sweet!!

仔犬

文字の大きさ
上 下
110 / 379
Peace!

5

しおりを挟む

「んーよく寝たけどネムイ……」

ぼやっとしてる瑠衣先輩。
いつのまにか着替えたのか今日はルーズなスウェットにスキニーだ。少し肩口が広めなせいで横になってずれて綺麗な肩がよく見える。おれにはないセクシーさで首を傾けた瑠衣先輩。
いつもよりゆったりな動きに違和感を感じた。今日の朝も起きた時は誰よりもシュパッと動いていた瑠衣先輩が立ち上がろうともしない。ぼうっとおれたちを見つめている。
もしかして寝ぼけてる? 

すると目をこすりながら瑠衣先輩がかすれ気味の声を出した。


「抱き枕……欲しい」

「え……」

手を広げた瑠衣先輩。
その両手が明らかに秋に向いている。ギョッとした秋が立ち上がると優が座った目で秋を差し出した。


「瑠衣先輩どうぞ抱き枕です」

「え、いや」

「アニマルセラピーだよ」


笑ったおれにええ……と言いながらも優に背中をトンと押されてしまい見事その腕の中に収まった。

「ん……イイカンジ」


そのまま秋の首に顔を埋めると秋が少し驚く。やられたらそりゃどきっとするさ。
それでも手も足も使って本当に抱き枕にすると秋ごと瑠衣先輩が横になり、すぐに聞こえる穏やかな呼吸。


「これは効果あり?」

「うん、秋いい仕事した」


親指を立てたおれたちに秋がびっくりしながらもだんだんどうでも良くなってきたのか、じゃあ俺も寝るしかないじゃんと言って寝始める。
秋は寝つきがいいので数分で寝た。


おれたちはまだセラピーの出番が無いのでノートを片付けて先に貰ったエサ……ではなく美味しいあつあつグラタンを食べる事にした。

「うーん、昨日も今日も贅沢」

「着々と甘やかされてるよね」

「まったくだ」

のんびり食べ始めると秋が入った事により体制が変わったのか無意識に氷怜先輩が2人を避け、そのせいで暮刃先輩に肩が当たる。

「ん………」

暮刃先輩の声だ。優と視線を合わせるとこっそり2人で覗きにいった。クリアブラウンの髪が横に流れてその綺麗な顔がよく見えた。どっからみても美しいに尽きる。

「…………そんなに見られると、流石に寝づらいね」


目をつぶって寝ているはずなのにその口から感想が飛び出すので驚いてしまった。それなのに優は笑っている。


「やっぱり起きてた」

「え、優気づいてたの?」

「うん瑠衣先輩が起きた時暮刃先輩ちょっと動いたからそうかなって」


よく見てたな。暮刃先輩の目がゆっくり開くと腕につけていた時計を見る。

「結構寝てたな……」

「先輩達そんな寝れなかったんですか?」

「んーーちょっと面白いこともあったし……君たちの寝顔可愛かったから」

おれと優の頭を撫でる起き抜けの暮刃先輩も超エロいな。その手が気持ち良くておれも眠くなりそう。

「いい匂いがする」

「今日はグラタン貰いました」

「俺も食べようかな……ふわ」

暮刃先輩が珍しくあくびをするのでおれも優も笑ってしまった。ゆっくり立ちあがってソファに移動した暮刃先輩の横に優が座る。飲み物を注いで渡すとありがとうと微笑んだ。


まだベット横にいたおれは2人の何だかいい雰囲気に嬉しくなって笑っていたら、突然腕が掴まれてベットの上に転がった。

驚いて目を見開くと真上に綺麗な綺麗なヘーゼルグリーンの瞳。

「カラコンじゃない……」

「寝る前と起きた時は取ってけど……お前夜は眠けで朝は驚いて気づいてなかった」

おれの言葉に掠れた低い声が返されると、急激にリアルになった光景。 

え、ちょ、やばいなこれ。

おれはデートで自分の弱点を知ったのだ。朝もやばかったけど寝起きの氷怜先輩はおれがやばいという事に気付いた。みんなみんな色気がいつもより倍以上になるから。


「氷怜~俺たちがいるから唯食べないでね」

「氷怜先輩どうどう」


ソファから呑気な声が聞こえるがおれはそれどころではない。視線をどこに向けたらいいかもわからないし手も行き場をなくしている。おれの頭の横には氷怜先輩の手があって腰の横には膝があって、なんかもう色々わけがわからなくなってしまった。


「あ、あの」

「……食べねぇよ」


その綺麗な顔がゆっくり降りてくる。花のような甘い匂いに包まれると首筋に温かい感触。シーツでくぐもった声が耳に響いた。

「まだ、な……」


おれの頭の後ろに腕が回りその身体が包むように横に寄り添うとふんわりと掛け布団がされる。大きな手がおれのお腹をポンポンと撫でている。思わず氷怜先輩を見つめると、フッと笑ってこめかみにキスをされた。


おれは今日死ぬのかもしれない。 







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺にはラブラブな超絶イケメンのスパダリ彼氏がいるので、王道学園とやらに無理やり巻き込まないでくださいっ!!

しおりんごん
BL
俺の名前は 笹島 小太郎 高校2年生のちょっと激しめの甘党 顔は可もなく不可もなく、、、と思いたい 身長は170、、、行ってる、、、し ウルセェ!本人が言ってるんだからほんとなんだよ! そんな比較的どこにでもいそうな人柄の俺だが少し周りと違うことがあって、、、 それは、、、 俺には超絶ラブラブなイケメン彼氏がいるのだ!!! 容姿端麗、文武両道 金髪碧眼(ロシアの血が多く入ってるかららしい) 一つ下の学年で、通ってる高校は違うけど、一週間に一度は放課後デートを欠かさないそんなスパダリ完璧彼氏! 名前を堂坂レオンくん! 俺はレオンが大好きだし、レオンも俺が大好きで (自己肯定感が高すぎるって? 実は付き合いたての時に、なんで俺なんか、、、って1人で考えて喧嘩して 結局レオンからわからせという名のおしお、(re 、、、ま、まぁレオンからわかりやすすぎる愛情を一思いに受けてたらそりゃ自身も出るわなっていうこと!) ちょうどこの春レオンが高校に上がって、それでも変わりないラブラブな生活を送っていたんだけど なんとある日空から人が降って来て! ※ファンタジーでもなんでもなく、物理的に降って来たんだ 信じられるか?いや、信じろ 腐ってる姉さんたちが言うには、そいつはみんな大好き王道転校生! 、、、ってなんだ? 兎にも角にも、そいつが現れてから俺の高校がおかしくなってる? いやなんだよ平凡巻き込まれ役って! あーもう!そんな睨むな!牽制するな! 俺には超絶ラブラブな彼氏がいるからそっちのいざこざに巻き込まないでくださいっ!!! ※主人公は固定カプ、、、というか、初っ端から2人でイチャイチャしてるし、ずっと変わりません ※同姓同士の婚姻が認められている世界線での話です ※王道学園とはなんぞや?という人のために一応説明を載せていますが、私には文才が圧倒的に足りないのでわからないままでしたら、他の方の作品を参照していただきたいです🙇‍♀️ ※シリアスは皆無です 終始ドタバタイチャイチャラブコメディでおとどけします

同室の奴が俺好みだったので喰おうと思ったら逆に俺が喰われた…泣

彩ノ華
BL
高校から寮生活をすることになった主人公(チャラ男)が同室の子(めちゃ美人)を喰べようとしたら逆に喰われた話。 主人公は見た目チャラ男で中身陰キャ童貞。 とにかくはやく童貞卒業したい ゲイではないけどこいつなら余裕で抱ける♡…ってなって手を出そうとします。 美人攻め×偽チャラ男受け *←エロいのにはこれをつけます

不良高校に転校したら溺愛されて思ってたのと違う

らる
BL
幸せな家庭ですくすくと育ち普通の高校に通い楽しく毎日を過ごしている七瀬透。 唯一普通じゃない所は人たらしなふわふわ天然男子である。 そんな透は本で見た不良に憧れ、勢いで日本一と言われる不良学園に転校。 いったいどうなる!? [強くて怖い生徒会長]×[天然ふわふわボーイ]固定です。 ※更新頻度遅め。一日一話を目標にしてます。 ※誤字脱字は見つけ次第時間のある時修正します。それまではご了承ください。

異世界に転生してもゲイだった俺、この世界でも隠しつつ推しを眺めながら生きていきます~推しが婚約したら、出家(自由に生きる)します~

kurimomo
BL
俺がゲイだと自覚したのは、高校生の時だった。中学生までは女性と付き合っていたのだが、高校生になると、「なんか違うな」と感じ始めた。ネットで調べた結果、自分がいわゆるゲイなのではないかとの結論に至った。同級生や友人のことを好きになるも、それを伝える勇気が出なかった。 そうこうしているうちに、俺にはカミングアウトをする勇気がなく、こうして三十歳までゲイであることを隠しながら独身のままである。周りからはなぜ結婚しないのかと聞かれるが、その追及を気持ちを押し殺しながら躱していく日々。俺は幸せになれるのだろうか………。 そんな日々の中、襲われている女性を助けようとして、腹部を刺されてしまった。そして、同性婚が認められる、そんな幸せな世界への転生を祈り静かに息を引き取った。 気が付くと、病弱だが高スペックな身体、アース・ジーマルの体に転生した。病弱が理由で思うような生活は送れなかった。しかし、それには理由があって………。 それから、偶然一人の少年の出会った。一目見た瞬間から恋に落ちてしまった。その少年は、この国王子でそして、俺は側近になることができて………。 魔法と剣、そして貴族院など王道ファンタジーの中にBL要素を詰め込んだ作品となっております。R指定は本当の最後に書く予定なので、純粋にファンタジーの世界のBL恋愛(両片思い)を楽しみたい方向けの作品となっております。この様な作品でよければ、少しだけでも目を通していただければ幸いです。 GW明けからは、週末に投稿予定です。よろしくお願いいたします。

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

愛されなかった俺の転生先は激重執着ヤンデレ兄達のもと

糖 溺病
BL
目が覚めると、そこは異世界。 前世で何度も夢に見た異世界生活、今度こそエンジョイしてみせる!ってあれ?なんか俺、転生早々監禁されてね!? 「俺は異世界でエンジョイライフを送るんだぁー!」 激重執着ヤンデレ兄達にトロトロのベタベタに溺愛されるファンタジー物語。 注※微エロ、エロエロ ・初めはそんなエロくないです。 ・初心者注意 ・ちょいちょい細かな訂正入ります。

BLゲームの脇役に転生した筈なのに

れい
BL
腐男子である牧野ひろはある日、コンビニに寄った際に不慮の事故で命を落としてしまう。 その朝、目を覚ますとなんと彼が生前ハマっていた学園物BLゲームの脇役に転生!? 脇役なのになんで攻略者達に口説かれてんの!? なんで主人公攻略対象者じゃなくて俺を攻略してこうとすんの!? 彼の運命や如何に。 脇役くんの総受け作品になっております。 地雷の方は回れ右、お願い致します(* . .)’’ 随時更新中。

音楽の神と呼ばれた俺。なんか殺されて気づいたら転生してたんだけど⁉(完)

柿の妖精
BL
俺、牧原甲はもうすぐ二年生になる予定の大学一年生。牧原家は代々超音楽家系で、小さいころからずっと音楽をさせられ、今まで音楽の道を進んできた。そのおかげで楽器でも歌でも音楽に関することは何でもできるようになり、まわりからは、音楽の神と呼ばれていた。そんなある日、大学の友達からバンドのスケットを頼まれてライブハウスへとつながる階段を下りていたら後ろから背中を思いっきり押されて死んでしまった。そして気づいたら代々超芸術家系のメローディア公爵家のリトモに転生していた!?まぁ音楽が出来るなら別にいっか! そんな音楽の神リトモと呪いにかけられた第二王子クオレの恋のお話。 完全処女作です。温かく見守っていただけると嬉しいです。<(_ _)>

処理中です...