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battle!
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しおりを挟む感覚としてはボクシング観戦。けれど友達が出ているとなれば話は別だ。
隣の秋が眉を寄せて、自分が食らったわけでもないのにお腹を押さえた。
「イッテぇ……」
痛そう、絶対に痛い。式がお腹にもろにパンチを食らっていた。 お腹を押さえて膝をつく、頭もあげられないほど辛いのだろう。
何も出来ない。とは言え何もしないでいる事もできずおもわずサクラ姉さんに質問した。
「さ、サクラ姉さん。式ってどれくらい強いんですか?」
「……私彼の戦ってるところは見たことないんだけど、氷怜くんがすごい褒めてたわよ。動きもいいし、頭も使えるって」
たしかに身軽な彼は基本的な攻撃を避けている。それでも避けきれないのは相手がものすごい大男なのだろうか。式の体格はおれより少し背が高く、秋くらい平均的な体型だ。その体格差のせいで一撃がかなり重い。
また式がパンチを受け前かがみになった。それでもまた立ち上がる。まだキャンディはくわえたままだ。
「うう、式ぃ~頑張れ~」
「……体格差か」
それまで静かにテレビを見ていた優が呟いた。顎に指を当てて、いつもの優が考えるポーズだ。
「優?」
「……あの一撃そんなに速くないのに、式が受けてるの、もしかしてわざとかなって」
「え?」
ほら見てとテレビを指さした時、また大男が拳を下から振り上げた。また式のお腹に直撃する。
「何が?何が?痛いだけだよ~」
思わず手を顔で覆う。結局は指の間から見るのだが。
「いや、痛いだろうけどさ。単純にあの体格差だと振りが大きくなるというか。上の方からのパンチが多くなるわけ、でもその流れで自然に相手の下に入り込めるでしょ」
「んんん?なになにさ」
「なるほど!」
優の言葉にサクラ姉さんだけがひらめいたようだ。おれはわけがわからず、それでも痛いことには変わりがないので、何故かおれまでお腹が痛くなってきた。
「だとしたら、そろそろ終わりね」
「え?」
画面越しで式がまた殴られた。もうあざだらけなんじゃないのか。そう思った瞬間式がうずくまったまま大男の懐に突撃した。頭がお腹に直撃し、反動で前かがみになる。その一瞬で式のパンチが相手の顎にクリーンヒットしたのだ。舌を噛んでたら大変だっただろうに、漫画のように顎がガチン!と鳴った。
そのまま倒れ、動かない。たまに身体がガタッと動くが意識の外だ。
「勝った…………?」
「うん、勝った」
優がさらりと言うので実感が湧いてこない。代わりに秋を見ればすでにバンザイをしていたのでそちらに乗っかることにした。
「やったあああ!!!!」
窓ガラス越しにブンブン手を振ったおれたちに式が誇らしげにキャンディを噛み砕いた。
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