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甘くて酸っぱい苺のような恋愛
クリスマスイブ
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「翔君…」
「ごめん、遅くなって…」
会社の近くの公園のベンチで待ち合わせをしてご飯を食べにいく約束をしていた
今日はクリスマスイブだからデートしようって…
「あの、翔君…」
「花音…」
二人同時に話し始めてしまいお互いに先を譲る。
「じゃあ…俺からいい?」
「うん。」
「俺…」
一言発してから次の一言が出る代わりに白い息だけが翔の口から出る。
「…来年会社辞めてアメリカに行く。」
「…うん。実はこの間カノンさんから聞いた。」
「あ…ごめん。なかなか言い出せなくて…」
「ううん…お父さんの跡を継ぐの?」
「…いや。友達に誘われて…その会社に行く。」
「友達の会社?」
「プラモデルの会社で…俺は飛行機が好きだから飛行機のプラモデルを一緒に作らないかって。」
「そっか。翔君飛行機とか好きで本読んでたもんね。」
「今までやってきたことない仕事をするから失敗するかもしれない、ましては知らない土地だから行くのを正直迷っていた。それに…」
下唇を軽く噛んでさらに翔は話し続ける。
「もう日本には…戻ってこないと思う。」
日本にはもう戻ってこないということは
翔君についていかなきゃ離れ離れになるってこと…だよね?
また、あの時みたいに離れ離れになっちゃうの…?
「……で?」
「え?でって…?」
「いや、だからその先の話。それから翔は何て言ったの?」
「何てって…特に何も。花音が一人になりたいって言うから帰ったし。」
「え!?翔はさ、花音とどうなりたいの?アメリカに一緒に来いって言わないと離れ離れなわけだよね?おばちゃんビールおかわりお願い!」
翔と海斗はクリスマスイブだというのに海人のお気に入りのお店に男二人で飲んでいた。
「本当は一緒に来てほしいけど…知らない土地で友達もいないし、仕事も成功するとは限らないし…だからといって日本と遠距離で花音を縛り付けるのも…」
「あのさ…」
海斗はおかわりしたビールを一気飲みして怒りも一緒に飲み込む。
「女心ぜんぜんわかってないね、翔は。」
「女心?」
「まぁね。翔の気持ちもわかるよ。男として色々責任もあるし、格好つけたい気持ちもわかる。だけどさ…」
海斗が翔の肩に腕を回しカウンターの横に座っている翔の顔を覗き込む。
「辛い時も悲しい時も苦しい時も…好きな人なら支えたいって思うんだよ。お前だって花音がそばで笑っていれば何でも頑張れるんじゃないの?」
「…」
「花音ももう幼稚園の頃の花音じゃないんだし…お前だってもう大人なんだから、花音のほしいものをあげてもいいんじゃない?」
「花音がほしいもの…?」
「花音がほしいものの答えはコレだよ。」
“コトン…”
「これは…」
カウンターの上に置かれたのは小さい箱
「お前がそんなにうかうかしているなら、これを花音に渡すよ。」
「え…?」
「花音のそばにいないってこういうことだよ。俺じゃなくてもほかの誰かが奪っていくことだってあるってこと。あ、おばちゃんこれお代~今度日本に帰ってくるからまた来るね。じゃあね、翔。」
「え!?どこに行くんだよ?」
「今日はクリスマスイブだよ?俺は待ち合わせしているんだよ。」
「待ち合わせって…まさか花音?」
「…まぁいいか、お前も来いよ。」
「え!?」
海斗はお店を出て躊躇うことなく歩き出す。
翔はクリスマスイブで人で溢れかえっている歩道で海斗の跡を追うので精一杯だ。
「ごめん、遅くなって…」
会社の近くの公園のベンチで待ち合わせをしてご飯を食べにいく約束をしていた
今日はクリスマスイブだからデートしようって…
「あの、翔君…」
「花音…」
二人同時に話し始めてしまいお互いに先を譲る。
「じゃあ…俺からいい?」
「うん。」
「俺…」
一言発してから次の一言が出る代わりに白い息だけが翔の口から出る。
「…来年会社辞めてアメリカに行く。」
「…うん。実はこの間カノンさんから聞いた。」
「あ…ごめん。なかなか言い出せなくて…」
「ううん…お父さんの跡を継ぐの?」
「…いや。友達に誘われて…その会社に行く。」
「友達の会社?」
「プラモデルの会社で…俺は飛行機が好きだから飛行機のプラモデルを一緒に作らないかって。」
「そっか。翔君飛行機とか好きで本読んでたもんね。」
「今までやってきたことない仕事をするから失敗するかもしれない、ましては知らない土地だから行くのを正直迷っていた。それに…」
下唇を軽く噛んでさらに翔は話し続ける。
「もう日本には…戻ってこないと思う。」
日本にはもう戻ってこないということは
翔君についていかなきゃ離れ離れになるってこと…だよね?
また、あの時みたいに離れ離れになっちゃうの…?
「……で?」
「え?でって…?」
「いや、だからその先の話。それから翔は何て言ったの?」
「何てって…特に何も。花音が一人になりたいって言うから帰ったし。」
「え!?翔はさ、花音とどうなりたいの?アメリカに一緒に来いって言わないと離れ離れなわけだよね?おばちゃんビールおかわりお願い!」
翔と海斗はクリスマスイブだというのに海人のお気に入りのお店に男二人で飲んでいた。
「本当は一緒に来てほしいけど…知らない土地で友達もいないし、仕事も成功するとは限らないし…だからといって日本と遠距離で花音を縛り付けるのも…」
「あのさ…」
海斗はおかわりしたビールを一気飲みして怒りも一緒に飲み込む。
「女心ぜんぜんわかってないね、翔は。」
「女心?」
「まぁね。翔の気持ちもわかるよ。男として色々責任もあるし、格好つけたい気持ちもわかる。だけどさ…」
海斗が翔の肩に腕を回しカウンターの横に座っている翔の顔を覗き込む。
「辛い時も悲しい時も苦しい時も…好きな人なら支えたいって思うんだよ。お前だって花音がそばで笑っていれば何でも頑張れるんじゃないの?」
「…」
「花音ももう幼稚園の頃の花音じゃないんだし…お前だってもう大人なんだから、花音のほしいものをあげてもいいんじゃない?」
「花音がほしいもの…?」
「花音がほしいものの答えはコレだよ。」
“コトン…”
「これは…」
カウンターの上に置かれたのは小さい箱
「お前がそんなにうかうかしているなら、これを花音に渡すよ。」
「え…?」
「花音のそばにいないってこういうことだよ。俺じゃなくてもほかの誰かが奪っていくことだってあるってこと。あ、おばちゃんこれお代~今度日本に帰ってくるからまた来るね。じゃあね、翔。」
「え!?どこに行くんだよ?」
「今日はクリスマスイブだよ?俺は待ち合わせしているんだよ。」
「待ち合わせって…まさか花音?」
「…まぁいいか、お前も来いよ。」
「え!?」
海斗はお店を出て躊躇うことなく歩き出す。
翔はクリスマスイブで人で溢れかえっている歩道で海斗の跡を追うので精一杯だ。
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