リアルゲーム～残酷な島でのlive or die～

ファーストミッション

ファーストミッション(2)

｢おい、男が倒れているぞ｣
｢こんな筋肉男が!? みんな、気を付けよう｣
｢まだ犯人は近くにいるだろう｣
 まずい、まずい。
｢早く逃げなきゃ｣
 走ろうとすると、角から男が出てきた。
｢ん？ あんたここでなにやってんだ？｣
 ヤバい、ヤバい。
 とりあえず、言い訳を考えなきゃ。でも、ノンプレイヤーキャラクターって言い訳聞くのか？
｢あんたもしかして、大男敗北事件の犯人に剥かれたか？｣
 いや、剥くって……今時使うかな？
 なんかもう事件に名前ついてるし……
｢そ、そうなんですぅー。ほんとに怖くて、とりあえず、服をもらえませんかぁー？｣
 こういうところで使えるのが、世間で言う『美女の特権』か。なるほど、男だったら味わえない楽しさだな。
｢わかった。とりあえずうちに来い、娘の服がタンスにあっただろうから、それを使うといい。こっちだ｣
 これは、逆転成功か？
 思わずにやける。
｢とりあえず、この中で待っていてくれ｣
 そう言われて入ったのは小さな物置小屋みたいな場所だった。
 数分すると、彼が戻ってきた。
｢まぁ、取り合えずこれ飲め｣
 彼は飲み物を差し出してくれた。
 この世界には優しくて、男前で、甘くて今まで飲んだ飲み物のなかで一番おいしい飲み物をくれる男がいた。
 だが、飲み物の最後は苦くて不味かった。