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第06章 伝説の剣
第03話 大事なもの
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晩餐会を終え、馬車で送られ宿に戻って来ると、部屋に入るなりユーが七月剣の件で絡んで来た。
「私の七月剣より大事な事って何!」
私のって……まだユーのものになったわけじゃないよね?
「ユーのかどうかは分からないけど、ただの武器だろ? 俺にはそんな武器より大事な物は沢山あるんだよ。大事な物ってより、まだやりかけの途中で心配な物なんだけどね」
「そんな武器って……それって何? 私の知らないものよね?」
「うん、この町を出たらフィッツバーグの町に戻ろうと思ってたんだけど、そのフィッツバーグの町には、俺に関係する孤児院とケーキ屋があってね、話すと長くなるんだけど聞いてくれる?」
「う、うん……」
ユーには言った事が無かったから、なにそれ? って感じだったけど、俺の説明を最後までちゃんと聞いてくれた。
盗賊団を殲滅した時に仲間になったキッカ達の事。そのキッカ達が切っ掛けとなって知り合った孤児院の子達が危機に瀕していて、それを保護した事。
孤児院の子達のためにと思って入り込んだスラム街で、情に絆されて奴隷を買ってしまって、この世界では初のケーキ屋を任せている事。
今回の国家公認冒険者の手続きの為に王都には行ったが、どうなってるか心配している事。その王都に行く途中でユーに出会った事なんかも含めて説明した。
それぞれ、まだ始めた所で目を離せない状況だから、まずは現在の状況を確認したい。もし、問題があればすぐにでも解決のために奔走しないといけないのが俺の役目だと思ってる。
そんな状況を放り出して、伝説の剣だか何か知らないが宝探しなんかに行ってる場合じゃない事を話した。
領主様関係は省略した。あまり関係ないだろうし、話が長くなる。一番言いたくなかった理由は、切っ掛けが不法侵入だったからね、だから敢えて言わなかった。
一緒にいたプリとシェルも黙って話を聞いてくれていた。
納得できないのなら、ユーとプリとシェルの三人で行ってくれても構わない。それは価値観が違うのだから仕方が無い事だと思う。それを押し付ける気も無いしね。
「無責任なようだけど、結論はユーに任せるよ。今説明した理由から、俺がやる事は決まってる。そこにユーも一緒に来てほしいとは思うけど、他にやりたい事があるのなら俺には引き止められない。ユーの事だったら協力はしてあげたいけど、放っておけない人達もいるから優先順位は変えられないんだよ」
「う~ん、そっかぁ。エイジも色々大変な立場なんだね。じゃあさ、私もフィッツバーグに行く事にする、やっぱりエイジの町は見てみたいもん。それでね、何も問題が無かったら一緒に探すのを手伝ってくれない?」
殊勝な事を言ってくれるよなぁ。俺は突き放したような事を言ったのに、そんな言葉を言われたら断れないよ。
オーケーの返事をしようとした俺より先にロンド姉弟がユーに切り出した。
「ユー様、それなら私達姉弟は先行して探索しておきましょう」
「そうよね~、イージとまったりできそうもないし、あたし達はフィッツバーグには用が無いものね~」
「え? でも、そんなの悪いよ。手掛かりもほとんど無いのに」
「いえ、私は勇者パーティメンバーです。それぐらいはさせてください」
「そうよ~、勇者ユー様のパーティメンバーなんだから、町にいるよりは魔物討伐や強力な武具やアイテム探しをする方が合ってるわ。昨日の依頼で懐も潤ったし、出発にはちょうどいいかもね~」
この二人にしたら勇者一行のメンバーになってるんだ。でも、勇者一行って言ったってユーは魔王討伐なんかする気無いのにね。……無いよね? 無いって言ってたよね? 勇者=魔王討伐なんてなってないよね?
実はユーはこの時点で、かなりチートになって来た自分に酔って、魔王討伐もアリなんじゃないかと思い始めていた。その為に伝説の剣に拘ったのだが、今はエイジの話を聞いて、エイジの町に行きたいという好奇心が勝ったようだが、エイジの不安は的中していたようだ。
現時点ではフィッツバーグの町に行くとなったが、伝説の剣が手に入れば一気に魔王討伐の心に火が点くかもしれない。
結局、次の日、ロンド姉弟は先行して『伝説の剣』【七月剣】を探すため別行動をする事に決まった。
ただ、フィッツバーグまでは同じ道程なので、フィッツバーグまでは一緒に天馬で行き、フィッツバーグで別れになりそうだ。たぶんそこで馬を買うだろうから、その時はクラマに馬の目利きをしてもらおう。
朝にハイグラッドの町を出たのに、もうフィッツバーグまで後僅かの所まで来ている。天馬…早すぎ。
少し無理をすれば夜遅くには辿り着けそうだったが、遅くに帰って気を使わせるのも悪いと思って一泊野営をする事にした。
町の門は閉まってるだろうし、自宅の隣は【星の家】だから、帰ってきた事が分かると皆を起こしちゃうからね。初めての三人は騒ぐだろうからまずバレるだろうしね。
ただ寝るだけならどこでも同じだしね。野営と言っても、もう小屋とも言えないほど立派な二階建ての家になってるし、食事も衛星任せの料理だから全員大満足だし、風呂用の小屋もあるし、野営の方が贅沢してるぐらいだよ。
ただね、旅ってやっぱり精神的に休まらないっていうか、精神的には疲れるんだよ。
成り行きだったとはいえ、【星の家】の隣に家を建てて良かったよ。我が家って帰っただけで癒される気がするもんね。
翌朝、早くからフィッツバーグの町の門を潜った。
ハイグラッドの町を入る時は少しだけテンプレがあったけど、フィッツバーグは俺の地元とも言ってもいいぐらいだし、町へ入る門は何度も通ってるからもう顔パスでもいいぐらいだ。そうは行かないんだけどね。
毎回、水晶で犯罪の有無の確認と身分証明書の提示は本当に面倒で仕方が無い。ルールとはいえ、何回かに一度は免除してくれてもいいと思う。
この町では、俺みたいに頻繁に町を出入りする者はいない。冒険者の低ランクが薬草採取やゴブリン退治に行くぐらい。それでも、毎日行く事は無い。薬草採取はすぐに諦めるから行かなくなるし、ゴブリン退治も低ランクの冒険者だとそう頻繁に行けるものでもない。
例えば五人パーティだとして、三匹や四匹のゴブリン集団と一~二度戦闘ならば毎日でも行けるかもしれない。これがもっと多い六匹にでもなれば戦闘は苦しいものとなる。下手をすれば負傷を負う。もっと多い十匹以上の集団にでもなれば逃げるしかない。
低ランク冒険者の実力など、その程度だ。
いくらゴブリンが弱いとはいえ、侮ってはいけない。レベルは四以上なものが多いから、一般人よりは強い上になぜか武器も持っている。
その武器が曲者だ。
ゴブリンの持つ剣や槍は錆だらけで、毒攻撃までは行かないが普通に放っておいては治らないからだ。爪もまた然り、何でも食うゴブリンは実に不衛生だから、そんな爪で傷つけられたら破傷風になってしまう。ま、これはゴブリンに限らずどの魔物でも同じなのだが。
消毒という概念がないこの世界では致命傷になりかねないのだ。
負傷して回復薬を買えば儲けは無くなる、ゴブリンの討伐報酬程度では赤字になるだろう。放っておけば傷は悪化する一方で依頼が熟せなくなる。
弱い魔物の代名詞のゴブリンだが、低ランク冒険者にとってはギリギリの戦いなのだ。
そんなゴブリン討伐に毎日出かける冒険者も少ない。態々素材も取れない、報酬は少ない、危険は伴う。そんなゴブリンを毎日討伐に出掛ける物好きはいない。腕に自信のあるものでも、初めのランク上げにゴブリン討伐はするが、すぐに見入りのいい依頼に走る。そんな理由で頻繁にゴブリン討伐や薬草採取に出掛ける者は少ないのだ。
一番門を出入りする冒険者でその程度という事は、町の外で寝て、頻繁に町を行き来する俺がどれだけ門を利用しているか分かるだろう。
それでも犯罪鑑定水晶を免除される事は一度も無かった。
身分証明書は出しても見てない事の方が多かったけど、犯罪鑑定だけは毎回キッチリとやらされた。ルールだからね、仕方がないんだけどね。
あと、意外だったのは手荷物検査。これが意外と緩いんだ。
ま、武器は持ってても普通だし、収納バッグもあるからキリが無いんだろうね。
商人用には税収が絡んでるから厳しいみたいだけどね。
フィッツバーグの町にはいると、まずは全員で冒険者ギルドへ向かった。
俺は帰還の報告をしておこうと思ってね。国家公認になれた事を言っておかないとマスターが拗ねるでしょう。
俺は受付の犬耳アイファの所へ真っ直ぐに行ったけど、プリとシェルは依頼ボードに向かった。行きがけに何か依頼があればついでに小遣い稼ぎをしようと思ってるみたいだね。二人とも依頼ボードの前で渋い顔をしてるから、いい依頼が無かったのかも。
なんだかんだ言っても、うちのチームはプリを除いて全員Aランクだからね。キッカ達もあまり同行はしないけどAランクだしね。
プリにしたって本当は余裕でAランクだけど、素性を隠したいからCランクで甘んじてると言ってたよな。実力だけで言ったらAランクのシェルより強いって話だからね。
今更だけど、なんて強いチームなんだ。ま、一般人はキッカ達三人だけってのが寂しい話なんだけどね。プリとシェルが出発する前に、顔合わせぐらいはしないとな。今晩は【星の家】か俺の家でも泊まってもらえば丁度いいかな。
今日の所は、ここで報告を終えたら、【星菓子】に少し顔を出して【星の家】戻ろう。
商業ギルドと領主様の所は明日でいいよね。
今日は早く帰って大きな風呂に入ってゆっくり寝たい気分なんだよね。
プリとシェルを横目に受付に行くと、アイファにはマスターに取り次いでもらうように言っただけで、特に世間話をする事も無かった。
お土産を忘れたんだよ。お土産って全然考えてなかったから何か気まずくてね。アイファはユー達女性陣が増えてるから、そちらに気をとられてるようだし、全然会話も無かった。
少し待つと秘書のランレイさんが出てきてくれたから、お礼を言って報告を済ませただけで冒険者ギルドから出た。
凄く歓迎はされたんだよ? でも、お土産を忘れた気まずさから、さっさと逃げて来たかったんだよ。
これは、さっさと【星の家】に戻って、一人でこっそりと王都に行って来ようかな。ノワールだったら今晩出たら明日の昼には王都に着けるんじゃない? うん、そうしよう。
―――――――――――――――――――――――――――
PCが死にました。
どうしよう……
「私の七月剣より大事な事って何!」
私のって……まだユーのものになったわけじゃないよね?
「ユーのかどうかは分からないけど、ただの武器だろ? 俺にはそんな武器より大事な物は沢山あるんだよ。大事な物ってより、まだやりかけの途中で心配な物なんだけどね」
「そんな武器って……それって何? 私の知らないものよね?」
「うん、この町を出たらフィッツバーグの町に戻ろうと思ってたんだけど、そのフィッツバーグの町には、俺に関係する孤児院とケーキ屋があってね、話すと長くなるんだけど聞いてくれる?」
「う、うん……」
ユーには言った事が無かったから、なにそれ? って感じだったけど、俺の説明を最後までちゃんと聞いてくれた。
盗賊団を殲滅した時に仲間になったキッカ達の事。そのキッカ達が切っ掛けとなって知り合った孤児院の子達が危機に瀕していて、それを保護した事。
孤児院の子達のためにと思って入り込んだスラム街で、情に絆されて奴隷を買ってしまって、この世界では初のケーキ屋を任せている事。
今回の国家公認冒険者の手続きの為に王都には行ったが、どうなってるか心配している事。その王都に行く途中でユーに出会った事なんかも含めて説明した。
それぞれ、まだ始めた所で目を離せない状況だから、まずは現在の状況を確認したい。もし、問題があればすぐにでも解決のために奔走しないといけないのが俺の役目だと思ってる。
そんな状況を放り出して、伝説の剣だか何か知らないが宝探しなんかに行ってる場合じゃない事を話した。
領主様関係は省略した。あまり関係ないだろうし、話が長くなる。一番言いたくなかった理由は、切っ掛けが不法侵入だったからね、だから敢えて言わなかった。
一緒にいたプリとシェルも黙って話を聞いてくれていた。
納得できないのなら、ユーとプリとシェルの三人で行ってくれても構わない。それは価値観が違うのだから仕方が無い事だと思う。それを押し付ける気も無いしね。
「無責任なようだけど、結論はユーに任せるよ。今説明した理由から、俺がやる事は決まってる。そこにユーも一緒に来てほしいとは思うけど、他にやりたい事があるのなら俺には引き止められない。ユーの事だったら協力はしてあげたいけど、放っておけない人達もいるから優先順位は変えられないんだよ」
「う~ん、そっかぁ。エイジも色々大変な立場なんだね。じゃあさ、私もフィッツバーグに行く事にする、やっぱりエイジの町は見てみたいもん。それでね、何も問題が無かったら一緒に探すのを手伝ってくれない?」
殊勝な事を言ってくれるよなぁ。俺は突き放したような事を言ったのに、そんな言葉を言われたら断れないよ。
オーケーの返事をしようとした俺より先にロンド姉弟がユーに切り出した。
「ユー様、それなら私達姉弟は先行して探索しておきましょう」
「そうよね~、イージとまったりできそうもないし、あたし達はフィッツバーグには用が無いものね~」
「え? でも、そんなの悪いよ。手掛かりもほとんど無いのに」
「いえ、私は勇者パーティメンバーです。それぐらいはさせてください」
「そうよ~、勇者ユー様のパーティメンバーなんだから、町にいるよりは魔物討伐や強力な武具やアイテム探しをする方が合ってるわ。昨日の依頼で懐も潤ったし、出発にはちょうどいいかもね~」
この二人にしたら勇者一行のメンバーになってるんだ。でも、勇者一行って言ったってユーは魔王討伐なんかする気無いのにね。……無いよね? 無いって言ってたよね? 勇者=魔王討伐なんてなってないよね?
実はユーはこの時点で、かなりチートになって来た自分に酔って、魔王討伐もアリなんじゃないかと思い始めていた。その為に伝説の剣に拘ったのだが、今はエイジの話を聞いて、エイジの町に行きたいという好奇心が勝ったようだが、エイジの不安は的中していたようだ。
現時点ではフィッツバーグの町に行くとなったが、伝説の剣が手に入れば一気に魔王討伐の心に火が点くかもしれない。
結局、次の日、ロンド姉弟は先行して『伝説の剣』【七月剣】を探すため別行動をする事に決まった。
ただ、フィッツバーグまでは同じ道程なので、フィッツバーグまでは一緒に天馬で行き、フィッツバーグで別れになりそうだ。たぶんそこで馬を買うだろうから、その時はクラマに馬の目利きをしてもらおう。
朝にハイグラッドの町を出たのに、もうフィッツバーグまで後僅かの所まで来ている。天馬…早すぎ。
少し無理をすれば夜遅くには辿り着けそうだったが、遅くに帰って気を使わせるのも悪いと思って一泊野営をする事にした。
町の門は閉まってるだろうし、自宅の隣は【星の家】だから、帰ってきた事が分かると皆を起こしちゃうからね。初めての三人は騒ぐだろうからまずバレるだろうしね。
ただ寝るだけならどこでも同じだしね。野営と言っても、もう小屋とも言えないほど立派な二階建ての家になってるし、食事も衛星任せの料理だから全員大満足だし、風呂用の小屋もあるし、野営の方が贅沢してるぐらいだよ。
ただね、旅ってやっぱり精神的に休まらないっていうか、精神的には疲れるんだよ。
成り行きだったとはいえ、【星の家】の隣に家を建てて良かったよ。我が家って帰っただけで癒される気がするもんね。
翌朝、早くからフィッツバーグの町の門を潜った。
ハイグラッドの町を入る時は少しだけテンプレがあったけど、フィッツバーグは俺の地元とも言ってもいいぐらいだし、町へ入る門は何度も通ってるからもう顔パスでもいいぐらいだ。そうは行かないんだけどね。
毎回、水晶で犯罪の有無の確認と身分証明書の提示は本当に面倒で仕方が無い。ルールとはいえ、何回かに一度は免除してくれてもいいと思う。
この町では、俺みたいに頻繁に町を出入りする者はいない。冒険者の低ランクが薬草採取やゴブリン退治に行くぐらい。それでも、毎日行く事は無い。薬草採取はすぐに諦めるから行かなくなるし、ゴブリン退治も低ランクの冒険者だとそう頻繁に行けるものでもない。
例えば五人パーティだとして、三匹や四匹のゴブリン集団と一~二度戦闘ならば毎日でも行けるかもしれない。これがもっと多い六匹にでもなれば戦闘は苦しいものとなる。下手をすれば負傷を負う。もっと多い十匹以上の集団にでもなれば逃げるしかない。
低ランク冒険者の実力など、その程度だ。
いくらゴブリンが弱いとはいえ、侮ってはいけない。レベルは四以上なものが多いから、一般人よりは強い上になぜか武器も持っている。
その武器が曲者だ。
ゴブリンの持つ剣や槍は錆だらけで、毒攻撃までは行かないが普通に放っておいては治らないからだ。爪もまた然り、何でも食うゴブリンは実に不衛生だから、そんな爪で傷つけられたら破傷風になってしまう。ま、これはゴブリンに限らずどの魔物でも同じなのだが。
消毒という概念がないこの世界では致命傷になりかねないのだ。
負傷して回復薬を買えば儲けは無くなる、ゴブリンの討伐報酬程度では赤字になるだろう。放っておけば傷は悪化する一方で依頼が熟せなくなる。
弱い魔物の代名詞のゴブリンだが、低ランク冒険者にとってはギリギリの戦いなのだ。
そんなゴブリン討伐に毎日出かける冒険者も少ない。態々素材も取れない、報酬は少ない、危険は伴う。そんなゴブリンを毎日討伐に出掛ける物好きはいない。腕に自信のあるものでも、初めのランク上げにゴブリン討伐はするが、すぐに見入りのいい依頼に走る。そんな理由で頻繁にゴブリン討伐や薬草採取に出掛ける者は少ないのだ。
一番門を出入りする冒険者でその程度という事は、町の外で寝て、頻繁に町を行き来する俺がどれだけ門を利用しているか分かるだろう。
それでも犯罪鑑定水晶を免除される事は一度も無かった。
身分証明書は出しても見てない事の方が多かったけど、犯罪鑑定だけは毎回キッチリとやらされた。ルールだからね、仕方がないんだけどね。
あと、意外だったのは手荷物検査。これが意外と緩いんだ。
ま、武器は持ってても普通だし、収納バッグもあるからキリが無いんだろうね。
商人用には税収が絡んでるから厳しいみたいだけどね。
フィッツバーグの町にはいると、まずは全員で冒険者ギルドへ向かった。
俺は帰還の報告をしておこうと思ってね。国家公認になれた事を言っておかないとマスターが拗ねるでしょう。
俺は受付の犬耳アイファの所へ真っ直ぐに行ったけど、プリとシェルは依頼ボードに向かった。行きがけに何か依頼があればついでに小遣い稼ぎをしようと思ってるみたいだね。二人とも依頼ボードの前で渋い顔をしてるから、いい依頼が無かったのかも。
なんだかんだ言っても、うちのチームはプリを除いて全員Aランクだからね。キッカ達もあまり同行はしないけどAランクだしね。
プリにしたって本当は余裕でAランクだけど、素性を隠したいからCランクで甘んじてると言ってたよな。実力だけで言ったらAランクのシェルより強いって話だからね。
今更だけど、なんて強いチームなんだ。ま、一般人はキッカ達三人だけってのが寂しい話なんだけどね。プリとシェルが出発する前に、顔合わせぐらいはしないとな。今晩は【星の家】か俺の家でも泊まってもらえば丁度いいかな。
今日の所は、ここで報告を終えたら、【星菓子】に少し顔を出して【星の家】戻ろう。
商業ギルドと領主様の所は明日でいいよね。
今日は早く帰って大きな風呂に入ってゆっくり寝たい気分なんだよね。
プリとシェルを横目に受付に行くと、アイファにはマスターに取り次いでもらうように言っただけで、特に世間話をする事も無かった。
お土産を忘れたんだよ。お土産って全然考えてなかったから何か気まずくてね。アイファはユー達女性陣が増えてるから、そちらに気をとられてるようだし、全然会話も無かった。
少し待つと秘書のランレイさんが出てきてくれたから、お礼を言って報告を済ませただけで冒険者ギルドから出た。
凄く歓迎はされたんだよ? でも、お土産を忘れた気まずさから、さっさと逃げて来たかったんだよ。
これは、さっさと【星の家】に戻って、一人でこっそりと王都に行って来ようかな。ノワールだったら今晩出たら明日の昼には王都に着けるんじゃない? うん、そうしよう。
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PCが死にました。
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