天使のローブ

茉莉花 香乃

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第五章

04

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五年生になった。
五年生からは一部を除いて専攻した教科を習う。四年生の後期から、担任のレスター・バーンズ先生とそれぞれ面談して決めていった。なかなか決まらない子や一回の面談で決める子まで様々だ。
時には親まで出てきて、ワイワイ言いながら決めている。

僕はアシュリーと一緒に面談してもらった。父上は僕には何も言わなかった。

「先生とよく相談するように」

それだけ言って僕に委ねてくれた。

覚醒したことを伝え、ミシェルとして身に付けなくてはいけない教科を相談して決めた。

バーンズ先生は驚いておられたけれど「ああ…」とどこか納得しておられるようだった。
アシュリーが覚醒していたことも知っておられたし、その報告をした時も驚きながらもその事実は知っておられたようで僕の事も何者であるのかは知っておられた。

僕たちが入学した時、担任がバーンズ先生になったのも僕たち…勇者の生まれ変わりが入学したからだよと笑顔で言われた。それは自分が優秀だからだよと言っておられるようで、自信家の先生らしい。そんな先生なので、相談しやすかった。

しかし、バーンズ先生が仰るには必ず修めなければならないのは魔法薬学と魔法学だけで、あとは満遍なく応用を習えば良いと言われた。

「ジュリアンには潜在能力があるからね。今までも習わなくてもできることがあっただろう?それは、ジュリアンの内にある…初代さまから脈々と受け継がれた能力だ。俺は晩年のミシェルさまにお会いする機会があったんだ。その時はまさかこんなふうに今世のミシェルやミネルヴァに関わるなんて思ってなかったけど…素晴らしいお方だったよ」

先生は懐かしむように話してくださった。剣術と魔法学は必須で逆に興味のあることは何か聞かれた。

「魔法薬には興味はあります。ミシェルとしてしなければならないことがあるなら…それは頑張りたいと思います。けれど…まだ、わからないんです。ただ、この癒しの力はこの先も高めていきたいと思っています。先日、国王陛下と王太子殿下がお見えになって…」
「えっ?陛下と殿下に会ったの?」
「はい……」
「バーンズ先生はジュリアンの妹のセシリアの事はご存知ですか?」

僕がどう説明すれば良いか迷っていたらアシュリーが代わりに話を振ってくれた。

「ああ、魔法薬学のキサック先生が仰っていた。そうか、そうなのだな…だから…」

顎に手を当て何やら考え込んで、うん、うん頷いておられる。

「セシリアの時も身体の仕組みを知らなかったので原因となるとさっぱりわからなくて…、それがもどかしかったのです。特に陛下のお身体に関しては、御典医さまに『どこが悪くて、どう治したのだ?』と聞かれた時も的確な返事が出来なくて、困ってしまいました。だから、医学の基礎を学びたいと…。それにはこの学園を卒業の後、上に進まなければ学べないと思うので、今は図書室で本を借りたりしながら学んでいきたいと思ってます」
「それで良いよ。焦る必要はない。本来ならまだ何も知らないんだから」
「はい。ありがとうございます」

隣国の言葉も今年から習う。これも必須だ。スローン国とシャンクリー国はアルシャント国と国境を接していて今は穏やかな関係を保っている。けれど、どちらも軍事力はそれなりにあって、国境付近の街では小競り合いが起こる時もある。

テニエル家の領地はスローン国と接している。だから、ケントやガイは先生とも対等に話せるくらいスローン語が堪能で、僕は文法とかわからない時、ケントに聞く時もある。家にいる時から少しは習ってきたけど文法や発音は難しいよね。

スローン国とは交易があり、実家にいる時に珍しい異国の品を商人が売りに来ていた。僕たちはその場に入れてもらえなかったけど買い上げた絨毯や肌触りが良い布はアルシャントにはない柄で、珍しい物だった。メイド長のドナは母上とどんなドレスを作ろうかと早速相談して、端切をくださいねなんて言って、いつもの落ち着いたドナじゃなかったのを覚えている。
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