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しおりを挟む「今日はもしかして2人がお迎えに来てくれたの?」
「ん、あの人たち忙しいからな」
「絶妙なファンサービスは常として、イベント向けの試合も有りますからね」
「な、何それ見たい……」
秋がキラキラした目で呟くと式と桃花も深く頷いた。先輩達の戦いって本当に映画みたいに綺麗でかっこいい。おれも優ももちろん興味津々な訳で、こういう所は男の子だ。
「式と桃花もお仕事あるのに、なんかずっとおれらの送り迎えしてくれてる……大丈夫なの?」
「いやいや……お前ら1人にするよりは100倍マシ」
「本当です」
「信用の無さよ…」
落胆する秋にとどめの一言。
「ま、だからお前らは年明けまでフロアは出入り禁止な」
「え?!」
「そのイベントは外部からも強豪が来ますし、人もクリスマス以上に増えますし……どこかの誰かさんが変なところでスイッチ入れるか分かりませんから」
キッと睨まれてしまっては何も言うことが出来ない。それに事実、いつかの後夜祭は割り込んでしまったわけだし。
「うーん…………まあでも、俺たち流石に先輩独占しすぎ?」
腕を組み、推理するように秋が言う言葉におれも優も納得してしまった。
クラブのカウントダウンイベントはこれから盛り上がるのだ。それなのにクリスマスにその主役とあれだけ出かけてしまって本当に良かったのだろうかと心配になるほど。
「……いや、仕事は確かにあるけど、プライベートで独占くらい付き合ってんだから当たり前だろ」
「そうだけどさぁ」
さすがに言いすぎたと思ってしまったのか式が慌てるがクラブに行くと先輩達に構ってもらう事になってお仕事の邪魔になってしまいそう。
「どちらかと言えばお前らがいると余計に人が増えるから来させたくないんだよ」
「まっさかぁ!」
ケラケラ笑ったのはおれだけで秋も優も視線をずらして無言を貫いた。え?なんでよ。おれたちが何したって言うのだ。なぜか式の指がおれの頰をつねると桃花がため息混じりに話し出す。
「だいたい、家まで貰うくらい溺愛されてるんだから独占し過ぎなんて言ってたらあの人たちの熱烈ファンに殺されるよ、秋」
春さんが固まった笑顔で家……?と呟いていたがおれは内容どうこうよりも桃花がタメ口だった事の方が大事だ。今ならおれに使ってくれると期待して今度はおれが問いかける。
「家もらったの誰から聞いたの?桃花」
「チームの人みんな知ってます」
おれの意図なんてお見通しだと意味ありげな微笑み。
くっ、手強い。可愛い顔で今回もおれの負け。
「みんな知ってるんだぁ……」
おれたちのやりとりなんて目にも止まっていないのか優が遠い目で乾いた笑い。やっぱり春さんは家……?と同じように呟いた。
あの人たち隠すって事しなさそうだし何となくこうなるかなとは思ってたから、おれは桃花がやっぱり敬語をとってくれないことの方が気になる。
「とうかぁ……敬語とってよ~」
「まだ、ダメです」
最近は恥ずかしがるどころか、おれを虐めるためにしてないか?と思うほど意思の硬い返事にしょんぼり。
「ごめんね」
しかも1日3回と言うタメ口をこう言う時だけ使うようになってきた。
ごめんねだけちょっと照れて可愛いし、なんだろう、このしてやられた感は。
「式、最近桃花が小悪魔に……」
「飼い主が飼い主だからな」
だから、おれが何をしたんだ。
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