天使のローブ

茉莉花 香乃

文字の大きさ
上 下
113 / 173
第六章

02

しおりを挟む
「初めてのキスはいつ?」
「えっとね…」

それ、答えるのですか?なんでもしてあげたいと思ったけれど、これは恥ずかしい。でも、ケントは真剣だ。いつもお世話になってる隊長さんにご恩返しをしなくちゃね!

「三年生の時」
「三年生?早いね」
「そ、そうかな」
「アシュリーとはいつから付き合ってた?一年生の時は違ったよね?二年生だったかな…いつも、一緒にいる印象があるから忘れちゃった」
「さ、三年からだよ」
「えっ?じゃあ、付き合って直ぐってこと?」
「うん」

早いですか?他の人の事は知らないけれど…早いのですか?

「みんなそうなのかな?」
「僕は好きって告白した直後だったかな?」

あれ?好きっていう前だったかな?

「そうなんだ…そうだよね…付き合ってたら普通だよね」
「でも、人それぞれじゃないかな?」

あまりの落ち込み方に、なんとか元気になって欲しくて励ます。

「キスってどんな感じ?」

目をキラキラさせて、聞かれても困る。これ、僕じゃなきゃ襲われるレベルの可愛さだ。

「アシュリーとしかしたことないけど…」
「そりゃそうだよね。俺もガイ以外とは考えられない」

ガイは愛されてるんだな。でも、ケントもガイに愛されてる。自分じゃわからないのかな?

「幸せになれる感じかな…。嬉しい時や緊張してる時…どんな時でもアシュリーが側にいて僕を包んでくれるから」
「ア、アシュリーがしてくれるの?」

俯きがちに、恥ずかしそうに聞いてくる。でも、随分突っ込んだ質問だ。

「あのね…アシュからしてくれる時もあるけど、僕がしてってお願いする時もあるし、抱きついて僕からする時もあるよ」

もうヤケだ。なんでも言ってやる!

「そ、そうなんだ。でも、一番最初の時はアシュリーからだったよね?」
「うん。そうだった」

はぁっと深くため息を吐く。

「ガイはキスしたくないのかな…。やっぱり俺って…」
「じゃあ、ケントからしちゃえば?きっとガイは嬉しいと思う。どっちからって決まってるわけじゃないから」
「お、俺から?」
「そうだよ?嫌?でも、ケントはガイの事好きなんでしょう?じゃあ…」
「俺…したことないからどうしていいかわからないよ」
「ガイは?ガイは誰かとキスしたことあるのかな?」
「さあ…」

あれ?アシュリーは僕以外に誰かとキスしたことあるのかな?その先も…僕は全部アシュリーが初めてだけど、アシュリーは?

『アシュ?』
『ん?どうしたの?もう、終わった?俺はまだもう少しかかるけど』
『ち、違うんだ。気になることがあって…』
『何?』
『アシュの…アシュの初めてのキスの相手は誰?』

結構直球に聞いてしまい、僕じゃない他の誰かの名前を聞いてしまいたくなくて遮った。

『や、やっぱり、いい。練習頑張ってね』
『どうしたの?ケントと何の話してるんだ?ジュリに決まってるだろ?』
『僕なの?』
『俺を疑うのか?今晩、そんなこと疑問に思わなくなるくらい…啼かせるから、覚悟しといて。ああ、それから…ケントだから心配ないと思うけど、きっと今のジュリアン物凄く可愛く、真っ赤になってると思う。俺が帰るまで部屋から出ないでね』

「ちょっと…何真っ赤になってるの?思い出したりした?」

やっぱり、赤いんだ。
…顔が火照って熱い。

「な、なんでもないよ。それより唇で触れるだけでいいんじゃない?」
「触れるだけ?」
「うん」
「それ以上に何かあるの?」
「えっ…」

それを言うの?僕とアシュリーがいつもどんなキスをしてるかを?再び顔に熱が集まる。しかし、ケントは真剣だ。なんでも言うって決めたんだ!

「舌をね…」

ダメだ、恥ずかしい。

「そう言えばさ…俺、見たよね?ジュリアンとアシュリーがキスし…」
「あああっ!」

忘れてた。

「忘れてたよ。キスしたことある?なんて聞いといてさ…その時も…」

手を振って、それ以上言わないでアピールしてるのにわかってるのか、わかってないのか…舌入れてたな、あれは衝撃だった、なんで忘れてたんだろとニヤけてる。

「そうか、舌ね…」
「ケ、ケント!」
「でも、舌入れてどうするの?」

………憤死しそう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

職業寵妃の薬膳茶

なか
BL
大国のむちゃぶりは小国には断れない。 俺は帝国に求められ、人質として輿入れすることになる。

大好きなBLゲームの世界に転生したので、最推しの隣に居座り続けます。 〜名も無き君への献身〜

7ズ
BL
 異世界BLゲーム『救済のマリアージュ』。通称:Qマリには、普通のBLゲームには無い闇堕ちルートと言うものが存在していた。  攻略対象の為に手を汚す事さえ厭わない主人公闇堕ちルートは、闇の腐女子の心を掴み、大ヒットした。  そして、そのゲームにハートを打ち抜かれた光の腐女子の中にも闇堕ちルートに最推しを持つ者が居た。  しかし、大規模なファンコミュニティであっても彼女の推しについて好意的に話す者は居ない。  彼女の推しは、攻略対象の養父。ろくでなしで飲んだくれ。表ルートでは事故で命を落とし、闇堕ちルートで主人公によって殺されてしまう。  どのルートでも死の運命が確約されている名も無きキャラクターへ異常な執着と愛情をたった一人で注いでいる孤独な彼女。  ある日、眠りから目覚めたら、彼女はQマリの世界へ幼い少年の姿で転生してしまった。  異常な執着と愛情を現実へと持ち出した彼女は、最推しである養父の設定に秘められた真実を知る事となった。  果たして彼女は、死の運命から彼を救い出す事が出来るのか──? ーーーーーーーーーーーー 狂気的なまでに一途な男(in腐女子)×名無しの訳あり飲兵衛  

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした

なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。 「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」 高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。 そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに… その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。 ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。 かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで… ハッピーエンドです。 R18の場面には※をつけます。

処理中です...