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隣にいる私を見て…
サヨナラ…。②
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「これ台本ね。」
渡された台本を開くと相手役の名前は『愛』だった。
「これ…」
「うん?どうした?」
「いえ…」
愛なら…セリフも覚えやすいし。
「じゃあ、やってもらえるかな?」
「はい。」
『待って。どこ行くの…?』
『いいでしょ、どこでも…』
『……もしかしてアイツのところへ行くの?』
『私のことなんてほっといてよ!!』
『放っておけるわけないよ!』
『ちょっと…離して!』
『愛が好きなんだ…』
「あ、すいません。台本にないのに抱きついたりしちゃって…」
「別に…」
「いやいや、いいんじゃない!?感情かなり入っていたけどいいじゃない、ねぇ?」
前にいる男性たちが頷くなか、一人だけが首を縦に振らなかった。
「まだまだダメだな。」
「桐谷さん~まぁまぁ、外で待っておいてね。」
ヒロが外に出ようとしたときカサッとポケットがなった。
「これ、私の連絡先。連絡ちょうだい!」
「え?」
同じくオーディションを受けに来ていた人達が2人のやり取りをジロジロと見てくる。
「なんだよ、出来レースかよ。」
「え…?」
すれ違い様に耳元で言われ振り向いたら同じ部屋の男たちが睨んでいる。
「そんなんじゃ…」
「あんな風に気に入られて信じられるかよ、なぁ?」
言い返そうとした瞬間、スタッフの人が後ろから呼んできた。
「508番の方、中へ入ってください。」
「ほらほら、呼ばれてるよ。俺も親とか兄弟が芸能人だったらよかったぁ!」
「さっきのね、君の演技を見て君に決めようと思ってね。」
「え…でもまだオーディション受けてない人達が…」
「まぁまだオーディション自体は終わってないんだけど、君にしたいんだけど、どうかな?」
「それは、嬉しいですけど、でもまだオーディション受けてない人達にいい人がいるかもしれないので…」
「まぁ…それは大丈夫だよ。君じゃなきゃこの役は務まらないんだよ。」
先ほど指摘してきた桐谷が何か言いたそうだったが、腕を組んで黙り込んでいた。
「あの………桐谷さんはどう思っているのか知りたいです。」
「………お前がそれでいいならいいんじゃないか?お前の人生なんだから。」
「それはどういう…」
「いいじゃない!デビュー決まったってことでしょ?それが全てだよ!おめでとう♪」
「愛梨さん…」
「愛梨でいいって!これから撮影していくんだから、もっと仲良くなっておこうよ!あ、このあとご飯食べにいくよね?」
「このあとは用事が…」
「何言っているの!?この世界でやっていくならそういう付き合いって大事だよ!監督達も来るんだよ!」
「監督達も…」
「私たちはもう少し時間かかるから、それまで考えておいてね!」
愛に会って目の前でデビュー決まったって言いたかったけど…
愛がどんな顔をして喜んでくれるのか………楽しみにしていたんだけどな。「愛?ごめん、まだ時間かかりそうなんだ…ごめんね。」
「ううん!大丈夫だよ。今日は会えないかもって思ってたからさ。だから遅くても大丈夫。」
「愛、あのさ………」
「うん?」
「いや、ごめん。何でもない。」
やっぱり会った時にデビューのこと伝えたい。
愛の顔を見て…きちんと。
「気にしなくていいから!ヒロはヒロの…今を集中してね!」
「ヒロ!ご飯食べに行こう!」
後ろから愛梨が元気よく声をかけてくる。
「あ、ごめん。行かなきゃ。じゃあ後で必ず行くから。」
「あ、うん………」
今、女の子の声した………
仕事でこれから当たり前のように女の子とご飯も行くんだよね。
大学ではファンの抜け駆けは許されなくて。。。
だから、ヒロの友達でさえいられるのが嬉しかったけど、これからどんどん友達増えるのかな………
「美優はさ…」
「ん?」
「巧君が女の子と一緒に仕事していて…辛くなったりしない?」
「え?」
「付き合いでご飯食べたり、キスシーンとか……」
「…妬くよ。すっごく。」
「妬くの?」
「妬くよ~羨ましいなって。」
「じゃあ、どうやって納得っていうか、消化しているの?」
「ん~うまく言えないんだけど…私がダメなんだよね。」
「え?」
「こうやって離れている間、巧との今までの思い出とか思い出したら会いたくなるの、私が。私が結局離れられないっていうか…」
「色々あったもんね…すごいって思う、二人の絆は。」
渡された台本を開くと相手役の名前は『愛』だった。
「これ…」
「うん?どうした?」
「いえ…」
愛なら…セリフも覚えやすいし。
「じゃあ、やってもらえるかな?」
「はい。」
『待って。どこ行くの…?』
『いいでしょ、どこでも…』
『……もしかしてアイツのところへ行くの?』
『私のことなんてほっといてよ!!』
『放っておけるわけないよ!』
『ちょっと…離して!』
『愛が好きなんだ…』
「あ、すいません。台本にないのに抱きついたりしちゃって…」
「別に…」
「いやいや、いいんじゃない!?感情かなり入っていたけどいいじゃない、ねぇ?」
前にいる男性たちが頷くなか、一人だけが首を縦に振らなかった。
「まだまだダメだな。」
「桐谷さん~まぁまぁ、外で待っておいてね。」
ヒロが外に出ようとしたときカサッとポケットがなった。
「これ、私の連絡先。連絡ちょうだい!」
「え?」
同じくオーディションを受けに来ていた人達が2人のやり取りをジロジロと見てくる。
「なんだよ、出来レースかよ。」
「え…?」
すれ違い様に耳元で言われ振り向いたら同じ部屋の男たちが睨んでいる。
「そんなんじゃ…」
「あんな風に気に入られて信じられるかよ、なぁ?」
言い返そうとした瞬間、スタッフの人が後ろから呼んできた。
「508番の方、中へ入ってください。」
「ほらほら、呼ばれてるよ。俺も親とか兄弟が芸能人だったらよかったぁ!」
「さっきのね、君の演技を見て君に決めようと思ってね。」
「え…でもまだオーディション受けてない人達が…」
「まぁまだオーディション自体は終わってないんだけど、君にしたいんだけど、どうかな?」
「それは、嬉しいですけど、でもまだオーディション受けてない人達にいい人がいるかもしれないので…」
「まぁ…それは大丈夫だよ。君じゃなきゃこの役は務まらないんだよ。」
先ほど指摘してきた桐谷が何か言いたそうだったが、腕を組んで黙り込んでいた。
「あの………桐谷さんはどう思っているのか知りたいです。」
「………お前がそれでいいならいいんじゃないか?お前の人生なんだから。」
「それはどういう…」
「いいじゃない!デビュー決まったってことでしょ?それが全てだよ!おめでとう♪」
「愛梨さん…」
「愛梨でいいって!これから撮影していくんだから、もっと仲良くなっておこうよ!あ、このあとご飯食べにいくよね?」
「このあとは用事が…」
「何言っているの!?この世界でやっていくならそういう付き合いって大事だよ!監督達も来るんだよ!」
「監督達も…」
「私たちはもう少し時間かかるから、それまで考えておいてね!」
愛に会って目の前でデビュー決まったって言いたかったけど…
愛がどんな顔をして喜んでくれるのか………楽しみにしていたんだけどな。「愛?ごめん、まだ時間かかりそうなんだ…ごめんね。」
「ううん!大丈夫だよ。今日は会えないかもって思ってたからさ。だから遅くても大丈夫。」
「愛、あのさ………」
「うん?」
「いや、ごめん。何でもない。」
やっぱり会った時にデビューのこと伝えたい。
愛の顔を見て…きちんと。
「気にしなくていいから!ヒロはヒロの…今を集中してね!」
「ヒロ!ご飯食べに行こう!」
後ろから愛梨が元気よく声をかけてくる。
「あ、ごめん。行かなきゃ。じゃあ後で必ず行くから。」
「あ、うん………」
今、女の子の声した………
仕事でこれから当たり前のように女の子とご飯も行くんだよね。
大学ではファンの抜け駆けは許されなくて。。。
だから、ヒロの友達でさえいられるのが嬉しかったけど、これからどんどん友達増えるのかな………
「美優はさ…」
「ん?」
「巧君が女の子と一緒に仕事していて…辛くなったりしない?」
「え?」
「付き合いでご飯食べたり、キスシーンとか……」
「…妬くよ。すっごく。」
「妬くの?」
「妬くよ~羨ましいなって。」
「じゃあ、どうやって納得っていうか、消化しているの?」
「ん~うまく言えないんだけど…私がダメなんだよね。」
「え?」
「こうやって離れている間、巧との今までの思い出とか思い出したら会いたくなるの、私が。私が結局離れられないっていうか…」
「色々あったもんね…すごいって思う、二人の絆は。」
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