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misunderstanding!!
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思えば1人で行動と言う事自体がなんだか久しぶりだ。しかもそのタイミングでこんな事を引き当てるって事はもしかしたら唯のトラブル体質伝染してきたかな。認めたくはないけどこれ以降もう一度あったら確実。2度ある事は3度ある。願わくば有りませんように。
「出来れば会話をしたいのですが……何も言わないと分からないです、俺の言いたい事は彼女を追わないで欲しいだけですよ。それこそ、彼女と関わりを持ちたいのならちゃんと会話をすべきだと思いますよ」
お説教じみてきたが相手は明らかに俺より年上だ。
自分のこの口調が刺激にならないように努めるが、いかんせんストーカーをやめろと言いたいのでやっぱり少し上からと言うか強気の口調になってしまう。
感情論に理論ぶつけても意味ないのは重々承知だ。その点暮刃先輩は話しやすい。言葉の隅々にまで頭が回るし、まあ、俺の硬い頭のせいで喧嘩はしたけど。それはそれでいい経験だ。
「会話、ねえ……俺は君と話したかったから好都合だよ」
「……アウト」
やっと喋ったと思ったら相手の口からキサちゃんの名前も上がらず指名が俺なんて。
何故だろう。この人と会った事はおそらくない。クラブに来ていたとかなら分かるけど、このタイプの人は出入りが難しそう。結構入場規約も厳しくしてるって言っていたから。
「まんまとあの女を守ってくれて俺も助かったよ。だけどあの女中々君から離れようとしないから、こうして距離を詰めてたけど」
「……はあ」
つまりこの人は最初から俺目当てでキサちゃんを巻き込んだのか。で、俺の行動パターンもどうやったか知らないけど入手して今現在に至ると。
「本格的にトラブルの原因は俺か」
独り言を聞こえない程度に呟く。
やばいなぁ、唯のせいってそろそろ言えなくなるかも。いやでも元を辿れば唯のせいだから、まだ大丈夫。と言うことにしてまずは目の前のトラブル解決だ。
「俺に何か用ですか?」
「正確に言えば、君よりno nameに用があるんだけど。それには君がいるとかなり話が優位に進む」
「うーん……優位かどうかは別として、俺をもし連れ去るみたいなことでしたら先輩たちが出てくるのは確かですね」
「へえ、物分かりがいいね。あいつらのご寵愛対象なんてどんな世間知らずかと思ったけど」
「……そちらは俺の事を知っているようですが、あなたは?どこの、誰ですか」
この手の会話は本当にに好きじゃない。
最初から下に見ている目とか、先輩たちの事をバカにするような声音とか。
俺の見た目が強いとはかけ離れているからってバカにしていいわけじゃない。
俺短気ではないけど、多分顔に出てるから相手が失礼だとしてもなるべく穏便に済ませないと。男は俺の質問に大げさに首を振った。
「教える必要がない」
「ストーカーされてるんだから教えてくれたっていいのに」
まだ名前をすんなり教えてくれた李恩の方がましな気がしてきた。
こうなるとマキオくん呼んだ方がいいかな、さすがに。大変申し訳ないけど一人で突っ込んでも悔しいことに勝てるかわかんないし。
「あーえーと、マキオくーんいるかなあ」
適当に路地裏に向けて声を出すが通りがかった数人が不思議そうに振り向くだけで誰の返事もしない。あれ、マキオくん、こんな時にトイレ?
聞こえなかったのかもと思ってもう一度声を出すがやはりどこからもマキオくんが出てこない。どこにいるのか分からないけど彼がこの場を放棄するわけはない。
ああ、それはちょっとやばいかも。
そんな俺にストーカー男は鼻で笑った。
「君のボディガードなら今頃路地裏にくたばってるんじゃないかな」
「……彼は結構強いと思いますよ」
「新人らしいし、多めに数人向かわせてるから一瞬だろう」
俺一人のために敵の何人かが動いている。
しかもマキオくんが新人だってのも漏れているみたいだし、それなんだか大事なんじゃないのか。
いやいつもチームの人にお迎えなんてさせてる人間がいうことじゃないけど。
明らかに先輩たちと敵対してそうな人にちゃんと狙われているこの状況。困る、一言では言い表せないけど困る。
ただマキオくんに関しては実はあまり心配していない、どちらかといえば俺を一人にしてしまったという後悔の念で彼の胃が痛くなってないといいけど。暮刃先輩と電話もしたし、亜蘭さんが俺のお迎えを任せるくらいの実力だ。チームの人は誰を見ても強いから力だけの話ならマキオくん問題ないと思うんだよね。100人とかなら不安だけど数人というのならすぐにこちらに戻ってきそうだ。
「……どっちにしろ俺は帰るので、ついて来いというのなら拒否します」
「一人で逃げる気?無理でしょ」
相手がついに動き出した。一瞬で距離を詰められ腕を掴まれる。強すぎる握力に思わず眉間に力が入るけど、これは好都合。
油断している相手に掴まれたなら一気に踏み込んで押し込みその後に腕を引く。頭に入っている動きを実行、それだけで乾いた音がして腕が離れ一歩後ろに下がれた。
動けて良かった。何事もちゃんとやるもんだね。
まさかの動きに相手は一瞬目を見開いて固まるがすぐに今日一番性格の悪そうな笑みを見せた。
「大人しそうな顔してると思ったのに、そう抵抗されると……」
ああ、言葉を止めたタイミングでジャケット脱がないで欲しい。やっぱりそれ気慣れてなかったんでしょ。邪魔だから脱いだって事は気合を入れたって事だ。
しまいにはにやりと笑ってこう言った。
「燃えるんだよね」
久しぶりにやばいタイプの人を引いてしまったかもしれない。
「出来れば会話をしたいのですが……何も言わないと分からないです、俺の言いたい事は彼女を追わないで欲しいだけですよ。それこそ、彼女と関わりを持ちたいのならちゃんと会話をすべきだと思いますよ」
お説教じみてきたが相手は明らかに俺より年上だ。
自分のこの口調が刺激にならないように努めるが、いかんせんストーカーをやめろと言いたいのでやっぱり少し上からと言うか強気の口調になってしまう。
感情論に理論ぶつけても意味ないのは重々承知だ。その点暮刃先輩は話しやすい。言葉の隅々にまで頭が回るし、まあ、俺の硬い頭のせいで喧嘩はしたけど。それはそれでいい経験だ。
「会話、ねえ……俺は君と話したかったから好都合だよ」
「……アウト」
やっと喋ったと思ったら相手の口からキサちゃんの名前も上がらず指名が俺なんて。
何故だろう。この人と会った事はおそらくない。クラブに来ていたとかなら分かるけど、このタイプの人は出入りが難しそう。結構入場規約も厳しくしてるって言っていたから。
「まんまとあの女を守ってくれて俺も助かったよ。だけどあの女中々君から離れようとしないから、こうして距離を詰めてたけど」
「……はあ」
つまりこの人は最初から俺目当てでキサちゃんを巻き込んだのか。で、俺の行動パターンもどうやったか知らないけど入手して今現在に至ると。
「本格的にトラブルの原因は俺か」
独り言を聞こえない程度に呟く。
やばいなぁ、唯のせいってそろそろ言えなくなるかも。いやでも元を辿れば唯のせいだから、まだ大丈夫。と言うことにしてまずは目の前のトラブル解決だ。
「俺に何か用ですか?」
「正確に言えば、君よりno nameに用があるんだけど。それには君がいるとかなり話が優位に進む」
「うーん……優位かどうかは別として、俺をもし連れ去るみたいなことでしたら先輩たちが出てくるのは確かですね」
「へえ、物分かりがいいね。あいつらのご寵愛対象なんてどんな世間知らずかと思ったけど」
「……そちらは俺の事を知っているようですが、あなたは?どこの、誰ですか」
この手の会話は本当にに好きじゃない。
最初から下に見ている目とか、先輩たちの事をバカにするような声音とか。
俺の見た目が強いとはかけ離れているからってバカにしていいわけじゃない。
俺短気ではないけど、多分顔に出てるから相手が失礼だとしてもなるべく穏便に済ませないと。男は俺の質問に大げさに首を振った。
「教える必要がない」
「ストーカーされてるんだから教えてくれたっていいのに」
まだ名前をすんなり教えてくれた李恩の方がましな気がしてきた。
こうなるとマキオくん呼んだ方がいいかな、さすがに。大変申し訳ないけど一人で突っ込んでも悔しいことに勝てるかわかんないし。
「あーえーと、マキオくーんいるかなあ」
適当に路地裏に向けて声を出すが通りがかった数人が不思議そうに振り向くだけで誰の返事もしない。あれ、マキオくん、こんな時にトイレ?
聞こえなかったのかもと思ってもう一度声を出すがやはりどこからもマキオくんが出てこない。どこにいるのか分からないけど彼がこの場を放棄するわけはない。
ああ、それはちょっとやばいかも。
そんな俺にストーカー男は鼻で笑った。
「君のボディガードなら今頃路地裏にくたばってるんじゃないかな」
「……彼は結構強いと思いますよ」
「新人らしいし、多めに数人向かわせてるから一瞬だろう」
俺一人のために敵の何人かが動いている。
しかもマキオくんが新人だってのも漏れているみたいだし、それなんだか大事なんじゃないのか。
いやいつもチームの人にお迎えなんてさせてる人間がいうことじゃないけど。
明らかに先輩たちと敵対してそうな人にちゃんと狙われているこの状況。困る、一言では言い表せないけど困る。
ただマキオくんに関しては実はあまり心配していない、どちらかといえば俺を一人にしてしまったという後悔の念で彼の胃が痛くなってないといいけど。暮刃先輩と電話もしたし、亜蘭さんが俺のお迎えを任せるくらいの実力だ。チームの人は誰を見ても強いから力だけの話ならマキオくん問題ないと思うんだよね。100人とかなら不安だけど数人というのならすぐにこちらに戻ってきそうだ。
「……どっちにしろ俺は帰るので、ついて来いというのなら拒否します」
「一人で逃げる気?無理でしょ」
相手がついに動き出した。一瞬で距離を詰められ腕を掴まれる。強すぎる握力に思わず眉間に力が入るけど、これは好都合。
油断している相手に掴まれたなら一気に踏み込んで押し込みその後に腕を引く。頭に入っている動きを実行、それだけで乾いた音がして腕が離れ一歩後ろに下がれた。
動けて良かった。何事もちゃんとやるもんだね。
まさかの動きに相手は一瞬目を見開いて固まるがすぐに今日一番性格の悪そうな笑みを見せた。
「大人しそうな顔してると思ったのに、そう抵抗されると……」
ああ、言葉を止めたタイミングでジャケット脱がないで欲しい。やっぱりそれ気慣れてなかったんでしょ。邪魔だから脱いだって事は気合を入れたって事だ。
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