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別世界のあの子と彼ら
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「あ、この部屋がすごいから緊張するとかですか?あう違う、敬語いらない、そう、えーと心配いらない!おれも最初ひゃあってなったし、あとここは自由空間で先輩たちとの部屋とは別だから」
先輩、というのはおそらく獅之宮氷怜たちの事だろう。個人的な部屋が他にもあるのかと考えると途方もない世界だ。
「……ここ、いつも何してんの?」
「え?ご飯食べたり、たまにゴロゴロして眠ったり……宿題したり?」
「ぶっ……!」
最後の一言で一気に気が抜けて吹き出してしまった。クラブで宿題?
どこの世界にこんなとこで真面目に勉強する高校生がいるんだ。異質すぎる。
エイキは肩を震わせながら、それでも真面目に答えていた唯のために声を抑えるが流石の唯でもツボに入った彼の様子には気がつく。
「エイキさん……」
「いや、悪い。ははっ、でもここで勉強するんなら尚更普通じゃないんだよなぁ」
「え?でも勉強は大事だからなぁ……先輩達も教えてくれ……あ、ほら!それよりも風邪ひいちゃうから早く!」
唯は思い出したようにぐいぐいとエイキの背中を押してついに部屋の中へ、そして脱衣所の前まで来てしまった。もう流石に観念するしかないのかもしれない。
エイキが脱衣所を覗くと大理石の洗面台に大きな鏡に高級そうなアメニティが綺麗に並べられていた。余計にホテル感が増す。
「あー……てゆか先に入りなよ、俺は良いから」
「だめ、お客様なんだから」
それは唯も同じではと思ったがこのクラブで好き勝手動ける彼にとってはまた見方が違うのかもしれない。だとしてもいまいち先にシャワーを浴びる事を憚らせているのは唯の容姿だった。
「なんか、なぁ。すぐ風邪引きそうだし……」
「見た目で判断は良くない、風邪なんて引いた記憶もな……ってもうそんなに言うなら一緒にぱっと入って着替えよ!」
「……はあ?」
なんか、なんだろう。この、女の子に言われてる感じ。
何言ってんだこいつとすらエイキ思ってしまった。無防備すぎる。いやしかし、目の前の唯は男である。ここが温泉なら当たり前に一緒に入ることになるのだ。男同士の裸の付き合いなんてどこにでもある日常だ。
唯斗の言い分はおかしい訳ではない、がそれがわかっていてもエイキには飲み込めない申し出だった。あまりにも自分の価値に疎い少年の身を案じたのだ。
多分、というか確実にこの子達はチームの人間に守られている側なのだ。紫苑のトラブルに対してこっちの仕事と言う発言や、唯に何かあれば氷怜達が黙っていなさそうな発言、どんなにいい子で話しやすいとしてもこの場でこの子は特別なのだろう。
「……あのな、たぶんそれやばいだろ」
エイキがそう言うときょとんとした唯斗は首を傾げた。今度は唯斗が何を言ってるんだこの人はみたいな顔つきになる。
そして、曲げた人差し指を口元に当ててくすりと笑った。
「エイキさん、気にしすぎ」
ああ、なんで男にまで人気があるのかよく分かる。
可愛いと大人っぽい色気の間を行ったり来たりする表情を見ると、自分の物にしたくなるからだ。
「唯斗」
その声だけで唯の瞳が反射的に動いた。
丸い瞳が輝くその先にエイキは目を見張る。
先輩、というのはおそらく獅之宮氷怜たちの事だろう。個人的な部屋が他にもあるのかと考えると途方もない世界だ。
「……ここ、いつも何してんの?」
「え?ご飯食べたり、たまにゴロゴロして眠ったり……宿題したり?」
「ぶっ……!」
最後の一言で一気に気が抜けて吹き出してしまった。クラブで宿題?
どこの世界にこんなとこで真面目に勉強する高校生がいるんだ。異質すぎる。
エイキは肩を震わせながら、それでも真面目に答えていた唯のために声を抑えるが流石の唯でもツボに入った彼の様子には気がつく。
「エイキさん……」
「いや、悪い。ははっ、でもここで勉強するんなら尚更普通じゃないんだよなぁ」
「え?でも勉強は大事だからなぁ……先輩達も教えてくれ……あ、ほら!それよりも風邪ひいちゃうから早く!」
唯は思い出したようにぐいぐいとエイキの背中を押してついに部屋の中へ、そして脱衣所の前まで来てしまった。もう流石に観念するしかないのかもしれない。
エイキが脱衣所を覗くと大理石の洗面台に大きな鏡に高級そうなアメニティが綺麗に並べられていた。余計にホテル感が増す。
「あー……てゆか先に入りなよ、俺は良いから」
「だめ、お客様なんだから」
それは唯も同じではと思ったがこのクラブで好き勝手動ける彼にとってはまた見方が違うのかもしれない。だとしてもいまいち先にシャワーを浴びる事を憚らせているのは唯の容姿だった。
「なんか、なぁ。すぐ風邪引きそうだし……」
「見た目で判断は良くない、風邪なんて引いた記憶もな……ってもうそんなに言うなら一緒にぱっと入って着替えよ!」
「……はあ?」
なんか、なんだろう。この、女の子に言われてる感じ。
何言ってんだこいつとすらエイキ思ってしまった。無防備すぎる。いやしかし、目の前の唯は男である。ここが温泉なら当たり前に一緒に入ることになるのだ。男同士の裸の付き合いなんてどこにでもある日常だ。
唯斗の言い分はおかしい訳ではない、がそれがわかっていてもエイキには飲み込めない申し出だった。あまりにも自分の価値に疎い少年の身を案じたのだ。
多分、というか確実にこの子達はチームの人間に守られている側なのだ。紫苑のトラブルに対してこっちの仕事と言う発言や、唯に何かあれば氷怜達が黙っていなさそうな発言、どんなにいい子で話しやすいとしてもこの場でこの子は特別なのだろう。
「……あのな、たぶんそれやばいだろ」
エイキがそう言うときょとんとした唯斗は首を傾げた。今度は唯斗が何を言ってるんだこの人はみたいな顔つきになる。
そして、曲げた人差し指を口元に当ててくすりと笑った。
「エイキさん、気にしすぎ」
ああ、なんで男にまで人気があるのかよく分かる。
可愛いと大人っぽい色気の間を行ったり来たりする表情を見ると、自分の物にしたくなるからだ。
「唯斗」
その声だけで唯の瞳が反射的に動いた。
丸い瞳が輝くその先にエイキは目を見張る。
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