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care!!
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しおりを挟む一夜漬けという言葉があるように、短期集中で本気でやれば2日でもかなり進むらしい。
「あとは暗記モノを休憩時間とか学校行く前とか夜とかにやるか……」
ちょっとお疲れ気味の秋がおれのベッドにボスンと倒れこむ。2日目の放課後はおれの家でお勉強。
昨日はクラブで夜までやっていたら、とつぜん瑠衣先輩のバクレツー!数学教室!とやらが始まり、式も戻ってきた桃花も巻き添えをくらって膨大な数式を解いた。
瑠衣先輩教科書も見てないのに数式問題作れるって何者なんだろう。数式覚えたら即、10問解いて~ハイハジメ~と話し口調は緩いのにスパルタな教室だった。
しかも間違えるとめちゃくちゃ爆笑される。
暮刃先輩も来てありえないほど流暢な英語のリスニング問題を出して来て、良い声過ぎて耳が覚えるという不思議な事態が発生した。
そしてとてもわかりやすい説明のおかげでどちらかと言えば英語が苦手な秋もほとんどが頭に入って来たという。
どうやらあそこは美形塾だったようだ。
春さんの紅茶を淹れて、休憩がてら少しまったりしながら昨日のことを秋をちょっと笑いながら話す。
「てゆか先輩たちすご過ぎね?そりゃ授業受けなくても良いよね」
「うん、本当に自分の彼氏なのかと客観視しちゃったよ」
「かあっこ良いよねぇもう~」
でも入れ替わり立ち替わりで来る先輩達、式もちょこちょこ抜けては戻ってきたり、桃花も話し合いを遅くまでしていたようだ。赤羽さんが家まで送ってくれたわけだけど、やはり彼も忙しそうで申し訳なかった。
「この前のケンカふっかける人たち、まだ減らないんだろうね」
「ちょっと忙しそうだったね」
優がクッションを抱きしめながら困ったように笑う。
今日も来て良いとは言われたけど忙しそうだったので秋も優もおれの家に来たわけだ。
ベッドに腰掛けた優が秋の上に重なって、潰れて変な声を出たけどスルーして天井を見上げながら呟く。
「これがまたなんか嫌な予感するんだよね」
「それフラグじゃん……」
春さんの紅茶はいつも通りあったかいのに2人の会話を聞いていると胸騒ぎがしてくる。いや、こういう思い込みが良くない。
仕切り直しておれもベッドに上半身をもたれかかると2人に用意していた単語帳をずいっと渡す。
「ほい!これ氷怜先輩が付箋してくれたところまとめたやつ……おれがバイト出れない分、2人も穴埋めしてくれたしせめてこれで隙間を使って役立てて~」
きょとんとした2人が単語帳を受け取るとパラパラパラとめくっていく。昨日の夜帰ってから作ってみた。暗記モノはまとまっていた方が楽かなと思ったのだ。教科書出す必要もないし。
「だから今日あくびばっかしてたのか」
「おや、バレていましたか」
流石に昨日の今日では睡眠足りなかったよね。
今日はパックだな。
「もうこれ勝ち組じゃん……さんきゅな、唯」
「唯、ありがとう」
にっと笑って2人に改めてお礼言われると恥ずかしくなってきて誤魔化すように2人の上に身を投げた。重いとか言われながらもけらけら笑っていると、また単語帳を見始めた2人が呟く。
「マメだなぁ唯、しかもこれまた可愛い字なのが……」
「唯、昔さ女の子の代わりにラブレター書いた事あるよね」
「だって唯斗くんの字が1番可愛いからお願い!って女の子言われたら断れなくて隣のクラスの男子に……」
その光景を思い出したのか2人がふるふると震えだした。
流石のおれもラブレターは自分で書いた方がいいと思う、とは言ったのだが字だけがどうしても苦手なの!と涙ながらに言われてしまい断れなかったのだ。
秋がついに笑いだす。
「あはは!唯と居ると本当、思い出が全部面白いなぁ」
「おれもふたりがいて楽しいよ」
こうやって平和な時間を過ごすおれたちにも黒い影は近づいていた。
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