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dance!
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日付は変わり自分の家で目覚めた朝。
「麗央だ!!」
「やだ朝からうるさい息子がいるわ~」
目覚ましが鳴る前に起きたおれは寝ぼけ眼でスマホを開くとチャットの通知が数件。その中の一つを見た一瞬で脳が覚醒しガバッと飛び起きリビングまで猛ダッシュ。椎名が朝のコーヒーを優雅に飲みながらおはようと笑った。
「おはよう!見てー麗央から連絡きたの!」
「良かったねえ」
子踊りが止まらないおれに椎名は慣れているのでそのままソファまで行くとテレビをつけ始めた。
麗央からの連絡の内容はアゲハさんのお店に一緒に行かないかとの誘い。やりとりはもちろんしていたがこんなふうに誘ってもらえたのは初めてだ。そんなの、もう!
「行くに決まってる~!!」
「うんうん、まずは顔洗ってきなさい~」
返事をして洗面所に向かうが一つ懸念点が思い浮かぶ、お酒の場だし先輩達に心配させてしまうだろうか。
お湯を出し顔を優しく濡らして洗顔も優しく済ませると一旦部屋に戻りスマホを確認する。
午前9時、まだ電話するには早そうな気がして先輩達おれ秋優のグループチャットに行って良いか確認を投げておく。ちなみにこのチャットのグループ名「飼い主とわんこ」は瑠衣先輩が勝手に付けてておれも面白くなって最初の頃は了解の返事が全部「わん!」だったのはいい思い出だ。
思わずにやけそうになると既読が一件、秋と優だろうかと思ったら犬の鳴き声がスマホから聞こえ出す。画面に氷怜先輩の文字が出て1秒もかけずに電話に出た。
「おはようございますひさとせんぱい~」
「はよ……」
気怠げな少し掠れた声と布が擦れるような音がしてるのでこれは間違いなく寝起きだ。すぐに寝起きからビジュアル優勝している氷怜先輩の記憶が呼び起こされる。
「今日もカッコいぃい~」
「……何見て言ってんだよ」
くつくつと笑い出す氷怜先輩。
声だけで朝から癒されますな。こちとら電話がかかってきただけでも癒されますけどね。
「あっもしかして通知音とかで起こしちゃいました?」
「いや、丁度起きて……ああ、サクラの店いつ行くって?」
「まだ日程決まってないんですけど……あのアゲハさんのところ行っても大丈夫ですか?ヘッドイーターの事もあるし、瑠衣先輩もいつもよりシャーってしてたし」
おれがそう言うとまた電話から生活音が響く。起き上がったのかペットボトルを開けるような音がした。
「悪いな」
「え?!」
いきなり謝られては焦る。
「気遣わせて、元辿れば俺たちの巻き添えでもある」
これはもはやおれが気を使い過ぎて氷怜先輩に謝らせてしまっているようなものだ。電話越しだと言うのに頭を下げてしまう。
「巻き添えなんて思ってないし、氷怜先輩が謝る事何もないです!おれも抜けてるし、チームの色んな人までおれたちの事守ってくれてるし……そもそも先輩たちと居たいって思ってるのおれたちです」
溢れ出るまとまらない思いが早口になってしまった。巻き添えなんてとんでもない、おれたちの方が先輩達に助けられてもらっていると言うのに。
「……そうか」
優しい笑いが聴こえてきて一安心。
ああ、この人を困らせたくないや。もっとしっかりしないとなぁ。
「朝からいいもん聞けたわ」
そんな氷怜先輩の低くて心地いい声が響く。
「行きたいとこ行けよ、瑠衣は拗ねてるだけだし、お前らにはこっちが勝手に人付けてんだから何も気にすんな。いつも通り連絡くれれば良いし……まあ、その日は俺が行くわ」
「へ?!」
「麗央だ!!」
「やだ朝からうるさい息子がいるわ~」
目覚ましが鳴る前に起きたおれは寝ぼけ眼でスマホを開くとチャットの通知が数件。その中の一つを見た一瞬で脳が覚醒しガバッと飛び起きリビングまで猛ダッシュ。椎名が朝のコーヒーを優雅に飲みながらおはようと笑った。
「おはよう!見てー麗央から連絡きたの!」
「良かったねえ」
子踊りが止まらないおれに椎名は慣れているのでそのままソファまで行くとテレビをつけ始めた。
麗央からの連絡の内容はアゲハさんのお店に一緒に行かないかとの誘い。やりとりはもちろんしていたがこんなふうに誘ってもらえたのは初めてだ。そんなの、もう!
「行くに決まってる~!!」
「うんうん、まずは顔洗ってきなさい~」
返事をして洗面所に向かうが一つ懸念点が思い浮かぶ、お酒の場だし先輩達に心配させてしまうだろうか。
お湯を出し顔を優しく濡らして洗顔も優しく済ませると一旦部屋に戻りスマホを確認する。
午前9時、まだ電話するには早そうな気がして先輩達おれ秋優のグループチャットに行って良いか確認を投げておく。ちなみにこのチャットのグループ名「飼い主とわんこ」は瑠衣先輩が勝手に付けてておれも面白くなって最初の頃は了解の返事が全部「わん!」だったのはいい思い出だ。
思わずにやけそうになると既読が一件、秋と優だろうかと思ったら犬の鳴き声がスマホから聞こえ出す。画面に氷怜先輩の文字が出て1秒もかけずに電話に出た。
「おはようございますひさとせんぱい~」
「はよ……」
気怠げな少し掠れた声と布が擦れるような音がしてるのでこれは間違いなく寝起きだ。すぐに寝起きからビジュアル優勝している氷怜先輩の記憶が呼び起こされる。
「今日もカッコいぃい~」
「……何見て言ってんだよ」
くつくつと笑い出す氷怜先輩。
声だけで朝から癒されますな。こちとら電話がかかってきただけでも癒されますけどね。
「あっもしかして通知音とかで起こしちゃいました?」
「いや、丁度起きて……ああ、サクラの店いつ行くって?」
「まだ日程決まってないんですけど……あのアゲハさんのところ行っても大丈夫ですか?ヘッドイーターの事もあるし、瑠衣先輩もいつもよりシャーってしてたし」
おれがそう言うとまた電話から生活音が響く。起き上がったのかペットボトルを開けるような音がした。
「悪いな」
「え?!」
いきなり謝られては焦る。
「気遣わせて、元辿れば俺たちの巻き添えでもある」
これはもはやおれが気を使い過ぎて氷怜先輩に謝らせてしまっているようなものだ。電話越しだと言うのに頭を下げてしまう。
「巻き添えなんて思ってないし、氷怜先輩が謝る事何もないです!おれも抜けてるし、チームの色んな人までおれたちの事守ってくれてるし……そもそも先輩たちと居たいって思ってるのおれたちです」
溢れ出るまとまらない思いが早口になってしまった。巻き添えなんてとんでもない、おれたちの方が先輩達に助けられてもらっていると言うのに。
「……そうか」
優しい笑いが聴こえてきて一安心。
ああ、この人を困らせたくないや。もっとしっかりしないとなぁ。
「朝からいいもん聞けたわ」
そんな氷怜先輩の低くて心地いい声が響く。
「行きたいとこ行けよ、瑠衣は拗ねてるだけだし、お前らにはこっちが勝手に人付けてんだから何も気にすんな。いつも通り連絡くれれば良いし……まあ、その日は俺が行くわ」
「へ?!」
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