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第3章
政争勃発
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僕は皇帝陛下に手紙を書いた。農地を持つ貴族から、その年貢の1割を徴収するよう頼む内容だった。他の何人かのルロワ派の貴族たちにも頼んで、皇帝陛下に課税をお願いした。
まもなく勅令が発せられ、1万ガラクス以上相当の収穫を得られる農地を持つ貴族は、毎年年貢の1割を国へ納めることが義務付けられた。
この勅令はフォール家にとってかなりの打撃だった。フォール家は領内の鉱山開発に失敗したため財政が逼迫しており、たとい1割でも大きな痛手となるはずだ。
全ては僕の計算通りに進んでいた。後はパーティーで伯爵を暴走させるだけだ。
正装して馬車に乗り、僕は王城にやってきた。
この例年9月に行われるパーティーは、爵位を持つ貴族当主だけが参加する。一家揃って参加する5月の夜会とはまた違った雰囲気だ。
王城のパーティー会場では、華やかな音楽が生演奏され、最上級のワインが供された。
僕も多くの貴族たちとの会話、豪華な食事、パーティーを楽しんでいた。さらにアダンやフィリップ、ピエールと会った。
「アダン!ピエール!フィリップ!皆元気?」僕が笑顔で話しかけた。
「シャルル!シャルルじゃないか!僕達は元気だよ!」フィリップが真っ先に応じ、皆笑顔で僕を迎えてくれた。
彼らと最後に会ったのは1年以上前の2次会での事だった。それから揺れ動く世界を象徴しているが如く、皆を取り巻く状況がすっかり変わった。
アダンの父上も、ピエールの父上も亡くなり、2人は領主になっていた。
僕たちはそれぞれの夢の「達成状況」を伝えた。
「トマ家の商業はかなり発展しているよ。戦争続きで外国との交易は難しいけど、国内各地の商人たちとの取引で、大きな利益を得ているよ」フィリップが言った。
「僕は、ロベール家の領地を守ることが出来ている。これからも家の歴史を守っていくつもりだ」アダンが言った。
「僕も、デュポン家の復興に向けて順調に進んでいるよ。この前の決戦で、軍功が認められて子爵に昇格したんだ」ピエールが言った。
フィリップとアダン、僕は伯爵。ピエールは子爵。フィリップとアダンは昇格はまだ出来ていないけれど、それぞれの夢に向かって進んでいる。それなのに、僕は立ち止まっているような気持ちだった。
「シャルルは?」ピエールが聞いた。
「ピエール…僕にはまだ、何も出来ていない。家を復興するとか、大それた事を言っておきながら…何も出来ていない。昇格も、復興の夢も…」
「シャルル、それは違うよ」とフィリップが優しく言った。「俺たちはまだ若い。夢や責任、役割を果たすために時間が必要なんだ。」
ピエールも深くうなずいて、「シャルル、君は自分のペースで進んでいけばいいんだ。君が望むことに向かって、焦ることはない。」
僕は自身を少しだけ、取り戻したように思えた。
焦ることなく、自分のペースで一歩ずつ進んでいくことの大切さを理解した。
「ありがとう、フィリップ、アダン、ピエール。君たちの言葉は本当に励みになるよ。僕も頑張って、自分の道を進んでいくよ。」
それから僕たちは将来のことから、最近あった面白いことまで、くだらない事まで話した。くだらない会話が、これほど楽しいものだとは知らなかった。
彼らがいなければ、僕は今パーティーに来れるような精神状態では無かったかもしれない…。
「そういえばシャルル、陛下に挨拶行かなくていいのか?」アダンが言った。
「やば、行ってなかった」
僕は大慌てで皇帝陛下のもとへ。
「皇帝陛下、ご挨拶遅れまして申し訳ございません。シャルル・ベルタンでございます」
「おおシャルル、よく来てくれた!今日は遠慮無く楽しんでいってくれ。」
「有り難きお言葉にございます」
その時だった。僕たちの目の前に、フォール伯爵がずかずかと歩んできた。いかにも不機嫌そうな表情だった。
「伯爵、どうかされましたか?」僕が聞いた。
すると、
「皇帝陛下…なぜあのような勅令を出したのです…ああ、フォール家は破産だ!もうお終いだ!」
伯爵は突然剣を抜き、振りかぶった。
僕はすかさず剣を抜き、伯爵の振り下ろした剣を止める。
伯爵は僕に斬りかかってきた。
僕は側面に外れ、彼の剣を弾き落とした。父上から剣の術を習った僕だ。都貴族に殺せる訳がない。
「大変だ!大変だ!」一気に会場が騒然となった。しかし流石は貴族たちとあって、相当落ち着いている。
「皆様直ちに避難してください!皇帝陛下も早く安全な場所へ!」警備の騎士のひとりが声を張り上げた。
「騎士たちには速やかに伯爵の捕縛をお願いします」僕が言った。
「了解しました」
伯爵は取り押さえられ、縄に縛られて連れて行かれた。
「伯爵、何という事をしたのです!皇帝陛下に刃を向けるなんて!立派な国家反逆罪ですよ!」僕が言った。
「ベルタン伯爵、なぜ私がこんなことをしたのか、そんな事も分からないのですか?フォール家は財政が逼迫し、殆どの収入を農地からの年貢に頼っていた。しかし、年貢にこれまで無かった税が課せられる事になった。フォール家はこれで終わりです」
「フォール伯爵、あなたの怒りは理解できますが、皇帝陛下に刃を向けることは許されません。いかなる理由があろうと、それは反逆です。」僕は心の中でほくそ笑んだ。
「わかっている、ベルタン伯爵。私は罰を受ける覚悟は出来ている」
数日後、ベルタン伯爵は国家反逆罪によりギロチンで処刑された。当主は息子が受け継いだが領地の半分は没収され、伯爵から子爵へ降格となった。
陰謀は成功したが、ここからが真の政争となるはずだ。
モレル派の貴族たちも、分かっているはずだ。伯爵の悪い噂を流したのは、僕たちルロワ派の貴族だと。
一方戦争は、スラーレン帝国の有利に進んでいた。
合従軍参加各国はスラーレン軍の侵攻により次々と降伏し、合従軍は瓦解。残すはラロニア共和国1国となっていた。
もはや完全に十八国体制は崩壊し、十八国の内10ヶ国は我が国に併合され消滅した。
ラロニア共和国への攻撃にはベルタン軍も召集されるだろう。もしそうなれば、それは軍功を上げる最後の機会だ。
侯爵へ昇格し、新たな領地を貰えれば、ベルタン家の復興は成ったと言える。しかしかつてのような力を取り戻すためには、モレル派の排除も避けては通れない道だ。
僕は次の標的を、モレル派中心人物の一人、ベルトラン侯爵に定めていた。
続く
まもなく勅令が発せられ、1万ガラクス以上相当の収穫を得られる農地を持つ貴族は、毎年年貢の1割を国へ納めることが義務付けられた。
この勅令はフォール家にとってかなりの打撃だった。フォール家は領内の鉱山開発に失敗したため財政が逼迫しており、たとい1割でも大きな痛手となるはずだ。
全ては僕の計算通りに進んでいた。後はパーティーで伯爵を暴走させるだけだ。
正装して馬車に乗り、僕は王城にやってきた。
この例年9月に行われるパーティーは、爵位を持つ貴族当主だけが参加する。一家揃って参加する5月の夜会とはまた違った雰囲気だ。
王城のパーティー会場では、華やかな音楽が生演奏され、最上級のワインが供された。
僕も多くの貴族たちとの会話、豪華な食事、パーティーを楽しんでいた。さらにアダンやフィリップ、ピエールと会った。
「アダン!ピエール!フィリップ!皆元気?」僕が笑顔で話しかけた。
「シャルル!シャルルじゃないか!僕達は元気だよ!」フィリップが真っ先に応じ、皆笑顔で僕を迎えてくれた。
彼らと最後に会ったのは1年以上前の2次会での事だった。それから揺れ動く世界を象徴しているが如く、皆を取り巻く状況がすっかり変わった。
アダンの父上も、ピエールの父上も亡くなり、2人は領主になっていた。
僕たちはそれぞれの夢の「達成状況」を伝えた。
「トマ家の商業はかなり発展しているよ。戦争続きで外国との交易は難しいけど、国内各地の商人たちとの取引で、大きな利益を得ているよ」フィリップが言った。
「僕は、ロベール家の領地を守ることが出来ている。これからも家の歴史を守っていくつもりだ」アダンが言った。
「僕も、デュポン家の復興に向けて順調に進んでいるよ。この前の決戦で、軍功が認められて子爵に昇格したんだ」ピエールが言った。
フィリップとアダン、僕は伯爵。ピエールは子爵。フィリップとアダンは昇格はまだ出来ていないけれど、それぞれの夢に向かって進んでいる。それなのに、僕は立ち止まっているような気持ちだった。
「シャルルは?」ピエールが聞いた。
「ピエール…僕にはまだ、何も出来ていない。家を復興するとか、大それた事を言っておきながら…何も出来ていない。昇格も、復興の夢も…」
「シャルル、それは違うよ」とフィリップが優しく言った。「俺たちはまだ若い。夢や責任、役割を果たすために時間が必要なんだ。」
ピエールも深くうなずいて、「シャルル、君は自分のペースで進んでいけばいいんだ。君が望むことに向かって、焦ることはない。」
僕は自身を少しだけ、取り戻したように思えた。
焦ることなく、自分のペースで一歩ずつ進んでいくことの大切さを理解した。
「ありがとう、フィリップ、アダン、ピエール。君たちの言葉は本当に励みになるよ。僕も頑張って、自分の道を進んでいくよ。」
それから僕たちは将来のことから、最近あった面白いことまで、くだらない事まで話した。くだらない会話が、これほど楽しいものだとは知らなかった。
彼らがいなければ、僕は今パーティーに来れるような精神状態では無かったかもしれない…。
「そういえばシャルル、陛下に挨拶行かなくていいのか?」アダンが言った。
「やば、行ってなかった」
僕は大慌てで皇帝陛下のもとへ。
「皇帝陛下、ご挨拶遅れまして申し訳ございません。シャルル・ベルタンでございます」
「おおシャルル、よく来てくれた!今日は遠慮無く楽しんでいってくれ。」
「有り難きお言葉にございます」
その時だった。僕たちの目の前に、フォール伯爵がずかずかと歩んできた。いかにも不機嫌そうな表情だった。
「伯爵、どうかされましたか?」僕が聞いた。
すると、
「皇帝陛下…なぜあのような勅令を出したのです…ああ、フォール家は破産だ!もうお終いだ!」
伯爵は突然剣を抜き、振りかぶった。
僕はすかさず剣を抜き、伯爵の振り下ろした剣を止める。
伯爵は僕に斬りかかってきた。
僕は側面に外れ、彼の剣を弾き落とした。父上から剣の術を習った僕だ。都貴族に殺せる訳がない。
「大変だ!大変だ!」一気に会場が騒然となった。しかし流石は貴族たちとあって、相当落ち着いている。
「皆様直ちに避難してください!皇帝陛下も早く安全な場所へ!」警備の騎士のひとりが声を張り上げた。
「騎士たちには速やかに伯爵の捕縛をお願いします」僕が言った。
「了解しました」
伯爵は取り押さえられ、縄に縛られて連れて行かれた。
「伯爵、何という事をしたのです!皇帝陛下に刃を向けるなんて!立派な国家反逆罪ですよ!」僕が言った。
「ベルタン伯爵、なぜ私がこんなことをしたのか、そんな事も分からないのですか?フォール家は財政が逼迫し、殆どの収入を農地からの年貢に頼っていた。しかし、年貢にこれまで無かった税が課せられる事になった。フォール家はこれで終わりです」
「フォール伯爵、あなたの怒りは理解できますが、皇帝陛下に刃を向けることは許されません。いかなる理由があろうと、それは反逆です。」僕は心の中でほくそ笑んだ。
「わかっている、ベルタン伯爵。私は罰を受ける覚悟は出来ている」
数日後、ベルタン伯爵は国家反逆罪によりギロチンで処刑された。当主は息子が受け継いだが領地の半分は没収され、伯爵から子爵へ降格となった。
陰謀は成功したが、ここからが真の政争となるはずだ。
モレル派の貴族たちも、分かっているはずだ。伯爵の悪い噂を流したのは、僕たちルロワ派の貴族だと。
一方戦争は、スラーレン帝国の有利に進んでいた。
合従軍参加各国はスラーレン軍の侵攻により次々と降伏し、合従軍は瓦解。残すはラロニア共和国1国となっていた。
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ラロニア共和国への攻撃にはベルタン軍も召集されるだろう。もしそうなれば、それは軍功を上げる最後の機会だ。
侯爵へ昇格し、新たな領地を貰えれば、ベルタン家の復興は成ったと言える。しかしかつてのような力を取り戻すためには、モレル派の排除も避けては通れない道だ。
僕は次の標的を、モレル派中心人物の一人、ベルトラン侯爵に定めていた。
続く
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