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第十八章 分かり合うために 三

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     三

「お越し下さると思い、お待ちしておりました」
 寝台に座っていたエゼルチトは、扉の格子越しにこちらを見て立ち上がり、微笑んだ。やはり、以心伝心らしい。ロッソも微笑んで応じた。
「今夜は、久し振りに語り明かすぞ。そなたが王の宝を破壊しようとする根拠の一つ一つを、おれが論破していってやろう」
「それは、楽しみです」
 エゼルチトは笑みを深くしつつ、その黒い双眸には真剣な光を湛える。
「では、まず、あの宝が、そもそも人ではないという点です」
 冷ややかに、エゼルチトは切り出した。
「陛下も御覧になられたので、よくお分かりと存じますが、あの宝は、本来、かのシーワン・チー・チュアンなる巨大な建造物と同じものです。どれほど人を真似ていようと、人ではあり得ません。そのような、人ではなく、況してや神でもないものに、われらの国の在りようについて干渉されるは迷惑且つ危険というものです。あれは、いつ何時われらの想像を超えた振る舞いをするか分かりません。必要なしと判断すれば、庭園の雑草を抜くように、われらを滅ぼすかもしれぬのです」
 確かに、そういった危険性を秘めた存在ではあると、ロッソにも思えた。だが、あのナーヴェという単体に限って考察すれば、エゼルチトの指摘する危険性は皆無だと確信している。ロッソは淡く笑って告げた。
「人ではない、ということは、おれも認めよう。だが、それゆえに、あれには私心がない。大した欲望もない。全て、人のために、それも、あらゆる人々のために働こうとしておる。王の命令には逆らえんという制約はあるようだが、あれの王アッズーロは、愚鈍ではない。われらがテッラ・ロッサを滅ぼそうともしておらん。寧ろ、オリッゾンテ・ブルとわれらが共存共栄するために、アッズーロは、あれの力を有効に使い熟すだろう」
「何故、そう言い切れるのです?」
 エゼルチトは端正な顔に怜悧な表情を浮かべる。
「人ではないということは、人の感覚とは異なる動きをするかもしれぬということ。いつ、われらに見切りを付け、裏切るか知れぬのですよ? あれを信頼することに、わたしは反対です。そしてアッズーロもまた、信頼するに足りません。独断専行に過ぎる王です。しかも、遣り口は果断。いずれ、臣下達の反発を招くでしょう。その折、アッズーロは必ず宝の力を使う。或いは、宝が自らアッズーロを助けようとする。その方法が、われらに悪影響をもたらす可能性は大いにあります。あの宝の力を使い、準備を調えれば、このテッラ・ロッサを併合することも、不可能ではないはずです」
「ナーヴェは、そのようなこと、せんだろう。そも、この国は、あの宝の助けによって築かれたのだ。表向きは、わが祖父が一人で同志を集め、建国したようにしてあるがな」
 ロッソは、微かに苦く呟いた。
「成るほど」
 扉に歩み寄ってきたエゼルチトは、興味深げに、且つ暗く笑う。
「正史の陰に宝あり、ですね。やはり、あの宝は危険です。われらが歴史を己の都合で捻じ曲げていく」
「しかし、全ては、われら人を思ってのことだろう。少なくとも、わが祖父は、望み通り一国の王となった」
「それが余計なお世話だというのです」
 真顔でエゼルチトは訴える。
「ロッソ一世陛下は、本当ならば、内乱を起こしてでも、オリッゾンテ・ブル国王となるべきお方だった。全ての人々を統べる器を持ったお方だった。新たな国を興し、人々を分ける必要などなかったのです。けれど、王の宝が、ロッソ一世陛下を別な方向へ動かした。内乱を回避したかったという理由が主でしょうが、そうしてロッソ一世陛下の行動は捻じ曲げられ、今に至る不公平が生じた」
「わが祖父が他人の言動に惑わされたと言うか。侮辱致すな」
 ロッソは低い声で怒りを表した。
「――申し訳ございません」
 エゼルチトは、片膝を床に突いて真摯に詫びた。幼馴染みだからこそ、ロッソが如何に祖父を尊敬しているか知っているのだ。知っていて、敢えて言った。ロッソは溜め息をついて語った。
「わが祖父こそ、内乱は望んでいなかった。だからこそ苦しみ、その上で、宝が示した道を自ら選んだのだ。そうでなければ、王など務まらん」
「さようでございますね」
 エゼルチトは目を細め、立ち上がる。
「なれど、王など務まらぬのに王の座にいる者が、しばしば見受けられます。例えば、先代のオリッゾンテ・ブル国王のように。あの王もまた、宝に認められ、王位に就いたのです。そのような宝に、信など置ける訳がない」
 ロッソは反論に窮した。先代オリッゾンテ・ブル国王チェーロについては、ロッソもよい心証を懐いたことがない。けれど、唯一言えることがある。
「チェーロは、何の抵抗もせず息子に譲位した。己の不明を自覚していたのだろう。王として、腐り切ってはいなかったということだ。そして、チェーロがいたからこそ、アッズーロという王が誕生した。宝は――ナーヴェは、われら人より長い目で歴史を見つめ、考えておるのだろう」
「成るほど。今のわれらの思いなど、民の思いなど、先のことを考えれば捨て置くこともあるということですね」
「結果的にはな」
 ロッソは部分的に同意した。
(だが、あれは、「捨て置く」ことなどできていないだろう)
 きっと、常に心を痛めているのだ。己の所業を悔いながら、長い長い時を生き続けているのだろう。まるで、苦行のようだ。
(王よりも過酷な道だ――)
 ロッソは僅かにナーヴェに同情しつつ、エゼルチトに問い掛けた。
「そなたの言う通り、あれは元々シーワン・チー・チュアンと同じものだ。だからこそ、シーワン・チー・チュアンへの対抗手段となる。破壊してしまえば、われらはシーワン・チー・チュアンという強大な力への対抗手段を失うぞ?」
「御心配には及びません」
 エゼルチトは優雅に否定する。
「シーワン・チー・チュアンの主人は、あの子ども。そして、あの子どもの心は、既に陛下が掴んでおられるではありませんか。あの子どもは、陛下の助言に従いますよ。いずれは、この王宮に迎えても宜しいかと。そうすれば、シーワン・チー・チュアンはわれらが力となります」
「それは楽観的に過ぎよう」
「そうですね。なれど、シーワン・チー・チュアンの望みは、あの子どもに子孫を残させること、及び、われら人の間で生活させることでしょう。ならば、交渉の余地は充分にあります。あの宝のように全体のことを考えていない分、寧ろ扱い易い。宝を破壊すれば、シーワン・チー・チュアンが交渉相手として選ぶのは、アッズーロなどより陛下である可能性も高いでしょう。やはり、宝は破壊されるべきです」
 断言されて、ロッソは眉をひそめた。確かに、エゼルチトの述べることには一理ある。ナーヴェの為人を信じなければ、シーワン・チー・チュアンのほうが与し易い相手に見えるだろう。そうしてシーワン・チー・チュアンを利用すれば、エゼルチトの思い描くように、オリッゾンテ・ブルを攻め滅ぼすことも可能かもしれない。その際、ナーヴェは邪魔となるだろう。早めに除いておけば、憂いはなくなる。ナーヴェを失い、精神的にも痛手を負ったアッズーロに、統治能力が残っていない公算も大きい。
 くすり、とエゼルチトが吐息を漏らした。
「どうなさいました、陛下? もう反論はなさらないのですか?」
「いや、決定的な反論があるぞ」
 ロッソは口だけで笑み、格子越しに幼馴染みの顔を見つめる。
「そなたは、王の宝ナーヴェを、本当には理解しておらん。あれが、如何に人に寄り添おうと努力しておるか、そこを分かっておらん。あれは未だ成長中なのだ。今は、アッズーロがあれを育てている。おれは、あれがどのように育つか、そこに期待しているのだ」
「まさか、そのような希望的観測に頼って国の舵取りをするおつもりですか」
 エゼルチトは、まじまじとロッソを見つめ返してきた。
「ああ」
 ロッソは深く頷く。
「王の務め、国の舵取りとは、詰まるところ、誰をどのように信じるかなのだ。おれは、ナーヴェを、われらが歴史に干渉する者として、肯定的に信じている」
「――あの宝が、どのように成長するか、未知数だというのに……?」
「アッズーロだけでなく、われらもまた、あの宝の成長に関わっていけばよいのだと、おれは考える。そうして、よりよい方向へ成長させ、未来へ引き継げばよいのだと」
「陛下は、あの宝の最大の欠陥に、やはり気づいておいでなのですね……?」
 エゼルチトは、真剣な眼差しで確認してきた。ロッソは、苦い思いで答えた。
「ああ。アッズーロに万一があった場合のことだろう」
 アッズーロが大怪我を負ったり、命を落としたりした場合、ナーヴェは正常を保てるだろうか。少なくとも、いつかはアッズーロも死ぬのだ。
「はい。人ではないものが、人のように傷つき悲しんだ時、どのように振る舞うのか。大いに危険です。アッズーロにとって害となった、或いは害となると判断した相手全てを滅ぼしかねません」
 エゼルチトの懸念は尤もだ。だが、それについてはロッソも疾うに考えた。そして、シーワン・チー・チュアンへ向かう道中で結論を出した。
「ナーヴェにとって、アッズーロは確かに特別だが、あれは、あくまで全体主義で博愛主義だ。ならば、われらもまたナーヴェの成長に関わることで、あれの正常を保つことも可能なはずだ。更に言えば、あれがわれらにとって危険となった場合、あれ自身が己を永久に停止させるだろう。おれは既に、あの宝をそう信じている。それに、あの宝を――あの惑星調査船を破壊するは、はっきり言って、不可能だぞ……?」
「――陛下には、既に、あの惑星調査船を破壊する気など、おありではないでしょう。議論になりませんね……」
 エゼルチトは硬い声で反駁し、視線を床へ落とす。ロッソを王として見限ったのかもしれない。だが、それでも――。ロッソは言葉を続けた。
「おれは、そなたのことも信じている。いずれナーヴェを理解し、わがテッラ・ロッサとオリッゾンテ・ブルの共存共栄する術を見出してくれる者だと、な」
「――陛下は、随分と甘くなられた。それでは、オリッゾンテ・ブルを滅ぼさんとするわたしの意見など無用ですね」
 赤裸々に告げて、エゼルチトは踵を返し、ロッソに背を向けて寝台へ戻っていった。明かり取りの窓から差し込む月明かりの中、振り返らないその背を暫し見続けてから、ロッソもまた踵を返して、幽閉塔を後にした。


 去っていく幼馴染みの重い足音を聞きながら、エゼルチトは険しく悲しく顔をしかめた。
(陛下――ロッソ、あなたは、意図的に、あの宝の最大の欠陥に目を瞑ると仰せになった)
 アッズーロが成長させているという宝。アッズーロと、人並み以上に親密に過ごしていた宝。その姿を目撃したからこそ、エゼルチトは宝の危険性に気づいたのだ。
(あれは、人ではない……。人ではない、人を遥かに超えた存在が、人のように狂った時、一体、どうなるのか……。シーワン・チー・チュアンは、人たらんとしていない分だけ安定している。だがナーヴェは――。われらが如何に成長に関わろうとも、回避はできない。己を停止させるだろうなどと、希望的観測でしかない。あれは、いつか必ず暴走するよ、ロッソ)
 だから、その前にナーヴェを破壊する。あの惑星調査船を――そこに収められたという「函」ごと破壊してしまう。そうすれば、大きな憂いが一つ、消え去るのだ。
(そのためには、もう一度、あの惑星調査船を、われらが作戦領域へ引き摺り出さなければ……)
 決意を新たにして、エゼルチトは寝台に腰掛けた。


 深更の静けさの中、執務室から出てきたアッズーロが、そっと掛布をめくって、傍らに横になった。歯磨きや着替えを終えた後に、更に一仕事してきたのだ。
「お疲れ様」
 ナーヴェが囁くと、アッズーロは無言で手を伸ばしてきた。疲れているはずの青年王は、ナーヴェの夜着の胸紐を解いて、するりと手を滑り込ませてくる。胸当てをずらされ、素肌に直接触れられて、ナーヴェは微かに身を捩った。妊娠したナーヴェをアッズーロが抱くことはない。それでも、触れることはやめたくないらしい。
(まあ、このくらいなら、ぼくは気持ちいいだけだから、いいけれど……)
 アッズーロに我慢をさせてしまっていることが申し訳ない。
「ねえ、アッズーロ」
 ナーヴェは月明かりで青年王の顔を見つめて、密やかに問い掛けた。
「ぼくがテゾーロを妊娠していた時もそうだったけれど、きみは、女の人を抱くお店には行かないのかい……?」
「はあ?」
 アッズーロから初めて聞くような声が返ってきた。
「ちょっと、アッズーロ、テゾーロが起きてしまうよ」
 ナーヴェは、青年王を注意した。徹底的に安静にしているので、肉体はかなり回復してきて母乳も多少出せるようになっている。そのため、昨夜に続きテゾーロを寝台脇の揺り篭で寝かせているのだ。
「――そなたが突拍子もないことを言うた所為であろう」
 アッズーロは小声でナーヴェを詰って溜め息をつき、答えた。
「行く訳なかろうが。そなたは、わが愛を疑うのか?」
「疑ってはいないよ。ただ、ずっと性行為をしないのは、特に若い男性にとっては、つらいことだと認識しているから。それに、愛情がなくても、性行為をすることは可能なはずだよ?」
 ナーヴェが、思考回路に蓄積してきた情報を元に応じると、アッズーロは、奇妙な表情になった。
「そなたは、われがそのようなことをしても、平気なのか……?」
 問われて、ナーヴェは演算し、解を出した。
「……嬉しくはないけれど、必要性は認識していて、きみの心身の健康のためにはそのほうがいいと分かっているから、肯定的に受け止めるよ」
「ならば、もし、われがそのようなことをして、その相手を特別に愛してしまったとしたら、どうなのだ」
 アッズーロから提示された新たな命題を、ナーヴェは演算する。思考回路が全力で稼動し、低く唸った。
「……そうなると、体裁上、王妃を軽々に変える訳にはいかないから、その女の人には、側室になって貰うしかない。でも、きみがその人を特別に愛しているなら、この寝室を使うのは、その人にして貰って、ぼくはどこか、別の部屋を使うよ。きみとその人との間に子どもが生まれた場合、王太子を誰にするかは、きみの意見だけでは決めず、大臣達にも諮って……」
「もうよい、やめよ、ナーヴェ!」
 低い声で叱られて、ナーヴェは口を止めた。直後、アッズーロの手がナーヴェの目元を拭う。いつの間にか泣いていたらしい。
「ああ、ごめん、また不具合だね……」
 詫びたナーヴェに、アッズーロが覆い被さってきた。体重を掛けない、優しい覆い被さり方だ。
「すまぬ、ナーヴェ。つまらぬことを問うた」
 アッズーロは、ナーヴェの涙を丁寧に拭い取り、そっと頭を撫でてくる。
「少し、そなたに嫉妬させたかっただけなのだ。わが最愛は、そなただ。そなたへ捧げる愛は、わが一生涯、決して変わらぬ」
「そんな約束、しなくていいよ」
「いや、誓っておきたいのだ」
 アッズーロは頑なに言って、僅かに身を起こし、ナーヴェの左手を取って甲に口付ける。
「そなたはわが最愛。わが宝だ。ゆえに、われは、でき得る限り、そなたの傍にいたい。娼館へ赴くなぞ以ての外。寸暇を惜しんで、われはそなたの傍に在りたいのだ。そして、できれば触れていたい。そなたの肉体に負担は掛けぬようにするゆえ、構わぬか……?」
「前にも言ったはずだよ?」
 ナーヴェは青年の顔を見上げて微笑む。
「この体はきみのものだ。だからきみは、寝室で、ぼくの許しなんて求めなくていい」
「――感謝する」
 アッズーロは珍しく素直に謝意を表して、ナーヴェの額に口付けると、元通り傍らに横になって、丁寧に掛布を掛け直してくれた。


 腕枕をして、柔らかく抱き寄せていると、やがてナーヴェは、すうすうと寝息を立て始めた。
(すまぬ……)
 アッズーロは、最愛の寝顔を見つめ、胸中で繰り返し謝罪する。ナーヴェが壊れ掛けていると分かっていたのに、更に壊すようなことを口にしてしまった。
(われは、本当に至らぬ夫だ……)
 月明かりを映す美しい青い髪を、アッズーロはそっと撫でる。どれだけ愛しても愛し足りない宝だ。失うことなど考えたくもない。
(もう決して、そなたを追い詰めるようなことは言わぬゆえ、頼むから、壊れてくれるな)
 林檎果汁の香りがする細い首筋に顔を寄せて、アッズーロは目を閉じた。
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