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序章
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「・・・・政府はなんらかの原因による一種の集団ヒステリーだろうと言う見解を示しており・・・・」
あの出来事から一週間ほど経っただろうか。
ニュースではあの時のことでもちきりだ。あれは一部の地域・・とはいっても結構な人数が目撃というか体験をしたため、かなりのニュースになっている。
政府は集団ヒステリーという方向で収束を図りたいようだが、あの時の事は一般人による動画やライブカメラ、定点カメラ、あらゆる生放送で全国と言わず、全世界にも目撃された為相当無理な言い訳としてネット上では盛りに盛り上がっている。特に報道では絶対になんらかの圧力がかかっているだろうとしか思えないほど動画の話には触れずに集団ヒステリーの一点張り。
ゲストやコメンテーターを始めとした著名人に関しては当時のつぶやきやUPした動画や画像、ブログを一切合切削除、もしくは編集してなかった事にしている。
もういっそ清々しいくらいに・・・
あれを経験した人の中にはショックで心身を崩した人も多かったらしく早退したり救急車で運ばれたりしてその後、休職や退職と言った流れの人もいるみたいだった。まぁ、それでもほとんどの人は何事もなかったように普通に過ごしているようだ。
俺はと言えば、何事も無いように過ごしているつもりなんだがどこか付きまとうような倦怠感が抜けずに仕事にも遊びにも身を入れられない日々を送っている。
結果、前以上にダラダラと日常を過ごしている状態だった。特に今は休憩時間という事もありかなりダラダラしている。樹蔭の菓子をつまみながら適当に話をするのも相変わらずだ。
ただ最近は笹野の姿が全くない。恐らく例のアレのせいだろうとは思いつつも、なんとなく話題にしにくく彼女の同期である樹蔭にも何も聞けないでいた。
そんな雰囲気を察したのか、樹蔭が実はと口を開き笹野の事を教えてくれた。
「笹野さんっスけど、辞めちゃうみたいっす。なんかアレがすごいショックだったみたいで凄い動揺してて仕事どころか自宅の部屋から一歩も出れない状態らしいです。」
「まじで?辞めちゃうの?しかも部屋から出れないって・・・大丈夫なのかな」
「あの時、俺呆然としてたから気づかなかったんですけど、気付いた時にはもう居なくて、気になったから後で同じ部署のやつに聞いたら早退したって。それからずっと出社してなかったらしいです。」
「・・・アレはちょっと確かに刺激が強かったもんなぁ」
あれだけ質感伴うスプラッタ感覚は女の子にはちょっと厳しい気がする。男の俺でも厳しかった。
「それで彼女、出社してないどころか自宅の部屋から出てこないらしくて、、、ご両親によるとずっと何かに怯えるようにごめんなさいって呟き続けてるらしいんですよ。」
「妙に詳しいな?」
意外な詳細情報に思わず言ってしまった。
笹野さんとは同期とはいえ他部署。なのにご両親の話が出てくるということは、俺の知らない所で2人は付き合ってたりしたんだろうか?
俺はまだ1人なのに。。。と思っていたら顔に出ていたらしく
「違いますよ。笹野さんのご両親が笹野さんの上司と話をする為に社に来たんです。ごめんなさいなんて謝ってるもんだからアレの件と合わせて何かあったんじゃないかって聞かれたらしいんですよ。」
そう言って「俺が知ってるのは比較的仲がいいから笹野さんの上司から内密で事情を知らないかって聞かれたんです。内緒ですよ。」と締めくくった。
「一体何があったんだろうなぁ、謝りまくって部屋から出れないってよっぽどの何かがあったんだろうけれど。」
「なんにせよ早く良くなると良いですよね」
樹蔭の言葉にそうだなと返事をして、それから少し雑談をした後、休憩時間も終わったところで解散し仕事に戻った。
そして1日の仕事も終わって家に帰る途中それは起こった。
あの出来事から一週間ほど経っただろうか。
ニュースではあの時のことでもちきりだ。あれは一部の地域・・とはいっても結構な人数が目撃というか体験をしたため、かなりのニュースになっている。
政府は集団ヒステリーという方向で収束を図りたいようだが、あの時の事は一般人による動画やライブカメラ、定点カメラ、あらゆる生放送で全国と言わず、全世界にも目撃された為相当無理な言い訳としてネット上では盛りに盛り上がっている。特に報道では絶対になんらかの圧力がかかっているだろうとしか思えないほど動画の話には触れずに集団ヒステリーの一点張り。
ゲストやコメンテーターを始めとした著名人に関しては当時のつぶやきやUPした動画や画像、ブログを一切合切削除、もしくは編集してなかった事にしている。
もういっそ清々しいくらいに・・・
あれを経験した人の中にはショックで心身を崩した人も多かったらしく早退したり救急車で運ばれたりしてその後、休職や退職と言った流れの人もいるみたいだった。まぁ、それでもほとんどの人は何事もなかったように普通に過ごしているようだ。
俺はと言えば、何事も無いように過ごしているつもりなんだがどこか付きまとうような倦怠感が抜けずに仕事にも遊びにも身を入れられない日々を送っている。
結果、前以上にダラダラと日常を過ごしている状態だった。特に今は休憩時間という事もありかなりダラダラしている。樹蔭の菓子をつまみながら適当に話をするのも相変わらずだ。
ただ最近は笹野の姿が全くない。恐らく例のアレのせいだろうとは思いつつも、なんとなく話題にしにくく彼女の同期である樹蔭にも何も聞けないでいた。
そんな雰囲気を察したのか、樹蔭が実はと口を開き笹野の事を教えてくれた。
「笹野さんっスけど、辞めちゃうみたいっす。なんかアレがすごいショックだったみたいで凄い動揺してて仕事どころか自宅の部屋から一歩も出れない状態らしいです。」
「まじで?辞めちゃうの?しかも部屋から出れないって・・・大丈夫なのかな」
「あの時、俺呆然としてたから気づかなかったんですけど、気付いた時にはもう居なくて、気になったから後で同じ部署のやつに聞いたら早退したって。それからずっと出社してなかったらしいです。」
「・・・アレはちょっと確かに刺激が強かったもんなぁ」
あれだけ質感伴うスプラッタ感覚は女の子にはちょっと厳しい気がする。男の俺でも厳しかった。
「それで彼女、出社してないどころか自宅の部屋から出てこないらしくて、、、ご両親によるとずっと何かに怯えるようにごめんなさいって呟き続けてるらしいんですよ。」
「妙に詳しいな?」
意外な詳細情報に思わず言ってしまった。
笹野さんとは同期とはいえ他部署。なのにご両親の話が出てくるということは、俺の知らない所で2人は付き合ってたりしたんだろうか?
俺はまだ1人なのに。。。と思っていたら顔に出ていたらしく
「違いますよ。笹野さんのご両親が笹野さんの上司と話をする為に社に来たんです。ごめんなさいなんて謝ってるもんだからアレの件と合わせて何かあったんじゃないかって聞かれたらしいんですよ。」
そう言って「俺が知ってるのは比較的仲がいいから笹野さんの上司から内密で事情を知らないかって聞かれたんです。内緒ですよ。」と締めくくった。
「一体何があったんだろうなぁ、謝りまくって部屋から出れないってよっぽどの何かがあったんだろうけれど。」
「なんにせよ早く良くなると良いですよね」
樹蔭の言葉にそうだなと返事をして、それから少し雑談をした後、休憩時間も終わったところで解散し仕事に戻った。
そして1日の仕事も終わって家に帰る途中それは起こった。
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