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謎の俺様男③
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「渡辺さん。」
「え…?」
後ろを振り返れば葛城部長がいて、どうやら同じ階段を上がってきたようだ。
「途中から追いつけなくなって驚いたよ。やっぱ渡辺さんはまだ若いな。」
「専務が手を貸してくれたので……」
「専務が……?」
「おい、行くぞ!」
「は、はい!葛城部長すいません。」
名残惜しいけど……こうやって少しづつ葛城部長と離れなきゃーー
「今日の会議の資料のまとめ。終わったらこの店にサンプル取りに行ってこい。5時に会社に戻ってこい。」
「は、はい……」
もう3時半だよーやばい!
「あ、あの……」
「なんだ?」
足が痛くてとてもじゃないけど間に合いそうにない……
「もし間に合わなかったら……」
「業務中に葛城部長と話す時間があるなら間に合うんじゃねーの?」
「な……」
確かに業務中だったけど……だけどそんな言い方……
「やれないなら水戸に……」
「大丈夫です。やれます。」
「……じゃあよろしく。」
「手伝いましょうか?」
「若松さん…ありがとうございます。でも大丈夫です。」
「でも……」
若松さんはきっとわかってくれている…靴擦れができた足をチラチラと見てくれている。
「きつい仕事なら、なおさら自分がやりたいです。」
一礼して去っていく雪乃の後姿を若松は扉が閉まるまで見続ける。
「…意外だろ?」
「え…?」
「雪乃は本当は強くて優しい人間なんだ。今の姿は昔のアイツに会ったみたいだ。まさか久しぶりの再会で泣いているなんて思わなかったよ……」
「恋は人を惑わすものですよ…」
「若松、お前……」
「専務、A商社とのアポがあるのでは?」
「え?あぁ…じゃあ俺は行くけどお前はどうする?」
「私はここで雪乃さんを見張っておきます。」
「別にそこまでしなくてもいいって――」
「私は彼女がまた部長に近づいたら困るのです。」
「え…?」
「専務だって困るでしょう?」
「いや、だから俺は別に…」
「はい、はい。もう遅れますから。」
聞きたがる坊ちゃんを無理やり追い出して水戸と一緒に出ていく姿を見送る。
「恋は人を惑わす……か。」
「はぁ…やっとこれで終わり。一日が長かった……」
5時で仕事は終わり。
これを専務のテーブルの上に置けば帰れる……
専務が言っていたことは正しいけど何となく顔を合わせにくい。
自分が傷つくのはおかしいのにまだ部長と話すとドキドキしてしまう自分が嫌だ。
若松さんが知っているってことはきっと専務も私と部長の関係を知って――
あれ…?どうして若松さんは私と部長のことを知っていたんだろう?
部長とは仕事場ではあまり会話していないしいつも会うのはホテルの部屋でいつもあの部屋
「おい!」
「え…?」
振り向くと黒い車に乗っている専務が窓を開けて話しかけてくる。
まさか下で会うとは……
「お疲れ様です。」
「サンプルは?」
「これです。今から上に持っていきます。」
「……それじゃ間に合わないから車に乗れ。」
「え……でもタイムカード…」
「水戸に押してもらうように言っておく。いいから早く乗れよ!」
「は、はい!」
えぇぇ~~せっかく仕事終わったのにまだ付き合うの!?
しかもどこ行くの!?
「あの…どこに?」
「サンプル見せて。」
「あ…これです。」
「じゃあ俺が今からいうことをまとめて水戸にメールしておけ。」
「え…あ、は、はい!」
結局どこにいくのかもわからずに専務が話すことを必死に聞き取ってタイピングするだけで精一杯で――
「専務、到着いたしました。」
「よし、ちょうどこっちも終わったし。降りろ。」
「え!?ちょッ……」
奥に座っていた専務に押し出された場所はシャッター街で人もあまりいない。
「ここは……?」
ヘルス、ソープ。。。ライトが点滅している看板がいくつかあって営業しているようだ。
「坊ちゃん、ここ路駐できないので30分後に迎えにきますね。」
「え!?若松さん待って~!」
こんなところに専務と2人きり。。。
もしかしてケガのことで怒ってて売り飛ばされるとか!?
「時間がない。早くこっち来い。」
「え!?わ、私帰ります!」
「何言ってるんだよ。今日ここにくるために仕事5時に終わらせたんだ。」
あぁ~だから時間がないって。。。って何の時間!?面接とか!?
「え…?」
後ろを振り返れば葛城部長がいて、どうやら同じ階段を上がってきたようだ。
「途中から追いつけなくなって驚いたよ。やっぱ渡辺さんはまだ若いな。」
「専務が手を貸してくれたので……」
「専務が……?」
「おい、行くぞ!」
「は、はい!葛城部長すいません。」
名残惜しいけど……こうやって少しづつ葛城部長と離れなきゃーー
「今日の会議の資料のまとめ。終わったらこの店にサンプル取りに行ってこい。5時に会社に戻ってこい。」
「は、はい……」
もう3時半だよーやばい!
「あ、あの……」
「なんだ?」
足が痛くてとてもじゃないけど間に合いそうにない……
「もし間に合わなかったら……」
「業務中に葛城部長と話す時間があるなら間に合うんじゃねーの?」
「な……」
確かに業務中だったけど……だけどそんな言い方……
「やれないなら水戸に……」
「大丈夫です。やれます。」
「……じゃあよろしく。」
「手伝いましょうか?」
「若松さん…ありがとうございます。でも大丈夫です。」
「でも……」
若松さんはきっとわかってくれている…靴擦れができた足をチラチラと見てくれている。
「きつい仕事なら、なおさら自分がやりたいです。」
一礼して去っていく雪乃の後姿を若松は扉が閉まるまで見続ける。
「…意外だろ?」
「え…?」
「雪乃は本当は強くて優しい人間なんだ。今の姿は昔のアイツに会ったみたいだ。まさか久しぶりの再会で泣いているなんて思わなかったよ……」
「恋は人を惑わすものですよ…」
「若松、お前……」
「専務、A商社とのアポがあるのでは?」
「え?あぁ…じゃあ俺は行くけどお前はどうする?」
「私はここで雪乃さんを見張っておきます。」
「別にそこまでしなくてもいいって――」
「私は彼女がまた部長に近づいたら困るのです。」
「え…?」
「専務だって困るでしょう?」
「いや、だから俺は別に…」
「はい、はい。もう遅れますから。」
聞きたがる坊ちゃんを無理やり追い出して水戸と一緒に出ていく姿を見送る。
「恋は人を惑わす……か。」
「はぁ…やっとこれで終わり。一日が長かった……」
5時で仕事は終わり。
これを専務のテーブルの上に置けば帰れる……
専務が言っていたことは正しいけど何となく顔を合わせにくい。
自分が傷つくのはおかしいのにまだ部長と話すとドキドキしてしまう自分が嫌だ。
若松さんが知っているってことはきっと専務も私と部長の関係を知って――
あれ…?どうして若松さんは私と部長のことを知っていたんだろう?
部長とは仕事場ではあまり会話していないしいつも会うのはホテルの部屋でいつもあの部屋
「おい!」
「え…?」
振り向くと黒い車に乗っている専務が窓を開けて話しかけてくる。
まさか下で会うとは……
「お疲れ様です。」
「サンプルは?」
「これです。今から上に持っていきます。」
「……それじゃ間に合わないから車に乗れ。」
「え……でもタイムカード…」
「水戸に押してもらうように言っておく。いいから早く乗れよ!」
「は、はい!」
えぇぇ~~せっかく仕事終わったのにまだ付き合うの!?
しかもどこ行くの!?
「あの…どこに?」
「サンプル見せて。」
「あ…これです。」
「じゃあ俺が今からいうことをまとめて水戸にメールしておけ。」
「え…あ、は、はい!」
結局どこにいくのかもわからずに専務が話すことを必死に聞き取ってタイピングするだけで精一杯で――
「専務、到着いたしました。」
「よし、ちょうどこっちも終わったし。降りろ。」
「え!?ちょッ……」
奥に座っていた専務に押し出された場所はシャッター街で人もあまりいない。
「ここは……?」
ヘルス、ソープ。。。ライトが点滅している看板がいくつかあって営業しているようだ。
「坊ちゃん、ここ路駐できないので30分後に迎えにきますね。」
「え!?若松さん待って~!」
こんなところに専務と2人きり。。。
もしかしてケガのことで怒ってて売り飛ばされるとか!?
「時間がない。早くこっち来い。」
「え!?わ、私帰ります!」
「何言ってるんだよ。今日ここにくるために仕事5時に終わらせたんだ。」
あぁ~だから時間がないって。。。って何の時間!?面接とか!?
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