sweet!!

仔犬

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christmas!!!

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拝啓、親友2人におかれましてはステキなデートを過ごされていることとお喜び申し上げます。

俺は死にそうです。





やっとの思いで着いたスタジオ。
ダンスはいつもスタジオを借りていて、俺が所属しているダンスチームが持っているスタジオなのでかなり格安待遇。


それでも着いてしばらくは叫び疲れてバイクの上で伸びていた。

「ダイジョブー?」

「ありえねぇ……何であれで捕まらないんですか」

「あれって言われてもネェ」

飄々と答える気のない返事に思わず脱力。新手のアトラクションかと思うような運転で瑠衣先輩だけがゲラゲラ笑いながらここまで来たのだ。俺は後ろで叫ぶほかない。
 
このままでは時間がいくらあって足りない。力を込めてバイクから飛び降りてしゃがんでいた瑠衣先輩を引っ張る。

「ほら、行きますよ!」

「えーアッキーがバイクから降りないから待ってたのに」


誰のせいで?と言い返したところで笑われるだけなのでおとなしく受付に向かっていく。常連の俺にスタッフさんが挨拶してくれて部屋番だけ教えてもらってすぐに通り抜ける。

ラフに大き目のウィンドブレーカーを羽織っていた瑠衣先輩は人目につかないためかフードを深くかぶった。俺もスタッフさんとさらっと話しただけだから瑠衣先輩には気付いていないだろう。

広いスタジオには音楽機器と壁一面の鏡。
この空間が好きでたまらない。


「いつもまず何やんの?」

「ストレッチ!」

端に荷物を置いてBGMに適当な曲を流す。ダンス用ミュージックは歌物もやるけど最近はEDMが殆どだ。

「せっかくだし瑠衣先輩も踊りましょうよ。まずは上半身伸ばす!」

「いいよー」

首から腕と上半身を伸ばしていき、太ももふくらはぎと丁寧に伸ばしていく。ついでに体もあったまるから外の風で冷えた体もすぐにあったかくなる。

壁に貼ってあるカレンダーが目に留まり、やはりクリスマスの文字が目にとまる。大人しくストレッチに付き合う瑠衣先輩に顔を向けた。

「良かったんですか?クリスマスなのに」

んーと首を傾げた瑠衣先輩。ぱかっと口を開け間延びする声を大きめに出す。

「アッキーのカッコイイとこをー」

「はい」


続いてニヤリと笑う。


「このクリスマスに見せてもらおうかと」

「くそっハードル上げられた!!」


墓穴を掘った俺に瑠衣先輩はゲラゲラ腹を抱えて笑い出した。
まあ、どっちにしろ俺はいつも通り踊るだけだけどさ。

背中を押してもらって体を伸ばしあう。普通なら体の硬さで盛り上がるところだが2人してべたりと地面に着く。
俺は普段からやっているとしても、瑠衣先輩は流石の身体能力。



残念、身体硬かったらちょっといじれたのに。
目が合えばイダズラっ子の笑みを見せてくれるから、ダンスは正解だったようだ。

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