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しおりを挟む彼女にとっての芸能人はおれたち。
口を閉じるのも忘れて愕然としていたら、頭を抱え出す式。彼はこれを恐れていたのかも知れない。
「唯ちん……」
「あうう、ごめんなさい~!」
瑠衣先輩まであららと困った顔。
最近はクラブの人たちのノリの良さとか入れ替わり立ち替わりで新しい知り合いが増えていくから深く話す機会が無かったし、この前迄普通の人間としてこんにちはから始めるスタンダードコースだったわけで。
落ち込むおれに暮刃先輩の手が頭に乗った。
「女性を素直に褒めるのは君達の良いところだけど、もう少し見極めてね」
「はい……」
暮刃先輩のお叱りにおれだけでなく秋も優も返事をする。思い当たる節があるらしい。
そんなおれ達に瑠衣先輩がニヤリと笑った。
「まあ、いざとなったら暮ちんがまとめて打ち消すカラ」
「瑠衣……」
打ち消すって?と首を傾げたが咳払いで誤魔化された。無かった事にして暮刃先輩はこの状況に首を傾げる。
「それで、何がどうしてこうなってるわけ?」
「唯斗さんたちのアカウントが今大人気なんですよ」
何にも話していないのに事情通な赤羽さんが瑠衣先輩の隣で笑った。へえとかふーんとかそれぞれ反応するが特に2人に響いた様子はない。
「見ます?」
優が差し出したスマホを綺麗な指が拾い上げる。スマホを覗く2人に爽やかに赤羽さんが実はと話し出した。
「最新人気ランク、一位を取ってますよ」
「へー」
赤羽さんが補足したそれはおれたちも初耳だ。そのアプリにそんな機能があったなんてと、本人達が気の抜けた声を出したので瑠衣先輩が笑い出す。
「相変わらず自分の事にウトイねーって言ってもオレはそれしらないけど」
「紫苑もやってるやつ?……うーん、初めて見た」
「え?」
優が驚きの声をあげる。
なんでも知ってる暮刃先輩のその言葉が意外だったのだ。幾らなんでも見たことくらいありそうなのに。
お客様がいる手前下手なことを言えないのか、紫苑さんが小声で耳打ちをしてくれる。
「瑠衣さん達本当に興味ないから、他人に。だからSNSも眼中になし」
「それは……想像できますね」
必要最低限と興味の対象に対してしか動かないのは身をもって感じている。なぜかニヤニヤし出した紫苑さんがさらに続ける。
「つまりSNSのリテラシーだけはその辺のおじいちゃんと同じ……」
「紫苑、お前のアカウントに住所貼り付けてあげようか」
裏のある綺麗な微笑みに青い顔をした紫苑さんが、あーとかうーんとか言いながらお酒を作り出した。でも結局ごめんなさい!と頭を下げる。
「相変わらず調子がいいね紫苑は……瑠衣、お前が拾ってきたんだからちゃんと躾けてよ」
「えーシオンはこれだからイイのに」
瑠衣先輩は特に気にした様子もなくケラケラ笑っている。それでも怒られながらも作る紫苑さんのドリンクは完璧なようで、暮刃先輩もすぐにいつもの穏やかさを取り戻す。
お疲れの時は紫苑さんにドリンクを頼もう。
感心していたら、親友2人がものすごい勢いで誰かに抱きつかれた。
「へええーーー君達が例の!可愛いじゃーーん!」
微笑ましかった暮刃先輩の顔も、瑠衣先輩の顔も色をなくす。
あ、怒ってる。
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