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battle!
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しおりを挟む「というかこの部屋……力が抜ける~」
そうなのだ、この部屋前の部屋と同じようにふかふかのソファにたくさんのクッション。既に用意されたご馳走の数々。手に取ったドリンクは冷蔵庫に完備していた物だ。空気清浄機もあって部屋の温度も完璧。
「考えてみればおれ達14連勤したんだった」
「超楽しかったけど体力的にはちょっと疲れたな」
だんだん秋の肩にもたれ掛かりテレビを見る。
この試合、かなりの人数が出ているので長丁場なのだ。それでも先輩達のチームの人が強いのは先輩からも聞いていたので安心してしまう。
「ほれ、寝んなよ」
「むぐ!」
無理やりいれられ、口の中に甘さが広がる。ストロベリーだ。棒付のそれは瑠衣先輩がくれたキャンディ。
「瑠衣先輩甘いもの好きだよね」
「なんで太らないんだろ」
「……俺なんて14連勤でやっと2キロ痩せたのに」
優が悔しそうに言った。彼は人一倍太るのが嫌いだ。秋が笑って優を諭す。
「優細いのに十分でしょ、俺なんてそのままだよ」
「ぬお、おれ体重測ってない~」
「唯は太んないけど筋肉付かないよなぁ」
おれの腕を持ち上げて上腕二頭筋を揉みだした。
「でもでも、まだ身長のびてるかんね」
空中で作ったこぶしに優が話しかけた。
「目指せいくつ?」
「氷怜先輩!」
「可哀想に……」
それ失礼だよ?秋も同情の目してるけど失礼だよ?
「お前ら本当に図太い神経持ってんな……」
「あー式だ」
いつのまにか開いていたドアに呆れ返った式が立っていた。彼は制服ではなく動きやすい服装に変わっていた。これからなのだろうか。
「いやーこの部屋居心地良すぎて」
「まあ、変に緊張するより良いか……ほら、お客様だ」
式の横から手だけが出てきた。指の細さ、ネイルの形、デザインは変わったが前回と同じシンプルなジェルネイル、きめの細かさ。
「サクラ姉さん!」
「だーれ……だ……え、今なに見て判断したの?」
「唯が女性の手だけでも忘れたりしませんよ」
優の言葉に式が今日一番嫌そうな顔をした。眉間のシワ残っちゃうよ?なんだかいつもより素っ気ない。目線が窓の向こうのフロアに向いて、睨むように。真面目な彼はきっと重い責任を感じているのだろうか。
思わずソファから立とうとするとそのままでいいと言われてしまった。
「送ったから……鍵閉めるぞじゃあな」
「式、もうすぐ?」
「……次」
こちらも見ずに素っ気ない返事。
その言葉でテーブルにある瑠衣先輩キャンディを一つ取ると優が式の前に立った。
「無傷、瞬殺、圧勝でよろしく」
手に握らせたキャンディを式が見つめる。驚いたのも一瞬で彼はそこでやっと笑ってみせた。
「わがままかよ」
その隙に駆け寄ったおれと秋は式を優ごと抱きしめた。勢いあまり三人の体重が式に全て乗っかり潰れていった。
「がんばってね!」
「お前ら…………重いわ!!」
ガバッと起き上がりおれ達を蹴り上げて部屋に入れる。ずっとニコニコで見てくれていたサクラ姉さんも部屋に入れて、無愛想に一言だけ式が言う。
「いってくる」
ガチャンと音を立てたドアが閉まる。鍵をかけるのも忘れていないところがさすが式だ。
「青春ねぇ~」
サクラ姉さんの言葉におれ達は満面の笑みを返したのだ。
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