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アルバカス帝国 ニコラオスの告白(前編)
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アルバカス帝国のニコラオスは、今年三十歳になるが、物心ついた頃からまやかしの魔法が使えた。
水場であれば一定の範囲に目くらましを行うことが出来る。霧に虚像を写し込み、ある筈のものがなく、無いはずのものがあるように見えるのだ。
だが、水たまりのような小さな水では、大したまやかしは作ることは出来ずあまり意味をなさない。このまじないは、大きな湖や海だからこそ役立つ……。
海上の戦争にはもってこいの能力だ。
ところが、人魚にバレると恐ろしい目にあうからくれぐれも使ってはならぬ、と祖父には固く使用を禁じられていた。なんでも、この力は先祖が人魚の肉を食べた事により受け継いだもので、曾祖父の時代には、それにより沢山魔法を使える人間がいたらしい。
しかし、激怒した人魚は報復としてこの国を半分海に沈めたという。もし万が一また同胞の血肉を糧に魔法を使う者が現れたら、もう半分も海に沈めると脅されたそうだ。
だから、もう二度と魔法を使ってはいけない。祖父はそう繰り返した。
しかしニコラスは不満だった。
自分以外にも魔法を使える者がいるのかと尋ねれば、分からぬ、の一点ばりだ。そもそも、曾祖父は魔法を使えたが、祖父は魔法を使えなかった。
そう言われて、注意深く周囲を観察するようになったが、ニコラオスの他に魔法を使えるものなどいないように思えた。
自分だけが使える魔法。ニコラスの心は躍った。こんな便利な能力を隠しているなんて、勿体ないにもほどがある。
そのうち魔法を禁じるのは、魔法を受け継ぐことが出来なかった祖父の嫉妬なのではないかという思いがふつふつと湧き上がった。
隠しているのが馬鹿らしくなり、海上戦を想定してまやかしの練習をしているところを祖父に見つかり一度勘当されかけてからは、仕方なく大人しく振る舞うようにした。
ニコラオスの家は古くは王室の血を組む由緒正しき旧家だが、最近では議会での発言力もすっかり弱まってしまった。
だが、この力があれば、やがては王に返り咲くことさえ夢ではない。
しかし、勘当されてしまえは議会に参加することさえ出来なくなる。
その時がやって来るまで。借りてきた猫のように。従順な犬のように。祖父に寄り添い従おう。
とは言っても、苛々は募る。早く死ね、なんてことは流石に思ってはいない。祖父をそれなりに愛していたし、尊敬もしていた。だが、魔法を禁じられた事だけは納得いかなかった。力があるのに発揮できない苛立ちは酒で解消した。周囲はそれを見てニコラオスをろくでなしの跡継ぎだと馬鹿にする。苛立ちは更に募り、酒の量は増えるばかりだ。
いっそ、この手で──そう思った矢先、祖父が急死した。
悲しみに暮れたのはほんの一瞬だった。
さあ、爪を研ぎ、牙をむく時間だ──。
※
「……という事で、我が国の軍門に下りますよう要請に参りました。これはアルバカス帝国陛下のお言葉であると思ってお聞き下さい」
「なるほどな」
ニコラオスの言葉に、目の前の年若い王が不遜に笑った。
鮫を思わせる鋭い瞳に思わず怯みそうになったが、ぐっと耐える。
支配国となる使者として来たのだ。
本来なら一国の王との拝謁は伏礼だが、あえて立礼で済ませた。
王の隣に控えた従者にも話しかけず、直接王に話しかけている。そのまま切り捨てられてもおかしくないほど無礼な態度をとっているが、リューン王は何も言えないはずだ。アルバカス帝国に攻め入られればひとたまりもないのだから。
リューン国はアルバカス帝国にとっては取るに足らないような小さな島国だ。とっくに占領していてもおかしくない国だったが、人魚の噂が付きまとい、古い家臣たちはなかなか手を出そうとしなかった。
とはいえ、国一つ手に入れば、莫大な利益になる。アルバカスは近隣諸国はすべて支配下に置き、残すはリューン国のみとなった。
陛下も人魚の迷信を半信半疑ながらも信じておられ、リューン侵攻になかなか肯こうとしなかった。若い家臣はリューン侵攻賛成派が多いが、古くから仕える家臣のほとんどがリューン侵攻反対派で、議会は真っ二つに分かれた。そこに、ニコラオスが使者として手を上げたのだ。必ず船を沈めないまま、何事もなくリューン国を手に入れてみせると約束した。こんな小さな島国一個手に入れたところで、議会の中心貴族になれるとは思っていないが、陛下の覚えは良くなるだろう。この国の侵略成功こそが、ニコラオスの出世の第一歩となるのだ。
まやかしを使い突然現れたアルバカスの船にリューン国の兵士達は大いに慌てた。まやかしなど必要がないほどリューン国の軍事力はみるからにお粗末なものだった。
混乱している兵士たちへ国王への謁見を希望していること。自分が帰らねば、アルバカスへの宣戦布告と捉えすぐさま軍艦が攻撃に来ることを伝えれば、すぐに謁見室へと通された。なんてことない。こんな国を手に入れるなど、赤子の手をひねるようなものだ。
「貴公の要求はよく分かった。だが、どのようにして船を上陸させたのかお聞きしたい。あれは魔法か?」
率直に聞いてくる王に、ニコラオスは眉を顰める。
馬鹿なのか、ただ不遜な王なのか。正直に言うはずがない事は分かっているだろうに。肘掛けに両肘を置き、足を組んだままどことなく余裕な態度を崩さないこの王に、苛立ちが募る。
「いやはや、随分とおかしな事を仰る。霧でも出ていて気づかなかっただけなのでは? 要求に関係のないおしゃべりをして、時間稼ぎをしてもこの証書に調印をしていただくことになるのは変わりませんぞ」
そう言って、主権、領土を明け渡す条約を記した羊皮紙をかざしてみせた。王の目つきが厳しいものに変わる。
ニコラオスはこの王をもっと動揺させたくなった。余裕気な王の無様な姿がみたい。支配するのはこちらなのだと、分からせてやりたい。
「早くしないと、もしかしたら陛下が恐れている魔法のような出来事がまた起こるかもしれませんよ」
ハッタリである。実際は水がないとニコラオスには何も出来ない。だが、王はそんな事は分からないはずだ。案の定、王の顔はますます険しいものになった。
気分良く言葉を続けようとしたところで、後ろから凛とした少年の声が響いた。
「興味深いな。オレにもその魔法の話をもっと聞かせてくれよ」
水場であれば一定の範囲に目くらましを行うことが出来る。霧に虚像を写し込み、ある筈のものがなく、無いはずのものがあるように見えるのだ。
だが、水たまりのような小さな水では、大したまやかしは作ることは出来ずあまり意味をなさない。このまじないは、大きな湖や海だからこそ役立つ……。
海上の戦争にはもってこいの能力だ。
ところが、人魚にバレると恐ろしい目にあうからくれぐれも使ってはならぬ、と祖父には固く使用を禁じられていた。なんでも、この力は先祖が人魚の肉を食べた事により受け継いだもので、曾祖父の時代には、それにより沢山魔法を使える人間がいたらしい。
しかし、激怒した人魚は報復としてこの国を半分海に沈めたという。もし万が一また同胞の血肉を糧に魔法を使う者が現れたら、もう半分も海に沈めると脅されたそうだ。
だから、もう二度と魔法を使ってはいけない。祖父はそう繰り返した。
しかしニコラスは不満だった。
自分以外にも魔法を使える者がいるのかと尋ねれば、分からぬ、の一点ばりだ。そもそも、曾祖父は魔法を使えたが、祖父は魔法を使えなかった。
そう言われて、注意深く周囲を観察するようになったが、ニコラオスの他に魔法を使えるものなどいないように思えた。
自分だけが使える魔法。ニコラスの心は躍った。こんな便利な能力を隠しているなんて、勿体ないにもほどがある。
そのうち魔法を禁じるのは、魔法を受け継ぐことが出来なかった祖父の嫉妬なのではないかという思いがふつふつと湧き上がった。
隠しているのが馬鹿らしくなり、海上戦を想定してまやかしの練習をしているところを祖父に見つかり一度勘当されかけてからは、仕方なく大人しく振る舞うようにした。
ニコラオスの家は古くは王室の血を組む由緒正しき旧家だが、最近では議会での発言力もすっかり弱まってしまった。
だが、この力があれば、やがては王に返り咲くことさえ夢ではない。
しかし、勘当されてしまえは議会に参加することさえ出来なくなる。
その時がやって来るまで。借りてきた猫のように。従順な犬のように。祖父に寄り添い従おう。
とは言っても、苛々は募る。早く死ね、なんてことは流石に思ってはいない。祖父をそれなりに愛していたし、尊敬もしていた。だが、魔法を禁じられた事だけは納得いかなかった。力があるのに発揮できない苛立ちは酒で解消した。周囲はそれを見てニコラオスをろくでなしの跡継ぎだと馬鹿にする。苛立ちは更に募り、酒の量は増えるばかりだ。
いっそ、この手で──そう思った矢先、祖父が急死した。
悲しみに暮れたのはほんの一瞬だった。
さあ、爪を研ぎ、牙をむく時間だ──。
※
「……という事で、我が国の軍門に下りますよう要請に参りました。これはアルバカス帝国陛下のお言葉であると思ってお聞き下さい」
「なるほどな」
ニコラオスの言葉に、目の前の年若い王が不遜に笑った。
鮫を思わせる鋭い瞳に思わず怯みそうになったが、ぐっと耐える。
支配国となる使者として来たのだ。
本来なら一国の王との拝謁は伏礼だが、あえて立礼で済ませた。
王の隣に控えた従者にも話しかけず、直接王に話しかけている。そのまま切り捨てられてもおかしくないほど無礼な態度をとっているが、リューン王は何も言えないはずだ。アルバカス帝国に攻め入られればひとたまりもないのだから。
リューン国はアルバカス帝国にとっては取るに足らないような小さな島国だ。とっくに占領していてもおかしくない国だったが、人魚の噂が付きまとい、古い家臣たちはなかなか手を出そうとしなかった。
とはいえ、国一つ手に入れば、莫大な利益になる。アルバカスは近隣諸国はすべて支配下に置き、残すはリューン国のみとなった。
陛下も人魚の迷信を半信半疑ながらも信じておられ、リューン侵攻になかなか肯こうとしなかった。若い家臣はリューン侵攻賛成派が多いが、古くから仕える家臣のほとんどがリューン侵攻反対派で、議会は真っ二つに分かれた。そこに、ニコラオスが使者として手を上げたのだ。必ず船を沈めないまま、何事もなくリューン国を手に入れてみせると約束した。こんな小さな島国一個手に入れたところで、議会の中心貴族になれるとは思っていないが、陛下の覚えは良くなるだろう。この国の侵略成功こそが、ニコラオスの出世の第一歩となるのだ。
まやかしを使い突然現れたアルバカスの船にリューン国の兵士達は大いに慌てた。まやかしなど必要がないほどリューン国の軍事力はみるからにお粗末なものだった。
混乱している兵士たちへ国王への謁見を希望していること。自分が帰らねば、アルバカスへの宣戦布告と捉えすぐさま軍艦が攻撃に来ることを伝えれば、すぐに謁見室へと通された。なんてことない。こんな国を手に入れるなど、赤子の手をひねるようなものだ。
「貴公の要求はよく分かった。だが、どのようにして船を上陸させたのかお聞きしたい。あれは魔法か?」
率直に聞いてくる王に、ニコラオスは眉を顰める。
馬鹿なのか、ただ不遜な王なのか。正直に言うはずがない事は分かっているだろうに。肘掛けに両肘を置き、足を組んだままどことなく余裕な態度を崩さないこの王に、苛立ちが募る。
「いやはや、随分とおかしな事を仰る。霧でも出ていて気づかなかっただけなのでは? 要求に関係のないおしゃべりをして、時間稼ぎをしてもこの証書に調印をしていただくことになるのは変わりませんぞ」
そう言って、主権、領土を明け渡す条約を記した羊皮紙をかざしてみせた。王の目つきが厳しいものに変わる。
ニコラオスはこの王をもっと動揺させたくなった。余裕気な王の無様な姿がみたい。支配するのはこちらなのだと、分からせてやりたい。
「早くしないと、もしかしたら陛下が恐れている魔法のような出来事がまた起こるかもしれませんよ」
ハッタリである。実際は水がないとニコラオスには何も出来ない。だが、王はそんな事は分からないはずだ。案の定、王の顔はますます険しいものになった。
気分良く言葉を続けようとしたところで、後ろから凛とした少年の声が響いた。
「興味深いな。オレにもその魔法の話をもっと聞かせてくれよ」
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