【R18】アムール

かのん

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隣にいる私を見て…

ヒロとの出会い③

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「パパ…美優と同じクラスでプリントを渡しに来てくれたのよ。」



「初めまして、美作愛です。」



「…愛?」



「はい…愛…ですけど…」



美優のお父さんは急に奥へ戻ってまた戻ってきた。



「これは君に…」



「え…?」



出されたのは小さな白いケーキ箱



中を開けるとミルクチョコレート、ストロベリーチョコ、ホワイトチョコで作られた3種類のオープンハートが倒れそうで倒れない絶妙なバランスで交互に並べられているチョコレートケーキが入っていた。



「謝りたい友達がいるからって…その子をイメージしたと聞いた。」



「わ…たし?」



「ふふ…愛ちゃんの名前をイメージして作ったのね。」



「…違います…謝りたいのは私なんです…私この間手を振り払われたことがショックで無視しちゃって…」



「でもあなたはこうやって今日ここに来てくれた。それがすごく嬉しいわ、私も美優も…また、遊びに来てくれる?」



「はい…」



美優が私をイメージして作ってくれたっていうことが嬉しくて、大事に箱を抱えてお店を出た。



「家どこ?」



「●×…」



「学校から正反対じゃん。俺が箱持っておこうか?また倒れたら大変だし。」



「ううん…私が持っておきたい。」



「そっか…」



ヒロが嬉しそうに微笑みながら私のカバンを持ってくれた。



今思えば美優が作ったケーキを大事にしてくれる人がいることが嬉しかったんだと思う。



だけど、このときの私はヒロに優しくされたことが嬉しくて…ヒロの気持ちはまだ知らなかった。

「美優…」



ヒロの声で美優が上の部屋から見ていてくれることを知った。



「み…美優!」



最初は気まずそうな顔をしていたけど名前を呼ばれて急いで窓を美優は開けてくれた。



「ケーキありがとう!あと…ごめんね!無視して……早く学校来てね!美優がいないと寂しいよ。」



マスクをしていたけど、それでも美優が笑顔なのがわかる。



目尻が下がって首を何度も縦に振っていた。



この日のことは今でも覚えてる



美優と“友達”になれた日だから――




「……美優の手って荒れてるんだよね。」



「え?」



「おじさんのお店手伝ったり家事したりして…だから手を繋がなかったと思うよ、体育の時。」



「あ…そっか隣のクラスだから見てたんだ。」



体育は二クラス合同で行われていて、ヒロに見られていたらしい…



「そんなの気にしないのに…」



「愛が痛がるのが嫌だったと思うよ。」



「…本当優しいんだね、美優は。」



「うん…優しいよ…でも愛も優しいじゃん。」



「え!?私!?」



呼び捨てだけでもドキドキするのに…嬉しいことをサラリと言わないでくれ!



「ふ、二人はさ、付き合っているの?」



「え…?」



二人が付き合っているっていう噂は学校中に広まっていて…すごく気になってしまった。



「付き合えないよ…」



「え…?」



「付き合っている」とか「付き合ってない」とかそういう言葉じゃなくて違う言葉が返ってきて…



中学生の私にはその言葉がどういう意味か理解できなかった。



「このままの関係がずっと続けばいい――」



そういったヒロは泣き出しそうで



何があったのかって聞きたかったけどその表情をみたら聞けなかった



これ以上は聞いてはいけない



そう思っていたけど…



でもこの時聞いてあげればよかったかな?



二人の間に何があったのって…



そうすれば美優は巧君と結婚しなかったのかな?
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