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ルイシーナの日常

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 どこかの世界のどこかの海。
 世界中の人々が海の覇権を握ろうと大海原へ航海に乗り出していた時代──後の世では大航海時代と呼ばれる時代に生きるとある女の話。



「──撃て!!」
 命令と共に船に設置された十数個ある砲門が火を噴く。
「ひゅう。やるねぇ、ルイシーナ。容赦ない!さすがオレの娘」
 敵味方入り交じる喧騒の中、口笛とのんきな感想がルイシーナの背後から聞こえた。

 ルイシーナと呼ばれた女の名前はルイシーナ・コフィー二・エル=レイ。
 10歳になった頃、優秀な魔法使いであった母親ととある理由で離れ離れになり、代わりに離れて住んでいた父親の元で育つ。父親の仕事は海の義賊。海賊であった。仕事を依頼されて報酬の元に仕事をする。海の傭兵団のようなものだ。もちろん、ルイシーナもその仕事を見て学び、一緒にやっていた。
 今では一人前と認められ、父親から譲り受けたレインダックス号の船長として独り立ちしている。

 そして、その父親は碌でもない男だったが今では──
「父さん…、戦えないんだから後ろに下がって…視覚的に邪魔だから」
 ルイシーナは声が聞こえてきた背後へ体を向けると、半透明で宙に浮かんだ父親を見上げた。

 この経緯を説明するのは後の機会にするが、海賊であるレオカディオ・コフィー二は数年前に海に落ちて死んだ。が、とある手段を使い精神体幽霊としてこの世につい最近甦ったのである。本当に。迷惑なことに。

「そらオレだって戦いたいよ?ほんとに。触れるもんなら!でも無理だし?」
 レオカディオは生前そのままの姿で──
 正確には、身も心も絶好調であった全盛期のように若返ってそこに存在していた。そのため見た目はルイシーナより10歳ほど年上の…没年齢より30歳近く若い姿。
 ただ、半透明の精神体幽霊のためモノに触ることが出来ず、全て体を通り抜けている。レオカディオが持っている指輪に魔力供給をすることで、実体亡霊化し普通の人と遜色なくモノに触ることもレオカディオ本人に触れることも出来るようになるらしいのだが、まだ蘇って数日しか経っていないために不可能とのこと。
 この仕組みはルイシーナもよく分かっていないし、本人であるレオカディオもよく分かっていない。

 とりあえず…ルイシーナが今言えることは、この大砲飛び交う甲板の戦場のさなか、そんな話をしている場合ではないということだ。
「…ああもう!うるさい!キャプテン・コフィーニの幽霊は静かにしてて!」
「ははっ!」
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