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李恩はため息の後、俺もヘッドイーターにあった事は無いと首を振った。
「他チームで会ったってぬかしてるやつのネタはガセが多い。ヘッドイーターと当たったってのにそんな無事で居られるわけがないと思うしな……会った事あるとしたらお前らの先生の方じゃねえか」
「あーぴよちゃん知ってるんだったっけー」
言いながらだらけていく瑠衣が氷怜の背中に全体重をかける。重いのかぐいっと押し返すと氷怜が口を開く。
「郷か……確かにな」
あり得る話だ。
自分たちに喧嘩を教えたのは郷であり、当時縄張り争いの首位だったのだから尚更。
「あとで連絡する」
李恩が黒髪を流すと鼻で笑う。
「にしても日吉郷なんて化けもんが教師やってんのは笑えるな」
「ああ見えて子供好きだったから、かな」
暮刃も同意だとくすくす笑い出す。教師になると言われた当時のことを思い出してしまうのは瑠衣も氷怜も同じだ。
「瑠衣さんキツネからの連絡は?」
「別に何も」
キツネの名前が出た瞬間それまで笑っていた瑠衣の表情が真顔に切り替わった。下に居たチームメンバーが唾を飲み小声すら出せなくなった。
「おい瑠衣」
氷怜が咎めるようにため息を吐く。その空気を全く気に気にしないのが赤羽だ。
「そう言えば、あの盗聴器ですがちょっと特殊な作りで……おそらく手作りされたものかと」
「それはまた良い話だな」
李恩が皮肉混じりに笑う。
赤羽と李恩が調べても在籍しているであろうチームメンバーの大体は掴めたが、やはり目的がはっきりしなかった。基本的にチームは試合形式の抗争だが、ヘッドイーターの出方が読めないのはあまり良い状況では無い。
「全員偽名、と言うかあだ名で呼び合っているようで、キツネもそうですが、クロコがこのチームのトップのようですね。あと名前が上がるのもウサギとか犬とか、なんだか動物っぽいものばかりでアニマル大戦争って感じです」
にっこり言う赤羽的にはギャグのつもりかも知れないが誰一人として笑わなかった。
「聞いた事ねぇな……」
氷怜がつぶやくと那加も頷く。
「人もそりゃ変わってるだろうけど……その名前は継承でもされんのか?いつか動物シリーズネタ尽きるだろ」
「お前なぁ、考えるとこそこじゃねえんだよ」
那加のトンチンカンな心配に亜蘭が突っ込んだ。するとようやく場の空気が和みだした。この2人と、それから紫苑が最近は上下の人間関係の潤滑油になりつつある。
その紫苑の声が響いた。
「申し訳ありません、席外して」
スマホを片手に紫苑が階段を上がってくる。整った顔がいつになく微妙な表情をしていたので氷怜は声をかけた。
「どうした」
「……その、秋の送り迎え行った双子が調べて欲しい奴がいるって連絡が……」
「……秋のねえ」
瑠衣が呟くとまたフロアの気温が下がる。いつもゲラゲラと笑う瑠衣から冷気がさあっと出ているのだ。
小さな予感は、確実に当たっている。
「名前は……?」
「鶚です」
やっぱり、動物の名前だと。
「他チームで会ったってぬかしてるやつのネタはガセが多い。ヘッドイーターと当たったってのにそんな無事で居られるわけがないと思うしな……会った事あるとしたらお前らの先生の方じゃねえか」
「あーぴよちゃん知ってるんだったっけー」
言いながらだらけていく瑠衣が氷怜の背中に全体重をかける。重いのかぐいっと押し返すと氷怜が口を開く。
「郷か……確かにな」
あり得る話だ。
自分たちに喧嘩を教えたのは郷であり、当時縄張り争いの首位だったのだから尚更。
「あとで連絡する」
李恩が黒髪を流すと鼻で笑う。
「にしても日吉郷なんて化けもんが教師やってんのは笑えるな」
「ああ見えて子供好きだったから、かな」
暮刃も同意だとくすくす笑い出す。教師になると言われた当時のことを思い出してしまうのは瑠衣も氷怜も同じだ。
「瑠衣さんキツネからの連絡は?」
「別に何も」
キツネの名前が出た瞬間それまで笑っていた瑠衣の表情が真顔に切り替わった。下に居たチームメンバーが唾を飲み小声すら出せなくなった。
「おい瑠衣」
氷怜が咎めるようにため息を吐く。その空気を全く気に気にしないのが赤羽だ。
「そう言えば、あの盗聴器ですがちょっと特殊な作りで……おそらく手作りされたものかと」
「それはまた良い話だな」
李恩が皮肉混じりに笑う。
赤羽と李恩が調べても在籍しているであろうチームメンバーの大体は掴めたが、やはり目的がはっきりしなかった。基本的にチームは試合形式の抗争だが、ヘッドイーターの出方が読めないのはあまり良い状況では無い。
「全員偽名、と言うかあだ名で呼び合っているようで、キツネもそうですが、クロコがこのチームのトップのようですね。あと名前が上がるのもウサギとか犬とか、なんだか動物っぽいものばかりでアニマル大戦争って感じです」
にっこり言う赤羽的にはギャグのつもりかも知れないが誰一人として笑わなかった。
「聞いた事ねぇな……」
氷怜がつぶやくと那加も頷く。
「人もそりゃ変わってるだろうけど……その名前は継承でもされんのか?いつか動物シリーズネタ尽きるだろ」
「お前なぁ、考えるとこそこじゃねえんだよ」
那加のトンチンカンな心配に亜蘭が突っ込んだ。するとようやく場の空気が和みだした。この2人と、それから紫苑が最近は上下の人間関係の潤滑油になりつつある。
その紫苑の声が響いた。
「申し訳ありません、席外して」
スマホを片手に紫苑が階段を上がってくる。整った顔がいつになく微妙な表情をしていたので氷怜は声をかけた。
「どうした」
「……その、秋の送り迎え行った双子が調べて欲しい奴がいるって連絡が……」
「……秋のねえ」
瑠衣が呟くとまたフロアの気温が下がる。いつもゲラゲラと笑う瑠衣から冷気がさあっと出ているのだ。
小さな予感は、確実に当たっている。
「名前は……?」
「鶚です」
やっぱり、動物の名前だと。
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