4 / 379
escape!
4
しおりを挟むまあ、そんなこんなで走ってる訳ですが。
限界きてる。
部活なんて入ってないし、早いとは言われるが超人的な足を持ってる訳でもない。運動は得意な方でもこんな全力で何かから逃げたことはないから、苦しいし喉も痛い。こんなのに優と秋に付き合わせたと思うと本当申し訳ない。
明日のお昼はおれが奢ってやるぞ。
1番高いスペシャルAランチ、もしくは手作りお重弁当!
「はっ!そろそろ、限界だなお前」
「……」
おれを追ってきたのはあの金髪さん。
ここまで追いつかれていないのは金髪不良さんの足がそんなに速くないからだ。
しかし、体力の差ハンパないな。息も上がってないしまだまだ笑える余裕があるみたいだ。不良さんって不健康なイメージだけど、違うのかな。おれの思い込み?
おれの呼吸は胸を大きく早く膨らまして今にもはちきれそうだ。場所もどこかよくわかっていない、町並みなんかもう何ひとつ目に入らないくらい必死なんだけど。
回らない頭が撒かなきゃと警告してるからとりあえず路地裏に駆け込んだ。細い上に結構複雑な道。これなら。
ガクッ
「あ」
光が見えた。
そう思った瞬間、もつれた足。
勢いづいた身体はそのまま壁に激突した。
「いっ!!……ゲホっ!……ハァッハァッ……」
見事に肩を強打。ううん痛い、普通に痛い、これこそ折れたんですけど使う時じゃ?
呼吸は荒くても思考は意外とはっきりしてる。秋も優も怪我をしてないかな。ああ、本当悪いことしたな。助けに行きたいのに自分の状況すら解決出来ない。
悔しい気持ちが溢れて表情に出てしまったらしい。立ちはだかる金髪不良がにやりと笑った。
「手こずらせやがって……てめぇにはフルコースの仕置きくれてやらあ」
吐き捨てるように話す男がこんなに恐ろしく感じたのは今がはじめてだ。
薄暗い路地裏には少ない夕日の光だけがわずかに届いている。それがいやに怖くて堪らない。心細さが増すばかりだ。
「はっ、怖がってやがんの」
嘲笑するような声が響く。
逃げれるなら逃げたいが足が動かないし、未だに整わない呼吸も原因だ。拳の喧嘩ってした事ないし、痛いのが好きなわけない。
「こちとら、良い子なので怖いお兄さんは苦手で」
口だけはなんとか生意気に動くことに安心した。壁に激突したおれにはせめてもの意地で反抗。ちょっと恥ずかしかったの!
それでもおれのちっちゃな意地はどうやら金髪不良には効いたらしい。びきりと音でもしそうな勢いでその顔に青筋が走る。ところで青筋ってどうすれば出来るんだろ。
「……てめえ、ずいぶんと余裕だなぁ、ええ!?」
余裕なんて滅相もない!
でも叫びたくても我慢して、口の両端を上げてみた。ここまでくると最早自分が恐ろしい。
「っ……うぜぇよお前……!」
あ、 殴られる。
来るであろう衝撃に、反射的に目を強く閉じた。
1秒2秒、心の中で秒針の音が響く。針が5まで動いても痛みはこなかった。
……あれ、なかなか来ないな。
「ごふっ!?」
ごふってなんだろう。ごふ、ご夫婦、護符?ああ、幽霊とか信じちゃうタイプ?おれ見えないけどやっぱり世界に居るんですか。
そんな訳ない事なんてわかってる。
多分殴られた音だよね、でも今のおれじゃないよ?痛くないし、体1ミリも動いてないし。
取り敢えずさらに3秒待ってみたけれど予想していた痛みも衝撃もいっこうに来る気配はなかった。
え、どうしよう。
気になる。ものすごく気になる。
でも怖い、しかし見たい。
…………よしっ!
「おい」
「はい!!…………え」
14
お気に入りに追加
1,359
あなたにおすすめの小説
俺にはラブラブな超絶イケメンのスパダリ彼氏がいるので、王道学園とやらに無理やり巻き込まないでくださいっ!!
しおりんごん
BL
俺の名前は 笹島 小太郎
高校2年生のちょっと激しめの甘党
顔は可もなく不可もなく、、、と思いたい
身長は170、、、行ってる、、、し
ウルセェ!本人が言ってるんだからほんとなんだよ!
そんな比較的どこにでもいそうな人柄の俺だが少し周りと違うことがあって、、、
それは、、、
俺には超絶ラブラブなイケメン彼氏がいるのだ!!!
容姿端麗、文武両道
金髪碧眼(ロシアの血が多く入ってるかららしい)
一つ下の学年で、通ってる高校は違うけど、一週間に一度は放課後デートを欠かさないそんなスパダリ完璧彼氏!
名前を堂坂レオンくん!
俺はレオンが大好きだし、レオンも俺が大好きで
(自己肯定感が高すぎるって?
実は付き合いたての時に、なんで俺なんか、、、って1人で考えて喧嘩して
結局レオンからわからせという名のおしお、(re
、、、ま、まぁレオンからわかりやすすぎる愛情を一思いに受けてたらそりゃ自身も出るわなっていうこと!)
ちょうどこの春レオンが高校に上がって、それでも変わりないラブラブな生活を送っていたんだけど
なんとある日空から人が降って来て!
※ファンタジーでもなんでもなく、物理的に降って来たんだ
信じられるか?いや、信じろ
腐ってる姉さんたちが言うには、そいつはみんな大好き王道転校生!
、、、ってなんだ?
兎にも角にも、そいつが現れてから俺の高校がおかしくなってる?
いやなんだよ平凡巻き込まれ役って!
あーもう!そんな睨むな!牽制するな!
俺には超絶ラブラブな彼氏がいるからそっちのいざこざに巻き込まないでくださいっ!!!
※主人公は固定カプ、、、というか、初っ端から2人でイチャイチャしてるし、ずっと変わりません
※同姓同士の婚姻が認められている世界線での話です
※王道学園とはなんぞや?という人のために一応説明を載せていますが、私には文才が圧倒的に足りないのでわからないままでしたら、他の方の作品を参照していただきたいです🙇♀️
※シリアスは皆無です
終始ドタバタイチャイチャラブコメディでおとどけします
【完結】前世は魔王の妻でしたが転生したら人間の王子になったので元旦那と戦います
ほしふり
BL
ーーーーー魔王の妻、常闇の魔女リアーネは死んだ。
それから五百年の時を経てリアーネの魂は転生したものの、生まれた場所は人間の王国であり、第三王子リグレットは忌み子として恐れられていた。
王族とは思えない隠遁生活を送る中、前世の夫である魔王ベルグラに関して不穏な噂を耳にする。
いったいこの五百年の間、元夫に何があったのだろうか…?
同室の奴が俺好みだったので喰おうと思ったら逆に俺が喰われた…泣
彩ノ華
BL
高校から寮生活をすることになった主人公(チャラ男)が同室の子(めちゃ美人)を喰べようとしたら逆に喰われた話。
主人公は見た目チャラ男で中身陰キャ童貞。
とにかくはやく童貞卒業したい
ゲイではないけどこいつなら余裕で抱ける♡…ってなって手を出そうとします。
美人攻め×偽チャラ男受け
*←エロいのにはこれをつけます
不良高校に転校したら溺愛されて思ってたのと違う
らる
BL
幸せな家庭ですくすくと育ち普通の高校に通い楽しく毎日を過ごしている七瀬透。
唯一普通じゃない所は人たらしなふわふわ天然男子である。
そんな透は本で見た不良に憧れ、勢いで日本一と言われる不良学園に転校。
いったいどうなる!?
[強くて怖い生徒会長]×[天然ふわふわボーイ]固定です。
※更新頻度遅め。一日一話を目標にしてます。
※誤字脱字は見つけ次第時間のある時修正します。それまではご了承ください。
異世界に転生してもゲイだった俺、この世界でも隠しつつ推しを眺めながら生きていきます~推しが婚約したら、出家(自由に生きる)します~
kurimomo
BL
俺がゲイだと自覚したのは、高校生の時だった。中学生までは女性と付き合っていたのだが、高校生になると、「なんか違うな」と感じ始めた。ネットで調べた結果、自分がいわゆるゲイなのではないかとの結論に至った。同級生や友人のことを好きになるも、それを伝える勇気が出なかった。
そうこうしているうちに、俺にはカミングアウトをする勇気がなく、こうして三十歳までゲイであることを隠しながら独身のままである。周りからはなぜ結婚しないのかと聞かれるが、その追及を気持ちを押し殺しながら躱していく日々。俺は幸せになれるのだろうか………。
そんな日々の中、襲われている女性を助けようとして、腹部を刺されてしまった。そして、同性婚が認められる、そんな幸せな世界への転生を祈り静かに息を引き取った。
気が付くと、病弱だが高スペックな身体、アース・ジーマルの体に転生した。病弱が理由で思うような生活は送れなかった。しかし、それには理由があって………。
それから、偶然一人の少年の出会った。一目見た瞬間から恋に落ちてしまった。その少年は、この国王子でそして、俺は側近になることができて………。
魔法と剣、そして貴族院など王道ファンタジーの中にBL要素を詰め込んだ作品となっております。R指定は本当の最後に書く予定なので、純粋にファンタジーの世界のBL恋愛(両片思い)を楽しみたい方向けの作品となっております。この様な作品でよければ、少しだけでも目を通していただければ幸いです。
GW明けからは、週末に投稿予定です。よろしくお願いいたします。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
愛されなかった俺の転生先は激重執着ヤンデレ兄達のもと
糖 溺病
BL
目が覚めると、そこは異世界。
前世で何度も夢に見た異世界生活、今度こそエンジョイしてみせる!ってあれ?なんか俺、転生早々監禁されてね!?
「俺は異世界でエンジョイライフを送るんだぁー!」
激重執着ヤンデレ兄達にトロトロのベタベタに溺愛されるファンタジー物語。
注※微エロ、エロエロ
・初めはそんなエロくないです。
・初心者注意
・ちょいちょい細かな訂正入ります。
BLゲームの脇役に転生した筈なのに
れい
BL
腐男子である牧野ひろはある日、コンビニに寄った際に不慮の事故で命を落としてしまう。
その朝、目を覚ますとなんと彼が生前ハマっていた学園物BLゲームの脇役に転生!?
脇役なのになんで攻略者達に口説かれてんの!?
なんで主人公攻略対象者じゃなくて俺を攻略してこうとすんの!?
彼の運命や如何に。
脇役くんの総受け作品になっております。
地雷の方は回れ右、お願い致します(* . .)’’
随時更新中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる