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狼さんに反撃する時はタイミングが重要です。
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しおりを挟む今日は朝帰りをしてきた先輩達。
俺たちは朝まで残してもらえないけど、クラブで過ごす彼等にはよくある事だ。少しずるい気もするが、どうせ起きてられないので家のベッドで眠る方が得策なのは分かっている。
ちょうど朝ごはんを3人で食べていた時に帰宅してきたので、先輩達も食べますかと聞けば当然頷く。
あっという間に2倍に増えた食卓は賑やかになって一瞬でお皿は空になった。
そのあとにお風呂に向かった3人を見送り俺たち3人は片付けタイム。
それも終わって電子コミックの新刊を読みながら椅子に座っていると、お風呂から出た瑠衣先輩だけが眠そうで何故かご機嫌斜めだった。
ソファで大きな犬のぬいぐるみを抱きしめながら駄々を捏ね始める。
「何でひーと暮ちんそんな元気なワケ。なんかヤダ、なんかムカつく~」
「あはは、そのわがまま言う瑠衣先輩可愛いです~」
唯が隣で瑠衣先輩の頬を突くとお返しとばかりにくすぐられている。この2人のゆるい遊び姿がまた可愛いんだよな。
「変なこだわりあるよね、瑠衣」
苦笑気味に小さく微笑む暮刃先輩。
氷怜先輩も暮刃先輩も確かにいつも通りだ。それに瑠衣先輩の不思議な不満は2人には経験があるらしい。氷怜先輩は冷蔵庫からペットボトルを取り出し口をつけるとようやく振り向いた。
「眠くねぇ」
「エエエーーー、面白くなーい」
「仮眠に面白いも何も無いだろ。寝てこいよ」
その後も不満気にしながらも結局眠気が勝ったのか、なんかイヤーとかつまんなーいとか言いながら氷怜先輩のペットボトルを奪い二階の寝室に向かっていった。
俺の目の前で優が不思議そうに暮刃先輩に聞く。
「瑠衣先輩眠いと機嫌悪くなる、訳じゃないですよね?とゆか寝たい時に寝る人だし……」
「うん、一緒に行動して朝迎えたら全員で昼寝とやらが瑠衣の常識らしい」
「……なんか、可愛い」
くすくす笑う優。ひとりっ子の拗れ方が分からねえわ、とため息を吐く氷怜先輩。
対象的な2人を見ながら俺は類似経験を思い出す。俺の家の双子も寝る時2人一緒じゃ無いとぐずるんだよな。それと似たようなものかもしれない。歳の差が凄えけど。
無意識に階段先の2階を見ていると暮刃先輩に見られてしまう。
「秋一緒に寝てくれば?」
「んー、でも今の理論でいくとあの不機嫌を解消するのは一緒にオールした先輩達じゃなきゃダメなのでは?」
俺が首を傾げると、暮刃先輩は品よく微笑んだ。とてもオール明けとは思えないほど今日も綺麗なお顔だ。
「根本は気に入ったものと同じ空間で生きる、みたいなとこから来ていると思うから秋の存在は有効だよ」
「あー、だから瑠衣先輩って撮影に先輩達連れてくんだ!」
唯の閃きに俺も納得。
なるほど、そのわがままの根本はそこからきてるわけか。
「そうそう、まあ撮影は困ったものだけど……とにかく秋は最上級の不機嫌特効薬だし、効果は抜群かな」
「これまた欲に忠実に生きてるなぁ……んじゃまあ一緒に寝てきますかね」
そんな感じで送り出され寝ている部屋に向かったら、俺の方にむくりと向き直り両手を広げた瑠衣先輩。
「はいはい、抱き枕が行きますよーっと」
「来るのがオソーイ」
ベッドに上がり込めば引っ張れすっぽりと腕の中。
「子ども体温アツい~」
「風呂上がりの誰かさんの方が暑いんですが」
「今日も抱き枕がよく喋るネ~」
そんな文句を言うだけ言ってすぐに呼吸がゆっくりになった瑠衣先輩。俺もよく寝るけど瑠衣先輩も良い勝負だ。お互い寝つきが良すぎて本当に一瞬で寝ちゃう。だから俺もすぐに夢の中だ。
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