ねぇ、先生。【R18】

かのん

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先生ver.

クリスマスプレゼント②

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「健さん、ここなんだ、予約したお店。寒いから早く入ろう?」



「…うん。」



目の前にはトリュフとかフォアグラとか色々と高級食材の名前を出しながら料理の説明をされていったけど、どれも同じ味で何を食べているのかもわからない。



安奈にもシェフにも悪いけど、今は奈々のことで頭がいっぱいだ



「健さん…あの、健さん?」



「あ…ごめん。」



「クリスマスプレゼントがあるの。」



「え…?」



「これ…開けてみて。」



差し出されたのは小さな箱と長方形の箱だ。



長方形のほうのラッピングをほどいて驚いたのは言うまでもなかった・・・



「奈々…」



化学部で撮った卒業式の写真



奈々と、薬指と薬指を絡めているのが生徒の隙間からわかる――



「…やっぱりまだ好きなんだね。奈々のこと。」



今までの安奈だったら奈々の名前を出せば一瞬で表情が強張っていたけど、今日は寂しさはあるけど穏やかな表情をしていた。



「父が…危篤状態になったとき健さんの喪服を探していたら見つけたの。そのとき奈々の携帯番号が書かれた紙も見つけて…」



だから安奈はこの写真や携帯番号が書かれたメモをみて俺の相手は奈々だと確信していたのか



「この写真立ては…」



「私から奈々にクリスマスプレゼント…奈々が持っている写真は汚れてしまったと思うから。」



もうひとつの小さな箱を開けると中には安奈がしていた結婚指輪が入っている。



「卒業後結婚する話はなかったことにしましょう。これが私から健さんへのクリスマスプレゼント。」



「安奈…」



「健さん…優しくしてくれてありがとう。でも私、もう大丈夫。奈々に何かしようとかそういうのは思っていないし、奈々には…悪いことしたって思ってる。」



「いや、それは俺のほうが…安奈、本当にごめん。言葉では謝りきれないって思ってる。」



「うん…だからここ一年ずっと私のそばにいて支えてくれたことに感謝しているの。お父さんも感謝しているって言ってた。援助はそのままにしておくって…」



「お義父さんが…?」



「お義父さんが危篤状態だったとき、健さんが必死に謝っていたの聞こえていたんだって…」



『安奈…お前健君とはどうなんだ?』



『え?……どうって…普通だよ。』



『結婚してからお前たち変わったな。』



『…そんなことないよ。』



『お前も健君も元気がなくなった。本当は…健君好きな人がいるんじゃないか?』



『え!?』



『お前の今の返事…そうなんだな。危篤状態だったころ健君に耳元で謝られたんだ。』



『……』



『安奈…お前は今幸せなのか?』



『幸せ……だと思ってた。毎日そばにいれなくても、連絡とれるだけで幸せだと…だけど本当は健さんに毎日会いたい。こんなにも辛い思いをしても奈々と健さんはまだお互いを思いあってるッ…』



『好きな人の幸せを願うって簡単じゃないんだよ……辛くて苦しい、だけどその人がいるだけで幸せだと思う。それが恋なんだよ。』



『お父さん…』



「……健さんに言ってなかったけど私も実は北海道にあなたを追いかけていったの。それで奈々に、妊娠しているって嘘をついたの。」



「妊娠…?」



「妊娠しているはずがないよね、私たち…だけど奈々は喜んでくれた。絶対つらかったはずなのにおめでとうって言って、私の体を大事にしてくれたの。」



安奈があの日のことを思い出して涙がこぼれ始めてくる。



「奈々があなたの前からいなくなって…本当は少し期待していたの。私のこと少しは好きになってくれるかもって…だけど、逆にあなたと奈々の強い絆を見せつけられた。」



「え?」



「本当は…奈々さっきいたんでしょう?」



「あ…」












「あんなにたくさんの人がいたのに…一瞬で見つけてしまう。きっとそれは運命の人――」











安奈が席を立ち俺の腕を引っ張って椅子から立ち上がらせた。



「私も奈々と健さんみたいな恋がしたい。」



俺の左手の薬指から指輪を抜き取ってテーブルの上に静かに置いた。



「これ、奈々の実家の住所。もしかしたら実家に帰っているかもしれないから。」



「安奈…本当にありがとう。そして傷つけて本当にごめん。」



「私も気持ちの切り替えに時間がかかってごめんなさい…でも心から今は応援したいって思う。だから奈々をちゃんと捕まえてあげて。」



安奈に背中を押されて急いでさっきであった交差点に行ったけどいなくて…



近くの居酒屋とかを見て回っても奈々はいない。



「綾部先生…?」



「え…?」



振り向けば林先生が立っていた。



てことは奈々も近くにいるのか…?



「あの…早瀬先生は?」



「……」



問いかけても林先生は何も発さずに言葉の代わりに白い息だけが出ている。



やっぱりさっき怒っていた表情がすべてを語っているのだろう



「じゃあ…」



「今頃…現われて奈々ちゃんに何の用だよ!さっきまで奥さんといただろう!!」



立ち去ろうとする俺の左腕を力強くつかんで奈々を探そうと踏み出した足を止められた。



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