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たこ焼きパーティーが似合わない
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しおりを挟む「ねぇー、いつになったらタコパが出来るのー?」
「へ?」
シェアハウスにみんな揃って時間もいい頃合い、今日の夕飯は何にしようかと暮刃先輩が立ち上がったのでおれも手伝うと申し出た時だった。突然瑠衣先輩がタコパというので固まる。
「タコパ……あ!」
そう言えばいつか瑠衣先輩がやりたいと言っていたのを思い出した。ソファに居た秋が隣の瑠衣先輩にすかさず突っ込む。
「ってそんなに食べたかったなら早く言ってくださいよ」
「えー今思い出したカラしょうがなくない?」
それってつまりそこまで待ってた訳じゃない……とか思ったが瑠衣先輩がそう言い出したら今日はもうタコパなのだ。キッチンで器具を探してみる。
「たこ焼きの道具この家には……無い!……から、うちにあるの持ってこようかな?」
「ああ、いや、持ってこなくて良い。もう一つ買えよ。瑠衣が自分から言った食欲は定期的に復活する」
「な、なるほど……?」
氷怜先輩の口振りから以前にもあった事らしく暮刃先輩もうんうんと頷く。
どちらにしろ買い出しから始めないといけない。器具の買い出しに食材もたこ焼き粉なんて無いだろうし。
「じゃあお買い物でも行きますか!」
「唯待って、必要なものわかるなら話してくれる?」
買い物と意気込んだが何故かスマホを手渡され、画面には那加さんの文字。
「もしもーし、唯かー?」
「え、あ、はい唯です?」
「何で疑問系なんだよ」
はははと笑われても買い物に行くのに電話する理由がわからない。すると那加さんがたこ焼きの具材を口にした。
「本場のたこ焼きってたこ焼き粉使わないんだよなぁ。タコ以外に入れたいものあるか?キャベツとかはもうある」
「んん?えっと……い、入れたいものはキムチ?チーズ?」
「あーチーズはもうある。キムチね!刻んで少し触感残すと美味いよな。何だわかってんなさすが。んでほかは?」
「ちょちょっと待ってください。まさか買ってきてくれようとしてます?」
「ん?そうだけど」
いやいやいや、人様に晩御飯の食材を買ってきてもらうわけにはいかない。暮刃先輩の顔を見るがどうかした?と微笑んでいる。
普通なの?これが普通なの?いやなんか送り迎えとかですら申し訳ないのに、こんなことまでさせるのは流石にダメだ。いつも那加さんには料理を作ってもらってるけどそれはチームの人達だって食べるからまた話が違ってくる。
焦るおれに優が貸してと手のひらを向けたのでバトンタッチ。
「もしもし、那加さん優です。はい、はい、いや、俺たち行きますけど……でも……んー、あ、じゃあみんなで来たら良いんじゃ無いですか?」
「え?」
「タコパってたこ焼きパーティーなんで」
そんなのみんな分かってるけど、ワザと優がそう言ったのはちょっとむくれているからだ。
「唯、他に材料あったらお願いして」
「はい」
また戻ってきたスマホにおれは思いつく限りの材料を教えていく。目の前では優がむくれながら流石にこんなことまで他の人にお願いしないで下さいと暮刃先輩に注意している。
当の本人は怒られながらも嬉しそうなのだけど。多分むくれて注意する優が可愛いからだ。
「もしかして優いま暮刃さん叱ってる?」
「あ、聞こえますか?してます。それにおれも流石に申し訳ない思いですが……」
「てゆーか暮刃さんに怒れるってやっぱりすごいわお前ら」
秋も秋で瑠衣先輩にタコパとかは器具いるしちゃんと予定立ててやるんですよ!と教えてるけど瑠衣先輩はいーじゃんどうにかなってるしと笑っている。
「これはすごいっていうか一般ピーポーには驚きな事実だったと言うか……あ」
「那加、酒も買ってこい。誰くるかしらねぇけどお前らの分も」
今度は氷怜先輩に奪われたスマホ。
それから数回会話を繰り返すとそのまま通話が終わってしまった。
「いいんでしょうか……」
「まあ、結局あいつらも食うし……それにクラブによく顔出してる奴らはマジで足に使った方が喜ぶ。ドMだろ」
「ど……どえむ」
不敵に笑ってそう言われてしまうと黙るしかない。
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