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第七章
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「ちょっ、ちょっと、ジュリアン」
「だってアシュリー、アルシャントって可愛いよ?」
僕の腕を取りアルシャントと離してしまった。
「アシュリーは案外…弱虫なんだね」
「なっ!そんなこと…」
ドラゴンだとわかっているけれど、こんなに可愛い姿のアルシャントにそんなふうに言われて、アシュリーは慌ててる。
「アルシャント、アシュリーはね、弱虫じゃないよ?ただね、僕と離れたくないって思ってくれてるだけなんだ。わかる?」
「うん。すごく怒ってると思ってたけど…違うんだね。…強い思いなんだね」
「そうだよ」
アルシャントは強くなければならなかった。存在自体が神なのだから。訪ねてくる勇者にも強くあらねばと思っていた。
ただ、ミシェルにだけは甘えたかったんだ。甘えることができる存在が欲しかった。それが僕だった。
でも、もう寂しくないね……。
それからベッドを洞窟の中に運び、ダレルが掛け布団を用意した。もう一度五人でアルシャントを囲む。ジョナスたちは癒すたびに魔力の使い方が上手くなりアルシャントの心もすっかり良くなった。
アルシャントはイーノックと追いかけっこを始めた。しばらくするとアンブローズの背中に一緒に乗り、駆け回っている。マシューと遊び慣れているのか兄弟のように見える。木の陰から、僕たちがここに来るまであとをついてきた可愛い精霊がこちらを見ている。手招きするとたちまち姿を変えて走り寄ってきた。
「こんにちは。一緒に遊ぶ?」
恐らく僕たちよりはるか昔からここに生きているだろうけれど、アルシャントより幼く見える精霊は可愛い男の子だった。
なんだ…寂しい、寂しいと言いながら、こんなに可愛い友だちがいるじゃないか。ダレルとジョナスも参加して五人で鬼ごっこが始まった。
「ねえ、ギルバート…アルシャントはもう大丈夫だね」
「ああ、今まで他の奴らとは極力距離を置いてたからな」
「どうして?」
「昔からいる奴は度々人間を迎え入れるアルシャントの事が気に食わないし、若い奴は遠巻きにしてた」
「こんなふうに一緒に遊ぶことはなかったな」
「あっ、また来たよ。ほら!」
木陰からこちらを伺う精霊。
「あっ、あいつは!」
「どうしたの?」
「いや、なんでもない」
歯切れ悪く言い淀み、俯いてしまった。もしかして…。
『アシュ、マックスと一緒に僕のところに来てくれない?』
『どうした?何かあったのか?』
『うん。ギルがね…』
『ギルバート?わかった』
アルシャントが心配そうにこちらを見ているのがわかり、手を振った。ダレルが直ぐそこまで追いかけてきて、慌てて逃げている。
アシュリーとマクシミリアンがこちらに来るのがわかるとギルバートが余計なことしやがってと怒ってる。
「どうしたんだ?」
マクシミリアンの質問に質問で返す。
「ねえ、マックス。あそこにいる精霊はマックスと仲良しなの?」
黄金のマフラーのような毛をフワリと揺らし僕の指差す方を向く。
「あいつは…」
「どうなんだ?浮気はダメだぞ?俺なんかジュリアンしか目に入らないからな。マックスは違うのか?」
アシュリーも長い喧嘩の原因だと気付いた。僕の肩を抱いてマクシミリアンを追い詰める。
「ち、違うって」
こんなに大きくて威厳たっぷりの風貌なのに、慌ててギルバートに擦り寄る。
「本当なのか?」
「何度も言ったし、謝っただろ?勿論謝るようなことはないけど…」
「…わかったよ」
そして、鼻をコツンと当てて僕たちにわからない会話をしているのだろう。二匹でアルシャントの洞窟の横を抜け奥に進んで行く。あの奥には何があるのだろう?二匹が帰ってきたら探検してみよう。
先ほどの精霊は鬼ごっこに混ざって遊んでいる。僕たちと同い年くらいの女の子は最初恥ずかしそうにしていたけれど、イーノックに手を引かれると弾ける笑顔で多分…お礼を言った。人間の言葉がわからないのか、返ってきたのも僕たちにはわからない言葉だった。アルシャントが間に入り会話している。僕たちが帰った後もこんなふうに楽しく過ごせたらいいな…。
「だってアシュリー、アルシャントって可愛いよ?」
僕の腕を取りアルシャントと離してしまった。
「アシュリーは案外…弱虫なんだね」
「なっ!そんなこと…」
ドラゴンだとわかっているけれど、こんなに可愛い姿のアルシャントにそんなふうに言われて、アシュリーは慌ててる。
「アルシャント、アシュリーはね、弱虫じゃないよ?ただね、僕と離れたくないって思ってくれてるだけなんだ。わかる?」
「うん。すごく怒ってると思ってたけど…違うんだね。…強い思いなんだね」
「そうだよ」
アルシャントは強くなければならなかった。存在自体が神なのだから。訪ねてくる勇者にも強くあらねばと思っていた。
ただ、ミシェルにだけは甘えたかったんだ。甘えることができる存在が欲しかった。それが僕だった。
でも、もう寂しくないね……。
それからベッドを洞窟の中に運び、ダレルが掛け布団を用意した。もう一度五人でアルシャントを囲む。ジョナスたちは癒すたびに魔力の使い方が上手くなりアルシャントの心もすっかり良くなった。
アルシャントはイーノックと追いかけっこを始めた。しばらくするとアンブローズの背中に一緒に乗り、駆け回っている。マシューと遊び慣れているのか兄弟のように見える。木の陰から、僕たちがここに来るまであとをついてきた可愛い精霊がこちらを見ている。手招きするとたちまち姿を変えて走り寄ってきた。
「こんにちは。一緒に遊ぶ?」
恐らく僕たちよりはるか昔からここに生きているだろうけれど、アルシャントより幼く見える精霊は可愛い男の子だった。
なんだ…寂しい、寂しいと言いながら、こんなに可愛い友だちがいるじゃないか。ダレルとジョナスも参加して五人で鬼ごっこが始まった。
「ねえ、ギルバート…アルシャントはもう大丈夫だね」
「ああ、今まで他の奴らとは極力距離を置いてたからな」
「どうして?」
「昔からいる奴は度々人間を迎え入れるアルシャントの事が気に食わないし、若い奴は遠巻きにしてた」
「こんなふうに一緒に遊ぶことはなかったな」
「あっ、また来たよ。ほら!」
木陰からこちらを伺う精霊。
「あっ、あいつは!」
「どうしたの?」
「いや、なんでもない」
歯切れ悪く言い淀み、俯いてしまった。もしかして…。
『アシュ、マックスと一緒に僕のところに来てくれない?』
『どうした?何かあったのか?』
『うん。ギルがね…』
『ギルバート?わかった』
アルシャントが心配そうにこちらを見ているのがわかり、手を振った。ダレルが直ぐそこまで追いかけてきて、慌てて逃げている。
アシュリーとマクシミリアンがこちらに来るのがわかるとギルバートが余計なことしやがってと怒ってる。
「どうしたんだ?」
マクシミリアンの質問に質問で返す。
「ねえ、マックス。あそこにいる精霊はマックスと仲良しなの?」
黄金のマフラーのような毛をフワリと揺らし僕の指差す方を向く。
「あいつは…」
「どうなんだ?浮気はダメだぞ?俺なんかジュリアンしか目に入らないからな。マックスは違うのか?」
アシュリーも長い喧嘩の原因だと気付いた。僕の肩を抱いてマクシミリアンを追い詰める。
「ち、違うって」
こんなに大きくて威厳たっぷりの風貌なのに、慌ててギルバートに擦り寄る。
「本当なのか?」
「何度も言ったし、謝っただろ?勿論謝るようなことはないけど…」
「…わかったよ」
そして、鼻をコツンと当てて僕たちにわからない会話をしているのだろう。二匹でアルシャントの洞窟の横を抜け奥に進んで行く。あの奥には何があるのだろう?二匹が帰ってきたら探検してみよう。
先ほどの精霊は鬼ごっこに混ざって遊んでいる。僕たちと同い年くらいの女の子は最初恥ずかしそうにしていたけれど、イーノックに手を引かれると弾ける笑顔で多分…お礼を言った。人間の言葉がわからないのか、返ってきたのも僕たちにはわからない言葉だった。アルシャントが間に入り会話している。僕たちが帰った後もこんなふうに楽しく過ごせたらいいな…。
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