sweet!!

仔犬

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Peace!

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「あれ、みんな寝てますね」


1時間たっても戻らない氷怜達の携帯に連絡するも誰も返ってこない。
どうせ呑気でマイペースな3人がどうなることも無いだろうとアニマルセラピーを推奨した式は余計なことをしてしまったかと不安になってきた。

そう赤羽に報告すると爽やかな笑顔が返ってきた。

「あそこのドアは外鍵なんだから開けたらいいじゃないですか」

何も迷うことなく開けられたドアの先は穏やかなもので全員が抱き枕を使って睡眠中だった。

テーブルのグラタンも平らげ、その横のソファで暮刃と優。氷怜と唯は綺麗に布団を被って寄り添っているが、瑠衣におもいっきり締められている秋はいささか苦しそうだった。それでも瑠衣は穏やかな寝息で安眠だ。


「ちゃんとアニマルセラピーしてるし……」

「式、氷怜さん起きてた?」

「この通り」


様子を見にきた桃花も困り顔で笑っていた。
正直、幼稚園のお昼寝タイムのような平和空間である。赤羽は首を傾げた、なぜデートを終えた彼らが甘えるような事になっているのか。


「デート中にこうできなかったんですかね?」

「それこそ唯達のせいで予定狂わされてんですよ。どうせ」


ああ、と赤羽は納得した。氷怜達がここまで寝ている光景は初めて見たのだ、こんな力が抜けている彼らが面白くてたまらない。

「みて、式。寝方可愛い」

掛け布団を両手でキュッと握り口元まで隠して眠る姿はたしかに可愛いが、桃花がそれを言ったことに式は驚く。


「俺に言うなよ。いや……可愛いか可愛くないかで言えば可愛いけど」

「素直じゃないなぁ式は」

「お前らが素直すぎんだろ……」


式はふと心理的安定のために桃花付き人になったのは知っているが、あまりにも唯に肩入れしてしているような気がしていた。でもよく考えたら唯の周りに集まる奴は大抵そんなものだ。
自分もかなり秋にも優にも肩入れしている方なのだから。


「流石に起こしますね。この後集会なので…………」


赤羽がパンパンと手を叩き、大声でおはようございますとよく通る声で叫ぶと大の男達が揃って嫌そうに眉をひそめた。

「ウルサイ……」


1番最初に声をあげた瑠衣が耳を塞ぎたかったのか秋にさらに顔を埋めるもその秋が驚いて起きたことによって阻止される。

「…………え、何、朝?」

「午後の9時」

頭の回転がうまくあっていないのか式が時刻を告げても夕方?と首をかしげる。あんなに苦しそうだったのにかなりの熟睡度だ。

瑠衣の行き場の無くした手がボンボンとマットレスを叩く。

「抱き枕が消えた~」

「……おお、瑠衣先輩起きてんじゃん。朝らしいですよ」

「夜な」

噛み合わない会話だが動きだけは秋がしっかりしてきた。ぺしぺしと秋に叩かれて瑠衣が嫌そうに起き始める。

「……ナニ、みんな寝てるし」

さすがの瑠衣もこの事態に気付いたのか驚いていた。だがそれも一瞬、起き抜けに赤羽の頭を見た瑠衣はすぐさま笑いのスイッチがONになる。

「てか…………頭に、ナニつけてんの!!あはははははは!!!」


壊れたおもちゃのように笑い出した。さすがの声の大きさに全員が起き出す。


「瑠衣うるさ…………何してんの赤羽」

暮刃もゆっくりと起き上がるが瑠衣が指差す方向の赤羽に眉をひそめた。赤羽としてはこれを待っていたので楽しげな笑顔だ。式と桃花はカチューシャのことなど忘れ始めていたところだった。

目をこすりながらいつのまにか眠っていたことの方に驚いた優に秋があくびをしながら近寄った。

「優おはよ」

「おはよ秋」

笑う瑠衣と怪訝な顔の暮刃を他所に2人は氷怜と唯の横に移動する。唯がぱっちり目を開けていた。

「あ、唯も起きてんじゃん」

唯がロボットのようにぎぎぎと首を秋と優に向ける。

「オハヨウゴザイマス」

「なんで片言なの」

「いつのまにか寝てた自分にびっくり」

腕枕された唯が照れながらも寝てたと優が秋に教えてあげれば吹き出した。

「図太い神経してんのな」

「秋もあんだけ締められて寝れてれば一緒」

優の言葉に今度は唯が笑った。流石に抱きしめられることに慣れてきたのか体をずらして氷怜の頭をポンポンし始めた。

「てゆか、氷怜先輩起きてます?」

「……今顔上げたら赤羽で疲れる」

「ああ……」

寝たふりをしているらしい。

そんな氷怜に式と桃花も近づいた。

「唯にもらってからずっと付けてて……」

「今日はすごく楽しそうですよ」


2人の言葉に氷怜はますます起きる気が失せる。

この後、集会にそのままで始めようとする赤羽に氷怜と暮刃がこれでもかと嫌悪を示したが、最後までカチューシャはその使命を成し遂げることになる。
ツボから抜け出せない瑠衣は瀕死状態だったが赤羽だけが生き生きとしていた。

フロアでそんなカオスを階段でこじんまりと見ながら3人は話す。

「これ思えば唯が主犯格じゃない?」
「恐ろしい子……」
「え、なんの?平和の?」

「うん……」

まあ、いいか。
そんな感じの2人の目が唯に向いた。







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