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第三章
08
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侯爵家の子息が連なって歩いていると目立つのか、チラチラとこちらを見られているようで落ち着かない。
『何か目立ってるね』
『そうか?』
『うん。凄く視線を感じるよ。アシュリーもダレルもイーノックも背が高くて凄くかっこ良いからみんな見てるんだね。凄いね、男の人の視線も釘付けだよ?』
『ああ、それは…気にするな』
『気になるよ…。僕のアシュリーなのに…』
今までは我慢してた。
アシュリーが女子寮へ出掛けても、何も言えない。言う権利なんてないと思ってたし、そもそも話すらあまりしてなかった。アシュリーの話では、いつも僕がどこにいるか気にして見守っててくれてたみたいだけど、僕がアシュリーの行動にとやかく言える立場じゃなかった。
でも、今は…少しくらい嫉妬しても良いだろうか?重いヤツって思われないかな…。ちらりとアシュリーを見ると、満面の笑みで頭を撫でてくれた。
『嬉しいよ』
「ジュリアン、何食べたい?俺がご馳走するよ。あっ、あそこに肉がある!あれが良いんじゃない?」
「ダレルが食べたいんじゃないの?良いよ、お肉食べよう。後でフルーツチョコレートも食べようね」
僕が好きなのは様々なフルーツをチョコでコーティングした露店定番のおやつ。フルーツを飴でコーティングしているものもあり、飴の色がカラフルで見ていてとても綺麗だ。ミートパイやアップルパイ、肉の煮込んだものや様々な家庭料理もあり目移りしちゃう。
「ジュリアン、そんなに食べられないですよ?」
「え~、イーノックも食べてくれるでしょう?」
「はい、頂きますが…それにしても多くないですか?」
「固いこと言うなよ」
ダレルが次々買ってくる料理を露店の前のテーブルに並べて食べ始めた。
『フードは…仕方ないな』
僕が食べにくいから、はらりとフードを外すと三人が慌ててる。
「良いじゃん、俺たちが付いてたら誰も声掛けないさ」
「そうですね、最強の護衛ですよ」
「そうだな…。ジュリアン、美味しい?」
「うん、ここで食べるの久しぶりだし、楽しい」
その後、四人でゆっくりと感謝祭を楽しんだ。
僕は知らなかったけど、アシュリーの隣にいるのが誰なのかと噂があったそうだ。女装のせいで僕の顔を見てもアドラム家の四男だと知っている人は少ないけど、アシュリーたちは学園に上がる前から目立っていたから有名だった。
◇◇◇◇◇
「あっ…んっ」
声が漏れる。
身体が熱くなる。
アシュリーの舌が僕の唇をなぞる。口内に入ってくる舌が次第に僕の力を抜いていく。
「ア、アシュ…寝られないよ…あっ…はっぁ…」
この頃、キスの時間が長くなった。眠るためにベッドで横になるのではなく、キスするために急ぐんだ。
お互いがシャワーを浴びて、さあ寝るってなると手を引かれたり抱きしめられてそのまま横抱きにされてベッドへ急ぐ。
アシュリーの腕の中はドキドキするけど落ち着く。首に腕を回して抱きつくと、直ぐそこにある首に手を当てる。
「ん?どうした?」
「キスして良い?」
「良いよ」
僕にはまだない喉仏にチュッとキスをする。
「んっ…」
漏れる吐息にぞくりとする。
「俺もする。良い?」
「うん…。…あぁっ…んっ…」
唇で触れて、舌を這わす。
「ここ弱い?」
「わ、わかんない」
顎から耳の後ろ、鎖骨を舐めるようにキスをされて更に身体が熱くなっていく。
「今度の休暇の時父上に会ってくれる」
「あっ、あん……た、誕生日のパーティー?」
僕が喋り終わるのを待って、またキスをする。
「そうだよ。今年から一緒にしようか?場所は…父上に任せるとして…。ねえ、いいと思わない?」
「うん」
僕は前から一緒でも構わないと思っていたから素直に頷いた。
「でもさ…反対されない?」
「どう言うこと?」
「だって、アシュリーと一緒に誕生日を祝うってことは、その…僕とアシュリーがさ、つ、付き合、合ってるってリンメルさまに言わなくちゃいけないってことでしょう?そうならさ、反対されたら…」
嫌だな…。
「父上はもう知ってるよ?」
「えっ?…そうなの?」
「クラレンスが言ってただろ?俺もちゃんと報告してるし祝福してくれてるよ。それこそリンメル家を挙げてジュリアンを守るよ」
「僕だけが守られてるのは嫌だ。僕もアシュリーを守りたい」
僕だって男だ。守られてるだけじゃ嫌。アシュリーが僕と付き合うことによって、謂れ無い悪意に晒されることがあれば…その時は僕が…。
でも……、良いのかな?
僕は小さな頃から好きだったから嬉しくって仕方ないけど、アシュリーは?
笑顔のアシュリーにそれ以上のことが聞けなくて、でも…きっと大丈夫。
『何か目立ってるね』
『そうか?』
『うん。凄く視線を感じるよ。アシュリーもダレルもイーノックも背が高くて凄くかっこ良いからみんな見てるんだね。凄いね、男の人の視線も釘付けだよ?』
『ああ、それは…気にするな』
『気になるよ…。僕のアシュリーなのに…』
今までは我慢してた。
アシュリーが女子寮へ出掛けても、何も言えない。言う権利なんてないと思ってたし、そもそも話すらあまりしてなかった。アシュリーの話では、いつも僕がどこにいるか気にして見守っててくれてたみたいだけど、僕がアシュリーの行動にとやかく言える立場じゃなかった。
でも、今は…少しくらい嫉妬しても良いだろうか?重いヤツって思われないかな…。ちらりとアシュリーを見ると、満面の笑みで頭を撫でてくれた。
『嬉しいよ』
「ジュリアン、何食べたい?俺がご馳走するよ。あっ、あそこに肉がある!あれが良いんじゃない?」
「ダレルが食べたいんじゃないの?良いよ、お肉食べよう。後でフルーツチョコレートも食べようね」
僕が好きなのは様々なフルーツをチョコでコーティングした露店定番のおやつ。フルーツを飴でコーティングしているものもあり、飴の色がカラフルで見ていてとても綺麗だ。ミートパイやアップルパイ、肉の煮込んだものや様々な家庭料理もあり目移りしちゃう。
「ジュリアン、そんなに食べられないですよ?」
「え~、イーノックも食べてくれるでしょう?」
「はい、頂きますが…それにしても多くないですか?」
「固いこと言うなよ」
ダレルが次々買ってくる料理を露店の前のテーブルに並べて食べ始めた。
『フードは…仕方ないな』
僕が食べにくいから、はらりとフードを外すと三人が慌ててる。
「良いじゃん、俺たちが付いてたら誰も声掛けないさ」
「そうですね、最強の護衛ですよ」
「そうだな…。ジュリアン、美味しい?」
「うん、ここで食べるの久しぶりだし、楽しい」
その後、四人でゆっくりと感謝祭を楽しんだ。
僕は知らなかったけど、アシュリーの隣にいるのが誰なのかと噂があったそうだ。女装のせいで僕の顔を見てもアドラム家の四男だと知っている人は少ないけど、アシュリーたちは学園に上がる前から目立っていたから有名だった。
◇◇◇◇◇
「あっ…んっ」
声が漏れる。
身体が熱くなる。
アシュリーの舌が僕の唇をなぞる。口内に入ってくる舌が次第に僕の力を抜いていく。
「ア、アシュ…寝られないよ…あっ…はっぁ…」
この頃、キスの時間が長くなった。眠るためにベッドで横になるのではなく、キスするために急ぐんだ。
お互いがシャワーを浴びて、さあ寝るってなると手を引かれたり抱きしめられてそのまま横抱きにされてベッドへ急ぐ。
アシュリーの腕の中はドキドキするけど落ち着く。首に腕を回して抱きつくと、直ぐそこにある首に手を当てる。
「ん?どうした?」
「キスして良い?」
「良いよ」
僕にはまだない喉仏にチュッとキスをする。
「んっ…」
漏れる吐息にぞくりとする。
「俺もする。良い?」
「うん…。…あぁっ…んっ…」
唇で触れて、舌を這わす。
「ここ弱い?」
「わ、わかんない」
顎から耳の後ろ、鎖骨を舐めるようにキスをされて更に身体が熱くなっていく。
「今度の休暇の時父上に会ってくれる」
「あっ、あん……た、誕生日のパーティー?」
僕が喋り終わるのを待って、またキスをする。
「そうだよ。今年から一緒にしようか?場所は…父上に任せるとして…。ねえ、いいと思わない?」
「うん」
僕は前から一緒でも構わないと思っていたから素直に頷いた。
「でもさ…反対されない?」
「どう言うこと?」
「だって、アシュリーと一緒に誕生日を祝うってことは、その…僕とアシュリーがさ、つ、付き合、合ってるってリンメルさまに言わなくちゃいけないってことでしょう?そうならさ、反対されたら…」
嫌だな…。
「父上はもう知ってるよ?」
「えっ?…そうなの?」
「クラレンスが言ってただろ?俺もちゃんと報告してるし祝福してくれてるよ。それこそリンメル家を挙げてジュリアンを守るよ」
「僕だけが守られてるのは嫌だ。僕もアシュリーを守りたい」
僕だって男だ。守られてるだけじゃ嫌。アシュリーが僕と付き合うことによって、謂れ無い悪意に晒されることがあれば…その時は僕が…。
でも……、良いのかな?
僕は小さな頃から好きだったから嬉しくって仕方ないけど、アシュリーは?
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