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第04章 20枚の地図~フィッツバーグ活動編
第02話 イマイチな新機能
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護衛依頼の旅から帰った夜、部屋で目を覚ました。
部屋には珍しく誰もいない。
卵は割れているし、衛星は『Sir, yes, sir,』以外の言葉を話すし、割れた卵は孵った節がある。
はっきりしないけど、衛星がアップデートしたんじゃないかと思える言葉が聞こえた。
今でも無敵な衛星がアップデート? これ以上何処を上げる所があるというのだろう。
機械的な音声にアップデート。しかも丸い球の見た目。
衛星って生き物じゃないとは思ってたけど、分類もできてなかった。何なのか考えた事も無かった。
そうなんだよ、異世界でチートな加護ってしか思って無くって、衛星が何なのか考えもしなかった。俺を守ってくれる加護と考えて納得してたよ。
俺の知らない異世界で魔法の世界で魔物がいる。それなら衛星ってのがあってもおかしくないなって勝手に納得してたけど、衛星って異世界でもナシだよな。
ナシだと思っても、俺には『衛星の加護』って称号が付いてるし、他の人には見えないけど、実際に俺の周りにいる訳だし、俺が否定する訳にもいかないな。
でも、こんな丸い生き物なんていないだろうし、英語で答えるのもおかしい。
そうなんだよ、英語がおかしいんだよ。何でチート小説定番の日本語では無くて、英語なんだよ。
ファンタジーなら英語でもアリだと思う。不思議な世界を旅する童話や映画は日本より海外の方が断然先なんだしな。でも、チートは日本だろう。
もしかして、海外の神様の後発組? ……いやいや、訂正訂正。ありえない仮定をして、その先も仮定するって事は、どんどん本題から外れて行ってるよ。
衛星は俺の加護! そんで、俺を守ってくれている! そう、もう何度助けてもらってる事か。
何から何まで、全部衛星に助けてもらってる。
なら別にいいじゃないか。アップデート? 衛星が更に強くなるんなら俺にとってもいい事じゃないか。
謎を解きたい気持ちはあるけど、余計な詮索はしなくていいよ。だって俺の称号に『衛星の加護』ってあるんだから、衛星はもう俺の身体の一部だよ。
「衛星、これからも宜しくな」
衛星は何の事だか分かって無いだろうし、答えもくれないけど、それでいいんだ。
これからも頼りにしてるよ。
変な時間に目が覚めちゃったし、衛星に驚かされたから寝られなくなっちゃったね。
少し散歩でもして夜風にでも当たろうか。
その夜の月は青かった。
今回の旅で御者をしていたネコ耳ターニャが黄色い月だって言ってたけど、今日は青い月だよ。
でも、これって日本でも色が違って見える時があったけど、それと同じだよね?
色が違ったり大きさが違って見えたりっていうのは覚えがあるもんね。でも、あの地平線スレスレに黄色いのが半分見えるんだけど、月が二つあるって事?
「まさか月が二つあるの? こういう分からない疑問を衛星に聞いても答えてくれないから誰かに聞くしかないよな。キッカにでも聞こうかな」
ピコーン!
ん? チャイム?
「おお!?」
急に目の前に、鑑定で出る画面と同じものが出た。
但し、内容は今俺が呟いた言葉の回答だ。
訳)
月は、あります。アナザーワールドには七つ。色も、あります。七色。
……分かりづれぇ。
英語の文法のまま直訳した? でも、意味は分かるよ。
七つの月があって、色も七色だって事だよな。異世界をアナザーワールドって英訳してたんだな。異世界ものは日本のものだしね。
これが新しい機能か。もっとアップデートすれば、日本語も読みやすく訳せるようになるのかも。
残り16枚の地図の攻略が楽しみになってきたな。
「じゃあさ、衛星のチート機能で俺にも魔法が使えるようにできない?」
訳)
あなた、できません。魔法。衛星、使えません。サポートのみズル機能。
ブッ! 出来ないのはわかったけど、チートをズルって訳しちゃったよ。
確かにそうかもしれないけど、そこはチートのままでいいんだよ。
「チートはチートね。ズルって訳さない事。分かった?」
『processing is complete』
そこは『Sir, yes, sir』じゃないのね。何言ってるか全然分からないけど、俺の言ってる事はいつも伝わってるわけだし、今のもインプットしたよって言ってくれたのかもね。
それから畑を少し見て回り、妖精と触れ合った。
妖精って話せないんだね。妖精同士とか精霊とだったら話せるのかもしれないけど、俺とは話せなかった。
身長十センチぐらいの羽の生えたのとか、葉っぱの陰に隠れたおっさんみたいなものなど、色々いたけど、皆好意的だった。
妖精は少し透けてて、月明かりで身体が光って幻想的だった。憎らしい事におっさんも光ってたよ。
こっちから話す言葉は分かるみたいだったので、一方的に俺が話すだけだったけど、こういうのは衛星で慣れてるから。
それに衛星より、表情やゼスチャーである程度伝えてくれるから妖精の方が会話にはなったね。
しかも、妖精なら見えてるから、痛い奴だと思われないもんね。
はぁ~、何を自慢してんだか。
それから帰って、風呂に入ったら小腹が空いたので、衛星にお菓子を作ってもらって食べたらすぐに眠れた。
【星の家】も見たけど、どの部屋からも明かりが漏れてなかったから、もう遅い時間だったんだろうね。
あとで思い出したんだけど、俺って時間の分かる魔道具を持ってたんだよね。魔時計だったか。
封印してたけど、今はレベルも上げてもらったから使っても大丈夫なんだよ。今後は忘れずに使って行こう。それしか魔力を使う時も無いしね。
衛星に聞いたら教えてくれたかもしれないけどね。
翌朝、ブーブー文句を言うクラマはスルーして、キッカと久し振りの会話をした。
卵の殻は収納済み、説明するのも面倒だからね。たぶん、クラマもマイアも卵には興味なかったし、俺が既に卵を抱いて無くても気にも止めないだろうな。
因みにマイアはいなかった。一度帰ってきたらしいんだけど、俺の部屋に入れない事が分かると出て行ったらしい。
クラマも入れなかったらしいから、衛星が何かしてたんだろうね。昨夜はアップデートというのもあったし、誰も部屋に入れたくなかったんだろうな。
今日の予定を聞くと、クラマは昨日に引き続きダンジョンに籠るらしい。
キッカ達三人組も山に登る予定らしいから、今日は俺一人で町に行く事になるね。
「イージの今日の予定は?」
「今日は冒険者ギルドに行くんだ。領主様の護衛依頼がまだ達成扱いにされてくてさ、呼び出しがあったらそれに行って完了になるんだって。それで呼び出しがいつあるか分からないからそれの確認なんだ」
「冒険者ギルドね…そ、それなら私達も一緒に行こうかな」
キッカが遠慮がちに言ってきた。
「そうする? 何か用事でもあるの? あ、別に用が無くても依頼を見るだけでもいいもんね。じゃ、一緒に行こう」
「う、うん! そう、レッテ山ばかりじゃなくて他の依頼もそろそろやろうと思ってたのよ。ね、そうよね、ケン」
「そうでしたか? そ、そ、そうでしたねぇ。いや、間違いない、今日は冒険者ギルドに行く予定でした」
「そんな事聞いて無いっす。昨日、七合目の壁にぶち当たったから、明日こそはあのベヒモスを倒すんだって言ってたじゃないっすか」
「お前ぇは口出すんじゃねぇ! ヤスは黙ってろ!」
「いつも仲がいいね、俺も一緒に行けたらいいんだけどね。ほら、俺が行くと修行にならないしね」
「いいのよ、私も魔物の討伐が楽しくなってきた所だし、イージは天職を見つけたんでしょ? それなら、目指す方向が違うから仕方が無いわよ」
「そうですね。実際、あっしも最近凄く充実してやす。でも、そろそろ今までの戦い方ではベヒモスを倒すのは難しいと感じておりやす。町に行くのでしたら、あっしは武器屋に行きたいですね」
「いいっすねー! おいら達三人とも剣だから中距離系に弱いっすもんね。弓か強力な攻撃魔法か、トマホークみたいな投げる武器が欲しいっすね」
「おっ? ヤスも中々分かってきたじゃねーか。あっしは投げ槍があればいいと思ってるんだが、お前ぇは何にすんだ?」
「おいらは狙ってるものがあるっす。スリリングショットが欲しいっす!」
「お! そりゃお前ぇに似合いそうだな。じゃあ、今日は武器屋で見てみよう」
「ありがとうございます。アニキ! いつもすみません」
「なに謝ってやがるんだ。あっしだってお金なんて持ってねーよ」はっはっはっは
「じゃ、姐さんっすか?」
「私も持ってないよ」
「「「……」」」
バッと三人が一斉に俺を見る。
「あ、お金だね。いいよ、白金貨十枚で足りる?」
と白金貨十枚を出した。
お金はまだまだあるし、使う時って別に無いからね。それに俺はキッカ達の雇い主だし、仲間としては武器ぐらい気に入ったもので揃えて欲しいしね。
「いや、ダメよ! ダメダメ! いつまでもイージに世話になってたら、いつまで経っても一人立ちできないよ」
「そ、そうですね。さすが姐さん、いい事言いますね」
「えー、いいじゃないっすか、くれるって言うんなら貰えばいいじゃないっすか」
「だからお前ぇは黙ってろっていつも言ってんだろ」
「そんな事言っても武器はいるっす!」
「そりゃ分かってるが、ねーもんはねーんだよ!」
「だからイージさんに貰えばいいじゃないっすか!」
「いつまでもイージさんに頼ってんじゃねー!」
「そしたらどうするんすか!」
「なんとかなるだろ!?」
こんなやり取りを続けるので助け舟を出してやった。
「あのさ、キッカ達って食材を持ってるんだよね?」
お金は無いけど俺の世話にもなりたくないって葛藤してるキッカに助言をした。
このままじゃケンカになりそうだしね。
「ええ、持ってるわよ。解体はまだしてないけど、イージに貰った収納バッグに沢山入ってるわよ」
「それって必要なものは食材だけなんだろ?」
「何言ってるんすか、そんなの当たり前じゃないっすか。この【星の家】のための食材っす!」
「「あっ!」」
キッカとケンは気づいたようだね。そう、武器やアイテムの素材になりそうな肉以外の所を売ればいいんだよ。食材としてしか考えてなかったんだろうね。この【星の家】は人数が多いからね。それを三人で賄おうとしてるんだ、魔物討伐に集中し過ぎてそこまでの考えに至らなかったんだろうね。
ベヒモスって中ボスとしてよく聞く名前だから、その前まで行ってるって事は、素材としても高価なものを倒してるって思うんだよね。その食材以外のものを売ればいいお金になると思うんだ。
俺としては、差がつけられたようで悔しいけど、俺も目的ができたからね。これぐらいの助言はしてやるよ。
「それと、そろそろ冒険者ランクも上げた方がいいんじゃない? 今ってEランクじゃなかった? ランクが上の依頼を成功させたら報酬もそれなりにいいんだし、今日、冒険者ギルドに行ったらその辺も考えてみたら?」
「ありがとうイージ。駆け出しの頃はレベルや冒険者ランクを上げる事ばかり考えてたけど、最近は魔物を倒す事に夢中になってて忘れてたわ。今じゃ生息地や倒し方も大分覚えたし、特に魔物の弱点はかなり覚える事ができたの。実戦に勝る修行無しとはよく言ったものね。偶に美味しい魔物は、なんて考えてたりもするけど、素材を売るっていう初歩的な事を忘れてたわね」
「あっしもでさぁ。お恥ずかしい限りです」
「え? どうしたんすか? もうイージさんにお金を貰わなくてもいいんすか?」
「「……」」
まだ理解できていないヤスに対してキッカとケンは言葉も無いようだね。
じゃあ、俺が説明してやろう。
「そうなんだよヤス。ヤス達が倒した魔物の素材だけを売って、新しい武器を買うんだよ。それとも自分で倒した魔物の素材を使ってオーダーメイドしてもらっちゃうか?」
「オーダーメイドっすか! なんか格好いいっすね!」
「イージさん、あんまりヤスを煽らないでくださいよ」
「でも、それができるぐらい、もう倒してるんじゃないの?」
「どうでしょうか。ねえ姉御」
「どうかな。魔物の素材がいくらで売れるか知らないし、高い武器もどれぐらいするか見てないもの」
「そうなの?」
「当たり前でしょ。今まで縁が無かったんだから知らないわよ。もっと下の素材や武器なら知ってるけど、オークやオーガの上位種やウルフの上位種なんて見た事も無かったんだから」
「魔石も沢山あるますしね」
「そうよ、魔石だってこんな大きなものを見た事も無かったもの」
「魔石? 魔石ってダンジョンで取れたやつ?」
「そうよ、それだけでもないけど」
「ダンジョンの事は内緒にしててね。ここにダンジョンがある事は知られたくないんだ」
「分かってるわ、誰にも言わないわよ」
ケンもヤスも頷いて同意してくれた。
ヤスが少し心配だけど、基本はこっちにいるから大丈夫だろ。
久し振りに四人で行動する事になった。
町に行くだけなんだけど、俺にとっては久し振りだし気分はいい。
久し振りの『煌星冒険団』だね。今はクラマとマイアも登録はしてるけど、初期はこの四人だもんね。
何をしたかと言えば、何もした事がないけど、いいじゃん気分がいいんだから。
朝食後、四人で町へと繰り出した。
―――――――――――――――――――――――
今日からバリバリ連投というわけには行かないみたいです。
すみません、次話も少し間隔が空きそうです。
部屋には珍しく誰もいない。
卵は割れているし、衛星は『Sir, yes, sir,』以外の言葉を話すし、割れた卵は孵った節がある。
はっきりしないけど、衛星がアップデートしたんじゃないかと思える言葉が聞こえた。
今でも無敵な衛星がアップデート? これ以上何処を上げる所があるというのだろう。
機械的な音声にアップデート。しかも丸い球の見た目。
衛星って生き物じゃないとは思ってたけど、分類もできてなかった。何なのか考えた事も無かった。
そうなんだよ、異世界でチートな加護ってしか思って無くって、衛星が何なのか考えもしなかった。俺を守ってくれる加護と考えて納得してたよ。
俺の知らない異世界で魔法の世界で魔物がいる。それなら衛星ってのがあってもおかしくないなって勝手に納得してたけど、衛星って異世界でもナシだよな。
ナシだと思っても、俺には『衛星の加護』って称号が付いてるし、他の人には見えないけど、実際に俺の周りにいる訳だし、俺が否定する訳にもいかないな。
でも、こんな丸い生き物なんていないだろうし、英語で答えるのもおかしい。
そうなんだよ、英語がおかしいんだよ。何でチート小説定番の日本語では無くて、英語なんだよ。
ファンタジーなら英語でもアリだと思う。不思議な世界を旅する童話や映画は日本より海外の方が断然先なんだしな。でも、チートは日本だろう。
もしかして、海外の神様の後発組? ……いやいや、訂正訂正。ありえない仮定をして、その先も仮定するって事は、どんどん本題から外れて行ってるよ。
衛星は俺の加護! そんで、俺を守ってくれている! そう、もう何度助けてもらってる事か。
何から何まで、全部衛星に助けてもらってる。
なら別にいいじゃないか。アップデート? 衛星が更に強くなるんなら俺にとってもいい事じゃないか。
謎を解きたい気持ちはあるけど、余計な詮索はしなくていいよ。だって俺の称号に『衛星の加護』ってあるんだから、衛星はもう俺の身体の一部だよ。
「衛星、これからも宜しくな」
衛星は何の事だか分かって無いだろうし、答えもくれないけど、それでいいんだ。
これからも頼りにしてるよ。
変な時間に目が覚めちゃったし、衛星に驚かされたから寝られなくなっちゃったね。
少し散歩でもして夜風にでも当たろうか。
その夜の月は青かった。
今回の旅で御者をしていたネコ耳ターニャが黄色い月だって言ってたけど、今日は青い月だよ。
でも、これって日本でも色が違って見える時があったけど、それと同じだよね?
色が違ったり大きさが違って見えたりっていうのは覚えがあるもんね。でも、あの地平線スレスレに黄色いのが半分見えるんだけど、月が二つあるって事?
「まさか月が二つあるの? こういう分からない疑問を衛星に聞いても答えてくれないから誰かに聞くしかないよな。キッカにでも聞こうかな」
ピコーン!
ん? チャイム?
「おお!?」
急に目の前に、鑑定で出る画面と同じものが出た。
但し、内容は今俺が呟いた言葉の回答だ。
訳)
月は、あります。アナザーワールドには七つ。色も、あります。七色。
……分かりづれぇ。
英語の文法のまま直訳した? でも、意味は分かるよ。
七つの月があって、色も七色だって事だよな。異世界をアナザーワールドって英訳してたんだな。異世界ものは日本のものだしね。
これが新しい機能か。もっとアップデートすれば、日本語も読みやすく訳せるようになるのかも。
残り16枚の地図の攻略が楽しみになってきたな。
「じゃあさ、衛星のチート機能で俺にも魔法が使えるようにできない?」
訳)
あなた、できません。魔法。衛星、使えません。サポートのみズル機能。
ブッ! 出来ないのはわかったけど、チートをズルって訳しちゃったよ。
確かにそうかもしれないけど、そこはチートのままでいいんだよ。
「チートはチートね。ズルって訳さない事。分かった?」
『processing is complete』
そこは『Sir, yes, sir』じゃないのね。何言ってるか全然分からないけど、俺の言ってる事はいつも伝わってるわけだし、今のもインプットしたよって言ってくれたのかもね。
それから畑を少し見て回り、妖精と触れ合った。
妖精って話せないんだね。妖精同士とか精霊とだったら話せるのかもしれないけど、俺とは話せなかった。
身長十センチぐらいの羽の生えたのとか、葉っぱの陰に隠れたおっさんみたいなものなど、色々いたけど、皆好意的だった。
妖精は少し透けてて、月明かりで身体が光って幻想的だった。憎らしい事におっさんも光ってたよ。
こっちから話す言葉は分かるみたいだったので、一方的に俺が話すだけだったけど、こういうのは衛星で慣れてるから。
それに衛星より、表情やゼスチャーである程度伝えてくれるから妖精の方が会話にはなったね。
しかも、妖精なら見えてるから、痛い奴だと思われないもんね。
はぁ~、何を自慢してんだか。
それから帰って、風呂に入ったら小腹が空いたので、衛星にお菓子を作ってもらって食べたらすぐに眠れた。
【星の家】も見たけど、どの部屋からも明かりが漏れてなかったから、もう遅い時間だったんだろうね。
あとで思い出したんだけど、俺って時間の分かる魔道具を持ってたんだよね。魔時計だったか。
封印してたけど、今はレベルも上げてもらったから使っても大丈夫なんだよ。今後は忘れずに使って行こう。それしか魔力を使う時も無いしね。
衛星に聞いたら教えてくれたかもしれないけどね。
翌朝、ブーブー文句を言うクラマはスルーして、キッカと久し振りの会話をした。
卵の殻は収納済み、説明するのも面倒だからね。たぶん、クラマもマイアも卵には興味なかったし、俺が既に卵を抱いて無くても気にも止めないだろうな。
因みにマイアはいなかった。一度帰ってきたらしいんだけど、俺の部屋に入れない事が分かると出て行ったらしい。
クラマも入れなかったらしいから、衛星が何かしてたんだろうね。昨夜はアップデートというのもあったし、誰も部屋に入れたくなかったんだろうな。
今日の予定を聞くと、クラマは昨日に引き続きダンジョンに籠るらしい。
キッカ達三人組も山に登る予定らしいから、今日は俺一人で町に行く事になるね。
「イージの今日の予定は?」
「今日は冒険者ギルドに行くんだ。領主様の護衛依頼がまだ達成扱いにされてくてさ、呼び出しがあったらそれに行って完了になるんだって。それで呼び出しがいつあるか分からないからそれの確認なんだ」
「冒険者ギルドね…そ、それなら私達も一緒に行こうかな」
キッカが遠慮がちに言ってきた。
「そうする? 何か用事でもあるの? あ、別に用が無くても依頼を見るだけでもいいもんね。じゃ、一緒に行こう」
「う、うん! そう、レッテ山ばかりじゃなくて他の依頼もそろそろやろうと思ってたのよ。ね、そうよね、ケン」
「そうでしたか? そ、そ、そうでしたねぇ。いや、間違いない、今日は冒険者ギルドに行く予定でした」
「そんな事聞いて無いっす。昨日、七合目の壁にぶち当たったから、明日こそはあのベヒモスを倒すんだって言ってたじゃないっすか」
「お前ぇは口出すんじゃねぇ! ヤスは黙ってろ!」
「いつも仲がいいね、俺も一緒に行けたらいいんだけどね。ほら、俺が行くと修行にならないしね」
「いいのよ、私も魔物の討伐が楽しくなってきた所だし、イージは天職を見つけたんでしょ? それなら、目指す方向が違うから仕方が無いわよ」
「そうですね。実際、あっしも最近凄く充実してやす。でも、そろそろ今までの戦い方ではベヒモスを倒すのは難しいと感じておりやす。町に行くのでしたら、あっしは武器屋に行きたいですね」
「いいっすねー! おいら達三人とも剣だから中距離系に弱いっすもんね。弓か強力な攻撃魔法か、トマホークみたいな投げる武器が欲しいっすね」
「おっ? ヤスも中々分かってきたじゃねーか。あっしは投げ槍があればいいと思ってるんだが、お前ぇは何にすんだ?」
「おいらは狙ってるものがあるっす。スリリングショットが欲しいっす!」
「お! そりゃお前ぇに似合いそうだな。じゃあ、今日は武器屋で見てみよう」
「ありがとうございます。アニキ! いつもすみません」
「なに謝ってやがるんだ。あっしだってお金なんて持ってねーよ」はっはっはっは
「じゃ、姐さんっすか?」
「私も持ってないよ」
「「「……」」」
バッと三人が一斉に俺を見る。
「あ、お金だね。いいよ、白金貨十枚で足りる?」
と白金貨十枚を出した。
お金はまだまだあるし、使う時って別に無いからね。それに俺はキッカ達の雇い主だし、仲間としては武器ぐらい気に入ったもので揃えて欲しいしね。
「いや、ダメよ! ダメダメ! いつまでもイージに世話になってたら、いつまで経っても一人立ちできないよ」
「そ、そうですね。さすが姐さん、いい事言いますね」
「えー、いいじゃないっすか、くれるって言うんなら貰えばいいじゃないっすか」
「だからお前ぇは黙ってろっていつも言ってんだろ」
「そんな事言っても武器はいるっす!」
「そりゃ分かってるが、ねーもんはねーんだよ!」
「だからイージさんに貰えばいいじゃないっすか!」
「いつまでもイージさんに頼ってんじゃねー!」
「そしたらどうするんすか!」
「なんとかなるだろ!?」
こんなやり取りを続けるので助け舟を出してやった。
「あのさ、キッカ達って食材を持ってるんだよね?」
お金は無いけど俺の世話にもなりたくないって葛藤してるキッカに助言をした。
このままじゃケンカになりそうだしね。
「ええ、持ってるわよ。解体はまだしてないけど、イージに貰った収納バッグに沢山入ってるわよ」
「それって必要なものは食材だけなんだろ?」
「何言ってるんすか、そんなの当たり前じゃないっすか。この【星の家】のための食材っす!」
「「あっ!」」
キッカとケンは気づいたようだね。そう、武器やアイテムの素材になりそうな肉以外の所を売ればいいんだよ。食材としてしか考えてなかったんだろうね。この【星の家】は人数が多いからね。それを三人で賄おうとしてるんだ、魔物討伐に集中し過ぎてそこまでの考えに至らなかったんだろうね。
ベヒモスって中ボスとしてよく聞く名前だから、その前まで行ってるって事は、素材としても高価なものを倒してるって思うんだよね。その食材以外のものを売ればいいお金になると思うんだ。
俺としては、差がつけられたようで悔しいけど、俺も目的ができたからね。これぐらいの助言はしてやるよ。
「それと、そろそろ冒険者ランクも上げた方がいいんじゃない? 今ってEランクじゃなかった? ランクが上の依頼を成功させたら報酬もそれなりにいいんだし、今日、冒険者ギルドに行ったらその辺も考えてみたら?」
「ありがとうイージ。駆け出しの頃はレベルや冒険者ランクを上げる事ばかり考えてたけど、最近は魔物を倒す事に夢中になってて忘れてたわ。今じゃ生息地や倒し方も大分覚えたし、特に魔物の弱点はかなり覚える事ができたの。実戦に勝る修行無しとはよく言ったものね。偶に美味しい魔物は、なんて考えてたりもするけど、素材を売るっていう初歩的な事を忘れてたわね」
「あっしもでさぁ。お恥ずかしい限りです」
「え? どうしたんすか? もうイージさんにお金を貰わなくてもいいんすか?」
「「……」」
まだ理解できていないヤスに対してキッカとケンは言葉も無いようだね。
じゃあ、俺が説明してやろう。
「そうなんだよヤス。ヤス達が倒した魔物の素材だけを売って、新しい武器を買うんだよ。それとも自分で倒した魔物の素材を使ってオーダーメイドしてもらっちゃうか?」
「オーダーメイドっすか! なんか格好いいっすね!」
「イージさん、あんまりヤスを煽らないでくださいよ」
「でも、それができるぐらい、もう倒してるんじゃないの?」
「どうでしょうか。ねえ姉御」
「どうかな。魔物の素材がいくらで売れるか知らないし、高い武器もどれぐらいするか見てないもの」
「そうなの?」
「当たり前でしょ。今まで縁が無かったんだから知らないわよ。もっと下の素材や武器なら知ってるけど、オークやオーガの上位種やウルフの上位種なんて見た事も無かったんだから」
「魔石も沢山あるますしね」
「そうよ、魔石だってこんな大きなものを見た事も無かったもの」
「魔石? 魔石ってダンジョンで取れたやつ?」
「そうよ、それだけでもないけど」
「ダンジョンの事は内緒にしててね。ここにダンジョンがある事は知られたくないんだ」
「分かってるわ、誰にも言わないわよ」
ケンもヤスも頷いて同意してくれた。
ヤスが少し心配だけど、基本はこっちにいるから大丈夫だろ。
久し振りに四人で行動する事になった。
町に行くだけなんだけど、俺にとっては久し振りだし気分はいい。
久し振りの『煌星冒険団』だね。今はクラマとマイアも登録はしてるけど、初期はこの四人だもんね。
何をしたかと言えば、何もした事がないけど、いいじゃん気分がいいんだから。
朝食後、四人で町へと繰り出した。
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今日からバリバリ連投というわけには行かないみたいです。
すみません、次話も少し間隔が空きそうです。
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ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
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