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溺れる
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「め、めっちゃきつい!!」
「とにかく走って!」
エレベーターから出てきた男に一番近くにいた優が掴まれ、あろうことか引っ張られたジャケットを破られる。
や、野獣?!と馬鹿なことを考えているうちに桃花が足で蹴り上げ優を確保。そして後ろの数人へ桃花と式がヒールを脱いで投げつける。2人は俺たちの腕を掴み相手が怯んだその隙に駆け出した。
「Stop!!」
止まれるわけがない。叫ばれた瞬間おれの肩に誰かの手がかかるが双方の引っ張りの末なんとか脱出。しかしビリリとワンピースの肩紐が片方千切れたため情けない姿に。みんなもせっかく可愛いメイクに可愛い格好で完璧にしたのに、悔しいぃ。
「赤羽さんごめんなさいー!!」
「しょうがないですから!前見て!」
エレベーターは逆の場所にもう一つあるが、今の間合いでは先に乗り込むのはまず無理なのでとにかく階段を使って逃げている訳だ。もう足がパンパンの中、秋が叫ぶ。
「あれが、あの、えーと、変態の方でしょうかね?!」
「知らないけど!囲まれて、捕まえられそうになるし、ジャケット破られたら!逃げるしかなくない?!」
「野獣すぎる!顔は、格好いいのに!!」
「こんな時まで相手褒めてんじゃねえ!あほ!」
おれはと言えば後ろで叫ぶ怖いセリフを聞いてしまった。さっきの人はグリオみたいに日本語が達者ではないようで、叫ぶような言葉から日本語はほとんど聞こえてこない。でもおれは聞いてしまったこの前見たハードボイルド映画と同じセリフ。
「100年に一度の上玉だ、デリシャス!!って言ってたんだよ!怖くない?!食べ物?!」
「変なとこだけリスニングすんなよ!!」
「そんな映画見ないで下さい!」
式と桃花がもはや切れ気味のツッコミだ。流石に2人は鍛え方が違うのかまだまだ元気そう。階段は螺旋状でそれぞれの階につながる通路がある。先輩達がいるところまでいければと思ったら下からも上からも足音が。なんだか物騒な叫び声でさっきの人たちだと確信し一番近くの階の通路に逃げ込んだ。もはや何階にいるのかもわからない。
「でも、このままじゃ!エレベーターも階段も使えないよ?!」
「どこでもいいからドア叩け!1人くらいいるだろ!」
このホテルは客室すべてオートロックなので鍵が空いていることは無いから叩いて開けてもらう他ない。他のお客様にはバカンス中に大変申し訳ないが緊急事態なので許してくれ。だけど5部屋は叩いたのに誰も出てこない。
「もーー!夕食中かなぁ!!」
「つーか俺たちも食べ終えてねぇー!!」
もはや色々泣きそう。しかももうこの階の部屋がほとんど残っていない。残り3部屋を3人同時に叩く。秋も優も目の前のドアを何度叩いても開きはしなくて、おれは最後だと腹を括る。
力一杯ドン!と叩いたドアも反応はない。
もうダメだと思いながらドア叩き続ける。
「すみません!誰かいませんかー!!あわ!!」
「唯?!」
勢い余って転倒。
だって最後のドアが、開いた。
「とにかく走って!」
エレベーターから出てきた男に一番近くにいた優が掴まれ、あろうことか引っ張られたジャケットを破られる。
や、野獣?!と馬鹿なことを考えているうちに桃花が足で蹴り上げ優を確保。そして後ろの数人へ桃花と式がヒールを脱いで投げつける。2人は俺たちの腕を掴み相手が怯んだその隙に駆け出した。
「Stop!!」
止まれるわけがない。叫ばれた瞬間おれの肩に誰かの手がかかるが双方の引っ張りの末なんとか脱出。しかしビリリとワンピースの肩紐が片方千切れたため情けない姿に。みんなもせっかく可愛いメイクに可愛い格好で完璧にしたのに、悔しいぃ。
「赤羽さんごめんなさいー!!」
「しょうがないですから!前見て!」
エレベーターは逆の場所にもう一つあるが、今の間合いでは先に乗り込むのはまず無理なのでとにかく階段を使って逃げている訳だ。もう足がパンパンの中、秋が叫ぶ。
「あれが、あの、えーと、変態の方でしょうかね?!」
「知らないけど!囲まれて、捕まえられそうになるし、ジャケット破られたら!逃げるしかなくない?!」
「野獣すぎる!顔は、格好いいのに!!」
「こんな時まで相手褒めてんじゃねえ!あほ!」
おれはと言えば後ろで叫ぶ怖いセリフを聞いてしまった。さっきの人はグリオみたいに日本語が達者ではないようで、叫ぶような言葉から日本語はほとんど聞こえてこない。でもおれは聞いてしまったこの前見たハードボイルド映画と同じセリフ。
「100年に一度の上玉だ、デリシャス!!って言ってたんだよ!怖くない?!食べ物?!」
「変なとこだけリスニングすんなよ!!」
「そんな映画見ないで下さい!」
式と桃花がもはや切れ気味のツッコミだ。流石に2人は鍛え方が違うのかまだまだ元気そう。階段は螺旋状でそれぞれの階につながる通路がある。先輩達がいるところまでいければと思ったら下からも上からも足音が。なんだか物騒な叫び声でさっきの人たちだと確信し一番近くの階の通路に逃げ込んだ。もはや何階にいるのかもわからない。
「でも、このままじゃ!エレベーターも階段も使えないよ?!」
「どこでもいいからドア叩け!1人くらいいるだろ!」
このホテルは客室すべてオートロックなので鍵が空いていることは無いから叩いて開けてもらう他ない。他のお客様にはバカンス中に大変申し訳ないが緊急事態なので許してくれ。だけど5部屋は叩いたのに誰も出てこない。
「もーー!夕食中かなぁ!!」
「つーか俺たちも食べ終えてねぇー!!」
もはや色々泣きそう。しかももうこの階の部屋がほとんど残っていない。残り3部屋を3人同時に叩く。秋も優も目の前のドアを何度叩いても開きはしなくて、おれは最後だと腹を括る。
力一杯ドン!と叩いたドアも反応はない。
もうダメだと思いながらドア叩き続ける。
「すみません!誰かいませんかー!!あわ!!」
「唯?!」
勢い余って転倒。
だって最後のドアが、開いた。
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