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fight!!
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しおりを挟む「うわあ、チートですよもう」
「……唯斗そんな呑気に尻餅ついたままだと倒されてもいいんだな?」
氷怜先輩の忠告にハッとなり、思わず腕をついて後ろに一回転。横目では赤羽さんの攻撃に秋も優もバク転して避けていた。
そう、実はおれたちみんなバク転はできるのだ。でもこれ最初は驚いてくれるけど、みんなが本気出したらすぐ掴まれちゃうけどね。
「キャー!みんなカッコいいーー!」
サクラ姉さんがタブレット片手に手を振ってきたのでピースを返した。
「サクラさんPC投げないでくださいね」
相変わらず一定の感情を保っている赤羽さんはやんわりとサクラ姉さんを窘めた。
そんな中、バク転をしたおれたちに先輩たちが珍しくなんとも言えない顔をしていた。
やっぱり、バク転そんなにでき無さそうなのかと思ったけど驚いている顔でもなければ、バカにしている風でもない。首を傾げたおれたちにまず暮刃先輩が口を開いた。
「いや……なんか、可愛いよね」
「え?」
可愛い?いやどちらかと言えばかっこいいではないのか?いや先輩達からしたらもしかして当たり前のことなのかもしれないけど。
同じような顔で氷怜先輩も続けた。
「……サクラみたいなやつは喜ぶかもしれないが俺らから見ると愛犬が芸を出来たのを見届けてる感じだな」
「愛犬……」
飼い主目線?
あ、でも氷怜先輩そういう所嘘つかないし本気だな。ていうかこっちは芸じゃなくてさ、一応攻めているわけで、そんな風に思われてたらもう終わりじゃないか。いやもう終わってたのか?
どういう顔をしたら良いかわからなくなって秋と優を見るもなんだが居た堪れない顔をしていて、さらに不安になる。
思わずダッシュで瑠衣先輩の元に駆け寄ると今にも吹き出しそうな顔をしていた。
「可愛いって……プフッ」
「……瑠衣先輩」
「いや、まさか2人がそんなこと思ってるなんてしらなかったケド……アハハ!! ワンコ!」
もうツボにはまってしまったらしい瑠衣先輩はお腹を抱えてしまった。もう司令塔がダメそうだし、この戦いは負け戦かもしれない。そう思った矢先に、意外にもすぐに笑いは止む。
「はーあ、確かにカワイイカモね……アッキーそのまま赤羽っちを桃花ちんと抑えてて」
「えあ、はい!」
秋がすぐさま桃花の元に戻ると、いつもの悪戯っ子の表情でおれと優が瑠衣先輩に背中を向けさせる。
「そんでふたりはー主人の元に行こっか?」
「へ?」
むんずと猫よろしく、首のあたりの服を掴まれたおれは宙ぶらりんになる。絶妙に苦しい。瑠衣先輩まさかの片手にでおれたちを持ち上げているのか?馬鹿力ここにも居ました。
「ヨイショ……ぽーい!」
「へ」
一回後ろ方向に揺らされて遠心力の要領でなんと前に投げ飛ばされたのだ。空高く。
それからはなんだか世界がスローモーションに見えた。ありえない高さまで飛んだおれたちは地面に氷怜先輩と暮刃先輩を見つける。ああこのまま通り過ぎて地面にドン。どうせやるなら女の子に壁ドンがいい。
「馬鹿野郎!瑠衣のやつ!!」
「唯斗さん!」
「唯!優!」
耳に氷怜先輩と桃花と秋の声が届くもおれはもう地面を感じる準備で目を閉じていた。
そしてすぐに来る衝撃。
「いっ…………たくない」
衝撃は強かったが痛みは少ない。ぎゅっと閉じていた目を開ければ、まだ見慣れない超絶美形が。
「え、え」
「ありえねぇ……瑠衣のやつまじでコロス……」
あろうことか氷怜先輩が下敷きになっていた。確か通り越したはずなのに。怒っていた氷怜先輩の目がおれに移るとすぐ心配そうに眉をひそめた。
「唯斗大丈夫か?怪我ないか」
「な、ないです」
正直もう体のどこが痛いかなんて分からなかったが先輩は安心したのかおれを抱きしめてため息をつく。
やばいのは心臓だ。
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