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駆けつけたイノさんが言うにはレイラさんとはあの男と言い争っている場面にたまたま出くわしたらしい。
もともとレイラさんは大企業のお嬢様で、開いたパーティに出席していたあの男が猛烈にアプローチしてきたと言う。
その時から度を超えた行動で、最近成り上がった男は何もかもが思い通りになると信じて疑わずレイラさんがいくら断ってもしつこく言い寄ってきたのだ。
ついにはレイラさんの行く先々に現れるストーカー行為に発展。手を掴まれ無理矢理車に乗せようとしたその瞬間にイノさんが助けたのだと言う。それはお礼したくなってわざわざここまで来たのも分かる。
そんなレイラさんは執事のような人を呼んであの男を警察に突き出すと言っていた。家には内緒で来たから執事の人がおらず、その隙を狙われたらしい。
たくさんのお礼の言葉をイノさんと俺たちに言うと勇気をもらったと言って、しまいにはあの男の頰にペシンと1発ビンタを入れていた。
「貴方は最低な人よ」
膝を落としたあの男はもう二度と彼女の前に現れることはないだろう。イノさんはびっくりしてたけど唯はいい笑顔だった。女性は強いな本当。
「イノさん……本当にありがとうございました。私が弱いせいで、貴方達にも返せない恩が……」
眉を寄せたレイラさんだが最初よりも表情が明るくなって綺麗な笑顔だ。
「お礼なんて思わず気が向いたときにでも遊びに来てください……唯達はそれまでに俺が口説き落とすのでここにまた居ますよ」
「え?!」
イノさんの言葉にレイラさんが笑う。
「まあ、それは楽しみ」
「レイラさん!?」
レイラさんには俺たちが未成年の事とか全部話してしまった。しかし、知ってたわと軽やかに頷かれてしまう。
「とっても可愛い時間だったから……本当にありがとう」
歩き方も綺麗なレイラさんを見送ってやっとひと段落。
フロアは落ち着きを取り戻したと、サクラ姉さんが報告しに来てくれた。今はそのサクラ姉さんが表に出てどうやらお客様に迷惑をかけたお礼に豪華なディナーを振舞っている。鹿野さんや胡蝶さんも大きなケガはないそうで、混乱させたお客様のフォローをしている。笑顔で安心させるその力は流石だ。
控え室に戻ればいつのまにか赤羽さんが。手には治療セットを持って爽やかに笑っている。これで白衣なんか着たらその病院に患者が殺到するだろう。
「また面白いくらい巻き込まれましたね」
「す、すみません」
きっと先輩達が連絡を入れたのであろう。ソファに座った俺たちを1人ずつ診はじめた。
「悪かった……怪我させて」
一緒に居たイノさんがソファの隣で声を絞り出すように言われてしまい、まさか謝れるとは思わず俺たちは焦る。
「イノさんが謝ることありません」
「そうですよあの男が悪いんです!」
「そう、あの気持ちわるさ!」
ぴーぴーギャーギャー騒いでやっと顔を上げてくれたイノさん。
ちなみに最後のは優様の言葉である。
そうだよね、あれは強烈だったよな。
でも、とイノさんが言いかけた時ドアがゆっくり開いて暮刃先輩と氷怜先輩が入ってきた。俺たちを見つめて何も言わずに目の前のソファに座る。
俺たちは片方のソファに3人で座っていたのでテーブルを挟んで氷怜先輩達。唯が体を縮こませて背筋を正した。
2人は真顔で何も話そうとしない。
最初に俺を診ていた赤羽さんが俺の肩を手でなぞり最後に湿布を貼った。この部屋唯一の爽やかな笑顔で話してくれる。
「すぐ治りますよ」
「ありがとうございます」
氷怜先輩がそれを見て静かに目を閉じて話しだす。
「悪かった、遅れて」
「いやいや先輩まで謝らないでください。俺もすみません心配かけて……あの」
瑠衣先輩はどうしたんですか。
「車にいるから、行ってやれ」
「……はい」
立ち上がった俺の腕を誰かが掴んだ。その反対の手では優の手を掴んで唯が眉を下げる。
それでも真っ直ぐに俺たちを見る唯が俺は好きだ。
「秋、優、ごめん。ありがとう」
なんだかみんなで謝っているのがおかしくて唯の頭を乱暴に撫でた。
「カッコよかったぜ、唯」
もともとレイラさんは大企業のお嬢様で、開いたパーティに出席していたあの男が猛烈にアプローチしてきたと言う。
その時から度を超えた行動で、最近成り上がった男は何もかもが思い通りになると信じて疑わずレイラさんがいくら断ってもしつこく言い寄ってきたのだ。
ついにはレイラさんの行く先々に現れるストーカー行為に発展。手を掴まれ無理矢理車に乗せようとしたその瞬間にイノさんが助けたのだと言う。それはお礼したくなってわざわざここまで来たのも分かる。
そんなレイラさんは執事のような人を呼んであの男を警察に突き出すと言っていた。家には内緒で来たから執事の人がおらず、その隙を狙われたらしい。
たくさんのお礼の言葉をイノさんと俺たちに言うと勇気をもらったと言って、しまいにはあの男の頰にペシンと1発ビンタを入れていた。
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「イノさん……本当にありがとうございました。私が弱いせいで、貴方達にも返せない恩が……」
眉を寄せたレイラさんだが最初よりも表情が明るくなって綺麗な笑顔だ。
「お礼なんて思わず気が向いたときにでも遊びに来てください……唯達はそれまでに俺が口説き落とすのでここにまた居ますよ」
「え?!」
イノさんの言葉にレイラさんが笑う。
「まあ、それは楽しみ」
「レイラさん!?」
レイラさんには俺たちが未成年の事とか全部話してしまった。しかし、知ってたわと軽やかに頷かれてしまう。
「とっても可愛い時間だったから……本当にありがとう」
歩き方も綺麗なレイラさんを見送ってやっとひと段落。
フロアは落ち着きを取り戻したと、サクラ姉さんが報告しに来てくれた。今はそのサクラ姉さんが表に出てどうやらお客様に迷惑をかけたお礼に豪華なディナーを振舞っている。鹿野さんや胡蝶さんも大きなケガはないそうで、混乱させたお客様のフォローをしている。笑顔で安心させるその力は流石だ。
控え室に戻ればいつのまにか赤羽さんが。手には治療セットを持って爽やかに笑っている。これで白衣なんか着たらその病院に患者が殺到するだろう。
「また面白いくらい巻き込まれましたね」
「す、すみません」
きっと先輩達が連絡を入れたのであろう。ソファに座った俺たちを1人ずつ診はじめた。
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「イノさんが謝ることありません」
「そうですよあの男が悪いんです!」
「そう、あの気持ちわるさ!」
ぴーぴーギャーギャー騒いでやっと顔を上げてくれたイノさん。
ちなみに最後のは優様の言葉である。
そうだよね、あれは強烈だったよな。
でも、とイノさんが言いかけた時ドアがゆっくり開いて暮刃先輩と氷怜先輩が入ってきた。俺たちを見つめて何も言わずに目の前のソファに座る。
俺たちは片方のソファに3人で座っていたのでテーブルを挟んで氷怜先輩達。唯が体を縮こませて背筋を正した。
2人は真顔で何も話そうとしない。
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「すぐ治りますよ」
「ありがとうございます」
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「いやいや先輩まで謝らないでください。俺もすみません心配かけて……あの」
瑠衣先輩はどうしたんですか。
「車にいるから、行ってやれ」
「……はい」
立ち上がった俺の腕を誰かが掴んだ。その反対の手では優の手を掴んで唯が眉を下げる。
それでも真っ直ぐに俺たちを見る唯が俺は好きだ。
「秋、優、ごめん。ありがとう」
なんだかみんなで謝っているのがおかしくて唯の頭を乱暴に撫でた。
「カッコよかったぜ、唯」
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