空き瓶に釘付けだった。
その様子を見ていたアシュタロトも、ボーイの態度が気になって声をかけた。
「どうしたの?」
心配そうに話しかけてるように見えるが、目は『何があったのか早く言いな!』という思いが込められた鋭い視線だった。
こういう視線がご馳走だという者もいるだろうが、俺は遠慮したい。ビビリの俺にはハードルが高すぎる。あんな視線をどうやったらご褒美だと思えるのだろう。
「はい――!! 凄いっす!!」
意味分かんねー。何が凄いの?
「そう、だったらこれもそうかしら」
……通じた?
「たぶん、そうだと思うっす!」
「だったら……私も飲んでみるしかないわね」
「絶対飲むべきっす!」
さっきからボーイの口調変わってね? こいつ、こんなキャラだっけ? ボーイがそれでいいのか? 別にここはホテルじゃないのは分かってるけど、ボーイやってんだったら役になりきれよ!
ボーイからも勧められたので、アシュタロトもMP回復薬を飲んでみた。
毒見をさせたボーイに体調に変化が見られなかったのもすんなりと飲む要因となったようだけど、俺が毒でも渡したと思ってたのかね? それってかなり失礼なんだけど。
「こ…これは……確かに凄いわね……」
何がどう凄いの? 君達、さっきから凄いとしか言ってないんだけど。美味しいって事なの?
「エイジ様! これ、もうありませんの?」
「えーと、あるにはあるけど、欲しいの?」
「ええ、とっても!」
ただのMP回復薬なのに、なんでそこまで欲しがるの? MPが減ってたのか?
表情を見る限り、苦しそうには見えない。逆にさっきまでは余裕があったと思う。今は必死になってるけど。
そんなに必死になるまで欲しい理由ってなんだろ。こいつらって悪魔だから下手なものを渡せないんだよ。
念の為、【鑑定】したけどMP/MAXだし。9605/9605だし。それ以上回復薬はいらないだろ。やっぱり他に何か理由がありそうだな。
「欲しい理由を聞いてもいい?」
「ええ、なぜだか知らないけど、このポーションは魂が増えるの。ポーションで魂が増えるだなんて聞いた事も無いんだけど、実際に増えたわ。そっちの坊やも増えたわよね?」
「はい! 増えたっす! あともう一本頂ければたぶん上級悪魔になれそうっす! だからもう一本ください! おなしゃす!」
頭を下げ右手を出すボーイ。
告白タイムじゃないんだから、そんな事されても何もしないけどね。というか、こいつ中級悪魔だったのか。危ない危ない、遅ればせながら【鑑定】をして名前の確認をしておこう。衛星がいれば大丈夫とは聞いてるけど、対抗手段は多い方がいいからね。
だけど、やっぱりヤバイじゃないか。こんなの渡したら悪魔が育ち放題だぞ! 封印だ、封印。絶対、悪魔に渡したらダメなやつだよ。
「在庫があると思ってたんだけどね、よく見たらそれで最後だったみたい。貴重なやつだから大事に使ってね」
「「えっ!?」」
俺の言葉で固まる二人。どうもショックが大きかったようだ。
「……このポーションが最後…エイジ様はこれをどこで手に入れたの?」
「前にいたとこかな。前にいたとこの従者が作ってくれたんだ。だから店では売ってないと思う」
衛星に頼めば作ってくれると思うけど、言う必要はない。在庫もタップリすぎるほどあるけど、それも言う必要はないね。
収納バッグの中にはざっと一万本は超えてると思うな。だって使う時は無いのに、マイアだったり、マイア農園担当の二人の精霊だったりがどんどん持ってくるんだから溜まる一方だったもんな。
「そう…なのね……吐きなさい」
「「えっ?」」
今度はアシュタロトの言葉で俺とボーイが驚いた。
嘘がバレたかと思ったが、アシュタロトの視線はボーイに向いてた。
「さっき飲んだ分を吐きなさい」
「「えっ!」」
え―――! それは無理だろ! もし出来たとしてだよ、それを飲むの? それも無理だろ!
もし、その全部が出来たとしても見たくも想像したくも無かったからボーイを庇ってやったよ。
「ちょっとアッシュ! それは無理だって。大人気ないよ。もう身体に取り込まれてるんだから無理だって」
「そうね、たしかにそうだったわね。大人気なかったわね……でも、できそうな気がしたのよ」
ブンブンと首を振って全力否定するボーイ。
絶対にできないだろうし、絶対にしてほしくない。
でも、折角の機会だったから、HP回復薬と部位欠損修復の丸薬を十個ずつ出してアシュタロトに検証してもらった。
MP回復薬の効果は自分で実践して効果の程はわかっている。それがもう無いのなら代替品があればと思いアシュタロト自ら検証役を買って出てくれた。
その結果、HP回復薬も丸薬も魂が増えるという効果はあった。但し、HP回復薬はMP回復薬の1/10程度の効果に対し、丸薬は倍の効果があった。
そして、その全てをアシュタロトがその場で飲んでしまった。
それほど魂の量とは悪魔にとって大事なものなのだなと思い知らされてしまった。
これじゃ、地上界に悪魔を解き放つなんて絶対しちゃダメだ。こいつら人間を餌としてしか見えてないかもしれない。
だから昨夜もあれだけ魂に拘ってたのか。それなのに、最終的には俺の意見に従った。何故だろう。
最終的に妥協案を俺が飲んだからか? あれ? 何か前提がおかしくないか?
俺が召喚した悪魔は俺に逆らえないんだよな? だったら、俺が「魂を奪う事は許さん」と言えば聞くしか無いんじゃないのか? では、なぜ逆らったんだ? 最終的な妥協案が落としどころではなく、初めから悪魔達の最終目標だったんじゃないのか? 俺は一晩かかってあいつらを説き伏せたつもりだったけど、実はあいつらの芝居に最後まで付き合わされたのか?
そう考えると辻褄が合うし、狡猾な悪魔の行動とも思えてくる。
実際はどうなのか聞いてみないと分からないけど、この魂への執着と、俺に逆らえた事を合わせると正解な気がする。
だって、逆らってる振りして心の中では意見を言ってるだけで逆らってないんだから。昨夜の悪魔達は「それは受け付けられません」とか「こうでないと納得できません」などの拒否的な言葉は言わなかった。「こういう方向性で行きませんか」とか「このへんがエイジ様も許容できる範囲ではありませんか」とか「落としどころはこのへんではないですか」など、のらりくらりと話してたな。
あとは質問が多かったな。あれは俺の反応を見てたんだろうな。
『タマちゃん!』
『はい、魂の件ですね』
『よ、よく分かったね』
『そろそろ気付く頃かと推測しました』
『という事は、知ってたの?』
『はい、エイジに危害を加えるものではありませんでしたので、排除する必要はありませんでした』
排除って…もし逆らってきたらどうするつもりだったんだよ! 悪魔を殺すのか? そういえば、悪魔は地上界では死なないんだったか。【悪魔召喚】で使う俺の魔力に守られていて、時間経過と共に魔力の膜が薄れて行って最後には悪魔界へと送還されるんだったな。ダメージを受けた場合は魔力の膜も霧散して送還が早まる、で良かったよな。
という事は、衛星に『悪魔を殺すな』と言わなくてもいいのかな? だって、ここは地上界だから死なないだろうし、攻撃する時ってこの場から排除したい時だろうからね。だったら、衛星得意の”チッ!”も効かないのかな?
その時になったら衛星が判断するだろ、その時が来ない事を願うばかりだよ。
『で? どうなの? 悪魔達は放置でいいの?』
『はい、エイジの判断は間違ってません。魂の1%を奪われる程度、人間には何の害もありません。5%までなら気付く者もいないでしょう。それより悪魔達に魂を長時間与えずに使役し続ける方がストレスが溜まって危険です。時にはMP回復薬や丸薬を与えるのもいいでしょう』
よかったぁ。タマちゃんが安全だと言うんなら大丈夫だな。しかし、MP回復薬や丸薬をあげてもよかったのか。もう無いって言っちゃったしな、そのへんはどうとでもなるか。実はまだ残ってたとか言って出せばいいか。HP回復薬に紛れてたとか言い訳しちゃえばいいよな。
それより気になるのは、MP回復薬や丸薬を摂取する事で、悪魔がどれぐらい強くなるか、だよ。さっきのアッシュの態度からして、凄く効果が高そうな感じだったもんな。
レベルは【鑑定】で分かるけど、魂の量や質ってどうやって見分けるんだろ。
アッシュに聞いてもいいんだけど、答えてくれた内容が本当の事なのかどうかで悩むのもイヤだしなぁ。タマちゃんは知らないかな。
『悪魔達が魂を食らうと格が上がるというか強くなるのは何となく分かるんだけど、実際MP回復薬や丸薬を吸収するとどれぐらいの効果があるか分かる?』
『MP回復薬で一般人の魂の五〇人分に相当します。丸薬はその倍です。悪魔は魂を摂取すると格が上がります。悪魔の格というのは爵位に当たります。魂の摂取方法は人間から奪うか、人語を話せる高ランクの魔物から奪うか、悪魔同士で奪い合うかです』
どれを取っても俺には恐ろしいという感想しか無いわ。今更だけど、そんな物騒な奴らだったんだな。
『しかし、いずれの方法も、そう多くの機会はありません。だから悪魔達は長期間地上界で活動できるメリットが大きいのです。エイジに逆らえないと決まった以上、エイジの機嫌を取るべく行動するでしょう』
従者とは言っても、クラマやマイアとは違う仕え方なんだな。あれはあれでどうかと思うけど、こっちもなんだかなぁ。【星菓子】の女子達は重いとは思ったけど、一番しっくり来たな。選択肢がおかしい気がしないでもないけどね。あの人達は奴隷だったんだよな。こっちでも奴隷を見に行ってみる?
その後、タマちゃんから悪魔の魂についての説明を受けた。
タマちゃんが言うには、上級悪魔から更に上の貴族悪魔になるためには人間の魂一万人分が必要なのだとか。
更に爵位を持つためには魂一万人分。それぞれの爵位になるためにはもっと必要になる。
下級悪魔から中級悪魔になるためには魂千人分。そこから上級悪魔になるためには魂五千人分。プラス魂一万人分で貴族悪魔になれる。
しかし、そこから爵位持ちになるのが更に大変だった。
魂一万人分追加で騎士爵になれるが、男爵には更に二万人分、子爵には更に二万人分、伯爵には更に十万人分、侯爵には更に三〇万人分、公爵には更に五〇万人分、更にその上の王や君主になるためには追加で百万人分が必要だ。
因みにアッシュは『大伯爵』。侯爵になる一歩手前になると伯爵から大伯爵になるそうだ。他の爵位も同じで同じ爵位でも上位になってくると『大』が付くのだそうだ。
悪魔の数と人間の数が合わないと感じたが、人間からだけ取るわけでもないし、こいつらの年齢ならできるのかもしれない。アッシュで五五〇〇歳だったもんな。人間だったら六〇回以上の人生がやり直せる年月だよ。
五五〇〇歳でもあれだけの慌てっぷりを見せてくれたって事は、悪魔にとっては相当価値のあるものだという事だけは分かったよ。
特に”大”伯爵だから次の侯爵が見えてる分、より焦ったんだろうな。気持ちは分かるが、やっぱりさっきのは大人気なかったよ。『吐きなさい』は流石に無かったよ。
今後は悪魔達の危険度と忠誠度を見ながらMP回復薬を出すかどうか考えて行こうか。
まずは人間のいる町に行ってからだな。
どう言い聞かせても、「それでどうやって飼い慣らすのですか?」とか「殺さなくてもいいのですか?」とか「それではどうやって魂を奪えばいいのですか」などなど、恐ろしい質問のオンパレードだった。
そこで、逆にいくつかこちらから質問をし、妥協案を提案した。
人間の魂というのは、少しぐらいなら奪っても自然回復するそうだ。だが半分も奪ってしまうと衰弱するし、1/10にまで減ってしまうと、そのまま衰弱していって魂が消滅してしまうらしい。
そこで俺からの提案は、一人から1/100、つまり1%だけ奪えばいいというものだった。
一万人もいるのだから、1%奪っても百人分の魂が集まるのだ。しかも、奪われた側も健康には影響が無く、すぐに回復するのだから問題ないだろう。問題は少しずつなので多くの人から奪うという手間だけだ。
この提案に悪魔達は納得してくれた。多くの人間から集めるのは確かに手間が掛かるが、それは最初だけ。初めにマーカーを付けてやれば、あとはそれを目標にして遠距離からでも魂を奪えるのだとか。
マーカーについてだが、上位悪魔クラスだと術式を施した指輪やネックレスを装着させるのだそうだが、最上位悪魔の爵位持ちならば一度目と目を合わせるだけでいいのだそうだ。
目と目を合わせるといっても、見つめ合うだけではない。その時に魔眼を発動させるとマーカーを付ける事ができるそうだ。
全員と顔合わせをしなければならないと思ったが、初めは町を練り歩いて出会う分だけでもいいと言う。その時にマーカーを付けて、マーカーを付けられた者が次のマーカーを増やして行くから大した労力は必要としない便利な能力だと説明してくれた。
ゾンビ増殖法? ねずみ算? オートマルティプライ? なんだその便利な能力は! 反則だろ!
それでも地上界にいる間だけ使える能力のようだから、悪魔界に居れば奪われる事も無いらしいから安心した。
因みに中級悪魔は直接触れなければ魂を奪えなくて、下級悪魔だと相手を殺さなければ魂を奪えないそうだ。悪魔、怖すぎ。
う~ん、それぐらいならいい…かな? 操られたり殺されたりするわけじゃないし、体調が悪くなるわけでもないんだったら迷惑ってほどでも無いし、相手も気付かないんだったら許せる範囲かな。
それで悪魔達が大人しくしてくれるってんなら黙認してもいいか。悪魔達もずっと地上界にいるわけでもないしね。
折角の情報だから、目的地はその町に決定。
そのまま町に向かおうかとも思ったが、徹夜での俺の説得に三悪魔は大変お疲れの様子だ。その点俺は全く疲れてない。いつも通り衛星が何かしてくれてるのだろう。
ならば送還してやろうとしたら、鍛冶と錬金が得意のザガンが、折角作ったので是非使ってくださいと拠点を勧めてきた。
確かに休むのなら小屋でもいいが、ゆっくり休めるに越したことは無い。
その提案に乗り、拠点の洞窟に向かった。ここまでの移動と同様に抱えて飛んでもらったが、ここなら人目も無いので大丈夫だろう。
連れて行かれた洞窟は、外観として入り口が狭く、人一人分ぐらいの幅で、人口には見えないただの洞穴に見えた。
しかし、中に入って五メートルも進むと質素な扉があり、扉を開けるとそこは別世界だった。
まず大きなフロアがあり、床は肌触りのいい紅い絨毯が敷かれてして、天井には豪奢なシャンデリアが光っている。目の前には十人ほどのボーイが並んでお辞儀をしていた。
受付カウンターのようなものもあり、まるでゴージャスホテルそのものだった。
「では、お部屋にご案内致します」
ボーイの一人が出てきて案内役を務めた。
う~ん、何故ボーイがいるのか。それも十人も。ここで商売でもする気なのか? それなら入り口はもっと目立つように作らないと。
いやいや、商売なんてする気は無いから。それより、あのボーイ達って何者? というか誰? どこから連れて来たの?
俺の不審者を見るような疑惑の目など軽くスルーする胆力もあるボーイ。アシュタロト達が何も言わないから知り合いというか、こいつらの関係者だと思うけど、紹介ぐらいはしてほしいよな。もしかして、俺って扱いが軽くない? 見た目で判断されちゃった? 俺、こいつらの召喚主だから上司といってもいい人なんだよ?
でも、ボーイは俺の部下でもないからいいのかもな。
そんな事を考えてたら部屋に到着。案内されたのは地下三階の部屋だった。
これ作ったのザガンだよな? 往復にも時間が掛かってるから実質作業時間って一時間ぐらいじゃなかったの?
一時間でこれを作ったの? 優秀すぎるだろ!
一階はフロント受付と宴会場。二階は各部屋と大浴場。三階はワンフロアぶち抜きのスイートルーム。そして、そのスイートルームにいるんだけど、なんだろこいつ。ボーイだよ! 案内が終わってんのにドアのとこに立ったまま出て行かないんだ。何待ちだ?
「エイジ様、少しだけ足してあげてくださる?」
「ん?」
なにを?
「チップよ。そうね、さっきの案内を見る限り、MP5もあげれば十分ね。あまりいいサービスでもなかったもの」
チップ? MP5? そんなのどうやってあげるのさ。
「エイジ様は召喚主でもあるから、【悪魔召喚】の技で【譲渡】と【強奪】は使えるでしょ? 【譲渡】を使って分けてあげればいいから」
【譲渡】? 【強奪】? そんなもの……あるわ。頭に思い浮かんだよ。使えるみたいだ。
すぐに回復するからいいけど、あまりあげたくないな。MP回復薬じゃダメなのかな。さっきからの話でなんとなく魂を奪われてる気分になるから遠慮したいんだよな。
「MP回復薬じゃダメ?」
これなんだけど、とマイア特性のマンドラゴラとアルラウネ素材のMP回復薬を十本出した。
一度も使わず、ずっと収納の肥やしになってるものだから全部あげるよ、と言って手渡した。
「ポーションみたいだけど…こんなにちょっぴりなの? エイジ様って思ったよりケチなのね」
チップ代わりにはちょうどいいかもね、と小さな小瓶にご不満の様子のアシュタロトだ。
確かに瓶は小さいけど効果は高いんだよ? 使った事は無いけどMP1000を回復させるって説明は受けたからね。
10ミリグラム程度の容量のアンプルのような瓶だから小さいと思われてしまった。普通のポーション瓶の大きさなんて買った事も使ったことも無いから知らないんだよね。だから、これを小さいと言われても反論のしようがないんだ。けど、貰い物になんだから文句は言わないでほしいな。
十本のうち、一本をポイっとボーイに放り投げるアシュタロト。残ったMP回復薬の一本を上にかざしてジロジロと見定めている。
そのアシュタロトがジロリとボーイに目をやると、ビクッとなったボーイがコクコクと肯き即座に渡された回復薬をグイっと一気に飲み干した。
まぁ、少量だからね、そんなに意気込んで飲むほどの量は入ってないよ。
『ちょっと飲んでみな』って感じの視線を送られて毒見役をさせられたボーイだったが、目を瞑って飲み干した時の悲壮な表情とは違って、目を見開いて愕然としていた。
その視線は小さな空き瓶に釘付けだった。
その様子を見ていたアシュタロトも、ボーイの態度が気になって声をかけた。
「どうしたの?」
心配そうに話しかけてるように見えるが、目は『何があったのか早く言いな!』という思いが込められた鋭い視線だった。
こういう視線がご馳走だという者もいるだろうが、俺は遠慮したい。ビビリの俺にはハードルが高すぎる。あんな視線をどうやったらご褒美だと思えるのだろう。
「はい――!! 凄いっす!!」
意味分かんねー。何が凄いの?
「そう、だったらこれもそうかしら」
……通じた?
「たぶん、そうだと思うっす!」
「だったら……私も飲んでみるしかないわね」
「絶対飲むべきっす!」
さっきからボーイの口調変わってね? こいつ、こんなキャラだっけ? ボーイがそれでいいのか? 別にここはホテルじゃないのは分かってるけど、ボーイやってんだったら役になりきれよ!
ボーイからも勧められたので、アシュタロトもMP回復薬を飲んでみた。
毒見をさせたボーイに体調に変化が見られなかったのもすんなりと飲む要因となったようだけど、俺が毒でも渡したと思ってたのかね? それってかなり失礼なんだけど。
「こ…これは……確かに凄いわね……」
何がどう凄いの? 君達、さっきから凄いとしか言ってないんだけど。美味しいって事なの?
「エイジ様! これ、もうありませんの?」
「えーと、あるにはあるけど、欲しいの?」
「ええ、とっても!」
ただのMP回復薬なのに、なんでそこまで欲しがるの? MPが減ってたのか?
表情を見る限り、苦しそうには見えない。逆にさっきまでは余裕があったと思う。今は必死になってるけど。
そんなに必死になるまで欲しい理由ってなんだろ。こいつらって悪魔だから下手なものを渡せないんだよ。
念の為、【鑑定】したけどMP/MAXだし。9605/9605だし。それ以上回復薬はいらないだろ。やっぱり他に何か理由がありそうだな。
「欲しい理由を聞いてもいい?」
「ええ、なぜだか知らないけど、このポーションは魂が増えるの。ポーションで魂が増えるだなんて聞いた事も無いんだけど、実際に増えたわ。そっちの坊やも増えたわよね?」
「はい! 増えたっす! あともう一本頂ければたぶん上級悪魔になれそうっす! だからもう一本ください! おなしゃす!」
頭を下げ右手を出すボーイ。
告白タイムじゃないんだから、そんな事されても何もしないけどね。というか、こいつ中級悪魔だったのか。危ない危ない、遅ればせながら【鑑定】をして名前の確認をしておこう。衛星がいれば大丈夫とは聞いてるけど、対抗手段は多い方がいいからね。
だけど、やっぱりヤバイじゃないか。こんなの渡したら悪魔が育ち放題だぞ! 封印だ、封印。絶対、悪魔に渡したらダメなやつだよ。
「在庫があると思ってたんだけどね、よく見たらそれで最後だったみたい。貴重なやつだから大事に使ってね」
「「えっ!?」」
俺の言葉で固まる二人。どうもショックが大きかったようだ。
「……このポーションが最後…エイジ様はこれをどこで手に入れたの?」
「前にいたとこかな。前にいたとこの従者が作ってくれたんだ。だから店では売ってないと思う」
衛星に頼めば作ってくれると思うけど、言う必要はない。在庫もタップリすぎるほどあるけど、それも言う必要はないね。
収納バッグの中にはざっと一万本は超えてると思うな。だって使う時は無いのに、マイアだったり、マイア農園担当の二人の精霊だったりがどんどん持ってくるんだから溜まる一方だったもんな。
「そう…なのね……吐きなさい」
「「えっ?」」
今度はアシュタロトの言葉で俺とボーイが驚いた。
嘘がバレたかと思ったが、アシュタロトの視線はボーイに向いてた。
「さっき飲んだ分を吐きなさい」
「「えっ!」」
え―――! それは無理だろ! もし出来たとしてだよ、それを飲むの? それも無理だろ!
もし、その全部が出来たとしても見たくも想像したくも無かったからボーイを庇ってやったよ。
「ちょっとアッシュ! それは無理だって。大人気ないよ。もう身体に取り込まれてるんだから無理だって」
「そうね、たしかにそうだったわね。大人気なかったわね……でも、できそうな気がしたのよ」
ブンブンと首を振って全力否定するボーイ。
絶対にできないだろうし、絶対にしてほしくない。
でも、折角の機会だったから、HP回復薬と部位欠損修復の丸薬を十個ずつ出してアシュタロトに検証してもらった。
MP回復薬の効果は自分で実践して効果の程はわかっている。それがもう無いのなら代替品があればと思いアシュタロト自ら検証役を買って出てくれた。
その結果、HP回復薬も丸薬も魂が増えるという効果はあった。但し、HP回復薬はMP回復薬の1/10程度の効果に対し、丸薬は倍の効果があった。
そして、その全てをアシュタロトがその場で飲んでしまった。
それほど魂の量とは悪魔にとって大事なものなのだなと思い知らされてしまった。
これじゃ、地上界に悪魔を解き放つなんて絶対しちゃダメだ。こいつら人間を餌としてしか見えてないかもしれない。
だから昨夜もあれだけ魂に拘ってたのか。それなのに、最終的には俺の意見に従った。何故だろう。
最終的に妥協案を俺が飲んだからか? あれ? 何か前提がおかしくないか?
俺が召喚した悪魔は俺に逆らえないんだよな? だったら、俺が「魂を奪う事は許さん」と言えば聞くしか無いんじゃないのか? では、なぜ逆らったんだ? 最終的な妥協案が落としどころではなく、初めから悪魔達の最終目標だったんじゃないのか? 俺は一晩かかってあいつらを説き伏せたつもりだったけど、実はあいつらの芝居に最後まで付き合わされたのか?
そう考えると辻褄が合うし、狡猾な悪魔の行動とも思えてくる。
実際はどうなのか聞いてみないと分からないけど、この魂への執着と、俺に逆らえた事を合わせると正解な気がする。
だって、逆らってる振りして心の中では意見を言ってるだけで逆らってないんだから。昨夜の悪魔達は「それは受け付けられません」とか「こうでないと納得できません」などの拒否的な言葉は言わなかった。「こういう方向性で行きませんか」とか「このへんがエイジ様も許容できる範囲ではありませんか」とか「落としどころはこのへんではないですか」など、のらりくらりと話してたな。
あとは質問が多かったな。あれは俺の反応を見てたんだろうな。
『タマちゃん!』
『はい、魂の件ですね』
『よ、よく分かったね』
『そろそろ気付く頃かと推測しました』
『という事は、知ってたの?』
『はい、エイジに危害を加えるものではありませんでしたので、排除する必要はありませんでした』
排除って…もし逆らってきたらどうするつもりだったんだよ! 悪魔を殺すのか? そういえば、悪魔は地上界では死なないんだったか。【悪魔召喚】で使う俺の魔力に守られていて、時間経過と共に魔力の膜が薄れて行って最後には悪魔界へと送還されるんだったな。ダメージを受けた場合は魔力の膜も霧散して送還が早まる、で良かったよな。
という事は、衛星に『悪魔を殺すな』と言わなくてもいいのかな? だって、ここは地上界だから死なないだろうし、攻撃する時ってこの場から排除したい時だろうからね。だったら、衛星得意の”チッ!”も効かないのかな?
その時になったら衛星が判断するだろ、その時が来ない事を願うばかりだよ。
『で? どうなの? 悪魔達は放置でいいの?』
『はい、エイジの判断は間違ってません。魂の1%を奪われる程度、人間には何の害もありません。5%までなら気付く者もいないでしょう。それより悪魔達に魂を長時間与えずに使役し続ける方がストレスが溜まって危険です。時にはMP回復薬や丸薬を与えるのもいいでしょう』
よかったぁ。タマちゃんが安全だと言うんなら大丈夫だな。しかし、MP回復薬や丸薬をあげてもよかったのか。もう無いって言っちゃったしな、そのへんはどうとでもなるか。実はまだ残ってたとか言って出せばいいか。HP回復薬に紛れてたとか言い訳しちゃえばいいよな。
それより気になるのは、MP回復薬や丸薬を摂取する事で、悪魔がどれぐらい強くなるか、だよ。さっきのアッシュの態度からして、凄く効果が高そうな感じだったもんな。
レベルは【鑑定】で分かるけど、魂の量や質ってどうやって見分けるんだろ。
アッシュに聞いてもいいんだけど、答えてくれた内容が本当の事なのかどうかで悩むのもイヤだしなぁ。タマちゃんは知らないかな。
『悪魔達が魂を食らうと格が上がるというか強くなるのは何となく分かるんだけど、実際MP回復薬や丸薬を吸収するとどれぐらいの効果があるか分かる?』
『MP回復薬で一般人の魂の五〇人分に相当します。丸薬はその倍です。悪魔は魂を摂取すると格が上がります。悪魔の格というのは爵位に当たります。魂の摂取方法は人間から奪うか、人語を話せる高ランクの魔物から奪うか、悪魔同士で奪い合うかです』
どれを取っても俺には恐ろしいという感想しか無いわ。今更だけど、そんな物騒な奴らだったんだな。
『しかし、いずれの方法も、そう多くの機会はありません。だから悪魔達は長期間地上界で活動できるメリットが大きいのです。エイジに逆らえないと決まった以上、エイジの機嫌を取るべく行動するでしょう』
従者とは言っても、クラマやマイアとは違う仕え方なんだな。あれはあれでどうかと思うけど、こっちもなんだかなぁ。【星菓子】の女子達は重いとは思ったけど、一番しっくり来たな。選択肢がおかしい気がしないでもないけどね。あの人達は奴隷だったんだよな。こっちでも奴隷を見に行ってみる?
その後、タマちゃんから悪魔の魂についての説明を受けた。
タマちゃんが言うには、上級悪魔から更に上の貴族悪魔になるためには人間の魂一万人分が必要なのだとか。
更に爵位を持つためには魂一万人分。それぞれの爵位になるためにはもっと必要になる。
下級悪魔から中級悪魔になるためには魂千人分。そこから上級悪魔になるためには魂五千人分。プラス魂一万人分で貴族悪魔になれる。
しかし、そこから爵位持ちになるのが更に大変だった。
魂一万人分追加で騎士爵になれるが、男爵には更に二万人分、子爵には更に二万人分、伯爵には更に十万人分、侯爵には更に三〇万人分、公爵には更に五〇万人分、更にその上の王や君主になるためには追加で百万人分が必要だ。
因みにアッシュは『大伯爵』。侯爵になる一歩手前になると伯爵から大伯爵になるそうだ。他の爵位も同じで同じ爵位でも上位になってくると『大』が付くのだそうだ。
悪魔の数と人間の数が合わないと感じたが、人間からだけ取るわけでもないし、こいつらの年齢ならできるのかもしれない。アッシュで五五〇〇歳だったもんな。人間だったら六〇回以上の人生がやり直せる年月だよ。
五五〇〇歳でもあれだけの慌てっぷりを見せてくれたって事は、悪魔にとっては相当価値のあるものだという事だけは分かったよ。
特に”大”伯爵だから次の侯爵が見えてる分、より焦ったんだろうな。気持ちは分かるが、やっぱりさっきのは大人気なかったよ。『吐きなさい』は流石に無かったよ。
今後は悪魔達の危険度と忠誠度を見ながらMP回復薬を出すかどうか考えて行こうか。
まずは人間のいる町に行ってからだな。
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