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暗中模索
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来夏と知秋は虫でも口に入れたみたいな顔して睨み合って、それでも英羅の言う通り黙った。
そしたら知秋は頭をかきながら俺にお茶を淹れ始めてたけど、来夏だけはこっちを見ながら睨んでたよ俺を。美人の怒りほど怖いものはないよな。
流石に英羅にべったりですぐ威嚇しちゃう2人を見慣れてた俺も笑えないくらい嫌悪とかが丸出しだった。
それに余裕がないように見えたよ2人が。
睨む来夏に英羅が冷たく言った。
「来夏、言いたい事あるなら今言えよ」
「………無いよ……知秋、それ終わったら僕の部屋来て」
また傷ついた顔して来夏は違う部屋に行っちゃった。
英羅が口出せば2人はなんだかんだ飲み込む、色んな顔で色んな表情しながら。
だけど英羅はずっと真顔だった。
あんなに3人で仲良かったのが嘘みたいだった。それでも一緒にいるなんて俺には異様だったよ。
「あー……相当お邪魔みたいだな」
「そうでもない」
その光景に耐えきれなくて思わず呟いた言葉を英羅が拾った。まさかフォローの言葉が来るとは思わなくてすぐに顔を見たけど俺のことなんか見てないし空耳かと思ったくらい。
だけどようやくどこを見ているのか分からない目がゆっくりと俺を捉えた。変わらないアーモンド色の瞳の筈なのに光が全然見えない。その目を見てると何とかしなくちゃって、心臓絞られるようなそんな気持ちになる。
「……喧嘩でも、してるのか」
「喧嘩……?」
昔みたいに戻ってくれよなんて軽々がるしく言えない雰囲気に飲まれて、やっとの想いで出た質問がそれだったのは営業マンとしてどうなんだって感じだけどとにかくそれしか出てこなかった。
だけど子供みたいな質問に英羅が初めて表情を変えた。
「……可愛い事言うな、初早希」
別人だったよ。
太陽みたいにけらけら笑う英羅がさ、もう全部諦めて堕落して力無く笑うから。
痛いんだよ、その笑顔見てると。心臓引っ掻かれたみたいな痛みが走るんだよ。そんな風に笑うなよって思わずその笑顔を止めたくて手を伸ばしたら、いつ間にか近くに来ていた知秋に痛いくらいの力で掴まれた。
用意したコップを割れそうな音立てながら置いた知秋が低い声で唸る。
「英羅あ、あんまり媚び売ってんじゃねえ……」
「知秋痛えって!」
本当に折れるし殴られそうなくらいの殺気垂れ流してて、やっぱり知秋も昔とは違ってた。商談してた時は分かんなかったけど英羅の前じゃ別人に見える。
「……何もしてない。早く来夏のとこ行けよ」
「あ?2人っきりにさせる訳が」
「今夜」
一定のトーンで機械みたいに感情の無い英羅の声が初めて大きくなった。それでも表情はお人形みたいに固まって冷たさだけが残ってる。
「来夏だけを相手にして良いなら好きにすれば」
英羅を殴るんじゃ無いかって不安がよぎるくらい、それくらいの怒りを知秋から感じた。英羅の言葉にそんな顔で反応したのに知秋は結局唸って舌打ちをして来夏の所に向かって行く。
英羅は怖がりもしない、乱れたバスローブを直しもせずゆっくりと瞬きをしただけだ。
それに英羅の言葉の意味がわからないほど俺は鈍感じゃ無い。バスローブから見えた首にある跡が無くても分かったよ。
「お前らは……付き合ってるのか?」
答えない代わりに英羅の視線は1度外を見た。
日が暮れて暗くなりマンションから見える景色は贅沢なほど光の粒が綺麗なのに英羅は真っ暗な空だけを見ていた。
「……でも驚くことじゃ無いか、昔っからあの2人英羅の事好きだっただろ。他のやつはどうか知らないけど親友以上の思い、だったって俺は思ってた」
「そう」
細い腕で英羅はゆっくりと自分の髪を撫でた。
俺の言葉にまるで興味が無さそうな返事。
英羅が何を考えているのか俺には分からない。でも俺が来た事を英羅は来ない方が良いとは言わなかった。そこが少しだけ引っかかって、そこに何かある気がして俺は話を続けた。
「お前らが3人で仲良くしてんの見てるの好きだったよ。あとちょっと、羨ましかった」
「……その言葉、お前も俺と寝れるのかちゃんと考えてから言ったらどうだ?」
反応した。
羨ましい、と言ったところで英羅が初めて俺の言葉に反応して視線を向ける。
「なんだ案外ちゃんと話してくれるんだ。良いの?隠してる訳じゃないのか」
「さあ……ここに他人を連れてきたのは初めてだから。俺に言われたくらいでこの場を離れるならその程度だろ」
「なんか冷たいなぁ、じゃあ俺とこうして話してくれる英羅こそ俺と寝てくれんの?」
正直この会話はもう手に爪が食い込んで傷になってたくらい緊張してた。
いや俺、基本何でも受け止めるしお前らがどんな関係でもそこまで驚く事ないんだけどさ、英羅に向かって自分売り込むのはやっぱり心臓バクバクだった。
この時ほど営業職やってて良かったって思う事は無かったね。こうやって会話にのって英羅に反応してもらうためにちょっと印象を強くしたかったから。
「じゃあ、寝る?」
こんな時に微笑まれるとは思わなかったけどさ。
そしたら知秋は頭をかきながら俺にお茶を淹れ始めてたけど、来夏だけはこっちを見ながら睨んでたよ俺を。美人の怒りほど怖いものはないよな。
流石に英羅にべったりですぐ威嚇しちゃう2人を見慣れてた俺も笑えないくらい嫌悪とかが丸出しだった。
それに余裕がないように見えたよ2人が。
睨む来夏に英羅が冷たく言った。
「来夏、言いたい事あるなら今言えよ」
「………無いよ……知秋、それ終わったら僕の部屋来て」
また傷ついた顔して来夏は違う部屋に行っちゃった。
英羅が口出せば2人はなんだかんだ飲み込む、色んな顔で色んな表情しながら。
だけど英羅はずっと真顔だった。
あんなに3人で仲良かったのが嘘みたいだった。それでも一緒にいるなんて俺には異様だったよ。
「あー……相当お邪魔みたいだな」
「そうでもない」
その光景に耐えきれなくて思わず呟いた言葉を英羅が拾った。まさかフォローの言葉が来るとは思わなくてすぐに顔を見たけど俺のことなんか見てないし空耳かと思ったくらい。
だけどようやくどこを見ているのか分からない目がゆっくりと俺を捉えた。変わらないアーモンド色の瞳の筈なのに光が全然見えない。その目を見てると何とかしなくちゃって、心臓絞られるようなそんな気持ちになる。
「……喧嘩でも、してるのか」
「喧嘩……?」
昔みたいに戻ってくれよなんて軽々がるしく言えない雰囲気に飲まれて、やっとの想いで出た質問がそれだったのは営業マンとしてどうなんだって感じだけどとにかくそれしか出てこなかった。
だけど子供みたいな質問に英羅が初めて表情を変えた。
「……可愛い事言うな、初早希」
別人だったよ。
太陽みたいにけらけら笑う英羅がさ、もう全部諦めて堕落して力無く笑うから。
痛いんだよ、その笑顔見てると。心臓引っ掻かれたみたいな痛みが走るんだよ。そんな風に笑うなよって思わずその笑顔を止めたくて手を伸ばしたら、いつ間にか近くに来ていた知秋に痛いくらいの力で掴まれた。
用意したコップを割れそうな音立てながら置いた知秋が低い声で唸る。
「英羅あ、あんまり媚び売ってんじゃねえ……」
「知秋痛えって!」
本当に折れるし殴られそうなくらいの殺気垂れ流してて、やっぱり知秋も昔とは違ってた。商談してた時は分かんなかったけど英羅の前じゃ別人に見える。
「……何もしてない。早く来夏のとこ行けよ」
「あ?2人っきりにさせる訳が」
「今夜」
一定のトーンで機械みたいに感情の無い英羅の声が初めて大きくなった。それでも表情はお人形みたいに固まって冷たさだけが残ってる。
「来夏だけを相手にして良いなら好きにすれば」
英羅を殴るんじゃ無いかって不安がよぎるくらい、それくらいの怒りを知秋から感じた。英羅の言葉にそんな顔で反応したのに知秋は結局唸って舌打ちをして来夏の所に向かって行く。
英羅は怖がりもしない、乱れたバスローブを直しもせずゆっくりと瞬きをしただけだ。
それに英羅の言葉の意味がわからないほど俺は鈍感じゃ無い。バスローブから見えた首にある跡が無くても分かったよ。
「お前らは……付き合ってるのか?」
答えない代わりに英羅の視線は1度外を見た。
日が暮れて暗くなりマンションから見える景色は贅沢なほど光の粒が綺麗なのに英羅は真っ暗な空だけを見ていた。
「……でも驚くことじゃ無いか、昔っからあの2人英羅の事好きだっただろ。他のやつはどうか知らないけど親友以上の思い、だったって俺は思ってた」
「そう」
細い腕で英羅はゆっくりと自分の髪を撫でた。
俺の言葉にまるで興味が無さそうな返事。
英羅が何を考えているのか俺には分からない。でも俺が来た事を英羅は来ない方が良いとは言わなかった。そこが少しだけ引っかかって、そこに何かある気がして俺は話を続けた。
「お前らが3人で仲良くしてんの見てるの好きだったよ。あとちょっと、羨ましかった」
「……その言葉、お前も俺と寝れるのかちゃんと考えてから言ったらどうだ?」
反応した。
羨ましい、と言ったところで英羅が初めて俺の言葉に反応して視線を向ける。
「なんだ案外ちゃんと話してくれるんだ。良いの?隠してる訳じゃないのか」
「さあ……ここに他人を連れてきたのは初めてだから。俺に言われたくらいでこの場を離れるならその程度だろ」
「なんか冷たいなぁ、じゃあ俺とこうして話してくれる英羅こそ俺と寝てくれんの?」
正直この会話はもう手に爪が食い込んで傷になってたくらい緊張してた。
いや俺、基本何でも受け止めるしお前らがどんな関係でもそこまで驚く事ないんだけどさ、英羅に向かって自分売り込むのはやっぱり心臓バクバクだった。
この時ほど営業職やってて良かったって思う事は無かったね。こうやって会話にのって英羅に反応してもらうためにちょっと印象を強くしたかったから。
「じゃあ、寝る?」
こんな時に微笑まれるとは思わなかったけどさ。
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