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第1章
戦争の重み
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ジョルジュ先生の言葉に、クラス全体が静まり返った。侵攻という言葉が現実味を帯び、胸がざわめいた。皆が緊張感を増していく中、ジョルジュ先生が続けた。
「現在、皇帝陛下と将軍閣下が状況を評価しており、防衛策の具体的な準備を進めています。学園も含め、市民の皆さんにも平静を保ち、指示に従っていただくようお願いします」
この衝撃的な知らせに、僕たちは一瞬固まってしまった。戦争の影が、我が身に迫っていることを理解するのに時間がかかった。
「シャルル、どうするんだ?」ピエールが静かに尋ねた。彼の声には不安が滲んでいた。
「僕たちにはできることがある。皇帝陛下や国を守るために、何かできることがあるはずだ」僕は力強く言った。アダンやフィリップも同意の表情を見せた。
授業が再開され、教室の空気は普段とは違った緊張感に包まれた。誰もが頭の中で戦争の重みを考えていた。
放課後、学園の中庭で友人たちと集まり、議論が始まった。
「僕たちは何ができるんだろう?」ピエールが口火を切った。「戦争になれば、僕たちも巻き込まれる可能性がある」
「でも、僕たちには何かできるはずだ。戦場に立つわけじゃなくても、何か役立つことがあるはずだ」フィリップが言った。
「シャルル、君が僕たちを導いてくれれば、きっと何かできるよ」アダンが励ましてくれた。
その言葉が僕の心に響いた。戦争が迫っているという現実に直面しながらも、僕は彼らと共に立ち向かおうという決意を新たにした。
翌日、学園の授業は通常通り行われたが、校内の空気は明らかに重くなっていた。皆が不安な表情で歩いているのが分かった。
放課後、僕はアダンやピエール、フィリップと共に戦争に備えてできることを考えるために集まった。
「僕たちにできることは何だろう?」ピエールが改めて尋ねた。
「学生としての責務を果たすこと、それが第一だと思う。学園の中でも、落ち着いて行動し、パニックを避けることが重要だ」アダンが提案した。
「それに加えて、情報収集も大事だろう。実際の情勢を知ることで、正しい判断ができる」フィリップが続けた。
僕たちはそれぞれの役割を確認し、戦争に備えるための準備を進めることにした。彼らと共に行動することで、僕の不安も少しは軽減された。
数日後、戦争の情勢がさらに深刻化していることが報じられ、学園全体が厳戒態勢に入った。
「皆、今日からはさらに厳重な警戒を心がけてください。敵の侵入に備え、学園全体の安全を確保するためにも、緊張感を持って行動してください」
全校集会での呼びかけに、生徒たちは真剣な表情で応えた。僕たちもそれに続き、自分たちの役割を果たしていこうと決意した。
戦争が学園にまで及ぶとは想像していなかったが、現実は容赦なく目の前に広がっていた。
夜、家で僕はジャンやフローランと共に戦争について話し合っていた。
「敵国ランドーム王国はスラーレンより兵数は少ないし、小国だ。だけど軍隊は非常に鍛え上げられているらしいね」僕は深刻な表情を浮かべながら言った。
「ランドーム王国も勝てると見込んだから攻めてきたのでしょう。今まであの国は我が国と幾度となく戦ってきましたが、森に誘い込んで伏兵で攻撃するとか、そういう詭計ばかり使ってきました。正面から戦っては勝てないからでしょう」フローランが言った。
「でも、我が国も軍事力を強化してきました。傭兵や騎士、そして海軍も含めて、強力な装備を導入しているはずです」とジャンが続けた。
「それに、皇帝陛下と将軍閣下が率いる指揮官たちも優秀だ。きっと戦局を有利に進める作戦を考えているはずだ」と僕は希望を持って言った。
「今のところ、故郷のボルフォーヌはランドーム王国との国境の真反対にあるため安全かと思われます。しかし、その内ベルタン軍も出撃を命じられる可能性はあるでしょう。ノア様との連絡は頻繁に行ったほうが良いと思います」フローランが締め括った。
翌日、学校には国軍の軍人が来ていた。どうやら最新の国軍の装備を紹介してくれるらしい。
「皆さんこんにちは。国軍傭兵部隊のミッシェル・アンドレと申します。今日は国軍が開発している最新の兵器を紹介しに来ました。突然ですが皆さん、これが何だかわかりますか?」
すると、学園の生徒たちは一斉にミッシェル・アンドレに視線を向けた。教室の中は緊張感と興奮が入り混じった雰囲気に包まれていた。
ミッシェルは手に持っていた小さな箱を開け、その中から先端が尖った金属の装置を取り出した。
「これは、銃という兵器です。中に火薬と弾丸を入れると、この引き金を引くだけで狙った敵の兵士を射殺することができます。弓矢よりはるかによく飛ぶでしょう。」とミッシェルは説明を始めた。
生徒たちは興味深そうに彼の話に耳を傾けた。戦争に備え、新しい技術や戦術の導入が行われることに、彼らも現実感を持ち始めていた。
「まだ開発中の上、製造費用もかかるため、全軍での導入は難しいでしょう。しかし、その内国軍だけでなく各地方領主の軍でも使われるようになり、戦場で大いに役立つと思っています」
ミッシェルの説明は生徒たちにとって非常に刺激的であり、彼らは新しい兵器の技術に興味を持ち始めた。教室の中には質問が飛び交い、ミッシェルは丁寧にそれに答えていった。
「この銃は、正面からの戦闘において大きな威力を持ちますが、使い方には訓練が必要です。軍隊では、射撃の技術を磨くための訓練が行われています」とミッシェルは説明を続けた。
「また、我が国ではこのような新しい技術を導入することで、戦局を有利に進めることが期待されています。戦場では、速射性や命中精度が非常に重要です。これにより、敵の動きを制限し、我が軍の安全を確保することが可能です」
生徒たちは熱心に耳を傾けていた。僕も興味津々で、ミッシェルの説明を聞いていた。授業の時間はあっという間に過ぎ去り、生徒たちは新しい知識と共に教室を後にした。彼らの心は、勝利に向けての準備と希望が入り混じった気持ちでいっぱいだった。
その日の放課後、例の二人組を始末した後、いつもの様にピエールと一緒に家路を歩んでいた。二人組も力が強いから、それなりに気を付けなければならない。
「なあシャルル、この戦争、いつまで続くと思う?」ピエールが言った。
「新聞には、国境近くのエロパンティー平原で両軍の主力が睨み合っているって書いてあった。そのうち、大規模な合戦になるだろうね。でも我が軍が負けることは流石に無いと思う」僕が言った。
ピエールは考え込むように頷いた。「それでも、戦争の影響はどこにでも及ぶ。なにせ今軍が国境に集まっているから、一番手薄なのはこのエラルトだ。街に敵軍が侵入し、食料や資源が不足することもあるかもしれない。家族や友人たちも、この戦いに巻き込まれる可能性があるんだ」
私たちは沈黙に包まれ、家路を歩き続けた。戦争の影はますます重く、身近に迫っていることを感じさせた。
「もしこの戦争が長期化したら、僕達が15歳で成人して学園を卒業する頃も続いているかも。貴族である僕達は戦争に参加するだろう。あと2年か…有り得なくは無いね」僕は言った。
「そうだね、その可能性もあるかもしれない」とピエールが重々しく応じた。彼の表情には不安と共に、その真剣さがにじみ出ていた。
「でも、僕たちにできることは何かあると思うんだ。戦争が長引いたとしても、それまでに何かできるように準備しておくべきだろう」と僕は提案した。
ピエールは考え込んだ後、「確かに。少なくとも情報を常に収集しておくことは重要だ。戦況や敵の動向を把握できれば、何かの役に立つかもしれない」と賛成した。
家に着くと、ジャンが必死そうな表情で僕に新聞を見せてきた。
「シャルル様、ついに始まりましたよ!」
続く
「現在、皇帝陛下と将軍閣下が状況を評価しており、防衛策の具体的な準備を進めています。学園も含め、市民の皆さんにも平静を保ち、指示に従っていただくようお願いします」
この衝撃的な知らせに、僕たちは一瞬固まってしまった。戦争の影が、我が身に迫っていることを理解するのに時間がかかった。
「シャルル、どうするんだ?」ピエールが静かに尋ねた。彼の声には不安が滲んでいた。
「僕たちにはできることがある。皇帝陛下や国を守るために、何かできることがあるはずだ」僕は力強く言った。アダンやフィリップも同意の表情を見せた。
授業が再開され、教室の空気は普段とは違った緊張感に包まれた。誰もが頭の中で戦争の重みを考えていた。
放課後、学園の中庭で友人たちと集まり、議論が始まった。
「僕たちは何ができるんだろう?」ピエールが口火を切った。「戦争になれば、僕たちも巻き込まれる可能性がある」
「でも、僕たちには何かできるはずだ。戦場に立つわけじゃなくても、何か役立つことがあるはずだ」フィリップが言った。
「シャルル、君が僕たちを導いてくれれば、きっと何かできるよ」アダンが励ましてくれた。
その言葉が僕の心に響いた。戦争が迫っているという現実に直面しながらも、僕は彼らと共に立ち向かおうという決意を新たにした。
翌日、学園の授業は通常通り行われたが、校内の空気は明らかに重くなっていた。皆が不安な表情で歩いているのが分かった。
放課後、僕はアダンやピエール、フィリップと共に戦争に備えてできることを考えるために集まった。
「僕たちにできることは何だろう?」ピエールが改めて尋ねた。
「学生としての責務を果たすこと、それが第一だと思う。学園の中でも、落ち着いて行動し、パニックを避けることが重要だ」アダンが提案した。
「それに加えて、情報収集も大事だろう。実際の情勢を知ることで、正しい判断ができる」フィリップが続けた。
僕たちはそれぞれの役割を確認し、戦争に備えるための準備を進めることにした。彼らと共に行動することで、僕の不安も少しは軽減された。
数日後、戦争の情勢がさらに深刻化していることが報じられ、学園全体が厳戒態勢に入った。
「皆、今日からはさらに厳重な警戒を心がけてください。敵の侵入に備え、学園全体の安全を確保するためにも、緊張感を持って行動してください」
全校集会での呼びかけに、生徒たちは真剣な表情で応えた。僕たちもそれに続き、自分たちの役割を果たしていこうと決意した。
戦争が学園にまで及ぶとは想像していなかったが、現実は容赦なく目の前に広がっていた。
夜、家で僕はジャンやフローランと共に戦争について話し合っていた。
「敵国ランドーム王国はスラーレンより兵数は少ないし、小国だ。だけど軍隊は非常に鍛え上げられているらしいね」僕は深刻な表情を浮かべながら言った。
「ランドーム王国も勝てると見込んだから攻めてきたのでしょう。今まであの国は我が国と幾度となく戦ってきましたが、森に誘い込んで伏兵で攻撃するとか、そういう詭計ばかり使ってきました。正面から戦っては勝てないからでしょう」フローランが言った。
「でも、我が国も軍事力を強化してきました。傭兵や騎士、そして海軍も含めて、強力な装備を導入しているはずです」とジャンが続けた。
「それに、皇帝陛下と将軍閣下が率いる指揮官たちも優秀だ。きっと戦局を有利に進める作戦を考えているはずだ」と僕は希望を持って言った。
「今のところ、故郷のボルフォーヌはランドーム王国との国境の真反対にあるため安全かと思われます。しかし、その内ベルタン軍も出撃を命じられる可能性はあるでしょう。ノア様との連絡は頻繁に行ったほうが良いと思います」フローランが締め括った。
翌日、学校には国軍の軍人が来ていた。どうやら最新の国軍の装備を紹介してくれるらしい。
「皆さんこんにちは。国軍傭兵部隊のミッシェル・アンドレと申します。今日は国軍が開発している最新の兵器を紹介しに来ました。突然ですが皆さん、これが何だかわかりますか?」
すると、学園の生徒たちは一斉にミッシェル・アンドレに視線を向けた。教室の中は緊張感と興奮が入り混じった雰囲気に包まれていた。
ミッシェルは手に持っていた小さな箱を開け、その中から先端が尖った金属の装置を取り出した。
「これは、銃という兵器です。中に火薬と弾丸を入れると、この引き金を引くだけで狙った敵の兵士を射殺することができます。弓矢よりはるかによく飛ぶでしょう。」とミッシェルは説明を始めた。
生徒たちは興味深そうに彼の話に耳を傾けた。戦争に備え、新しい技術や戦術の導入が行われることに、彼らも現実感を持ち始めていた。
「まだ開発中の上、製造費用もかかるため、全軍での導入は難しいでしょう。しかし、その内国軍だけでなく各地方領主の軍でも使われるようになり、戦場で大いに役立つと思っています」
ミッシェルの説明は生徒たちにとって非常に刺激的であり、彼らは新しい兵器の技術に興味を持ち始めた。教室の中には質問が飛び交い、ミッシェルは丁寧にそれに答えていった。
「この銃は、正面からの戦闘において大きな威力を持ちますが、使い方には訓練が必要です。軍隊では、射撃の技術を磨くための訓練が行われています」とミッシェルは説明を続けた。
「また、我が国ではこのような新しい技術を導入することで、戦局を有利に進めることが期待されています。戦場では、速射性や命中精度が非常に重要です。これにより、敵の動きを制限し、我が軍の安全を確保することが可能です」
生徒たちは熱心に耳を傾けていた。僕も興味津々で、ミッシェルの説明を聞いていた。授業の時間はあっという間に過ぎ去り、生徒たちは新しい知識と共に教室を後にした。彼らの心は、勝利に向けての準備と希望が入り混じった気持ちでいっぱいだった。
その日の放課後、例の二人組を始末した後、いつもの様にピエールと一緒に家路を歩んでいた。二人組も力が強いから、それなりに気を付けなければならない。
「なあシャルル、この戦争、いつまで続くと思う?」ピエールが言った。
「新聞には、国境近くのエロパンティー平原で両軍の主力が睨み合っているって書いてあった。そのうち、大規模な合戦になるだろうね。でも我が軍が負けることは流石に無いと思う」僕が言った。
ピエールは考え込むように頷いた。「それでも、戦争の影響はどこにでも及ぶ。なにせ今軍が国境に集まっているから、一番手薄なのはこのエラルトだ。街に敵軍が侵入し、食料や資源が不足することもあるかもしれない。家族や友人たちも、この戦いに巻き込まれる可能性があるんだ」
私たちは沈黙に包まれ、家路を歩き続けた。戦争の影はますます重く、身近に迫っていることを感じさせた。
「もしこの戦争が長期化したら、僕達が15歳で成人して学園を卒業する頃も続いているかも。貴族である僕達は戦争に参加するだろう。あと2年か…有り得なくは無いね」僕は言った。
「そうだね、その可能性もあるかもしれない」とピエールが重々しく応じた。彼の表情には不安と共に、その真剣さがにじみ出ていた。
「でも、僕たちにできることは何かあると思うんだ。戦争が長引いたとしても、それまでに何かできるように準備しておくべきだろう」と僕は提案した。
ピエールは考え込んだ後、「確かに。少なくとも情報を常に収集しておくことは重要だ。戦況や敵の動向を把握できれば、何かの役に立つかもしれない」と賛成した。
家に着くと、ジャンが必死そうな表情で僕に新聞を見せてきた。
「シャルル様、ついに始まりましたよ!」
続く
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