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ドッキリ
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sideしろくにゃ
僕はしろくにゃ。
しろくまのぬいぐるみだ。
最近黒ずんできた気がするけど、洗ってないから汚れてるわけじゃないよ。日焼けだよ。
ぬいぐるみが日焼けするのかって?これ以上掘り下げるな!日焼けったら日焼けなんだよ!
そうだ、怒りに我を忘れるところだった。
なんと、今日は僕が満を持して、親友でありライバルのくまみちにドッキリを仕掛けたいと思います!
今回仕掛けるドッキリは……、くまみちは僕のマシュマロみたいなしっぽが取れたら心配してくれるのか、ドッキリ~!
僕が手に持ってるスイッチを押すと、しっぽが取れる仕掛け。
くまみちとは普段喧嘩したりもするけど、基本仲も良いから心配してくれるはず。
これで驚かなかったら奥の手もあるし、楽しみだなあ。
よし、ではくまみちの所に行ってみよう。
レッツゴー!
sideくまみち
俺はくまみち。
くまのぬいぐるみだ。
親友のしろくにゃはしろくまだが、俺はしろくまではない。
オーソドックスなくまのぬいぐるみだ。テディベアとも言う。
ただテディベアというとみんなに可愛いと言われるため、かっこよさを求める俺はテディベアと呼ばれることを良しとしていない。
っと、こんな話しはどうでもいいんだ。
なんと今日は俺のダチのしろくにゃにドッキリを仕掛けようと思う。
どんなドッキリかというと。
俺に彼女が出来たらどんなリアクションをするのか!
しろくにゃは最近よく可愛い彼女が欲しいとボヤいている。
そんなあいつに俺は女なんか2次元で間に合ってる、なんていつも言ってるのに、突然彼女が出来たなんて知ったらどんな顔するかな。
しかも美少女。
悔しがるだろうなぁ、へへっ。
sideしろくにゃ
ふっふっふ。
さっき空き地にくまみちを呼び出した。
ここで!くまみちに僕のしっぽが取れるところを見せつけてやる!
sideくまみち
さっきしろくにゃに空き地に呼び出されたんだがなんだろう?
いつもみたいに修行しようとでも言うつもりか。
ふっふっふ、女連れで現れた俺のことを見た時の、あいつの悔しがる顔を拝むのが楽しみだぜ。
しろくにゃとくまみちは、お互いに同じタイミングでドッキリを仕掛けようとしていました。
種類の違うドッキリ。どんな結末になるのでしょうか。
空き地にてくまみちを待つしろくにゃ。そろそろ約束の時間です。
あ、くまみちの姿が見えて来ました。
「あ、来た来た!おーい、こっちだよ。くまみ……ち」
手を振りながらくまみちを呼ぶしろくにゃ。
一緒にいる女子の存在に気付いたのか、呼び掛けの最後の方は声がほとんど聞こえませんでした。
(くまみちが、女の子と腕を組みながら来た……)
まだ遠目なので、しろくにゃからは一緒にいる女の子の顔はよく見えません。
だんだん近づいてくるくまみちたち。
しろくにゃからはまだ女の子の顔はよく見えません。
けど、しろくにゃはくまみちが女の子を連れて、しかも腕を組みながら来たもんですから、怒りに我を忘れ、手に持っていたスイッチをぎゅっと握って押してしまいました。
ポロっ
取れてしまったしろくにゃのしっぽ。
しっぽが落ちた音で我に返ったしろくにゃ。
(やば、このしっぽの装置作るの大変だったのに!しかも1回取れたら直せない……。でもここまできたらどうにかして驚かさないと。奥の手を使うか……)
くまみちはくまみちで。
(あ、いたいた、しろくにゃだ。ん?あいつなんか青ざめてないか。そうか、俺が女と歩いてるからか)
などと脳天気に考えていました。
ですが、しろくにゃの様子がおかしいのです。
くまみちが近づくにつれてなにか、あたふたして慌ててるような。
(あいつ、どうしたんだ)
しろくにゃは彼女と思しきぬいぐるみと歩いてくるくまみちたちをじっと見ています。
(しっぽが取れてしまった今、切り札を使うしかない!)
そしてやっと、一緒にいる女の子の全貌が見えてきました。
(え?え?くまみち……と一緒にいるの彼女……だよね。腕も組んでるし)
しろくにゃは、何がなんだか分からなくなってしまいました。
なぜなら。
(なんでくまみちのやつ、スカート履いたゴリラと歩いてるんだ?)
くまみちは彼女はいらないと言ってても、2次元の美少女は大好きで、しろくにゃも認める美少女好きなのです。
そんなくまみちが3次元の女どころか、スカートを履いたゴリラと歩いてるなんて、しろくにゃには信じられません。
そして二人が目の前に来るとくまみちと一緒にいたのは、やっぱりゴリラでした。
「よ、よお、しろくにゃ。わりぃな女が一緒に来たいって言うからよ」
「ねぇ、くまみち」
くまみちが声をかけるとしろくにゃはくまみちを呼びました。
「おう、なんだ?」
しろくにゃはくまみちだけに聞こえる声で、
「あんなゴリラと来るなんてどうしたの?ゴリラと付き合ってるの?美少女好きのくまみちらしくないよあんな女とも言えないゴツいゴリラと付き合ってるなんて」
と言いました。
聞いていたくまみちは、怒りか顔を真っ赤にしていました。
「うるせー!!しょうがねぇだろ、俺だって好きでゴリラと腕組んでるわけじゃねぇんだよ!ゴリラしか用意できなかったんだよ!」
「用意ってどういうことさ、もしかして彼女ができたって僕を騙そうとしたわけじゃないだろうな」
「鋭いな、その通りだ。お前に、俺に彼女が出来たってドッキリ仕掛けようと思って手当り次第の美少女に声かけたけど。ゴリラしか捕まらなかった、くそ」
そんな会話をしているとゴリラに聞こえたのか、
「ちょっと。さっきから聞いてれば人のことゴリラだなんだってあんたが声かけてきたから私協力してるのよ」
ゆらり、と目を光らせてこちらに近付いてきます。
その時ゴリラの足元に光るものが。
(まずい、あれは僕のドッキリ最終奥義のスイッチ!)
「おいっ、キレたゴリラが近付いて来るぞ」
くまみちはおどおどしていますが、しろくにゃはそれどころではありません。
「待って、ゴリラさんストップっ」
叫んだものの時既に遅し、スイッチはずんずん進んで来るゴリラに踏まれてしまいました。
その瞬間、しろくにゃの着ていた服がパーン!という音と共に一瞬にして弾け飛んだのです。
しろくにゃは一瞬にして全裸になってしまいました。
「しろくにゃ、お前……」
くまみちは口元に手を当てて哀れなものを見る目で見ていました。
近付いてきていたゴリラは歩みを止め、
「ヘンタイ!!」
それだけ言ってしろくにゃの首元……、服が無かったので首元の肉を掴まれて、空き地のフェンスに叩きつけられました。
ピクピク痙攣しているしろくにゃを眺めたゴリラは満足したのか空き地から出ていったのでした。
しばらくして、くまみちが近付いて来ました。
「ありがとな、しろくにゃ体張って俺を助けてくれてよ……」
「良いってことよ……」
しろくにゃは卑怯にも自分のもドッキリだったんだ、とは言いませんでした。
なぜなら、最終奥義とはいえ空き地で全裸の自分が恥ずかしくなってしまったからでした。
「くまみち……、僕の服、家から持ってきてくれない?」
「おう、それくらいお安い御用だぜ」
くまみちは急いで空き地から出ていきました。
服を持って走って空き地に戻ったくまみちが見たのは、全裸でパトカーに乗せられて連れて行かれるしろくにゃでした。
その後くまみちも警察署に行って二人で訳を説明してなんとか返してもらえたのでした。
めでたしめでたし。
僕はしろくにゃ。
しろくまのぬいぐるみだ。
最近黒ずんできた気がするけど、洗ってないから汚れてるわけじゃないよ。日焼けだよ。
ぬいぐるみが日焼けするのかって?これ以上掘り下げるな!日焼けったら日焼けなんだよ!
そうだ、怒りに我を忘れるところだった。
なんと、今日は僕が満を持して、親友でありライバルのくまみちにドッキリを仕掛けたいと思います!
今回仕掛けるドッキリは……、くまみちは僕のマシュマロみたいなしっぽが取れたら心配してくれるのか、ドッキリ~!
僕が手に持ってるスイッチを押すと、しっぽが取れる仕掛け。
くまみちとは普段喧嘩したりもするけど、基本仲も良いから心配してくれるはず。
これで驚かなかったら奥の手もあるし、楽しみだなあ。
よし、ではくまみちの所に行ってみよう。
レッツゴー!
sideくまみち
俺はくまみち。
くまのぬいぐるみだ。
親友のしろくにゃはしろくまだが、俺はしろくまではない。
オーソドックスなくまのぬいぐるみだ。テディベアとも言う。
ただテディベアというとみんなに可愛いと言われるため、かっこよさを求める俺はテディベアと呼ばれることを良しとしていない。
っと、こんな話しはどうでもいいんだ。
なんと今日は俺のダチのしろくにゃにドッキリを仕掛けようと思う。
どんなドッキリかというと。
俺に彼女が出来たらどんなリアクションをするのか!
しろくにゃは最近よく可愛い彼女が欲しいとボヤいている。
そんなあいつに俺は女なんか2次元で間に合ってる、なんていつも言ってるのに、突然彼女が出来たなんて知ったらどんな顔するかな。
しかも美少女。
悔しがるだろうなぁ、へへっ。
sideしろくにゃ
ふっふっふ。
さっき空き地にくまみちを呼び出した。
ここで!くまみちに僕のしっぽが取れるところを見せつけてやる!
sideくまみち
さっきしろくにゃに空き地に呼び出されたんだがなんだろう?
いつもみたいに修行しようとでも言うつもりか。
ふっふっふ、女連れで現れた俺のことを見た時の、あいつの悔しがる顔を拝むのが楽しみだぜ。
しろくにゃとくまみちは、お互いに同じタイミングでドッキリを仕掛けようとしていました。
種類の違うドッキリ。どんな結末になるのでしょうか。
空き地にてくまみちを待つしろくにゃ。そろそろ約束の時間です。
あ、くまみちの姿が見えて来ました。
「あ、来た来た!おーい、こっちだよ。くまみ……ち」
手を振りながらくまみちを呼ぶしろくにゃ。
一緒にいる女子の存在に気付いたのか、呼び掛けの最後の方は声がほとんど聞こえませんでした。
(くまみちが、女の子と腕を組みながら来た……)
まだ遠目なので、しろくにゃからは一緒にいる女の子の顔はよく見えません。
だんだん近づいてくるくまみちたち。
しろくにゃからはまだ女の子の顔はよく見えません。
けど、しろくにゃはくまみちが女の子を連れて、しかも腕を組みながら来たもんですから、怒りに我を忘れ、手に持っていたスイッチをぎゅっと握って押してしまいました。
ポロっ
取れてしまったしろくにゃのしっぽ。
しっぽが落ちた音で我に返ったしろくにゃ。
(やば、このしっぽの装置作るの大変だったのに!しかも1回取れたら直せない……。でもここまできたらどうにかして驚かさないと。奥の手を使うか……)
くまみちはくまみちで。
(あ、いたいた、しろくにゃだ。ん?あいつなんか青ざめてないか。そうか、俺が女と歩いてるからか)
などと脳天気に考えていました。
ですが、しろくにゃの様子がおかしいのです。
くまみちが近づくにつれてなにか、あたふたして慌ててるような。
(あいつ、どうしたんだ)
しろくにゃは彼女と思しきぬいぐるみと歩いてくるくまみちたちをじっと見ています。
(しっぽが取れてしまった今、切り札を使うしかない!)
そしてやっと、一緒にいる女の子の全貌が見えてきました。
(え?え?くまみち……と一緒にいるの彼女……だよね。腕も組んでるし)
しろくにゃは、何がなんだか分からなくなってしまいました。
なぜなら。
(なんでくまみちのやつ、スカート履いたゴリラと歩いてるんだ?)
くまみちは彼女はいらないと言ってても、2次元の美少女は大好きで、しろくにゃも認める美少女好きなのです。
そんなくまみちが3次元の女どころか、スカートを履いたゴリラと歩いてるなんて、しろくにゃには信じられません。
そして二人が目の前に来るとくまみちと一緒にいたのは、やっぱりゴリラでした。
「よ、よお、しろくにゃ。わりぃな女が一緒に来たいって言うからよ」
「ねぇ、くまみち」
くまみちが声をかけるとしろくにゃはくまみちを呼びました。
「おう、なんだ?」
しろくにゃはくまみちだけに聞こえる声で、
「あんなゴリラと来るなんてどうしたの?ゴリラと付き合ってるの?美少女好きのくまみちらしくないよあんな女とも言えないゴツいゴリラと付き合ってるなんて」
と言いました。
聞いていたくまみちは、怒りか顔を真っ赤にしていました。
「うるせー!!しょうがねぇだろ、俺だって好きでゴリラと腕組んでるわけじゃねぇんだよ!ゴリラしか用意できなかったんだよ!」
「用意ってどういうことさ、もしかして彼女ができたって僕を騙そうとしたわけじゃないだろうな」
「鋭いな、その通りだ。お前に、俺に彼女が出来たってドッキリ仕掛けようと思って手当り次第の美少女に声かけたけど。ゴリラしか捕まらなかった、くそ」
そんな会話をしているとゴリラに聞こえたのか、
「ちょっと。さっきから聞いてれば人のことゴリラだなんだってあんたが声かけてきたから私協力してるのよ」
ゆらり、と目を光らせてこちらに近付いてきます。
その時ゴリラの足元に光るものが。
(まずい、あれは僕のドッキリ最終奥義のスイッチ!)
「おいっ、キレたゴリラが近付いて来るぞ」
くまみちはおどおどしていますが、しろくにゃはそれどころではありません。
「待って、ゴリラさんストップっ」
叫んだものの時既に遅し、スイッチはずんずん進んで来るゴリラに踏まれてしまいました。
その瞬間、しろくにゃの着ていた服がパーン!という音と共に一瞬にして弾け飛んだのです。
しろくにゃは一瞬にして全裸になってしまいました。
「しろくにゃ、お前……」
くまみちは口元に手を当てて哀れなものを見る目で見ていました。
近付いてきていたゴリラは歩みを止め、
「ヘンタイ!!」
それだけ言ってしろくにゃの首元……、服が無かったので首元の肉を掴まれて、空き地のフェンスに叩きつけられました。
ピクピク痙攣しているしろくにゃを眺めたゴリラは満足したのか空き地から出ていったのでした。
しばらくして、くまみちが近付いて来ました。
「ありがとな、しろくにゃ体張って俺を助けてくれてよ……」
「良いってことよ……」
しろくにゃは卑怯にも自分のもドッキリだったんだ、とは言いませんでした。
なぜなら、最終奥義とはいえ空き地で全裸の自分が恥ずかしくなってしまったからでした。
「くまみち……、僕の服、家から持ってきてくれない?」
「おう、それくらいお安い御用だぜ」
くまみちは急いで空き地から出ていきました。
服を持って走って空き地に戻ったくまみちが見たのは、全裸でパトカーに乗せられて連れて行かれるしろくにゃでした。
その後くまみちも警察署に行って二人で訳を説明してなんとか返してもらえたのでした。
めでたしめでたし。
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