304 / 379
kick!!
8
しおりを挟む
ビシッと言い放ったリョウに瑠衣先輩は一瞬ポカンとして、そして次に今日初めての大爆笑。
え、今笑うの?とそんな顔のリョウの目の前で、ものすごい速さで瑠衣先輩の頭が叩かれた。速すぎて目を疑ったけど犯人は微笑んでいる暮刃先輩だった。さらにその隣で氷怜先輩が低い声で言う。
「気にすんなよ。コイツのツボ浅いから、バカにしてるわけじゃなくて言われた事ないセリフに感動してるだけだ」
「え?!あ、そ、そうなんですね……?」
感動……?と首傾げそうになるがまさか氷怜先輩からフォローを入れてもらえるとは思わず、リョウはビックリしながらもお礼を言った。
「瑠衣先輩そろそろ落ち着いて。ほら、ヒーヒーフー」
「唯その呼吸なんかやっぱり違うと思う……」
優がツッコミを入れる中でようやく瑠衣先輩が息を整えた。たしかに瑠衣先輩は絶対に言われたこと無い言葉だろう。真っ向からこんなストレートと言うなんてなかなかの度胸。瑠衣先輩涙まで浮かべている。
「あーあ、アッキー。なんかーチョットリョウ犬気に入ったカモ」
「それは良かったです」
結構自慢の友達なので瑠衣先輩にそう言われるのは素直に嬉しい。
「まあ、安心しなよー。オレよりアッキー満足させる人間いないから」
うーわ、またあの笑顔出すわけね。
そして今度は親友がニヤニヤして見てくるのも気のせい気のせい。
リョウもそのセリフでスッキリしたのかいつもみたいな笑顔を見せてくれる。それを見た神さんと才さんが軽く頭を下げる。
「瑠衣さん、こいつなりに考えてるんで気に入ってもらえると俺も嬉しいです」
「はあ?なんで神がそんな事……」
「なので今日は本当に付き合ってくれてありがとうございます」
「おい、才まで……」
「ハイハイ」
瑠衣先輩が適当に手を振ると、こっそりと「秋、ちょっと場所変わって」と言われて交換すれば何故か神さんと才さんがリョウを挟むようにして座り込む。
あ、この流れちょっと予想がついてしまった。
「そして、ここまで来たら」
「後は俺たちが落とすんで安心してください」
「へ?」
リョウが素っ頓狂な声を上げるとその両頬に双子さんからまさかのキスが。唯がキャーと盛り上がる横で優はちょっと驚いて暮刃先輩はおやと一言。ちなみに氷怜先輩はあくびだ。
真っ赤になったリョウが自分の頬を守るようにガタッと立ち上がった。
「な、なに、なにしてくれてんだ……」
「何って」
「俺らお前のことずっと狙ってた訳」
「だけどお前気付いてないけど見るからに秋の事好きだったからさー」
一途バカに色気出しても気づいてもらえないから、とりあえず強烈な印象だけは残しとこうかなって思ってお前にずっとちょっかいだけ出してたんだよねー。と神さんか才さんがどっちかが言っている。リョウが神お前……と絶望したリョウが言うので神さんが正解らしい。
そうなのだ、こう言う事だったのだ。
クラブでこっそりリョウの事が好きだと言われ、しかもそのリョウが俺の事を好きだと言うから結構気まずかったのに、今日来てみたら知ってると言われてしまう。
興味なさそうにヘーと答えた瑠衣先輩は俺を突いた。
「でー?なんでアッキーがそれ隠したワケ」
「え?いや、2人が先輩達に言わないでね恥ずかぴーから♡って言うから……」
「え、まじで内緒にしてくれてたの?!」
「秋、お前いいやつ!!」
言ってよかったのかい!
今日3人見て分かりやすいからどうせすぐバレるだろうとは思ってたけど、キスまで目の前でされて内緒にしてはたしかに可笑しい話だ。
なんだか今回1番振り回されてんの俺だわと浸っているとドン!と物凄い音がした。店員さんの顔すら隠れるクレープが台に乗せられてテーブル上に聳え立っている。
「でけぇな……」
心底嫌そうな顔をした氷怜先輩を唯が激写している。
「氷怜先輩とクレープ可愛い~!」
「可愛いか……?」
クレープがデカすぎて正直圧巻の方が感想に出そうだけど唯はもうなんでも可愛いのかも。
暮刃先輩は頼んだ料理がお気に召したらしく、レシピを考察中。優が自分が食べているのも美味しいと報告するとじゃあそれも今度作るねと微笑んだ。
「フーン、こんくらいかあ余裕ジャン」
「早く食えよ、邪魔だ」
煙たがる氷怜先輩。瑠衣先輩はにやりと笑ってスプーンで掬ったおっきな一口以上のクレープを氷怜先輩の口に突っ込んだ。毒でも食べたみたいな嫌なそうな顔をすればやっぱり大爆笑の瑠衣先輩。
「ひ、氷怜先輩大丈夫ですか……」
「笑ってんなよ、お前」
唯まで釣られて肩を震わせて笑うとそのほっぺが引っ張られた。
ツインズに未だ弄られながらそれを見ていたリョウがこそっと俺に話しかける。
「な、なんか先輩達意外と……」
「分かってきた?知れば知るほど深みにハマるんだよなー」
「それ、ノロけ」
2人で笑いあえば、すっかり気分がいい。
え、今笑うの?とそんな顔のリョウの目の前で、ものすごい速さで瑠衣先輩の頭が叩かれた。速すぎて目を疑ったけど犯人は微笑んでいる暮刃先輩だった。さらにその隣で氷怜先輩が低い声で言う。
「気にすんなよ。コイツのツボ浅いから、バカにしてるわけじゃなくて言われた事ないセリフに感動してるだけだ」
「え?!あ、そ、そうなんですね……?」
感動……?と首傾げそうになるがまさか氷怜先輩からフォローを入れてもらえるとは思わず、リョウはビックリしながらもお礼を言った。
「瑠衣先輩そろそろ落ち着いて。ほら、ヒーヒーフー」
「唯その呼吸なんかやっぱり違うと思う……」
優がツッコミを入れる中でようやく瑠衣先輩が息を整えた。たしかに瑠衣先輩は絶対に言われたこと無い言葉だろう。真っ向からこんなストレートと言うなんてなかなかの度胸。瑠衣先輩涙まで浮かべている。
「あーあ、アッキー。なんかーチョットリョウ犬気に入ったカモ」
「それは良かったです」
結構自慢の友達なので瑠衣先輩にそう言われるのは素直に嬉しい。
「まあ、安心しなよー。オレよりアッキー満足させる人間いないから」
うーわ、またあの笑顔出すわけね。
そして今度は親友がニヤニヤして見てくるのも気のせい気のせい。
リョウもそのセリフでスッキリしたのかいつもみたいな笑顔を見せてくれる。それを見た神さんと才さんが軽く頭を下げる。
「瑠衣さん、こいつなりに考えてるんで気に入ってもらえると俺も嬉しいです」
「はあ?なんで神がそんな事……」
「なので今日は本当に付き合ってくれてありがとうございます」
「おい、才まで……」
「ハイハイ」
瑠衣先輩が適当に手を振ると、こっそりと「秋、ちょっと場所変わって」と言われて交換すれば何故か神さんと才さんがリョウを挟むようにして座り込む。
あ、この流れちょっと予想がついてしまった。
「そして、ここまで来たら」
「後は俺たちが落とすんで安心してください」
「へ?」
リョウが素っ頓狂な声を上げるとその両頬に双子さんからまさかのキスが。唯がキャーと盛り上がる横で優はちょっと驚いて暮刃先輩はおやと一言。ちなみに氷怜先輩はあくびだ。
真っ赤になったリョウが自分の頬を守るようにガタッと立ち上がった。
「な、なに、なにしてくれてんだ……」
「何って」
「俺らお前のことずっと狙ってた訳」
「だけどお前気付いてないけど見るからに秋の事好きだったからさー」
一途バカに色気出しても気づいてもらえないから、とりあえず強烈な印象だけは残しとこうかなって思ってお前にずっとちょっかいだけ出してたんだよねー。と神さんか才さんがどっちかが言っている。リョウが神お前……と絶望したリョウが言うので神さんが正解らしい。
そうなのだ、こう言う事だったのだ。
クラブでこっそりリョウの事が好きだと言われ、しかもそのリョウが俺の事を好きだと言うから結構気まずかったのに、今日来てみたら知ってると言われてしまう。
興味なさそうにヘーと答えた瑠衣先輩は俺を突いた。
「でー?なんでアッキーがそれ隠したワケ」
「え?いや、2人が先輩達に言わないでね恥ずかぴーから♡って言うから……」
「え、まじで内緒にしてくれてたの?!」
「秋、お前いいやつ!!」
言ってよかったのかい!
今日3人見て分かりやすいからどうせすぐバレるだろうとは思ってたけど、キスまで目の前でされて内緒にしてはたしかに可笑しい話だ。
なんだか今回1番振り回されてんの俺だわと浸っているとドン!と物凄い音がした。店員さんの顔すら隠れるクレープが台に乗せられてテーブル上に聳え立っている。
「でけぇな……」
心底嫌そうな顔をした氷怜先輩を唯が激写している。
「氷怜先輩とクレープ可愛い~!」
「可愛いか……?」
クレープがデカすぎて正直圧巻の方が感想に出そうだけど唯はもうなんでも可愛いのかも。
暮刃先輩は頼んだ料理がお気に召したらしく、レシピを考察中。優が自分が食べているのも美味しいと報告するとじゃあそれも今度作るねと微笑んだ。
「フーン、こんくらいかあ余裕ジャン」
「早く食えよ、邪魔だ」
煙たがる氷怜先輩。瑠衣先輩はにやりと笑ってスプーンで掬ったおっきな一口以上のクレープを氷怜先輩の口に突っ込んだ。毒でも食べたみたいな嫌なそうな顔をすればやっぱり大爆笑の瑠衣先輩。
「ひ、氷怜先輩大丈夫ですか……」
「笑ってんなよ、お前」
唯まで釣られて肩を震わせて笑うとそのほっぺが引っ張られた。
ツインズに未だ弄られながらそれを見ていたリョウがこそっと俺に話しかける。
「な、なんか先輩達意外と……」
「分かってきた?知れば知るほど深みにハマるんだよなー」
「それ、ノロけ」
2人で笑いあえば、すっかり気分がいい。
3
お気に入りに追加
1,368
あなたにおすすめの小説
虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)
美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!
【BL】男なのにNo.1ホストにほだされて付き合うことになりました
猫足
BL
「浮気したら殺すから!」
「できるわけがないだろ……」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その結果、恋人に昇格。
「僕、そのへんの女には負ける気がしないから。こんな可愛い子、ほかにいるわけないしな!」
「スバル、お前なにいってんの…?」
美形病みホスと平凡サラリーマンの、付き合いたてカップルの日常。
※【男なのになぜかNo. 1ホストに懐かれて困ってます】の続編です。
ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
俺にはラブラブな超絶イケメンのスパダリ彼氏がいるので、王道学園とやらに無理やり巻き込まないでくださいっ!!
しおりんごん
BL
俺の名前は 笹島 小太郎
高校2年生のちょっと激しめの甘党
顔は可もなく不可もなく、、、と思いたい
身長は170、、、行ってる、、、し
ウルセェ!本人が言ってるんだからほんとなんだよ!
そんな比較的どこにでもいそうな人柄の俺だが少し周りと違うことがあって、、、
それは、、、
俺には超絶ラブラブなイケメン彼氏がいるのだ!!!
容姿端麗、文武両道
金髪碧眼(ロシアの血が多く入ってるかららしい)
一つ下の学年で、通ってる高校は違うけど、一週間に一度は放課後デートを欠かさないそんなスパダリ完璧彼氏!
名前を堂坂レオンくん!
俺はレオンが大好きだし、レオンも俺が大好きで
(自己肯定感が高すぎるって?
実は付き合いたての時に、なんで俺なんか、、、って1人で考えて喧嘩して
結局レオンからわからせという名のおしお、(re
、、、ま、まぁレオンからわかりやすすぎる愛情を一思いに受けてたらそりゃ自身も出るわなっていうこと!)
ちょうどこの春レオンが高校に上がって、それでも変わりないラブラブな生活を送っていたんだけど
なんとある日空から人が降って来て!
※ファンタジーでもなんでもなく、物理的に降って来たんだ
信じられるか?いや、信じろ
腐ってる姉さんたちが言うには、そいつはみんな大好き王道転校生!
、、、ってなんだ?
兎にも角にも、そいつが現れてから俺の高校がおかしくなってる?
いやなんだよ平凡巻き込まれ役って!
あーもう!そんな睨むな!牽制するな!
俺には超絶ラブラブな彼氏がいるからそっちのいざこざに巻き込まないでくださいっ!!!
※主人公は固定カプ、、、というか、初っ端から2人でイチャイチャしてるし、ずっと変わりません
※同姓同士の婚姻が認められている世界線での話です
※王道学園とはなんぞや?という人のために一応説明を載せていますが、私には文才が圧倒的に足りないのでわからないままでしたら、他の方の作品を参照していただきたいです🙇♀️
※シリアスは皆無です
終始ドタバタイチャイチャラブコメディでおとどけします
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談? 本気? 二人の結末は?
美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
最弱伝説俺
京香
BL
元柔道家の父と元モデルの母から生まれた葵は、四兄弟の一番下。三人の兄からは「最弱」だと物理的愛のムチでしごかれる日々。その上、高校は寮に住めと一人放り込まれてしまった!
有名柔道道場の実家で鍛えられ、その辺のやんちゃな連中なんぞ片手で潰せる強さなのに、最弱だと思い込んでいる葵。兄作成のマニュアルにより高校で不良認定されるは不良のトップには求婚されるはで、はたして無事高校を卒業出来るのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる