sweet！！-short story-

曖昧な領域

5

「なんだかそういうのおおっぴらに話されるのも新鮮だ。まあ君達に彼女がいたのは想像つくし、俺たちもそれなりにあるけどさ」

恐らくそれなり、では済まない筈だ。
暮刄先輩が氷怜先輩の背もたれに肘をついて興味ありげに微笑んだ。優がすぐにあ、と声を上げて確認を取る。

「あ、気分悪いですか？過去の話ダメな人と大丈夫な人いるので」

「俺は好きだよ君達の色んな話が聞けて」


だんだん取り戻してきた暮刃先輩はいつもと遜色ない綺麗なウインクを優に返した。優はその返しに目を据えた。


「……暮刃先輩の聞きたいって言ったら？」

「あはは」


笑って誤魔化され、なんと氷怜先輩も瑠衣先輩までも目を逸らされる。つまりなんですか、言えない事が沢山あると。

超気になるやつじゃんか！

そうなってくるとおれらは猛抗議だ。


「ずるーー！！！」

「知らない方が良いこともあるよ……？」


ちょっと困った顔でそういうと優が表情を変えずにそっぽを向いた。


「まあべつに良いですけど」

「あれ、怒った？」

「いいえ」


笑顔のまま優と呼び首を傾けた暮刃先輩。
まあ優が本気で怒ってないことなどお見通しだ。

「それに君たち俺たちの話聞いても嫉妬しないでしょ。それじゃあつまらないし」

「暮刃先輩そういうところありますよね……」

そんな理由……。
とは言え氷怜先輩と瑠衣先輩は頑なに話そうとしないのでこれは何かあると見た。

そんな中でも暮刃先輩は余裕でおれたちを褒める。

「どうせ話すなら可愛い顔見たいし……氷怜は唯の話聞いても怒んないんだ？」


なんだかさらっと、とんでもないことを聞いたようなきがするが突っ込む暇もなく氷怜先輩に視線を送った暮刃先輩。氷怜先輩もそれだけはニヒルな笑みで返した。


「そもそもこいつが俺にベタ惚れなのはわかりやすいしな」

「ほわーーーー！！」


恥ずかしくて優の後ろに隠れたら、その肩が震えていた。笑うなし。横で秋が瑠衣先輩はどうですか？と話を振る。


「んー、聞くのはいいケド……もし誰か1人でも後ろ髪引かれてるヤツがいるなら保護観察処分？」

「ど、どっちを……？」


普段見せない殺気を帯びた笑顔の瑠衣先輩に秋が少しビクつく。
秋が助けてと視線を送ってきたので、すぐに思いついた自分の話を持ち出した。