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date!!!
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しおりを挟む「つ、つぼ……?」
所在のなさからドリンクをごくごく飲んでいく。
喉は潤っても頭の回転には関係なかった。
話についていけず、おれの頭は疑問符で埋まりその重さで顔が傾く。先輩の手が耳を触るとその感触に思わず身体がビクついた。
怯えたと思ったのか大きく息を吐いて氷怜先輩が仕方なく話す。それでもその瞳が揺れることはない。
「……本当にわかんねぇのか?サクラの企みが」
「へ?」
サクラ姉さんなんかしていただろうか。おれが間抜けな顔をしたからか、氷怜先輩は秋と優にまるで保護者に求める目を向けた。
「唯の鈍感こじらせてる時はとことんはっきり言わないと伝わんないですよ」
「え、え、みんなして……おれそんなやばいこと言ってる?」
「……まあ、今回はサクラにもやられたな」
「そうなんですよね。だってどっちにしろ、唯断らなかったですよね」
さっぱりわからないおれに秋がこれはダメだと悟ったのかついに話を始めてくれた。ありがとう友よ。お礼の代わりにピーチのジュースをあげたらなんとも言えない顔。
「つまりさ、初めからホストもホステスも無理なんて言われるの分かってるんだよサクラさんも。それなのにその話から始めてる」
「そしたらまず、断る。だから唯も断った」
「うん」
その通りだ。
優がおれの返事を見届けて続きを話し出す。
「で、今度はとにかく唯が店に来てくれる作戦に移したんだよ。唯が絶対OKしてくれる内容で」
「あ、メイク……」
「そ。断らないでしょ?」
たしかに改めてホストお願いされて申し訳なくなりながら断って、それでもメイクなら出来ると飛びついたのはおれだった。
自然と背筋が伸びると今度は氷怜先輩が話し出した。
「お前ならクラブの奴らとすぐ仲良くなれるだろ。しかもそこの服着せとけば、忙しくなったとか欠員が出たとか適当な理由つけてお前に手伝ってもらう……もう分かったか」
「……サクラ姉さーーーーん」
ついに先輩の言おうとしてることがわかってきた。
つまり最初からおれをなんだかんだとクラブに接点をつける作戦だったわけだ。
ソファに項垂れると瑠衣先輩がけらけらと笑いながも傷心のおれを慰めてくれた
「まあメイクも本当だと思うけどー?サクラちゃんそゆとこ抜かりないし、唯ちんのメイクの腕絶賛してたし……まあたださー、店に出せなくてもアッキーも優たんも引き入れてなんやかんやでのパターンは確実~」
「サクラさん、あれでも商魂たくましいしそのお店で働いてる子達もかなりのやり手だしね」
まるで実体験のように話す暮刃先輩はもしかしたら、本当になんやかんやと流されてしまった経験があるんだろうか。サクラ姉さんの元で働く人たちなんて絶対凄いだろうなぁ。
「そこまで聴くと逆に気になってきますね」
「はは、たしかに」
優の呟きに秋が笑って同意すると暮刃先輩と瑠衣先輩がいい笑顔でその頰をつねる。
「そんな事言ってると本当にペロッと騙されるよ~」
「いひゃいれす……」
優が暮刃先輩の手をずらしておれをみた。その目はまだバカ唯、と物語っている。それでも次の言葉は優しいのだ。
「でもどっちにしろ、唯がオーケーしてるなら心配だから俺も行きまけどね」
「優……!」
目をウルウルさせて優様を拝めば、暮刃先輩が眉を下げて笑った。
「うーん、出来ればあそこには行きたくないんだけど……氷怜はどうせ行くんでしょ?」
「桃花付けてもあいつも押しに弱いしな……しかもあの時からサクラに頭あがんねぇだろ」
まだ桃花はサクラ姉さんに傷付けたことを気にしている。桃花のせいじゃないのにね。
話を振られため息をついた氷怜先輩もおれのほっぺたをつねる。結構しっかりつねられたので今回は本当に気をつけろと言いたいらしい。
「サクラに懐いてるのは良いけどな、ちったあ気をつけろよ」
「ごめんなひゃい……」
なんだか今日はよく謝っているなおれ。
ジンジンするほっぺを摩ると、氷怜先輩そこでやっと笑ってくれた。安心したら秋がにやにやと空中でメモを取る。
「唯はイケメンだけじゃなくて美人なお姉さんにも弱い、と」
「おれのプロフィール欄恥ずかしくて見せられねぇ……!!」
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