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真相究明

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「初早希、お前何を知ってる。英羅と何を話した」

家に着いた途端強引にリビングまで連れて行かれた初早希はいきなり言われたこの質問にも予想をつけていた。

やっぱりだ。あの知秋が俺を自分から呼び出すなんて高校の時だって一度もない。人生で初めてだ。
もちろんその理由は他ならない英羅の事に決まっている。


「んーと、何がだ?」

当然初早希としてはとぼける他なかった。
3人の事はある程度の予想はつく関係だが、あくまで予想は予想でしかない。自分が何を発言したら地雷を踏み、はたまた好転するのかそこの予想は全くもって分からない。

ただとにかく英羅の辛そうな顔が引っかかってしまっただけでお節介をしてしまった。仁王立ちの知秋に睨まれても笑って首を振るしかない。


「なんの話?てゆか知秋から仕事以外で連絡、しかも家にご招待なんて嬉しい出来事があったからスキップで来たのに相変わらず怖い顔してんなー」

「うるせえ。良いから答えろ」

「……と言われてもねえ」


知秋は案外周りを見ている。
その分面倒見が良い、限られた人間だけだが。無理矢理踏み込んでみて完全拒絶を知秋がしないという事は、初早希の好き勝手は許されているのだろうと初早希はどこかでそれをボーダーラインにしていた。
だからこそ何度もこの家に押しかけていたのだ。初早希はイラついた様子の知秋を見ながら当たり障りのないように質問をした。

「何でそんなに俺が英羅と話したことが気になるんだよ?」

あの時、英羅が知秋に脅し文句を言う様な形で俺と2人きりになる時間を作った。渋々知秋はリビングから出て行ったがやはり気になっていたのだろうが、何故今になって?

「それも今更、だいぶ経つのに」

知秋はようやく座ると足を組んだ。男前の顔が初早希には何だか少し疲れて見えた。少し間を置いて頭をかいた知秋は仕方なさげに話し出す。


「……あいつが目を覚まさねえ」

「え、何。英羅が?」

思わず前のめりになる初早希。知秋は視線だけで英羅が居る部屋を示した。

「医者にも見せてる。身体には異常はねえ」

「身体には……じゃあ、英羅は自分で、起きようとしてないって事か」

初早希の言葉に知秋は一瞬怒りを見せた。自分になのか、英羅になのか初早希には分からなかった。

「さあな……もともと英羅が不安定で寝込むのは良くあった。けど最近のあいつのパターンは初めてだ。あの昔みたいな……」

初早希が驚いたのは知秋がそんなことをさらりと自分に言ってきたからだ。出会ってからと言うもの、こんなに英羅の事を話されたことがない。お前は知らなくていい、くらいのスタンスの男だったと言うのに。

「……そんな事俺に話すなんて、知秋的に俺ってどんなことをどこまで知ってるって思ってんの?」

こうなれば初早希も言動を改めとぼけることをやめた。英羅に盲目的だが来夏に比べて知秋はまだ周りが見える分取り乱す事が少ない。奥底の考えに見当がつかなくとも。




「知らねえから聞いてる。ただ英羅が自分から他人と話そうとしたのはお前が初めてだったし、思えばお前と会わせた次の日から英羅はいつもより様子が変だった……妙に塞ぎ込んだ日が続いて、それから……ある日突然昔の英羅みたいな明るい英羅になった」

知秋は眉間を揉む様な仕草をした。やはり疲れているのだろう。

「そしてお前は、初めてここで会った時の英羅と、今の英羅の代わりよう見ても驚かなかった」

「あら、お前俺のこと見てたりするんだなぁ知秋」

ちゃかすと当然鋭い睨みが返ってくる。初早希は笑顔を返しながら正解を探していた。

話しても良いのだろうか。




「初早希、俺が話すよ」






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