sweet!!

仔犬

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christmas!!

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「可愛いなぁ、もう」

肩を震わせて笑いながら暮刃先輩が俺を引き寄せた。肩に顎を乗せてまだ小さく笑っている。


「恥ずかしがりそうだから顔は見ないであげる」

「それは……どうもありがとうございます」


むくれながらもホッとする。顔が熱いから。

知らなかった、自分にこんな一面があるなんて。それと同時にこの感情が芽生えたのがこの人で本当に良かったと思う。

相手にこれを思って、知らなくて良かった、辛いなんて思う人はお互いのバランスが取れていないからだ。それは確かに辛いだろうな。この人以外を相手にしていたら人間の世界で生きるにはこの気持ちを上手く扱える気がしなかった。


未だ肩口で震える暮刃先輩が耳元で囁いた。


「嬉しいなぁ……もっと堕ちてよ優夜」

「……暮刃先輩がいうと本気に聞こえるんですよね」

「冗談は半分くらいだよ」


つまりそれは、なんて解説はやめておこう。
抱き寄せられソファに平行に向いているので、横目で後ろの床にいたはずの秋と瑠衣先輩を見たらいつのまにか2人が居ない。いつからいないのだろう、今夜はみんな機嫌が良いから、行動が読みづらい。

なんだかもう恥ずかしも越えて、俺も暮刃先輩に体を預ける。

「そもそも、先輩達が嫉妬する事が一番最初は驚きでした」

「そう?まあ、確かに今まではどうでも良かったよ……だけど、いざ君たちに初めてここまでこんな感情持ってるのに、巧妙に振り回されてるわけ」

「巧妙……」


なんだか小悪魔のような言い回しだ。
そういうのは唯担当なんだけどな、いやあの子も小悪魔ではないけど。あれは無敵の天然人タラシだ。

やっぱり、唯のことを思い出すとなんだか楽しくなっちゃって、俺はいつものように暮刃先輩に遊びを仕掛けた。一周回って何でも言えそうだし、今日はもう強気に。



明るめの髪は最近色を変えて黄色味を一切消したブロンドに近くなっている。それがグレーの瞳によく似合って綺麗で、その髪に指を通して肩から顔をあげる。

微笑みは優しいだけじゃない、その目の奥に映るものは俺だ。



「暮刃先輩が堕ちてください」



口角はいつもより数ミリ上に、目は少し俯いて。




「それが嫌なら、俺を掴んで離さないで」




この人と同じ様に悪い顔ができただろうか、髪の隙間から覗くように少し首を傾げると暮刃先輩が笑っていた。


「…………あ」


驚いた。
こんな表情を見た事がなかった。

完全に穏やかさを無くした笑みが気品だけを残して獣の笑みを浮かべている。先輩たちのなにが似ているってこういう時の顔だ。なぜこの人たちがこれほどまでに我慢をしてくれているのだろうかと不思議になるくらい壮絶な、見てはいけない何かを見てしまったような気がする。

それは怖くなくて、綺麗で、堕ちてしまいそう。
でも、だめだ。




「…………はあ」



それでも一旦ため息をつくと、暮刃先輩は表情だけを元に戻したようだ。まだ目の奥には深々とその想いが潜んでいるけど、そんなの男だから当たり前だ。


「君の、そうやって煽るところも好きだよ……」

「えーと、ごめんなさい」


なんだか疲れたようにそういうから、思わず謝まる。


「……ふっ……あはは」


なんだか可笑しくなって小さく吹き出してしまいさすがに笑われては暮刃先輩も怒ったのか頰をつねられた。


「遊ぶならもう少し穏やかなものにしてよ」

「いや、いつもと変わらないと思ったんですよ」

「君も大概だよね……」


君もってもしかしなくても俺と唯だろうか。
今日ばかりはそれも良いかもしれない。







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